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冷却水とサーモスタットの交換
BXの冷却系は日本の交通事情に充分な能力を持つようで、正常では水温に関するトラブルは少ないと思います.一般的なメインテナンスとして、冷却水とサーモスタットの交換を取り上げます.
BXに採用されているXU系エンジンでは、冷却水を交換する際にヘッド内部のエアが抜けにくく、マニュアル類の方法に従うだけでは不十分です.
エア抜きブリードのひとつにビニールホースを付ける事で、エア抜き作業や確認が大変楽になります.
冷却水が熱い場合は火傷に注意しましょう
ラジエータ左下にあるゴム製ドレンホースが劣化している事があります.
ここから水抜きを行う場合、作業後に水漏れの原因になる事があります.
ブリードスクリューの位置
(写真はキャブレター・モデルです)
ブリードスクリュー
ヘッドの後ろを走る金属パイプの中央
サーモスタット・ハウジング
ラジエーター・トップ
2. のスクリューはサーモスタットよりもエンジン側に配置されています.
水温が上昇しなくてもエア抜きに利用できます.
冷却水交換の手順
作業はエンジンを停止後、クーラントがある程度冷えているのを確認して行います.
全てのブリードスクリューおよびラジエーター・キャップを外します.
ヒーターの調節レバーを[HOT]の位置とし、冷却水を抜きます.
(ドレンホースからは流出が遅いので、私はロアホースから抜いています.)
外したホースを戻して、規定濃度のクーラントをラジエーターの給水口から入れます.
エア抜き作業
最初にヘッドの後ろのエア抜き(1)から冷却水が出てきます.
次にサーモスタット・ハウジング(2)から出てきたら、内径9mmのビニールホースをエア抜きに差します(
写真
).
反対側はラジエータの給水口へ入れます.
ラジエータトップのエア抜き(3)から溢れたらスクリューを閉めます.
エンジンをかけます.
写真のようにホース内を多量のエアが流れていきます.
時々アクセルをふかし、エアが出なくなったらホースを抜いて(2)のスクリューを閉じます.
この時点でかなり水温が上がっています.5mmヘキサのヘッドを持つスクリューでは、ソケットタイプのものを使って延長すると作業が楽になります. エアが抜けるまで、通常20分くらいかかります.
ラジエーターを洗浄する場合は、水道水を使って上記の作業をくり返し、最後に規定のクーラントで満たします.
サーモスタットの交換
左から
古い部品
純正新品(82'C:1338 37)
OEM
下段:o-ring(RP1339 10)
(RPNo.5139以後の16TZIは
RP 1340 30
)
OEMではプレート部分の直径が純正よりやや大きい事があります.
(純正: 53.4mm、OEM: 53.8mm実測値)
サーモスタット不良による症状
オーバーヒート
開かない事による症状
水温が高いのにラジエータが熱くない
オーバークール
閉じない事による症状
水温が上がらない
ヒーターが効かない
交換作業は簡単です.
サーモスタット・ハウジングのキャップのボルト(ナット仕様もあり)2本を外すと、中にサーモスタットが入っています.
プライヤなどで摘み出します.交換時は新しいガスケットを使いましょう.
キャップを取り付け、クーラントを補充します.
エンジンをかけて漏れを確認し、終了.
(C)
Y. Narabayashi