PSY・S


ATLAS
(1989:CD)

Wondering up and down〜水のマージナル/WARS/ファジィな痛み/Stratosphere〜真昼の夢の成層圏/遠い空
(北緯35°の)heroism/See-SawでSEE/STAMP/引力の虹/WARS-Reprise-


松浦雅也とCHAKAのユニット、サイズの5作目のアルバム。
このアルバムはすべてレスリースピーカを通して録音されたというかなり実験的な作品ですが、
そこから出てくる音はとても暖かくやさしいものとなっています。
Wondering up and down〜水のマージナルは個人的にはサイズの中で一番好きな曲です。メロディー、サウンド、曲構成すべて抜群の出来だと思います。
この曲と同じくらいお気に入りなのが遠い空
「愛してるって/どんなふうに/どんなふうに/愛しあっても/愛しあえないものが/こんなときにはあるね/・・・」
と始まる抽象的な歌詞がやけに印象的なこの曲は、サウンド面でもレスリー効果を十分に生かしきったものとなっています。
ギター、ピアノ、オルガンといった音色が空気に滲むように響いてきて、その浮遊感が非常に気持ちいいです。
このアルバムはサイズの作品の中では静的な部類に属すると思いますが、もちろんファジィな痛み(北緯35°の)heroismといった
アップテンポのポップソングも収録されています。でもやっぱりStratosphere〜真昼の夢の成層圏引力の虹のような
ドリーミーな雰囲気が強いようです。ちなみに私がサイズを好きな理由のひとつがこの要素なのです。
さて初期のサイズといえばフェアライトの使用がメインだったのですが、フェアライトを前面に出していたのはこのアルバムが最後。
以後、アナログシンセを巧みに盛り込んだサウンドになっていきます。


Non-Fiction
CBS/SONY 32DH 5089 (1988)

Parachute Limit;パラシュートの時間/Spiral Lovers/(Shooting Down) The Fiction/Romeo
Earth;木の上の方舟/Angel Night;天使のいる場所/Silver Rain/Robot
Roses and Non-Fiction;薔薇とノンフィクション/Hourglass;時の雫


フェアライト使いの松浦雅也とヴォーカルのチャカ(安則まみ)の男女ユニット、サイズ。
今考えると男女二人ユニットのはしりだったのかな?彼らがブレイクしたアルバムがこのNon-Fictionでしょう。
サンプリングを多用しながらそれを感じさせないアレンジと、歌心のあるメロディーをパワフルに歌う彼らの音楽には
かなり影響を受けました。このアルバムもポップでいい曲が多いです。
Angel Night;天使のいる場所はアニメ「City Hunter」の主題歌としてとりあげられてヒットしたと思います。
この曲でサイズを知った人も多いと思いますが、ストリングスが疾走するなかなかかっこいい曲です。
この曲の前のEarth;木の上の方舟も静かに盛り上がる私の好きなパターンの曲です(^^;。


Mint-Electric
CBS SONY 32DH709 (1987)

Simulation/電気とミント/青空は天気雨/TOYHOLIC/Lemonの勇気
Sweet Tragedy/Long Distance/Cubic Lovers/ガラスの明日


松浦雅也とチャカのユニット、サイズの3作目。
今なら当然のように行われている打ち込みによるサウンド作りを早くから売りにしてたサイズですが、
このアルバムではもう打ち込みということを感じさせないナチュラルなポップスになっています。
松浦さんの打ち込みツールもフェアライトIIからフェアライトIIIになって音が断然リアルになったことも影響があるかも知れません。
ドラム、ストリングス関係の音が前作と比較して一変しています。
(ちょうどマイク・オールドフィールドではアルバムIslandsの時期に相当します>フェアライト)
それより何よりもいい曲が揃っていて個人的にはサイズで一番好きなアルバムなのです。

キーとなる曲はLemonの勇気。バービーボーイズのいまみちともまさ(G)の協力を得て、爽快なロックナンバーになっています。
当時のコトバでいえば「元気ソング」なのですが、ストリングセクションがとってもカッコイイのです。
ミディアムテンポのCubic LoversではイントロにLemonの勇気のサビのメロディーが再び現れるのが印象深いです。
この曲もサイズのレパートリーのなかでは重要な位置を占める名曲です。
その他、アップテンポのロックンロール電気とミント、感覚的な詞が印象的な青空は天気雨TOYHOLICなどが好きな曲です。
作詞家陣はサエキけんぞうが2曲、松尾由紀夫が3曲、安則まみ(チャカ)が2曲、
杉林恭雄(くじら)とあさくらせいらが各1曲といった具合、特筆すべきは「詞先」の曲作りだということ。
作曲家松浦雅也の自身の現れでしょう。確かに見事なメロディー、アレンジです。


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