Back Numbers : うーぴーの異常な愛情 : 予告編



新シリーズの予告編でっす。(1999年8月初出 )

大島渚監督の【御法度】が、ついに本当に公開されるらしい。
映画館での予告編や雑誌のちょっとした関連記事を見掛けるだけでも、私は感激のあまり目頭が熱くなるのを押さえられない。
大島監督は、百年を経てきた映画の歴史に携わってきた世界中の幾多の映画人の中で、私が最も尊敬している人物だ。この十年余の間、映画が途中でぽしゃったとかご病気になられたとかいう暗いニュースを聞くたびに、私はどれだけ悲しい気持ちになったことだろう。監督が再びメガホンを取る日を迎えることが出来て、本当に、本当によかった。
折に触れてこんなに嬉しいことがあったりするから、やっぱり映画はやめられないのだ。

今年の前半はちょっとばかり仕事がキツい状態が続いていたのだが、それにかまけていてふと気が付くと、あっちゅう間に半年が終わってしまっていた。そんな頃、今年の前半に観た何本かの映画のことを思い出したりした。大昔からタナトスちゃんとおトモダチだとことあるごとに放言しているが、私は、地上に思いを残さずに今すぐきれいさっぱり昇天することなんて、実は出来ないのではあるまいか。
自分から逝ってしまう道を選択しなかったとしても、終わりはすぐそこにやって来るかもしれないのだ(うーぴーの父親は43で死んだんでねー)。いかん、こんなことでは死んでも死にきれないではないか ! 百年に一度の世紀末だというのに、ましてや千年に一回しか巡ってこないミレニアムだというのに、日常の手垢に忙殺されて、1番やりたかったはずのことの本質を見失っているバヤイではあるまい !
私がこの世に残している未練、というか燻らせ続けている思いがもしあるとしたら、それはやはり映画のことである。

スタンリー・キューブリック監督までお亡くなりになってしまった。こうしてまた、映画の偉大なる歴史の何かが、ひとつ終わりを告げてしまったのだ。
映画なるものは多分、誕生してから今までずっとそのように形を変え続けてきたのだろう。が、私が最初に映画に取り憑かれてしまった頃から考えてみても、かなり違った姿のものになってきているように思われる。
今もって映画は好きだ。けれど、もしかすると、私が映画に対して抱いている数々の思いは、今現在、現実に映画が存在している姿とは、どこかしらずれが生じてきているのではあるまいか…… ? 最近時々、そのような気持ちに囚われてしまうことがないではない。

そんなこんなで、この際、自分の映画にまつわる記憶を一度全部掘り起こし、きれいさっぱりと洗い流してみたいような気がしてきた。そうすれば、今まで図らずもどっぷりと関わってきてしまった映画との因縁に一区切りつけられるかもしれない。そして、あるいはこれっきり映画なんてものとはお沙羅婆してしまうのもよし、あるいは、新しい世紀の新しい映画にこれから向かいあう準備にするのもいいのかもしれない。


てな訳で、すっかりとりとめがなくなってしまったのだが、要するに、私ことは、来月から新しい連載を始めさせて戴こうかなどと、無謀にも画策しております。

題名はずばり、

うーぴーの異常な愛情~または私は如何にして嘆くのを止めて映画を愛するようになったか( !! )

……はなはだ自己満足的な企画ではありますが、それを言うなら、もともとここ自体が超自己満足的な動機のもとに出来上がっているサイトなので……御容赦戴けると大変嬉しいのですが。
それではどうぞ来月も……いや、今度は本当に頑張って書きますってば !!


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