伝説にもなっている「旧ルパン」といわれるシリーズ。 緑の背広を着ているルパンが登場するシリーズである。
大隅正秋が演出したのは最初の数話だけで、あとの主な演出は高畑勲＆宮崎駿。

このシリーズは原作のながれをくむ、ハードボイルドの作品だったが、だんだんとコミカル路線に走っていき、 これが新ルパンに受け継がれた。 このシリーズと新シリーズでは不二子と五ヱ門の声優が異なる。

前半ではルパンはベンツSSKを乗り回していたが、後半ではフィアット500に変わっている。これは新ルパンでも共通している。
フィアット500は当時作画監督の大塚康生の愛車であった。

視聴率が悪かったため打ち切りになったが、再放送を重ねるたびに人気が出て新作が作られた。

宮崎駿初の演出作品であり、NHK初の連続アニメであったが、視聴率はあまりよくなかったそうだ。 僕は子供のころ見ていたらしい。宮崎演出の全てがここにあるといっても過言ではない。 作品の全般的に宮崎駿が関わっており、 共同クレジットもあるが全26話の演出と16本の絵コンテを担当している。

高畑作品(「アルプスの少女ハイジ」「母をたずねて三千里」「赤毛のアン」)でレイアウトばかりやっていた宮崎氏が、 欲求不満がつのり演出を手がけたのである。これ以後の宮崎駿は演出家として活躍してゆくことになる。
作画監督は「ルパン」の名コンビ大塚康生であるが、第1話のラナ作画に宮崎駿は納得しなかったようだ。
1話とそれ以外のラナの作画が違ってるのはそのため。

原作通りに赤い背広で活躍するルパン三世の第２シリーズ。以後のルパンの原形はほとんどここにある。
全155話で、ルパン三世３シリーズのなかで唯一ちゃんと完結している。
99話はテレビアニメ初のステレオ放送として放送された。その後、終盤の多くの話がステレオで放送された。 シリーズ後半にはテレコムが製作した回や、宮崎駿が演出した回もある。

下に示している作品は僕が気にいっている作品だが、どれもテレコム製作で、作画監督に丹内司が参加している。
丹内司は以後、「名探偵ホームズ」「天空の城ラピュタ」などで宮崎作品に参加する事になるアニメーターである。

99話　荒野に散ったコンバットマグナム
143話　マイアミ銀行襲撃記念日
145話　死の翼アルバトロス
151話　ルパン逮捕ハイウェイ作戦
153話　神様がくれた札束
155話　さらば愛しきルパンよ

99話はＴＶアニメ初のステレオ作品である。他の5話もすべてステレオ。
145話と155話(最終回)は宮崎駿演出作品。
（ただしテロップ上は「照樹務」。当時所属していたテレコム・アニメーション・フィルムをもじったもの）

ちなみに155話の元のタイトルは「ドロボーは平和を愛す」であった。
内容は三菱重工などの軍需産業を痛烈に批判する過激なものだった。（国防軍などといった設定も怖い）
戦車が一般車両をつぶしていくのは「空飛ぶゆうれい船」で宮崎駿が原画を担当した場面と似ている。

劇場公開もされた「名探偵ホームズ」のTVシリーズ。 なかでも宮崎駿が手がけた６作は必見。ただしテレビ用に若干カットしてあったりして、 劇場版でしか見れなかったり、未公開だったりする。

放送のかなり前から制作はさせていたが、著作権の問題で作業中断(4話分完成)し、 それがクリアされてから本格的に制作再開された。 「ナウシカ」と一緒に公開された時はまだ問題がクリアされておらず、最後に「コナン・ドイルの著作によるものではない」と出る。

宮崎駿参加6話の制作順は放送順ではなく、 小さな依頼人→青い紅玉→海底の財宝→ソベリン金貨の行方→ミセス・ハドソン人質事件→ドーバーの白い崖 の順となっている。このうち、宮崎駿が監督したのが最初の４話、 あとの２話は制作再開されるまで動画完成の段階で作業中断され、後に御厨恭輔に作業が引き継がれた。