Back Numbers : 映画ログ No.12



【kitchen/キッチン】三星半
以前森田芳光監督が映画化をした時には、何かものすごく酷評されていたような気がする……私はすごく好きだったのに。今回も雰囲気があっていいんじゃないかと思ったのだが、いかんせん、歳を取ってしまい感性がビビッドでなくなってきているせいか、ものすごく感動、という運びにはならなかったようである。原作もすっかり忘れちゃっているみたいだし、う~ん、何か損したような気分がするなぁ……。
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【セブン・イヤーズ・イン・チベット】三つ星
ほー、オーストリアでもチベットでも英語が公用語だとは知らんかったわ……って、何百回見ても慣れるどころかやっぱり気持ち悪いです、この作り方。で中身の方ですが、きっとアメリカのお客さんなどにはチベット文化のエキゾチックな映像などが受けたのではなかろうかと思ったのだが、日本ではTVのドキュメンタリーなどで比較的見慣れているような気がするし、後、お話の展開と人物描写の方はごく図式的でありきたり、超大作を名乗るにはちょっと雑なんじゃないの ? といった印象。これでブラピファン以外の人達にはどこまでアピールできるだろうか ? ちと苦しい気がしたのだけれども。まぁ、お山の雄大な景色がシネスコの画面にはまって綺麗だったのがちょっと救いで、大きな画面で見ればある種のストレス解消にはなりそうである。
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【タンゴ・レッスン】四つ星
タンゴと、タンゴを踊る彼と、その彼とタンゴを踊る自分自身、これらへの傾倒ぶりをそのまま映画にしてやろうだなんて、これはどえらいことをやらかしているもんである。この監督の姿にはナルシスティックな要素が全くないとは言えないだろうから敬遠する向きもあるかも知れないが、この表現者根性だけはとにかく敬服に値するのではないのだろうか。ま、そんなことよりもこれは、大人の女の人の作った、白黒の画面の美しい、渋めのラブ・ストーリーということで、単純に楽しめればそれでいいんじゃないかとも思うけど。
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【フル・モンティ】三星半
事前に立てていた予想が2つも外れてしまった。イギリス映画というから、もっとあのくぐもった感じの独特な画面や寡黙なタッチを想像したら違っていたし、登場人物達がもっと脱ぎまくって稼ぎまくるような映画かと思っていたら、紆余曲折を経て頑張って何とか脱ぐまでの過程を描写した映画であった。前者に関しては、登場人物の心理をじっくり見せるというよりはどちらかというと表面的なものをなぞっているだけのような気がするところがあったし、選曲のセンスは抜群ながらちょっと鳴らし過ぎでうるさいと感じる場面もあり、総じて言えば、そこかしこに何かいかにもハリウッドの資本が入っている匂いを感じてしまい、ちょっと拍子抜けしてしまったのだった。後者に関しては、何でぃ、これが女だったらもっとばんばん脱がせるくせに、やっぱり男の人を脱がせるにはかなり抵抗があるのかい、とこちらもちょっと肩すかしを食った気もしたが、だからこそ見栄とか体裁とか権威とかいった“最早必要の無い男らしさ”を必死で脱ぎ捨てていく様(とそれを見て喜ぶ女)をドラマにした訳なのかなぁ、といろいろ思うところもあった。ということで、期待とはかなり違った映画ではあったし、この素材ならもっと面白くなっててもよかったのでは、という恨みは正直言ってあるのだが、過度に期待しすぎた私がいけなかったのかもしれないし、観終わってからずうっとトム・ジョーンズの歌う『You Can Leave Your Hat On』(昔、【ナインハーフ】でも使ってましたよねぇ……古いか)が頭の中でぐるぐる回っているのも重く見ることにして、一応こういう評価にしてみることにしました。
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【メン・イン・ブラック】三星半
常に敵を作り出して戦うことを人生のテーゼとしているアメリカの人は、マイノリティも他国の人も最早安易に敵には出来ないので、最近では映画の世界でのその矛先を凶悪犯罪者やエイリアンに向ける傾向にある、という話をどこかで聞いたような気がする。この話もご多分に漏れずエイリアンが敵役で、(しかも宇宙人ファンを懐柔する為かエイリアンにもいい奴と悪い奴がいて、)悪役の中心は虫型エイリアン、という念の入れようである。成程、ゴキブリ・ムカデ方面なら文句を言う人も比較的少ないのか。また、今時メンズ・オンリーの組織なんて反発食らわないかな ? と思っていたら女の人もちゃんと出てきたりして、何かいろんなこと考えて作ってあるんだなぁ、と妙なところばかりで感心してしまっていた。まぁ、ごく単純に言ってとてもスカッと面白かったのでもっと評価をしてもいいところなのだけれども、いついかなる理由があるにせよ、他人の記憶の操作を勝手にばんばん行うという設定だけは個人的に全くいただけなかったので、ちょっとだけ点数を下げさせてもらいました。
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