ヤバかった話その2

私にはT君という友人がいます。現在二児の父親の身でありながら
未だに年間の映画鑑賞本数が百本を越えるという
筋金入りのマニアです。

そんな彼が映画館で遭遇したエピソードを。

その1

学生時代のある日、池袋の名画座に行ったT君。
お目当ては「風の谷のナウシカ」。
初公開から一年ほど経っていましたがまだ人気が高く、
ちょうど夏休みだったこともあり 初回からたいへん混雑していたそうです
やっとの事で最前列の端にに空席を見つけたTくんは そこに座りました。
そして上映開始・・・おや、始まったのに誰かが喋ってるぞ、と思った T君、
声の主を捜しました。喋っていたのは彼のいる最前列の中央に座っていた女。
そして、彼女は誰かと喋っていたのではな
画面上のナウシカのセリフを同時に言っていた
のです。

驚いているTくんをよそに、画面が変わって「じじい1」のセリフになると、
彼女の隣に座っていた男がそのじじいのセリフを言い始めます。
別の登場人物が出てくればまた別の男がそのセリフを言い・・・
 なんと最前列に座っていたT君以外の連中は全員が
役が決まっていて画面に合わせてセリフを言う
人達だったそうです。
映画よりそいつらを観ている方がおもしろかったとT君は言っておりました。

その2

皆さんケニー君はご存じでしょうか。
知らない人のために説明しますと、
生まれてすぐにある事情で、んー、その、
言うなればゲッター3とか
ガンタンク
みたいなシルエット
なってしまった少年です。
でもケニー君は負けません。
いつも明るく、前向きな人生を送っています。
そんな彼の感動的な記録映画がありました。

 「ケニー−スケボーに乗った天使がそうです。 
なぜスケボーに乗っているかなんて 
ヤボな事
は聞かないで下さい。
 で、T君は物好きにもそれを観に行ったわけです。マニアですから。
 劇場内はガラガラで、ゆったりと中央部の席に着いたT君。そろそろ
 上映が始まるな、と思ったらガヤガヤと騒々しい団体が入ってきたそうです。
 騒々しいのも道理、やって来たのは言うなれば(こればっか)、
 身体の成長に精神の成長がちょっとついていってない人達の団体さんと
 引率の先生方。 席に着いても騒がしい。場内が暗くなってもまだ騒がしい。
 気にしないように始まった映画に集中しようとするT君。
 ところがケニー君の姿がスクリーンに現れると
その人達が大爆笑。
 天真爛漫な人達なので
変わったものを観ると素直に反応してしまうんでしょう。
 場内はケニー君がスクリーン上で何かやらかすたびに
爆笑の渦
に巻き込まれたそうです。

(00.05.17)

 次へ メニューに戻る