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Braking System Front Brake
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前輪ブレーキ・パッドとロータ交換


概説

BXのブレーキは4輪ディスク・ブレーキとなっています。基本構造は全車種共通ですが、16Vだけは前輪が通気式ディスクとなりTeves製ABS(4センサ3チャンネル式)が装備されます。

前側キャリパは片押し式です。パッドには摩耗センサが付いており、減ると回転計の右上にオレンジのランプが点くようにはなっていますが、途中で断線していることが多く、あまり当てになりませんので要注意。

駐車ブレーキも前輪側についています。リアサスがフル・トレーリング・アームなので、エンジンを止めた後次第にサス・シリンダ内の油圧が抜けて車高が下がると、構造上後輪がホイールベースが延びる方向(つまり後)に移動しようとするため、後輪に駐車ブレーキがついているとこの動きを妨げてしまい、サスペンションに余計な負荷がかかるためです。

後輪側は荷重が少ないこともあって小さいキャリパがついています。しかし、その構造はなぜかコストのかかる対向式になっています。

ブレーキ油圧はハイドロニューマティックの油圧を直接利用しています。前輪はメイン・アキュームレータから、後輪は後ろのサスペンションの油圧からブレーキ弁を通って導かれています。この仕掛けによって、後輪荷重に応じた制動力配分が行われ、ロックを防止します。

ブレーキ配管は通常のX配管とは異なり、前と後の2系統となっています。

必要な部品

ブレーキ・パッド
ZZV1-33-28Z

ブレーキ・ロータ
ZZV4-33-251<16V>、
ZZW0-33-251<その他>


ブレーキ・パッドの交換

  1. フロントをリフトアップしてウマを掛けます。
    ウマはサブフレームに掛けた方が安全です。
    後輪に輪留めをし、サイドブレーキを解除します。
    フロントタイヤを外します。
    異物混入を防ぐため、キャリパ周辺をパーツクリーナー等でよく洗浄しておきます。

  2. 摩耗センサのコードをカプラから抜きます。カプラから車体に至るまでのコード長が短いため、往々にしてこれが切れてしまっています。いっぱいまで切っても大丈夫なように継ぎ足しておいた方がいいでしょう。

    パッドはキャリパに対してプレートで固定されています。このプレートには抜け止めのため割ピンが挿してありますのでプライア等で抜きます。

    パッドに付いている針金でできたクリップを外します。
    プレートを手前に引き抜きます。
    パッドを円周方向に抜きます。

  3. フロント・キャリパは駐車ブレーキ内蔵なので押しても戻りません。

    縁に切り欠きがあるのでそこに角棒をあてがい、時計回りに廻すと伸びていたピストンが縮んでいきます。

    新しいパッドが入る程度(1mmのクリアランスが理想的)まで縮めればいいのですが、切り欠きには横に細い溝が刻んであるところがあります。

    この溝があるところを水平かつ細溝が上側になるように戻しておきます。

  4. パッドを装着します。
    ピストン側用パッドにはバック・プレートに突起が付いています。この突起をピストンの溝にはめ込んで廻り止めにするわけです。

    摩耗センサを所定の穴に差し込み、クリップをパッドにはめてキャリパに装着します。センサのコードはクリップの穴等にきちんと通しておきます。
    パッド固定プレートを差し込み、割ピンをセットします。

  5. タイアを再装着します。エンジンをかけてブレーキを踏み、クリアランスを除去します。
    特にロータを交換しない場合、パッドの当たりが出ない間は効きが悪いことがありますので交換後しばらくは車間距離に注意した方がよいでしょう。

  6. 駐車ブレーキをいっぱいに引っ張って12〜15ノッチ位であればOKです。そうでなければワイアを調整します。

ブレーキ・ロータの交換

通常、少々の摩耗だと研磨して使用するのですがBXの場合、ロータに限っては部品価格が非常に安い(16Vを除く)こともあり、交換してしまった方がいい場合の方が多いでしょう。
  1. ジャッキ・アップしタイアを外します。
  2. 駐車ブレーキをかけておいて、ロータ固定ビス(ポジドライヴ)をゆるめておきます。
  3. ブレーキ・パッドを外します。
  4. ロータ固定ビスを外します。
  5. ロータを外します。ハブに固着していることもあります。
  6. 新しいロータを装着し、ビスで固定します。
  7. ブレーキ・パッドとタイアを装着しておしまい。



(C) H. Suyama

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