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Front Axle Drive Shaft
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ドライブシャフトの脱着とブーツ交換

BXのドライブシャフトはインナーがトリポート・ジョイント、アウターがCVジョイントというFF車としては一般的な構造です。
アウタージョイント部分はシャフトとジョイントがCクリップで固定されており分割が可能です。
フロント・ハイトコレクターやオクトパス(集合型リターンホースの通称)のトラブル時にも、右ドライブシャフトを抜く事が出来れば作業が大変楽になります。
ドライブシャフトブーツの交換はアウタージョイントを分解して行います。
高トルクで締め込まれたハブナットや、ジョイントの分割は敷居の高い部分ですが、ハンドツールを少々工夫すれば不可能な作業ではありません。
国内でドライブシャフト関係の補修部品はブーツしかなく、ジョイントにガタが出た場合はアッセンブリでしか部品供給されません。
下記の方法は中古部品のアウタージョイントだけ利用する場合等にも応用できます。

  1. アウターブーツ
  2. インナーブーツ
  3. ドライブシャフト
  4. アウタージョイント

ドライブシャフトは車種により左右各々、少なくとも3種類が存在するようです。
ブーツの購入の際などには必ず車種+RPナンバーとの適合を調べてから発注してください。

(経験的には、TRS=TRIセダン、GTI=TRIブレイク、16Vが異なる事を確認しています。)


規定トルク


手順
  1. 以下は鉄ホイールの場合。いきなり力技です。
    エンジンをかけ,ブレーキが作動する状態にしておきます.
    ホイールキャップを外すとセンターにハブナットのキャップと固定のピンが見えるので外します。

  2. 助手にブレーキを強く踏んでもらい、ハンドル少し切った状態で保持してもらいます。

    ハブナットに35mmのソケットをかけ、スピナーハンドルで回します。左右とも逆ネジは使っていません。
    堅くて回らない時は写真のように鉄パイプなどのエクステンションを用います(工具が壊れる事はありますが...)。

    ナットを外してしまっても、タイヤが外れる(笑)などの問題はありません。
    (ホイールのスタッドボルトはマダですよ、念のため)

     ※ アルミホイールではセンターの穴を35mmソケットが通過するかどうか分かりません。

  3. フロントをリフトアップしてウマを掛けます。
    ウマはサブフレームに掛けた方が安全です。
    BXはサイドブレーキが前に効くため、後輪に輪留めをしたほうが安全です。
    フロントタイヤを外します。
    異物混入を防ぐため、ドライブシャフトがデフに刺さる部分の周辺をパーツクリーナー等でよく洗浄しておきます。

  4. ロア・ボールジョイント(:18mm)を外し、スゥィベルを前から開くように動かします。

    この時、左を外すならハンドルを右に切ってタイロッドを伸ばしておいたほうが楽です(写真)。

    外しにくい場合はタイロッド・エンド(:16mm)を外しても良いですが、ストラットが伸びてスゥィベルが落下する事もあるので注意しましょう。
    ボールジョイントが外れない時はプーラーを使います。叩かないほうがいいと思います。

  5. ドライブシャフトは、プラスチックハンマー程度のもので軽く叩くと内側に抜けて来ますが、固着している場合はCRC-556などの潤滑剤をかけ、ハブナットをドライブシャフトと面一になるように取り付け、当てハンマーなどで強く叩きます。
    一度ずれたら、あとは手でハブを外側に引くだけでシャフトは外れます。
    個体により、シャフトを抜いた穴からATFが1L位流出する事があります。
    どの車で出るのかは、何故か不明です。オイル受けを用意しておいたほうが賢明です。

- 右側 -

右では上記の手順に加え、シャフト中間部にあるベアリングをマウント・ブラケット(トルクストッパー)から抜く必要があります。

ウマは高めにかけておく必要があります。
車体の安定に十分注意して作業してください。


ブラケットにシャフトのベアリングを固定している2本のボルト(:11mm)を外します。

ベアリングの後端()を軸方向へ叩きます。ベアリングは軽くはまっているだけなので、少しずつ叩けば出てきます。
あとは、上記5の手順で引き出します。



- 左側 -

左側では、時にミッションケース()に挟まってインナージョイント部分が出て来ないことがあります。
左側のエンジンマウントを緩めてトランスミッションを下げてやると通ります。
呉々も落っことさないように(^^;



アウタージョイントの分解

作業はロードホイールの上でやると便利です。グリスが付くので新聞紙を敷いておきましょう。

  1. ブーツバンドを外します
  2. ジョイント部はシャフトとベアリングに分割できます。

    シャフトには切り欠きがあり、ここに写真下のCクリップが入っています。ベアリング側のスプラインにも切り欠きがあって、向かい合わせになった所にクリップが入って固定される構造です。

  3. Cクリップの抜き方。

    ベアリング基部に銅ハンマーを当て、もう一つのハンマーで軸方向に叩きます。1本のハンマーだけで正確に叩くのは難しいと思います。

  4. 外れたら新しいブーツをシャフト側に差し込みます。
    固定する位置よりも奥まで差し込んでおいたほうが、ジョイントの組み付けが楽になります。
    インナーブーツを交換する場合は、ジョイントを外したアウター側へ引き抜きます。

アウタージョイントの組み立て

アウタージョイントをロードホイール中心の穴に挿して立て、Cクリップを入れたシャフトをスプラインに差し込みます。
シャフトはクリップで止まるので、細いマイナスドライバーでクリップをジョイント側のスプラインに押し込みます。半分入ったCクリップは上からのシャフトの自重で押さえられ出てきません。

この状態でジョイント外周を軽くプラスチックハンマーで叩くと振動で奥までズボッと入ります。

ブーツを固定位置までずらし、規定量のグリスを入れます。
付属のバンドで固定します。

逆の手順でドライブシャフトを組みつけますが、スプライン部分は十分洗浄しておきます。差し込む時は、オイルシールを傷つけないように注意してください。
手で誘導して、穴の中心に持っていきます。

サイズが合えば、国産車用のブーツを流用する事ができます。

写真は日産サニー用のアウターブーツをTRSに流用した時のものです。
(純正3293.83と互換)






(C) Y. Narabayashi

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