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Hydro Pneumatic Return Hoses
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リターンホースの理解

機能的分類
 リターンホースを機能から分類すると以下に分けられます。
  1. リークバック・リターン
    シリンダーや各油圧ブロックのオイルシールから漏れ出たLHMを戻します。
    圧力はあまり高くありませんが,ハイトコレクタ系からは持続的に流出しています。

  2. オペレーショナル・リターン
    油圧ブロックの動作に伴い,排出されたLHMを戻します。
    車高を下げた時にハイトコレクターを経由して戻る系、パワーステアリングを切る方向が変わる時になどに、パワーシリンダーから排出される系などが該当します。
    各油圧ブロックの作動に伴って大量のLHMが流れ、リターン系の中では最も高圧になります。
    ホースも肉厚なものが使われています。

  3. ベンチレーション
    サスペンションシリンダーの伸縮に伴って生じるシリンダーあるいはシリンダーブーツ内の気圧変化を逃がす系です.

構造的分類
 BXのリターンホースをアセンブリから分類すると、以下の3つの系に分けられます.

  1. オクトパス(通称):集合型リターンホース
    以下の3つの系がアッセンブルされたホースです。

  2. ブレーキバルブ・リターン
    ブレーキバルブからのリークバック・リターンです。

  3. オペレーショナル・リターン(ハイプレッシャーリターン)
    前後ハイトコレクター、パワーステアリング・コントロールバルブ、フローディストリビューターからのオペレーショナル・リターンです。



上図のホースA〜FはリザーバーキャップのパイプA〜Fに接続されます。
  1. サクションホース:ハイポンプへの汲み出し用ホースです。
  2. オペレーショナル・リターン
  3. ブレーキバルブ・リターン
  4. オクトパス:油圧ブロック系
  5. オクトパス:フロントサスシリンダ
  6. オクトパス:エアベンチレーション




実車での配置

オクトパス、ブレーキバルブ・リターン


ブレーキバルブ・リターン(C)およびオクトパス(D〜F)はリザーバータンクからエンジン横を後ろへ回り、

写真はエンジン/トランスミッションを下ろした車両を撮影したものです。
(協力:オートショップ・キャロル)


エンジンルーム側壁に沿って下降します。(左の白↓)
ハイトコレクタ下にオクトパスの胴体部分(後述)があります。
オクトパス胴体から戻る方向で右サスシリンダのリークバックとベンチレーションに接続します。

ブレーキバルブリターンもハイトコレクタの下を通過し、オクトパス左側からのホースと一緒にビニールチューブ(中央の白↑)内を通ります。

サブフレーム左端でチューブから出たホース類はブレーキバルブ、プライオリティバルブ、プレッシャレギュレータ、左サスシリンダへ接続します。


オペレーショナル・リターン

オペレーショナルリターンは(A)のサクションホースと共にエンジンの前へ走行します。
白↓部で下から合流する2本のホースは前および後ろのハイトコレクターからです。
フローディストリビュータ付近で2本に分岐した後、各々フローディストリビュータ、パワーステアリング・コントロールバルブへ繋がります。
ステアリング系への配管はエンジン/トランスミッションの下を走行します。
全て可視領域にあり、交換に大した苦労はありません。




オクトパスについて

前述のようにオクトパスは、
で構成されています。

写真の白線は内部の通路を示します。
3つの通路をゴムで繋いだような構造で、各々の系を分離しても機能します。
赤で示した部分は4mm、青緑の部分は5mmのプラスチックチューブが刺さり、各々の部分へ繋がっています。

オクトパスで最も切れやすいのはXで示した部分です。
上に反転してフロント・ハイトコレクタへ接続するため、根元の部分に亀裂が生じやすく、持続的に漏れてきます。補修もしづらく、出先で最も困る部分です。

フロントハイトコレクタには2本のリターンホースが繋がっています。
写真の[1]がオクトパス系のリークバックホースです。
[2]のホースクランプで止められているほうはオペレーショナルリターンですが、こちらは何故か切れる事は少ないようです。

サブフレーム左側へ来た4mmのプラスチックチューブは2つのクランプの間で、ゴム製のT型ジョイイント[T]で分岐し、プライオリティバルブ[P]、プレッシャレギュレータ[R]へ各々向かいます。

[C]は左サスシリンダのリークバック、[B]はブレーキバルブリターンです。

プライオリティバルブ
フロントサブフレーム左後端にあります。
端にあるゴムキャップに、上記[P]のプラスティックチューブが繋がっています。


ブレーキバルブ・リターン

サブフレーム左端までオクトパス系と一緒に走行したあと、ブレーキバルブ()へ向かいます。




純正部品を使ってリターンホースを交換する場合、オクトパスとブレーキバルブ・リターンは同時に交換したほうが作業は楽になります。
ホース交換は元々刺さっていた場所に入れ替えるだけですが、ハイトコレクタやドライブシャフトが邪魔をしてかなり煩雑な作業になります。

経験があるならば、右ドライブシャフトを抜いた方が良いと思います。





(C) Y. Narabayashi

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