Back Numbers : 映画ログ No.3



【エキゾチカ】三つ星
構成などは大変斬新で面白いと思ったが、私ゃ別にスクールガール・ストリップには興味ないし、いつまでもいつまでも傷ついた傷ついたと言っている奴も好きではない(近親憎悪)ので、全部見終わった後には「それで ? 」という感想しか残らなかったのですが……。
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【ジャック】三つ星
いぢわるく、「これはロビン・ウィリアムスが子供を“演じて”いるのだぞ」と何度も自分に言い聞かせようとしたが、駄目だったようだ。これは言うまでもなく超難役のはずなのだが、ロビン様があまりにも巧いため、演じているということすら感じさせないほど自然なのだ。すごすぎる。他も、ビル・コスビーの家庭教師の先生を始め、役者さんの方はなかなか。そんな舞台装置に比べストーリーの方は平凡だったから、全体として、悪くはないけれどもそこまで印象深くもない作品になってしまったようなので、惜しいと思う。個人的な好みを言えば、最後のシーンはいかにもハリウッド流の無理矢理なハッピーエンドという感じで、要らないんじゃないかなぁ。お話のピントもあれでぼけちゃったような気もするし、あの可愛いルイ君が大きくなるとああなるとはあんまり思いたくないし。
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【死んでしまったら私のことなんか誰も話さない】三つ星
題名が嫌い。んなもん、生きていたって自分のことは誰も話さないかもしれないってことくらい、今日び日本で暮らしてるちょっとカンのいい人なら誰でもうすうす分かってるんじゃないかなぁ。まぁ本編の方は、いまいち甘えたヒロインが強くなっていくお話みたいだからいいんだけどね。このヒロインを見守るかっちょいいお姑さんのキャラクター設定はなかなかで、実はこちらの方を主に描きたかったんじゃないかと思うくらい。
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【ダンテズ・ピーク】一つ星
日本のような火山国で暮らしていると、直接被災者となることまではないにしても、火山の恐ろしさやそれによってコミュニティが破壊される様などをニュース映像等で目の当たりにする機会は何度もある。そういった、いわば肌で感じる火山の恐さに較べると、この映画はいかにも、世界中の火山災害の映像をいろいろリサーチして最新SFXで再現してみたものに、パニック映画の古典的な要素や、恋愛・家族等々、とにかくウケそうな要素をいろいろと振りかけて適当に盛り上げてみました、てな感じが見え見えである。お話の方は御都合主義バリバリだし、詳細の部分のリアリティはあまりにも希薄(一番ひどいと思ったのは、いくら子供達が行方不明だからって町の首長がそんなに簡単に現場を離れていい訳ないでしょ !? ってな下り。ラストシーンもひどい。んなところでうろうろしてたら二次災害が起こるって。)だし、火山災害の心理的な恐怖などま~ったく伝わってきやしない。アメリカ人の大多数にとっては単に、新たなジャンルのパニック映画、ということでこれでもいいのかも知れないが、私らは火山の国の人だもの。こりゃ駄作だって、はっきり言い切るべき。
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【FLIRT/フラート】三つ星
FLIRT=浮気者、という題名の主旨から考えると、まぁキュートでよく出来ている映画なのではないかと思う。ただ、こんなふうに東京の話が入っていたりすると、修行が足りませんのか、どうもそっちの方に関心が行っちゃって……。二階堂美穂さんが俳優としてどうだ、ということではないのですが、ただ彼女のイメージ=東京(ハル監督にとってはそうなのでしょうが)というのは……私には何か違和感があるな。
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【マイケル・コリンズ】四星半
今回買ったパンフの中でピーター・バラカンさんが、マイケル・コリンズはマルコムXに似ている面がある、といった主旨のことをおっしゃっていたが、確かに言えているかもしれない。自由や基本的人権を勝ち取るために物理的暴力に訴えることも厭わないという方向性を選ばざるを得なかったこと、そのために時の権力からは危険人物とされてしまったこと、次第にその方法論の限界に気付き始め別の道を模索し始めた矢先に暗殺されてしまったこと、将来書かれる歴史書ではきっと重要な人物として記録されるであろうにも関わらず、今現在の世の中では必ずしも十分な認知度も正当な評価も得てはいないこと、そして二人の優秀な映画監督が、それぞれのデビューの頃からずっと大切に映画化の企画を温め続けてきたこと……。ニール・ジョーダン監督のキャリアにまた傑作が一本加わった。壮大で濃厚な作品を鑑賞するという意味でも、アイルランド近代史について理解を深めるという意味でも、この映画は見なければ絶対損をする。リーアム・ニーソンが【シンドラーのリスト】で有名になったのも、まるでこの映画に出るための準備であったかのように、私は思った。
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【ラブ・セレナーデ】三つ星
パトリシア・ロゼマ監督の【私は人魚の歌を聞いた】や、ジェーン・カンピオン監督の【スウィーティ】など、どんくさい系の女の子っていうんですか ? これだけは絶ーっ対、女の監督さんでなければ描けない領域だと思う。だってそもそも男の人は、女の子の中にあるこういう部分には最初っから全く注意すら払っていないし、ましてやそれをいとおしいなどと思うことなんてあり得ないもんね。ということで全編、うんうん、と頷くことしきり。その主役のちょっとエキセントリックな姉妹とオーストラリアの寂れた田舎町という背景が相まって、一種独特の雰囲気を醸し出している。しかし、このラストはちと唐突なような気が……実は女にだらしないだけのおっさんをいい思い出に転換させるための心の過程を描写している、のでしょうか ?
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