フューエルインジェクション - ECUコネクターでの点検 -
フューエルインジェクションを構成する部品は入力系・出力系ともECUに接続されています。ECUコネクタ部での抵抗値測定を行う事で各部品の電気的な良否が分りますが、必ずしも異常値の出た部品が壊れているわけでは有りません。
判定は以下の手順で行います。
- ECUコネクタ部での抵抗値を測定する
- 異常を認めた場合、当該部品の抵抗を測定する
- 当該部品の抵抗値が正常な場合、経路での導通不良を考える
また、この基準値はモトロニックでの自己診断機能にも利用されているようです。
こちらも参考にしてください
- LU2-Jetronic:構成
- インジェクションシステムのパーツリスト
- 橋本さんの「前のページ」
ECUコネクタ
まず、バッテリー端子を取り外しておきます。
ECUは右フロントシート下に有ります。
本体がシートフレーム下に半分隠れるように固定されているため、コネクタを外すにはシートの取り外しが必要になります。
写真は座面のみ取り除いた状態ですが、ECUを外す事はできません。
シートが外れたらECUを取り外し、本体からコネクタを外します。
LU2-Jetronic
DFZエンジン:19TRI/19TZIセダン
LU2では25ピンのECUを使用しています。本体やコネクタにピン番号は表記されていません。私達は配線図とエアフローメータからの配線を同定する事でピンの判別を行いました。
コネクタは各列13及び12個のピンが有ります。ECUには25個のピンが有るのですが、コネクタ側はところどころ歯抜けになっており、機能していない事が分ります。
LU2では7-8ピンがエアフローメータの抵抗に関連するので、矛盾しない位置を決定し動作確認を行いました。
LU2の配線図
- ECU
- エアフローメータ
- スロットルスイッチ*
- 吸気温センサー*
- 補助エアバルブヒーター
- ディストリビューター(ピックアップコイル)
- 水温センサ*
- スターターモーター
- O2センサ(ラムダセンサ)
(*は下記Motronicと共通の部品です)
Motronic
DKZエンジン:19GTI/19TRIブレイク/19TZIブレイク
DKZのモトロニックでは55ピンのECUを使用しています。こちらも歯抜け部分(T)が有ります。
16Vの場合コネクタ形状は同じですが、ノックセンサ(11-30)、アイドルアクチュエータ(4-37)、キャニスタソレノイドバルブ(5-37)のコネクタは生きています。
ECU側ピンと各部品の基準値
上の写真をECU側から見ると下の図(ファクトリーマニュアル記載)になります。
配線図と合わせ、参考にしてみてください。


CASE STUDY
エアフローメーター抵抗値の測定
特に不調のない90年TRIセダン(DFZ)とTZIブレイク(DKZ)で測定してみました。
DFZとDKZの場合、エアフローメータ・コネクタ部分の形状は同じですが、配線は異なります。
DFZは3番ピンには配線が有りません。エアフロ側にはピン番号が記載されています(5-9-E-7-8)
DKZでは1番ピンに配線が有りません。エアフロ側にはピン番号はなく、カプラ−側に記載があります(1-2-3-4-5)。
エアフロ抵抗値を部品単体で測定する時は、ベーンをドライバーなどで押しながらコネクタ部の抵抗を計ります。
ECU側で測定する時はエアフロのカプラを接続した状態で、
ECUコネクタでの抵抗値を計ります。
今回の測定結果;
- DFZ(BOSCH 0 280 202 097)
- 全閉:280Ω
- 中間:最大700。ここまではスムーズに上昇
さらに開けると500前後で不安定となり,
全開では300程度
- DKZ(BOSCH 0 280 202 202)
- 全閉:320Ω
- 中間:最大1.100。ここまではスムーズに上昇
さらに開けると750前後で不安定となる。
手動の全開位置が果たして走行時の全開に相当するかは分りません。
試みとしての参考データと考えて下さい。
(C) K.Adachi, J.Hara, E.Takahashi, K.Oku, Y. Narabayashi