Back Numbers : 映画ログ No.28&29



映画の初日というのはどうも好きになれない。関係者と覚しき人々が目につく場所でうろうろしているのもあんまりいい気分がしないのだが、それ以上に嫌なのが舞台挨拶という奴だ。なけなしの休日に観たい映画をなんとか観ておくために、情報誌のタイムテーブルと延々にらめっこし、映画館から映画館への移動時間や各映画の混み具合、予告編の有無までをかなり綿密に計算していっても、うっかり舞台挨拶のことを忘れていると全てパー。ちょっとマスコミで顔が売れてる人が来るとなると予測不可能な混み方になってしまいすぐ入れなくなってしまうわ、時間もしょっちゅう狂ってしまうわで、生××なんてものにほとんど興味のない立場からすると、エラい迷惑でしかない。まぁ映画界では初日動員という数字がすごく大切らしいから、これは当面どうにもならないことなのかもしれないのだが、小手先の細工で無理矢理その数字だけを膨らませて一人歩きさせても仕方ないんじゃないかと私なんかは思うんだけどなぁ……(しかし私も、そんなに初日が嫌なら行かなきゃいいんじゃないかねぇ)。

【永遠と一日】四星半
人間は死ぬまで自分の未熟さに悶え苦しみ続けるしかないのだろうか。それでもその答えが、かつて経験したはずの過去のある瞬間の中に用意されているのだとしたら、私とて【ワンダフルライフ】の世界でも無事昇天を遂げることが出来るかもしれないかな ? かように、普通では目に見えないものを現出させ、今という瞬間に永遠に繋ぎ留めようとする、詩人とは魔術師の親戚のようなものである。
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【エネミー・オブ・アメリカ】二星半
最早プライバシーの存在しない世界、などとキャッチコピーの威勢はいいけれど、詰まるところは火薬ドンパチのチェイシングを延々繰り広げるための方便、っていうだけなんじゃないの ? マスコミに根拠の無い中傷を書かれた、というだけで終わっちゃってる情報戦 ? の部分は全くお粗末で笑うしかないし、結局ある個人の保身のためだったというお話の動議づけは、“国家の敵”というような大仰なものではなかったように思うのだが。
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【エロティカ】三星半
既成の性的概念の中にはやっぱり、だんそんじょっぴーな側面を持ったものは少なくないんじゃなかろうか。でも、そんな概念がそこここに蔓延する社会の中で生きている以上、多かれ少なかれ、それらを内に取り込みつつやっていくしかない現実もある程度避け難いのではないかと思う。しかし、それらの概念を解釈する主体はあくまでも自分なのであり、最終的に自分をどうにかする決定権を持っているのはあくまでも自分だけのはずなのだ。そこのところを自覚しているかどうかで、かの女が一人の人間として成立しているか否かの雲泥の差が出るではなかろうか、というところを、この映画は雄弁に物語っていると思う。
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【共犯者】三つ星
某誌のインタビューで自らをピストル・フェチだと言っていたきうちかずひろ監督の美学を、んなもんに全く興味の無いがどの程度知覚することが出来たかは甚だ疑問である。となると、後はキャラクターの存在感の面白さなどに頷いてみるしかあるまい。内田裕也氏の殺し屋は折角キャラが立っていたのに、あのインチキ英語にはストップ掛けとかなきゃマズいでしょー監督 ? 雰囲気が一挙に安っぽくなってしまったのだが。あと小泉今日子さんは、役柄の設定はすごくいいけれどいささかプラトニックに過ぎる、という気がしないでもなかったのだが、まぁそれはスターだからえこひいきしているということではなく、硬派の監督は女性をどう扱っていいのかよく分からないからやたら綺麗な撮り方になってしまったとのことで……そう考えるとステキかもしんないか。
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【グッドナイト・ムーン】三星半
スーザン・サランドンとジュリア・ロバーツ、専業主婦の元妻とキャリアウーマンの現妻という立場の違う二人の感情は実によく表現されていて秀逸だったのではないかと思う。お涙頂戴といわれる展開も別にいいんじゃなかろうか、もともとそういうふうに指向されたんであろう映画なんだから。ただ惜しむらくは、それぞれのシーンはかなりいいのに、シーンとシーンの間の各キャラクターの感情の変化が少し説明不足で、その分薄っぺらい印象を受けることがしばしばあったこと。特に長女の女の子だけはもう少しきちんと描いて欲しかったかなぁ。あの年代の女の子はもっともっとデリケートな筈だし、このお話の第三の女性である彼女をよりリアルに描ければ、主人公の女性二人の心理をさらに引き立て、お話に更に膨らみを出すことも出来たと思うのだが。なんてもったいない。
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【グッバイ・モロッコ】三星半
第三世界の神秘とやらに人生の真実を求めるようとするなんて、70年代当時はともかく今現在の基準からすると、やはりおバカとしか言いようがないんじゃあるまいか。しかし、実際にハタ迷惑なこの主人公を、どちらかというと彼女に批判的な子供達の目を通して描くという仕掛けになっているから、この映画は救われているし、このお話が現在作られる意味もあるんじゃないかと思う。傍目にはどうあれ、どんな旅でも実際やってみない以上は決して終わらせることが出来ないのだと、彼女は言っているかのようだ。
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【恋に落ちたシェイクスピア】四つ星
面白い発想でよく出来た映画だと思う。実に普通によく出来た映画。デートには最適だと思うけど、これが年間で最高の映画だという賞の基準は、正直言ってよく分からない……って、いつものことだっけ。
ささいなつぶやき : グウィネス・パルトロウって確かにチャーミングな人だとは思うんだけど、うーぴーの基準からすると美人というのとはちょっと違っているんだけどなー。そういやドリュー・バリモアなんかもそう。いや、決して嫌いじゃぁないんだけどねー。
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【39・刑法第三十九条】四つ星
私が危惧しているのは、日本の某映画賞辺りでこの映画だけがやたらと偏った高い評価を受けてしまうこと(【愛を乞うひと】みたいな賞の与えられ方って、逆にその映画を評価することの正当性を歪めてしまうと思うのね)と、(よもや無いとは思うが)日本の裁判で多重人格障害について真っ当に斟酌された判決が出にくくなってしまうことくらいだ。あまりに正統派すぎて煙たがられかねないタイプの映画を、小手先の妥協に一切走ることなくよくぞここまで真っ正面から創ったものだ。現行の法律制度の様々な矛盾点に興味がある人も無い人も、この映画の趣旨に賛同する人もしない人も、とにかく観ておいてから自分なりの感想を持っておくべき一本なんじゃないかと思う。脚本・演出・カメラワーク・色調その他、音楽を除いては何もかもが完璧に素晴らしいが、特にキャスティングは、岸部一徳さん・江守徹さん・吉田日出子さん・樹木希林さんといった当代随一のベテラン勢も、堤真一さん・山本未来さんといった若手も、いずれ劣らぬ白熱の演技合戦を繰り広げているのが見事すぎる。その中でも特に、主人公の鈴木京香さんは特筆に値するだろう。どうしてこの人は、トレンディ・ドラマの主役をやらせても、今回のような難しい役をやらせても、全体のバランスをまず崩したりすることもなく、ごく自然にするりと入っていけるのだろう。今更なのだが、もしかしてその才能ってとんでもないんじゃないだろうか。
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【シン・レッド・ライン】五つ星
忘れもしない18の冬、精神の箍が外れかけていることをどこかで感じ取りながらふと見上げた気違いじみた空の青さを、私は今でも忘れることが出来ない。この映画に時折出現するあまりに美しい情景の映像を見て、そんなことを思い出していた。この映画は一般的には戦争映画だと言われているようだが、違うのではないかと私は思う。これは人類の狂気、“神の創り給いし狂気”を描こうとした映画だ。戦争という舞台設定は、人間の極限状況を描くために選ばれたに過ぎないのではないだろうか。人類は何故敵なる者という概念を信奉し、自らに不必要と思われる苦しみを与え続けるのか、何故そのように愚かであり続けるのか。その理由を人智は永遠に解することが出来ないのだとは、私は思いたくない。本当に久々に、映画を観て腰が抜けるという体験をしてしまった。
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【洗濯機は俺にまかせろ】四つ星
“平凡であること”をここまできっちり描いて、しかも全く飽きずに見せることが出来るなんて ! やり直し可の人生というメッセージが鼻につくこともなくほんわかと心地よく伝わってくるこの匙加減、無駄も過不足も無いこの完璧な出来映えは正に名人芸、篠原哲雄監督にはとにかく拍手を送りたい。どこにでもいそうなあんちゃん(ただ普通滅多にいないようないい奴)の役をやってこそここまで良さがにじみ出る筒井道隆君、不良中年役の小林薫氏など、各俳優陣のハマリぶりも観ておかないと絶対損。
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【タンゴ】四星半
【フラメンコ】の時と同じ撮影監督のヴィットリオ・ストラーロ氏と組んで今度はタンゴかい ? なんてイジワルなこともちょっと思ったりしたのだが、実際に見てみた時のとてもこの世のものとは思えない超絶的な美しさ、もう何も言えません。ストーリーなどは単に場面に変化を付けるための方便だから、ありきたりでもどーってことなし。とにかくあのダンスこそが最大にして無比の見どころ。
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【チャパクア】三つ星
バロウス ? ギンズバーグ ? そんなの出てましたっけ ? あのシタールの演奏はラヴィ・シャンカール※なんですか、ほぉー。トリップしているような映像の連なりは、(1つ1つの断片に作者の意図するところが実はあるらしいのだけれど、)ドラッグカルチャーのキモにあまり何の興味の無い私のような人間にはあまり意味も無いような……。
※ラヴィ・シャンカール……インドの伝統的な楽器シタールの演奏家。欧米の若者の間でインドの神秘思想がブームになった60年代頃に有名になった、という経緯があるらしい。ちなみには7~8年前、中野サンプラザでやってたコンサートに何でか行ったことがあったりして……。
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【天井桟敷のみだらな人々】二つ星
この邦題はちょっと安すぎるよね。確かに内容には合っているかもしれないけど、映画を見る以前に二番煎じ=亜流の作品=見る必要なし、という気がしてきてしまうじゃない。とて、この映画は実際観てみてもちょっとばかし苦しかったかなぁ。とても真面目に作られているように見受けられるし、舞台関係者の心持ちといったようなものはよく描かれていたと思うのだが、いかんせん、展開的にあまりに抑揚が無く、ただだらだらと長く感じられてしまったのだが。
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【トゥエンティフォー・セブン】四つ星
ひたすら面白くもなくうんざりしてしまうほどに延々と続く日常を生き抜いていく方法とは ? 遠いイギリスの話の筈なのに、今の日本の状況にあまりにも酷似して見えるのは何故なのだろう。そんなにすごい見所とか、特別な仕掛けとかがある訳でもないと思うのに、観ていてやたらとツボにはまってしまった。
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【日本黒社会 LEY LINES】四つ星
ごく個人的には、クシシュトフ・キエシロフスキ監督の【殺人に関する短いフィルム】を思い出してしまった。(全然違う映画やんけ !! というツッコミは無しね。)一部で使用されている強いフィルターの掛かった画面の色合いもそうなのだが、登場人物達の行き場の無さが、少しだけ重なってしまったのだ。海に漕ぎだしたボートを俯瞰で捉えたラストシーンは、あまりにやるせなさすぎる。と同時に、自分は所詮、安全な位置にいて物語を消化しているだけの存在なのだということに、何だかものすごい自己嫌悪を感じてしまっていた……う~む、映画を観てそんな気分になってしまうなんてことがあろうとは……。Vシネやインディーズ作品の雄、とはいえ普段は脇に回ることが多い北村一輝さんと田口トモロヲさんの迫真の名演技を堪能することが出来る、ということだけでも、この映画はとりあえず必見ものである。
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【8mm】二つ星
ニコラス・ケイジは、あの眉間にシワの寄ったちょっと悲しそうな表情が顔に貼りついてしまって、他の表情が出来なくなってしまったのか ? で、せいぎのみかたの彼が闇夜に潜む悪を叩っ切るっちゅうワケ ? それでスナッフ・フィルムが作られる病理についての何を映し出したことになるの ? アングラな雰囲気をちょっと取り込んでそれらしい映画を作ってみたかったということだけなんだろうが、こんなふうに善は善、悪は悪式の方法論で表面をなぞるだけのものしか作れないと証明するだけに終わるなら、最初からそんな素材に安易に手を出すべきではなかったのではないだろうか。
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【ブレイド】二星半
ウェズリー(・スナイプス)君がとにかく銃をガンガン撃ちまくっていたのと、やられた敵がボロボロっと崩れてってしまうところしか覚えていない。吸血鬼がどうとかいう設定以前に、ただひたすらアクション映画だったなぁという印象。スタイルにそれなりの勢いやカッコよさは無くはないけれど、ストーリーその他もう2ひねりくらいの味があってもよかったんじゃないかしら。
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【燃えよピンポン】三星半
吉本もびっくりのこのコテコテさ ! 夕刻や土日には吉本の番組ばーっかりやっていた地域に育ったうーぴーは正直、コテコテ系統はあまり好きではない筈なのだが、ここまでキワめられてしまうといっそすがすがしく感じてしまうのは何故。隅々まで手抜かり無く敷き詰められたテンポよいギャグの連続に、1時間半があっちゅー間であることは必至。快調なペースで飛ばしまくる、逞しくもチャーミングな高田聖子さんの勇姿も、この際是非チェックしておいて戴きたい。
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【U・ボート ディレクターズ・カット】五つ星
何故だか今まで本作を観る機会が無かったのだが、このディレクターズ・カット版をスクリーンで観ることの出来た私は、本当にラッキーだったと思う。戦争には束の間の勝利と限りない虚しさしか存在しないということを描き切った傑作。でも今現在、戦争が虚しいと思うしか出来ないということは、もっと虚しいだけかもしれないのだが。
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【ライフ・イズ・ビューティフル】四つ星
もしかしてこの映画の世界配給権はアメリカの会社辺りが持っているのかもしれないが、だからって邦題まで英語にすることはないだろう ? 申し訳ないが英語だとどうにも響きが味気なくて、人生の醍醐味について世界で最も多くを語り得るであろうイタリア人の心の叫びにはどうしても聞こえないのだが……。さてさて、私はいついかなる場合にどういう理由があろうとも親にウソをつかれるほどサイテーのことはないと思っていた人間なので、この話の筋をどうにも戴けないと感じてしまったのは致し方あるまい。おまけに後半はナチスの収容所が舞台となると、映画の内容よりそれだけで評価してしまった人も多かったんじゃないかと、妙な勘繰りも入れたくなる。しかし、それでも鼻白むこともなく感心しつつこの映画を最後まで観ることができたのは、このお話が、想像力なるものだけを武器に懸命に自分の大切なものを守ろうと戦った人物の物語だという側面を持っていたからに他ならない。生きるのに一番大切なものは一体何なのか ? シンプルでも決して言い尽せはしないその答えを、ロベルト・ベニーニは誰より雄弁に物語る。ところでこのテーマ曲、これから当分【ニュー・シネマ・パラダイス】の代わりに使い倒されそうですな。確かにいい曲なんだけどね。
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【レッド・バイオリン】三星半
人間よりもずっと長い時を生き延びるバイオリンは、あるいは音楽の形をした美なるものの象徴なのだろうか。時空間を越えた複数の物語の中に、ある一つのバイオリンの歴史を再現してみせた構成は実に巧みで見事だと思った、が、複数の物語を並置させた結果、1つ1つの物語の味がちょっと薄くなってしまった嫌いはあるかなぁ ? そこで更に濃厚なドラマを展開してもらっていれば、もっとかなり好きな映画になっていたと思うんだけども。
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おまけ : 【グレン・グールドをめぐる32章】四星半
1つのお話のようで実は5つの物語のオムニバスである【レッド…】とは逆に、【グレン・グールド…】は32の断片に見せかけた1つの物語なのだ、とはフランソワ・ジラール監督御本人の弁。グレン・グールドという伝説のピアニストに関する考察を、美しい音楽や端正な映像と共にいろいろな角度からクールに紡ぎだす本作は、映画にはこういう方法論もあったのか、と目を開かせられること受け合いで、超お薦めな一本。はてさて、ジラール監督が次回作で扱う楽器は一体何なんでしょーね !?
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【ロリータ】四つ星
ジェレミー・アイアンズという人はどうして、いわゆるまっとうな道から少しばかり外れてしまった人物を演るとそんなにも似合ってしまうのだろう。ぼろぼろに破滅するほどに、まるで人類の苦悩を背負って立っているような気高い姿に見えてきてしまうから不思議だ。そんな彼を起用した本作は、少女愛の側面もさることながら、亡命ロシア貴族だった原作者のナボコフが必死で模したという当時のアメリカ風俗の薫りも忘れずによく映し出されているまことに素晴らしい出来映えで、原作以上に濃厚に原作のエッセンスを味わうことが出来るような気さえする。特にロリータとハンバートの仲がこじれていく様の描写は秀逸で、原作を読んで10年余、ロリータが何故あのような行動を取ったのかという気持ちが初めてよく分かったような気がした(彼女の立場に立てばそりゃハンバートを嫌って逃げ出したいと思うようになっても当然だよな)し、彼女を目の前にして茫然とするハンバートの惨めさも、一層よく伝わってきたように思われた。いや、エイドリアン・ラインという人は凄いなぁ。スケベもここまで極めれば一級の芸術だわ。
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【ワンダフルライフ】四星半
自分の人生で大切な思い出を一つ選べって ? うーん私も職員コース一直線かもしんないなぁ(笑)幸福な記憶は無い訳ではないのだが、全き幸せな瞬間となると果たしてあるのかどうか。登場人物の一人の言うように、過去のある一点だけに永遠に縛られてしまうことになるとしたら、それはいささか辛すぎるかもしれない……等々。この映画は、観る人がそれぞれに考え、解釈することが出来るところがいい。さりげなくいくつも抜け道が用意されていて、こうしなければならない、これが答えだ、という押しつけがましさを観る側に感じさせないところが、実は物凄いワザなのではないだろうか。オリジナリティといえばこれ以上オリジナリティに溢れた設定も滅多になく、たった2作目にしてこの圧倒的な風格は一体何なのだろう ? 前作【幻の光】がヴェネチアで賞をもらった時に監督は『ピッコロ・マエストロ(小さな巨匠)』なる渾名を頂戴したというが、本当にうまいことを言うもんである。ちょっとだけ気になったのが、会場にやたら若い人の姿ばかりが目立ったこと。勿論若い人が観るにもいい映画だとは思うのだが、もう少し御年配の方々にも観て戴きたいものだなぁという気がしたのだが。これはいかに死ぬべきかの映画ではなくて、いかに生きるかについてを想起させる映画なのだから尚更。
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