同窓会(1998年6月1日)

35年ぶりに中学校時代の友人達に会ってきた。12時に始まった同窓会は2次会にカラオケ、3次会に同級生の経営するレストランでよる9時まで.....と、延々9時間に及ぶものだった。 

父の仕事の都合で、中学校を卒業して1年後に引越してしまった私には、「田舎」と呼べるものがない。当時の友とは、私が生来の筆無精ということもあって、ほとんど音信不通になってしまっていた。時折同窓会の連絡はあったが、なかなか出席する気にはなれなかった。もともと転校生で、しかも途中でいなくなってしまった者のことなど、誰も気にしてくれることはないだろうと思っていたのである。今回は、50歳になる記念の年であるからとお誘いの連絡をいただいたので、思い切って出席した。 

35年ぶりに会う友たちは、途中からいなくなってしまった私を、懐かしい笑顔で暖かく迎えてくれた。 

忘れていた名前を思い出すのに時間がかかったりして、あちこちでぎこちない会話が交わされている。それもしばらくの間。アルバムに残っている35年前の顔と、目の前の顔が一致してくると、だれもが中学生に戻ってはしゃいでいた。いっしょにしたいたずらの数々、亡くなってしまった友人のこと.....。尽きることのない思い出を語るのに、9時間は短かすぎる思いがした。 

私たちは、今年50歳になる。ほとんどの人が5年後に定年を迎える、人生の大きな区切りの年である。それぞれに自分の来し方を振り返り、残りの人生を大切に生きようと模索しはじめている。みな、「良い年の取り方」をしていると感じた。我々の子供たちのほとんどが、すでに当時の私たちの年齢を超えている。日ごろ世間の波にもまれ、不本意な生き方を強いられている人たちも、一挙に自分の子供たちより低い年齢に戻って、あの頃の純粋な心を取り戻すことができた。自分の「これから」を考えようとしているときに、純粋だった頃を思い出すことができたのは幸せだった。 

長い間忘れていたが、あらためて「私は友に恵まれていたのだ」と心から思うことができた。