タイミングベルトの交換
タイミングベルト交換のメーカー推奨距離は7万キロ.
しかし、5万キロ前後でベルトのトラブルからエンジンを壊した人もたくさんいます.
ディーラー系工場でも、4万キロでの交換を勧める張り紙を見た方は多いでしょう.
タイミングベルト交換の最初の難関はクランクシャフトプーリーを外す事です.
プーリーを押さえる回り止めのツールはベルト式のもの、金属棒の先にボルトで爪を付けたものなど色々あります.
インパクトレンチで脱着する方法は簡単ですが、規定トルクで仕上げられないという欠点があります.
作業の重要なポイントはベルトのテンションを規定通りの方法で合わせる事です.
いい加減にやると、コマ飛びを起こす事が有ります.
御自分で作業される場合、失敗はエンジンのOHに繋がる危険があります.
慎重に行いましょう.
概略図
BXのタイミングベルトおよびテンショナーは
organization No.5546より変更されています.
図はRP.5545までの113枚歯タイプのものです.
タイミングベルトはカムシャフト・ギヤ、クランクシャフト・プーリー、ウオーターポンプを駆動します.
テンショナーはテンション調節用のスプリングを持ち、取り付け時に規定のテンションが出せるよう工夫されています.
5546からの114枚歯タイプでは、テンショナーは偏芯タイプのローラーベアリングとなり、テンション調整は専用工具が必要となっています.
- 規定トルク -
- クランクシャフトプーリー(a):11kgm
- テンショナー固定ナット(c):1.6kgm
- インターロック固定ナット(e):1.5kgm
- Parts List -
(〜5545)113枚歯タイプ
- タイミングベルト:RP 0816 67
- テンショナー:RP 0829 12
(5546〜)114枚歯タイプ
- タイミングベルト:RP 0816 71
- テンショナー:RP 0829 29
上記はパーツリストからの抜粋ですが、RP5545の16TZIが114枚歯タイプだった事があります.
RPが近い方は、購入前に御確認ください.
- 取り外し -
- フロントをリフトアップしてウマを掛けます.
ウマはサブフレームに掛けた方が安全です.
BXはサイドブレーキが前に効くため、後輪に輪止をしたほうが安全です.
万が一でもエンジンが始動(笑)しないよう、バッテリーは外しておきましょう.
スパークプラグを外しておくと、後にエンジンを手回しする行程が楽になります.
- 右フロントタイヤを外します。
右側フェンダー内前方にあるカバーを外します。
正面にクランクシャフトプーリーが見えます。
- オルタネーターとハイプレッシャーポンプのベルトを外します。
カムカバー横のタイミングベルトカバーを外します。

- ボルト a (22mm)にレンチをかけてエンジンを回し、
位置決め穴 b、b' を図の位置に合わせます。
奥に目印となる穴が空いています。
10mmのボルトなどを入れて位置を決めます。
- 写真はカムシャフト・ギヤが規定の位置にあるところです。
位置あわせの穴にはL字レンチが入れてあります。
上下の位置が決定したら、クランクプーリーの固定ボルト a を取り外します。
- クランクシャフトプーリーを取り外すします。
手で引いても取れないときは無理に叩いたりこじったりせず、
ギヤプーラーを使用して下さい。
写真はプーリーを外したところです。
黒いプラスチックのベルトカバーが見えます。
- ブロック横に2枚付いているタイミングベルトカバーを取り外します。
この時点で各ギヤに白ペイント等をしておくと、後の位置決め調整が楽になります.
- テンショナーの固定ボルトc, e(インターロック)を緩めます。
e は図の裏側にある16mmのナットで固定されています。
このボルトは軸先端が四角に切られており、ここに1/4インチのスパナを掛けて、eを裏から矢印の方向に回します。
テンショナー全体は図の左方向へスライドし、テンショナーが緩みます。
- 外したテンショナー。
テンショナーと固定用ブラケットd(ブロックに固定し移動性なし)
の間にはテンショナーを図の右方向へ押すためのスプリングが入っています。
図と見比べれば構造を理解して頂けると思います。
- eを回してテンショナーが緩んだら、ベルトを取り外します。
テンショナーも交換するときは、c、e を取り外せばブラケットごと外れます。
- 取り付け -
- 新しいベルトを入れて位置を合わせます。
カムシャフト・ギヤおよび、クランクシャフトのタイミングプーリーにはベルトに合わせるためのマーク(図の小さな赤い点)がついています。
これにベルト表面についている白線をあわせます.
- ベルトが入ったら、e を矢印と反対方向へ回します。
テンショナーはスプリングの力で右へ移動しベルトにテンションがかかります。
cのナットをテンショナーが動かない程度に仮締めします.
- クランクプーリーと固定ボルトを一度取り付け、レンチで時計方向へ2回転回します.
上下の位置決め穴にボルトを差し込み、ベルト位置にずれがない事を確認します.
(注:上のほうで「パタパタパタ」という音がしたら、
ベルトがカムシャフト・ギヤ側から外れて空回りする音です.
作業を中断して識者に応援を要請して下さい(本当)
- 上下のマークが合っている事を確認したら、cを一度緩めた後、規定トルクで締め込みます。
まだ心配な場合は(^^;もういちど手動でクランクプーリーを2回転回し、ベルトのマーク位置を確認します。
- 一度クランクプーリーを外し、ベルトカバーを取り付けます.
- クランクプーリを取り付け、ボルトを規定トルクで締め付けます.
- その他、外したドライブベルト類、プラグやケーブルなどを戻してエンジン始動.
最も緊張する瞬間ですね.
(C) Y. Narabayashi