DVDについて

LAST UPDATED 4/23 2008

DVDとは?

DVDは映像や音声を直径12cmの光ディスクに収録した規格で、映像も音声もデジタル記録するのが特徴。CDやビデオCDとの物理的互換性はないが、 DVDプレーヤーでCDは大抵再生できる。

ディスクは0.6mm厚の板を2枚張り合わせて1.2mm厚にしてある。信号面がCDより浅くなるが、浅い方が記録容量を稼ぐ事ができるため採用された。
通 常の片面1層(SD-5)の容量は4.7GB、信号面を2層構造にした片面2層(SD-9)の容量は8.5GB。ディスクの両面に1層ディスクを貼り付け た両面1層や両面に2層ディスクを貼り付けた両面2層も存在するが、両面規格は現在はほとんど使われてない。転送レートは最大10.8Mbps。

映像は解像度720× 480の画像をMPEG-2圧縮(最大9.8Mbps)している。規格上MPEG-1も使用できるが、メリットがないためほとんど使用されてない。フレー ムレートは放送規格に合わせてNTSCの場合はインターレース60fps(フィールド/秒)に対応。記録時にフラグを立てる事でノンインターレース24fps(フレーム/秒)やプログレッシブ30fps(フレーム/秒)にもできる。また、スクイーズ記録にも対応している。

音 声はNTSCの場合は無圧縮のリニアPCM(最高 96KHz/24bit)か最大5.1ch(一部6.1ch)のサラウンド情報を持つドルビーデジタル(最大448kbps)が使用できる。オプションで より高音質のDTS(最高1.5Mbps)やSDDS、従来のMPEG-1/Layer-2も使用できる。ただし、SDDS対応機器は発売されていない。

機 能としては、最大8個の音声を同時に収録できるマルチ音声、最大32個の字幕を同時に収録できるマルチ字幕、最大9個のアングルを収録できるマルチアング ル、16:9の映像を4:3にも変換できるマルチアスペクト、条件によって異なる再生を行なうマルチストーリー、視聴制限をかけるパレンタルロックがあ る。また、地域によりリージョンコード(北米は1、日本は2)を指定し、同じリージョンのソフトと機器でないと再生できない仕組みもある。
メニュー等のインタラクティブ機能も強化されており、簡単なゲームを作ることも可能である。

マルチ音声、マルチ字幕によって、従来日本語字幕版と吹替版を用意していたのが1種類で済む事になった。また、監督等が映画の本編を再生しながら解説を行なうオーディオコメンタリー特典も収録されるようになった。
規格策定時に字幕の美しさについてさほど重点が置かれなかったらしく、わずか4階調で解像度も低く、会社によってはフォントもガタガタで汚いものもあった。(次世代DVDではこの反省からか、かなりリッチになっている)

主に映像を扱うDVDは正式にはDVD-Videoと呼ばれ、主に音楽を扱うDVDはDVD-Audioという。 読み出し専用のコンピュータ用DVDはDVD-ROMと呼ばれ、1回のみ書込可能なDVDにはDVD-Rがある。 何度も書込可能なDVDにはDVD-RAMやDVD-RWがある。また、正式なDVD規格ではないが、DVD+RやDVD+RWという規格もある。

DVDについて一般的には、Digital Video Disk(デジタル・ビデオ・ディスク)の略だと思われているが、 実際のところ、DVDはディー・ヴィ・ディーであって、何の略でもない。

一部ではDigital Versatile Disk(デジタル・バーサタイル・ディスク)と呼ばれている。
これはVideoという名称は映像しか扱えないという誤解を生みかねないことから、 Versatile"多彩な"という名称をこじつけた物なのです。

DVD-Videoは一般に普及したが、DVD-Audioは全く普及しなかった。
また、書込用規格についてはDVD-R、DVD+R、DVD-RW、DVD-RAM、DVD+RWと規格が乱立してしまった。
DVD-RAMはファイナライズが不要など利点がいくつかあったが、DVD-ROMとの互換性が乏しく、再生専用機での再生がほとんど出来なかった。
DVD+R、DVD+RWはファイナライズが不要で、DVD-ROMとの互換性も高かったが採用メーカーが少なかったため、現在はDVD-RWにDVD- VR規格で録画するのが主流になっている。
なお、デジタル放送等のコピーワンスの番組を録画するにはCPRM対応のメディア(DVD-R、DVD-RW、DVD-RAM)を使用しなければならな い。


ビデオCDとDVD-Videoの違い
DVD-Videoは、ビデオCDと同じくデジタル圧縮のメディアだが、内容がかなり異なっている。 ビデオCDの画像圧縮方法がMPEG-1に対しDVD-VideoはMPEG-2で、 転送レートはビデオCDは固定で1.15Mbpsなのに対し、DVDは可変で最大10.8Mbps。 解像度もDVD-Video(720x480)の方がビデオCD(352×240)より圧倒的に上であり、遥かに高画質である事が分 かる。
フレームも、ビデオCDがノンインターレースの30fps(フレーム/秒)のみに対し、DVD-Videoはインターレースの60fps(フィールド/ 秒)とノンインターレスの30fps(フレーム/秒)、24fps(フレーム/秒)にも対応する。
音声についても、ビデオCDがMPEG-1/Layer-2(224kbps)圧縮に対し、DVD-Videoは圧縮なしのリニアPCM(最高 96KHz/24bit)と 最高5.1ch(一部6.1ch)のサラウンド情報を持つドルビーデジタル(最高448Kbps)やDTS(最高1.5Mbps)を採用し、ビデオCDと は比べ物にならないほどの高音質を誇る。

規格争い
現在のDVD-Videoは統一規格だが、かつてソニーと東芝方式の間で規格をめぐって競争が行われていた。
ソニー方式(MMCD)では3.7GB(片面1層),7.4GB(2層),収録時間約135分(片面1層)
東芝方式(SD)では5GB(片面),10GB(両面),収録時間約142分(両面約284分)
ソニー方式は単板で、厚さはCDと同じ1.2mmだが、 東芝方式は容量を稼ぐため、ディスク厚が0.6mmと薄く、糊で2枚張り合わせて1.2mmとしてある。

ソニー陣営はディスク張り合わせに難色を示していた。 長時間のソフトだとわざわざ裏返さなければならないからだ。 だが、東芝陣営の松下電器が片面から両面の情報を読み取れる片面2層記録(SD-9)を開発し、 日立製作所は2層のディスクを両側に張り合わせたSD-18を開発した。

結果、ソニー側が規格統一を申し出て、統一規格では東芝陣営の特徴が強く出るものとなった。 ただ、変調方式はソニー方式を採用し、容量が片面5GBが片面4.7GBに若干減った。 規格統一に関しては、あまりに突然で皆びっくりしたものだが、将来の事を考えると良かったことだ。
次世代DVDにおいてもソニー(Blu-ray)と東芝(HD DVD)方式の間で規格をめぐって競争が行なわれたが、皮肉な事にDVD規格の時とは立場がまるで逆になってしまっている。

DVD規格の相違点
規格 SD規格 MMCD規格 統一規格
提唱企業 東芝、松下電器産業、パイオニア、日立製作所、トムソン、タイム・ワーナー、MCA ソニー、フィリップス 東芝、松下電器産業、パイオニア、日立製作所、トムソン、日本ビクター、三菱電機、ソニー、フィリップス
賛同企業
(家電)
三菱電機、日本ビクター、日本コロムビア、三星電子 アイワ、ノキア、マランツ  
賛同企業
(情報)
インベンテック ゲートウェイ2000、NECホームエレクトロニクス  
賛同企業
(映画・音楽)
パイオニアLDC、東芝EMI、MGM、ワーター ソニー・ピクチャーズ、ポリグラム  
構造 厚さ0.6mmの2枚貼合せディスク 厚さ1.2mmの単板ディスク 厚さ0.6mmの2枚貼合せディスク
記録容量 片面5GB(両面1層9GB,両面2層18GB) 片面3.7GB(片面2層7.4GB) 片面4.7GB
収録時間 片面約142分 片面約135分 片面約133分
信号変調方式 8→15方式 EFMプラス 8→16方式(EFMプラス)
エラー訂正方式 RS-PC方式 CIRCプラス RS-PC方式

発売当時の状況
1996年11月に松下電器、パイオニア、東芝がDVDプレーヤーを発売、 発売当初は音楽モノやアダルトソフトくらいしかなく、しかも発売延期が相次いでいた。 映画ソフトが発売されだしたのも少し遅く、タイトル数もなかなか増えなかった。
しかも第1世代のDVDプレーヤーのうち、パイオニアや東芝の初期製品などで、 片面2層ディスクで不都合が出る事が分かった。これは発売当時片面2層のソフトが僅かしかなかったため。
パイオニアのプレーヤーは片面2層のオポジット・パス(1層目を内側から、2層目を外側から読む方式)に対応してなくて、パイオニアLDCから発売された 最初の「ターミネーター2」はパラレル・パス(1層目も2層目も内側から読む方式)で収録されていて、物議をかもした。(パラレル・パスは層の切り替えに 若干多く時間がかかる)
また、ワーナーも1998年発売の「コンタクト」まで片面2層式のソフトを発売せず、レーベルのない両面1層のソフトを発売していた。

その後、タイトルは順調に増えていき、2000年のプレイステーション2発売で、爆発的にブレイクした。


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