奥利根:洞元荘 2000年8月12日
鍵の触れ合う音で目がさめた、夫が階段を下りてくる音だ。今日は奥利根(水上温泉の奥)にある洞元荘というところに一泊することになっている。そろそろ起きなくてはと思っていると、夫の「2時間も寝坊したよ」と言う声に時計を見ると6時になろうとしている。急いで支度をし、家を出た。

夏休みの初日の2時間の遅れは大きい。予定では4時に家を出て、第三京浜から環八を通って関越自動車道に乗ろうということになっていた。ラジオを聞くと、すでに15キロから20キロ、所によっては30キロ近い渋滞が始まっている。記憶をたどりながら、昔裏道として使った道に向かう。山道や畑の間を縫って走る。信号も少ない。渋滞はないが、スピードを出せないので時間がかかる。どうも効率が悪いような気がする。途中並行して走っている関越を見ると、スピードは出ていないが渋滞している様子もない。途中から関越に乗る。

予定では赤城山か榛名山で遊んでからと思っていたが、疲れたので宿に直行した。宿は山のせせらぎにかかる橋を渡ったところにあった。玄関前で水をまいている人に、駐車場の場所をたずねようと窓を開けた。「チェックインはまだですよ。あそこやここはいってきましたか」と、近くの観光地の名前を言う。聞きようによっては、出直していらっしゃと取れる。時間のことは承知だが、ロビーでテレビでも見て待っているというと、駐車場の場所を教えてくれた。ちょっと笑顔でもあれば歓迎してくれていると思えるのだが.....。愛想のなさに、モニュメントバレーのナバホインディアンを思い出した。

洞元荘の玄関にはタヌキがたくさんいる

時間になり部屋に案内してくれた女性が「お客様は一番乗りですからお風呂は誰もいないと思いますよ」と言っていた。宿の敷地内に露天風呂と屋内の風呂が合わせて5箇所ある。ひとつは混浴で、その他は男女別になっている。露天風呂に行くと誰もいない。「そうだ!写真をとろう」急いで写真をとって、次の風呂へ行く。そこにも誰もいないので一枚撮る。結局全ての風呂を回って撮影することができた。その後あらためてゆっくり湯に浸かった。 

夕立風呂(男女混浴)  ↓美人の湯(女性専用)
 

今回の旅は8月6日の夜「12日から17日まで夏休みなのだからどこかに行きたい」と夫が言い、私は土日しか休めないので、一泊なら付き合うと、急遽決まったものだった。今から宿など取れないでしょうと思いつつ、Yahooで探してみた。うれしいことに夫が常々一度行ってみたいといっていた宿には空室があるようだ。1泊2食つき2万円とある。ちょっと(いや、ものすごく)高いが、この時期だから仕方がないと必要事項を入力した。何度送信しようとしてもエラーが返ってくる。システムがダウンしているのだろうか。まだ早い時間だったので、電話をかけた。部屋は空いていた。料金の話になると「料金は1万5千円でいかがでしょう....」と探るように言う。えっ、だってYahooには2万円って書いてあったのに....。ものすごく得した気持ちになりながら「そうですか....この時期ですもんね...」といかにも仕方ないと言う風に受けた。これで交通費の分が浮いた!

実際宿には空室が目立った。夫が風呂で会った人は、飛び込みで1万3千円だったと言う。あの時Yahooのシステムがスムーズに動いて予約が取れていたら、私たちは一泊2万円で泊まることになっていた。今日の宿泊客のいったい何人が2万円で泊まっているのだろう....。部屋は料金によって違いがあるようだが、料理も違うのだろうか.....。食事は全て部屋に運んでくれるので、他と比較はできない。


さて、翌朝のこと。フロントで会計をすると思ったより安い。夕食のときは2千円の鹿刺しを頼み、部屋の冷蔵庫の飲み物もいくつか飲んでいる。明細書には宿泊料は1万2千円となっていた。ここは「タヌキのお宿」という。野生のタヌキに餌付けをしていて、夜になると部屋からタヌキや狐の姿が見えるのだ。もしかすると私たちはその狸に化かされたのかもしれない。