Brake system
Front Brake Caliper
Tech Guide
フロント・ブレーキキャリパーの構造
DS以後のハイドロニューマチック・シトロエンは全てサイドブレーキがフロントに効きます。エンジン停止後に車高が下がり、リヤタイヤが後退する事がその理由と思われます。
BX以後のハイドロモデルではサイドブレーキの効きを自動的に調整する機構がキャリパーに組み込まれています。これは国産車でもリヤブレーキなどで採用される構造です。
オーバーホールは可能ですが、組み立てにはSST(専用工具)が必要となります。
このため、本稿では構造の記載に留めました。参考資料として御利用戴ければ幸いです。
ファクトリーマニュアルによる構造図
記号については下の図も御参照ください。
レバー(D)がワイヤで引かれるとタペット(E)を介してスクリューシャフト(F)が押され、ピストン(M)をパッドに押し付けます。
ワイヤーが解除されるとスプリングワッシャ(G)によりシャフト(F)は元の位置に戻ります。
パッドが減ってくるとソケットナット(L)が回転し、スクリューシャフト(F)とのネジによりサイドブレーキの効きが調整されます。
実際の分解図
写真の上半分はレバ−側、下半分はディスク側からの挿入になります。
ブーツクリップ
ブーツ
スプリング
サイドブレーキ・レバー
タペット
スクリューシャフト
リターンスプリング・ワッシャ
ワッシャ
リテーナー・スプリング
スラストワッシャ
スラストベアリング
ソケットナット
ブレーキピストン
ピストンシール
ブーツ
キャリパー・スライドピン
このタイプのキャリパーをOHするには、組付けの際にSSTを用いてスクリューシャフトを押し込んでやる必要が有ります。
スプリングワッシャ(G)とシャフトの頭(F)を同時に押さえつつ、横からタペット(E)、レバー(D)を入れてやらなければなりません。
拡大図
半月型に見える部分がシャフトの頭です。
純正のSST(228-T)が用意されています。日産車用SSTに流用できる物が有るようですが、型番は現在のところ不明です。
SSTの使用法。
(C)J.Hara, Y. Narabayashi