リスクを考える

<リスク・テイクって?> ... 2003-01-03
 自己責任という言葉が、最近、日本のメディアでもよく登場するようになってきた。 曰く、「これからの時代は、誰かに頼るのではなく、自分で考えて、リスク・テイクしなくてはならない」云々。
 しかし、ちょっと待てと言いたい。 リスク・テイク出来るための前提を忘れちゃいませんか、ってんだ!!!
 リスクを取る為には、まず、選択肢がないといけない。  選択肢がないのでは、自分が取ったリスクではなく、他人に負わされたリスクになってしまう。  そして、どれが、より自分にとって良いか、を判断するための情報が十分に開示されている必要がある。  情報が開示されないとなれば、その選択は、ほとんどギャンブルと変りがない。  最後に、リスクに見合う安価な保険の制度が必要であろう。  日本の現状は、選択肢も情報開示も保険機能(セーフティーネットなどという変な言い回しはやめて欲しい)も不十分な状態であると言わねばならない。
 加えて、未だに、国民は無自覚に、お国がなんとかしてくれる、お国になんとかして欲しい、などと思っている。 だから、水戸黄門の視聴率が未だに良いのだろう。
 しかし、お国を当てにしてない人々、お国が規制をかけて、非効率なやり方を 行うことによるコスト(=税金)を疎ましく思っている層は、確実に増えている。  "It's your own risk!" という看板に込められた意味を汲み取れる人が、 少なくとも国民の過半数を越えないと、日本はリスク・テイク出来る国にはならないと思う。  トップダウンにやろうとするのであれば、選択肢の提示と情報開示の徹底を図ることにより可能だとは思うが、まぁ、お役所じゃ無理でしょうね。  という事は、JICAも無理かなぁ...。
<協力隊参加だってリスクを伴なうのだよ!> ... 2003-01-15
 協力隊参加というのは、隊員による自己選択の結果であり、 当然、その行為に関して発生するであろうリスクを含めて、合意して派遣される訳である。  しかし、この点を事務局は、あまり積極的には、研修期間中に候補生に対して説明していない。  即ち、リスク・テイクにおける情報開示、説明義務を果たしていないと言える。
 僕が最初に違和感を感じたのは、実は、交通安全の講習の時だったであろうか。  それは、交通事故が多発したので、隊員が車を運転出来ないようにした、という点である。  まさに、???である。  事故に対して、JOCV事務局は何らかの責任を負っていたのであろうか?  責任を負っていたのであれば、それに基づいて、賠償という話になったと思うが、 そういう話はとんと聞いていない。
 国内に残された親御さんが、JOCV事務局を責める、と言うのは判るが、 それは筋が違うと言えないところが哀しい...。
 過去の事故に関してみれば、飲酒、スピードの出し過ぎ、などの自損事故が過半数を占めるのではないか。  これは、幼稚な意識に基づくものであり、事務局が責めを負うべき性質のものではない。
 事務局側の責任を問う例としては、多分、唯一、アフリカのある国内移動において 利用したバス(多分、現地事務所の手配)が事故に巻き込まれ、全員が死亡したという事故であろうか。  これに対する事務所の正しい対処方法は、目的地の提示のみで、そこに至るルートは、各隊員に一任すれば良かっただけである。  当然、そこで、色々なルートの提示とどのようなリスクが発生するかを説明した上でであるが。  こうして、隊員に選択権を委ね、リスク・テイクさせれば良かったのである。
 車の運転を出来ないようにしたり、安全対策と称して、色々な規制をかけるなどとは、 選択肢を狭めているだけであり、リスク・テイクの精神=独立独歩の精神に逆行する。
 協力隊も、そろそろ、リスク・テイクできる大人の集団になる時期ではないだろうか。
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