Back Numbers : 映画ログ No.50



【渦】四つ星

一言で言うと :
解体されかけている魚が語るある若い女性の物語。中絶をしたり事業がうまくいかなかったりと踏んだり蹴ったりな彼女は、はずみで人まで轢いてしまったのだが……。
すごくよかったところ :
【ロスト・チルドレン】のジュネ&キャロ風の(彼らコンビ解消しちゃったんだってね)グロテスクだけどどこかファニーな魚が語ろうとしていた、人生なるものの秘密とは ? 不思議で奇妙な魚にそう問われると、物語がどんなであれ、いかようにも深読みをしてしまいたくなるではないか。このような構成にした発想、かなり図抜けている !
どこか甘ったれの彼女には当初あまり同情できなかったのだが、その心情に入り込み過ぎず、かといって突き放し過ぎず描いているスタンスがいい。
“水”というものが、クールさと穏やかさ、そして癒しを与えるものとしての大きなメタファーになっている。青を基調にした画面が一見冷たい印象を与えるが、でも最後にはほっとする展開に導かれるのが、このメタファーと非常にうまく絡み合っていると思う。上手い !
コメント :
デヴィッド・クローネンバーグしかり、アトム・エゴイヤンしかり、考えてみるとカナダの監督さんの作品って、シニカルな味わいが個性となって光っているものが多く、デニ・ビルヌーブ監督の本作にもまさにそんな味わいがある。いかにも俊英らしい才気走った作品というものを久々に堪能させてもらえた気がする。監督の次回作にも期待したい。

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【エレベーター】三星半

一言で言うと :
トルコ発( ! )のサスペンス映画。過激な内容が売り物のニュース・ショーのキャスターが、インターネットで知り合った女に会いに古いアパートを訪れるが、エレベーターが途中で壊れて閉じ込められてしまい……。
かなりよかったところ :
今までトルコ映画というと【路<みち>】のユルマズ・ギュネイ監督絡みの作品くらいしか観たことがなく、しかもかなりエスニックテイストかつ政治的な内容だったのだが、それからかれこれ15年以上ぶりくらいになる今回の映画は、がらりと変わって現代的な趣き。トルコでこのような都会風の雰囲気の映画が創られるようになったのは最近のことだという話だが、本作は、生活の中に伝統的な部分も残しつつも開けている面ではしっかり開けているらしいという、昨今のトルコ事情を感じさせてくれる。
その現代的なトルコを象徴するような主演女優のアルズ・ヤナルダーさん(モデル出身)。お美しか~。
その他のみどころ :
メインの舞台である、古めかしいアパートのクラシックな造りのエレベーター。てっきり実際にあるものを使ったのだと思っていたら、実は総て撮影用に作られたものなのだそうだ。
ちょっと惜しかったところ :
ストーリーの展開自体にはそれほど意外性のようなものがある訳ではなかった。
コメント :
昨今のトルコ事情といえば、『YOUNG YOU』という女性コミック誌に連載されているエッセイマンガ『トルコで私も考えた』が面白いです。(単行本も出ています。)著者の高橋由佳利さんはもともと少女マンガ家だったのですが、トルコ人の旦那さんと結婚して、日本とトルコを行ったり来たりして生活なさっているようです。これを読んでいると、トルコって凄くいい国なんじゃないかなぁと思えます。

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【キシュ島の物語】三星半

一言で言うと :
イラン南部のリゾート地キシュ島を舞台にしたオムニバス映画。
かなりよかったところ :
すっとぼけたユーモアあり、ちょっといい話系あり、それぞれちょっと変わった感じの面白いストーリー。
キシュ島って本当にこんなに不思議な雰囲気の漂う島なのかな ? そのように見えてしまうのはひとえにアボルファルズ・ジャリリ、モフセン・マフマルバフ、ナセール・タグヴァイといった監督さんの手腕によるものなのだろう。
個人的にスキだったところ :
個人的にはマフマルバフ監督の『ドア』が一番面白かったかな。監督は絶対どこかで「ドラえもん」を目にしたことがあるに違いない !
個人的にニガテだったところ :
最近なんかもうすっかり体質が軟弱になってしまったので、BGMがほとんど無いというのは時としてかなりツラく思えたりする。ましてやそこに延々と波の音なんてかぶってきたりすると……う~ん、かなり凶悪。
コメント :
この映画はイランの観光当局がキシュ島のPRのために世界的に著名な国内の監督さん達に依頼して実現したものなのだそう。それでこのゴーカな顔ぶれが実現するなんて、イランも随分ファンキーな国やなー。日本だとさしずめどこかの地方自治体が黒沢清だの三池崇史だのといった監督さんにPR映画の製作を依頼したって感じだろうか。あっ、でも三池監督って熊本県の教育映画を作ったことがあるんだっけ……。

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【キス・オブ・ザ・ドラゴン】二つ星

一言で言うと :
リュック・ベッソン製作・脚本、ジェット・リー(リー・リンチェイ)主演のカンフー・アクション。麻薬王を追ってパリにやってきた中国人捜査官(ジェット・リー)は、悪徳警部(チェッキー・カリョ)の罠に嵌められてしまうが……。
かなりよかったところ :
チェッキー・カリョ演ずる悪徳警部のブッチギレぶりは凄い ! (マンガチックだけど……。)
あまりよくなかったところ :
そもそもなんでこの映画を見に行ったかというと、【ロミオ・マスト・ダイ】のジェット・リーのあまりにも美しいダンスのようなアクション・シーンが忘れられなかったからなのだが……カンフーのシーン自体は少なくないが、見せ方に工夫が足りないのか、撮り方が違うのか、それとも相手役の問題なのか分からないけれど、とにかく何だが華がなくって、それほど印象に残ってくれないような。
ブリジット・フォンダも一応ジェット・リーの相手役なんだろうに、どうも影が薄いというか……。
ストーリー等には最初からそれほど期待していた訳でもないのだけれど、それにしたってありきたりで、何かもうひと工夫欲しかったところ。
コメント :
リー様ってば、いくら主役だとはいえ【マトリックス】の続編のオファーを断ってまでこちらに出演したというのは、キャリアのプラスになったのかどうか……ま、東洋人=悪役or脇役、という図式はもう沢山、といったような気持ちも分からないではないんですけども……。
ところでこの映画って、舞台はパリで登場人物もほとんどフランス人だっていうのに全編英語なんですわ。いや~世界マーケット(というかアメリカ主導型マーケット)とやらを相手にここまで根性入れて魂を売り渡し切るとは、いっそ立派なのかも。

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【ゴーストワールド】四星半

一言で言うと :
幼なじみの女の子とつるみ、自分たち独自のセンスで世の中を切ることで、退屈で先の見えない日常を生き延びているイニード(ソーラ・バーチ)。だが段々と、何もかもがみんなうまくいかなくなってきて……。
アメリカのカルト漫画家ロバート・クラムを取り上げたドキュメンタリー【クラム】の監督のテリー・ツワイゴフが、ダニエル・クロウズ原作のコミックスを実写化。
すごくよかったところ :
黒ぶちメガネにブータレ顔、でも自分なりの確固たるスタンダードを持って生きながら、同時に将来や周りの世界への不安で揺れ動いているイニードは、かつて一度も描かれたことがなかったタイプのヒロインに違いない。彼女を繊細かつ完璧に演じきったソーラ・バーチの凄い才能、とにかくよくやったとしか言いようがない !
何をやっても望んだ方向に行かないものだから、彼女はますますヒドいことをしでかしてしまうのだけれど、そんな自分をサイテーだって分かっているところに救われる。(そうでなけりゃ、単に他人の痛みに対する感受性の鈍い馬鹿野郎な奴でしかないじゃないか。)だからこそ、ますますドツボに嵌まってしまう彼女のあんまりにも痛々しい姿が浮かび上がってくるのだ。
情けないオタッキーな役があまりにもよく似合う怪優スティーブ・ブシェミに、【のら猫の日記】が印象深くて結構好きだったスカーレット・ヨハンスン、はたまた、私のライフタイム・ベストの一本になりそうな勢いの【グレイス・オブ・マイ・ハート】で主役をつとめていたイリーナ・ダグラスと、何だか相当イイ線をついているキャスティングが絶妙。
ファッションや小物のセンス、はたまた選曲のセンスなどを指摘する人も多いだろう。
とにかく全てが素晴らしくバランスよく、完璧にこの世界を創り上げている。これはなかなかスゴい手腕だと思った。
コメント :
おねーちゃんにガールズ・ムービーなんて分かるのか ? と妹に指摘された。(失礼な ! 私ゃ【ヴァージン・スーサイズ】だってちゃんと見に行ったでしょうが ! )でも言われてみれば、私はガールズ・カルチャー的な側面よりはむしろ、オタク的な興味やこだわりに寄り添っている部分を面白いと思ったのかもしれない。とにかく本編は、それらの両方の面が幸福に融合して、全く新しい地点に着地している希有な映画なのではなかろうかと思われた。

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【ゴシップ】四つ星

一言で言うと :
グレタ・ガルボが演じた【クリスチナ女王】のリメイク映画の主役オーディションを受けている最中の9人の熟年女優を描いたスウェーデン映画。
すごくよかったところ :
スウェーデンの9大女優の競演 ! と言われても事前に知ってる人は2人くらいしかいなかったのだが、この9人が実際にクリスチナ女王を演じてみせる最初の5分が圧巻で、それだけで充分引き込まれてしまった。(ちなみにクリスチナ女王は、スウェーデン史上では有名な17世紀の実在の人物。)
人生の厚みこってりで存在感たっぷりの9人の熟年女性。この9人が、キャリア上の悩みや恋愛、不倫、家庭の問題など、様々な悩みと葛藤しつつ生きている様を、オーディションの結果が出るまでというたった24時間の中に描き出しているのが見事だし、彼女達がそれぞれ生き生きと演じられているのがとにかく素晴らしい。
特に、年齢と共にオファーされる役柄が少なくなるから(どこの国でも同じなのね)少ないチャンスに執着するベテラン女優の、傲慢さとほとんど紙一重なまでのプライドを見せつけられるところが凄まじい。それが嫌みに見えないのは、その自信が、各自がそれまで懸命に培ってきた芸の力に裏打ちされたものだからに他ならない。
世界の映画史に残る巨匠イングマール・ベルイマン監督は言うに及ばず、ガルボにイングリッド・バーグマン、最近ではハリウッドでも活躍しているラッセ・ハルストレム監督やビレ・アウグスト監督、その妻君のレナ・オリンやペルニラ・アウグストなど、スウェーデンも伝統的に非常に豊かな映画・演劇の人材を輩出しているお国柄だ。今回の女優陣は言うに及ばず、負けないくらいたくさん登場する男優陣を見ていても、その層の厚さを実感することができる。
ショウビズ界が舞台でありながら、もっと地に足のついた、人生そのものに根ざした成熟した文化や芸術の薫りをどことなく感じるし、だから映画もかなり上品な出来上がりになっているように思われる。さすがは北欧。いいなぁ、そういうの。
かなりよかったところ :
誰がオーディションを射止めたかとかいうことに焦点がある話ではないのだが、そのラストのオチには笑った。すんごいありそうな話 ! でもこれはやんわりしたハリウッド批判にもなっているのではないかな ?
あまりよくなかったところ :
さすがに9人もいると誰が誰やら見分けがつかなくなってくる、いくらなんでも人物が多すぎるんじゃないかという意見も尤もかもしれない。確かに、珍しく購入したパンフを後で見ながら、あ、ここはこうなってたのねと気づいたところも多々。この人物相関を映画を見ながら全部把握しようと思ったら、そりゃ相当ツラいことだろう。でも、そこまできっちり追わなくても、それなりに楽しむことは出来るんじゃないかと思うけど(私はそのように致しました)。
コメント :
中年の女性をこれだけ大々的にフィーチャーした映画というのは、世界的に見てもかなり珍しいんじゃないだろうか。私もオバサンなものだから、まっとうなプライドを持って生きている女の人の話というのは好きだし、面白さもひとしおである。

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【魚と寝る女】四つ星

一言で言うと :
口のきけない女が時折春もひさぎながら一人で管理する水辺の釣り宿に、恋人を殺した男が死に場所を求めてやってきた……。本作が本邦初公開作になる韓国のキム・ジウン監督作品。
かなりよかったところ :
登場人物(特に女)が怒涛のように不幸になる情念ドロドロ系のドラマって一時代前の韓国映画の定番で、正直言ってかなり苦手だった。今回、久々にその手の映画かなと危ぶんでいたが、思ったより抵抗なく観ていられたので意外なほどだった。ストーリー的には確かに昔のドロドロ系に通じるものはあっても、それを見つめる監督の視点自体は、昔のそういった作品に較べてかなりクールで乾いているからではないだろうか。
個人的にスキだったところ :
それでいて妙にすっとぼけたユーモアがある面もあるところが面白い。特に、水に落ちた人を釣竿の糸を巻いてたぐり寄せるところとか、女の飼い犬の扱い方とか……。
その他のみどころ
舞台となっている釣り宿は、水上に背の低い小屋みたいなのが一つ一つ別々に浮かんでて、その間は管理人のボートのみで移動できるような形式になっている。(ちなみに、半ば連れ込み宿でもあるようだ。)あのような形式のものは初めて見た。韓国にはあんな水上釣り小屋みたいなのが本当にあるのだろうか ?(補足 : 『キネ旬』9月上旬号の監督インタビューによると、実際20~30箇所くらいあるみたいです。ただしそこで売春みたいなことをしていたのは20年前くらいまでのことらしい。)
あまりよくなかったところ :
でもどこまでいってもやはり暗い話であることに変わりはない。
しかもかなりエグい内容だと事前に聞いていて、それは前半のスカトロっぽい箇所のことかと思っていたら後半……ギャーッ !! 束になった釣り針を××するとは !! しかもその針をペンチで××なんてしてんじゃねぇっ !!
一度出ていこうとした男をそんな方法で引き留めようとするとは ! そんなんで実際留まってしまう男も男だが。
コメント :
不用意に万人に勧めることが出来るとも思えないが、とにかく独特の感触のある映画だった。
本編の監督はキム・キドクで、【クワイエット・ファミリー】や【反則王】はキム・ジウン監督、【バッド・ムービー】や【LIES/嘘】はチャン・ソヌ監督、ついでに、【ペパーミント・キャンディー】はイ・チャンドン監督だったっけ……いや、なんかもう記憶が混ざっちゃってるので、一回整理しておこうかなと。

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【シャドウ・オブ・ヴァンパイア】三つ星

一言で言うと :
【吸血鬼ノスフェラトゥ】を撮影中のF・W・ムルナウ監督(ジョン・マルコヴィッチ)がスカウトしてきた主演俳優マックス・シュレック(ウィレム・デフォー)は、実は本物の吸血鬼だった……
すごくよかったところ :
昔の白黒の吸血鬼映画を観賞しながら、もしこれが本物だったら……なんてこと、考えつくかねフツー !? その発想のぶっ飛び方が凄い !
吸血鬼になりきりのウィレム・デフォー。自分の欲望をついつい抑えられないところに悲哀も感じるけれど、何だかそこはかとない可笑しさもある。手当たり次第に人の血を吸って殺しているんだから恐ろしいキャラの筈なんだけどなぁ。
個人的にスキだったところ :
知る人ぞ知るドイツ出身の怪優ウド・キアーをキャスティングしてるとは……アメリカの映画界にもそんなひねくれたセンスの持ち主がいるのねぇぇ。まぁジョン・マルコヴィッチやウィレム・デフォーなんて人々をメインに据えている時点で推して知るべしというべきか。ちなみに、本作のプロデューサーにはニコラス・ケイジも名前を連ねているそうですが……。
あまりよくなかったところ :
で、これだけ面白そうな要素が揃っているというのに何か今ひとつの印象だったというのは、お話のポイントが絞りきれなくて散漫になってしまったせいではないだろうか。怪奇ものっぽいトーンに統一するか、はたまたコメディタッチでまとめるかといったように、作品全体の色づけをある程度はっきり打ち出していた方が、着想の面白さを際立たせることが出来たのではないかと思われるのだが。
コメント :
F・W・ムルナウ監督はドイツ表現主義の巨匠で、1922年製作の【吸血鬼ノスフェラトゥ】は、世に幾多ある吸血鬼映画の中でも古典中の古典として知られています。(「ドラキュラ」の原作者ブラム・ストーカーの許可が下りなかったのでその名称は使えなかったとか。)モノクロ&サイレントの独特な雰囲気は、今観るとより一層不気味 ! ビデオ屋さんでも探せば置いてあるかもしれませんので(私も以前ビデオで観ましたから)、もし機会がありましたら是非。

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【チアーズ ! 】三星半

一言で言うと :
チアリーダー・チームの新キャプテンに任命されたヒロインは、大きな大会を前に、先輩から受け継いだ練習中の振り付けが他校の盗作だと知らされるのだが……【インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア】の天才子役、キルステン・ダンスト主演の直球勝負の青春映画。
すごくよかったところ :
競技チア・リーディングのパフォーマンスは激しいダンスと体操競技が高度に融合してるようなものだと思いねぇ。実際に演技されているチアリの大会のシーンはとにかく見事の一言 ! おーっカッチョイーっ !! こりゃ本物も是非一度見てみたいもんだ。
かなりよかったところ :
定番のパターンのお話とはいえ、とにかく明るくカラッとした青春ものなので、見ていて素直~に楽しめる。
その他のみどころ
チアリって女の子のものだという認識だったのだが、実際はチームの1/3くらい ? は男の子で、リフトやキャッチといた縁の下の力持ち的な役割のみならず、フロントの演技にも参加して華麗なパフォーマンスを見せている。そんな男の子チアリ達の姿もちゃんと描かれているところが興味深かった。
盗作した振り付けをヒロイン達に教えておいて“勝ちさえすれば手段は何だっていいのよ ! ”と言い放つ前キャプテンの感覚って、すごくアメリカ人的だなぁと思ったのだが。
ちょっと惜しかったところ :
チームの他のメンバー達がもう少し踏み込んで描かれていると更によかったかも。ちょっと気になったのは主人公の親友になる女の子(エリーザ・ヂュシュク)。雰囲気はとてもステキなのだけれど、場面場面でキャラクターに一貫性が見られないような気が…… ?
ヒロインの相手役の男の子、カッコイイというにはちょっとばかし微妙な線で、ヒロインが魅かれるという展開に説得力があるようなないような。ただ、あんまりカッコよすぎてヒロインより目立ってしまってもマズいだろうから、難しいかもしれないけどねぇ。
コメント :
Kirsten Dunstはかつてカースティンとかなんとかいろんな訳され方をしていたのだが、御本人は小さい頃から“キキ”というニックネームで呼ばれていたらしいし(アメリカ版【魔女の宅急便】のキキ役の吹き替えも担当したそうだ ! )、そろそろキで始まる名前の定訳を作りましょうよ。個人的には“キルスティン”という響きが一番好きなんだけど、いかがでしょうか。

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【蝶の舌】三星半

一言で言うと :
第二次世界大戦前のスペイン。初めて学校に通い始めた病弱な少年は、優しい老教師のはからいで徐々に周囲にも馴染んでくるのだが、内戦の足音は確実に背後に迫ってきていて……。
【テシス・次に私が殺される】【オープン・ユア・アイズ】等のスペインのニューウェーブの作品の製作を手掛けたホセ・ルイス・クエルダによる監督作品。
かなりよかったところ :
少年の目線で綴られる内戦前のスペインの穏やかな日々。クラシックでしっかりとした作りは、古きよきヨーロッパ映画を彷彿とさせる。
あまりよくなかったところ :
その穏やかだった日々に、内戦という国民を分断する悲劇の影が忍び寄ってくる、という切り口の設定自体は理解できるのだが、何か今一つ胸に迫ってこないのは何故なのだろう ? 掘り下げ方が一辺倒に見えてしまったからかなぁ ?
個人的にニガテだったところ :
主人公のあの少年は何千人というオーディションから発掘されたそうなのだが、どうも出来上がりすぎてしまっているように見えてしまうのが釈然としないというか何というか……ああ、こればっかりは完全に好き嫌いの世界以外の何者でもないかも。
コメント :
スペイン内戦ものといえば多分、ヘミングウェイ原作の【誰がために鐘はなる】辺りが一番有名だろうけど、個人的にはケン・ローチ監督の【大地と自由】をお薦め致します。フランコのファシズム勢力打倒という理想のために集まってきたはずの国際義勇軍が、実は内部分裂のためにこそ弱体化したのだという視点が新鮮かつ強烈でした。この映画がどうも私には薄味に思えてしまうのは、未だにその映画に引きずられているせいもあるのかもしれません。

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【TOKYO G.P.】四つ星

一言で言うと :
クラブで久々に再開したHIRφとZEEBRAらは、仲間の拉致された恋人を救うため、仕掛けられた危険なゲームに自ら参加することにしたが……。ミュージッククリップ用に企画された原案を、劇画家で【死んでもいい】【GONIN】等の監督でもある石井隆が脚本・映画化。
すごくよかったところ :
勢いのあるキャラが大量投入されていて、1時間にも満たない作品とは思えない見応え。【GONIN】ギャングスタ編といった趣きか。  ・ハードコアやジャパニーズ・ラップを中心にした音楽の使い方は、独特の世界を醸し出す。さすが、もともとミュージッククリップ用の企画だったというだけのことはある。   ・“眠らない街・東京”というモチーフをクラブ・シーンなどを切り口にして描いた映画って、そういえば今まであまり観たことがないような気がする。
監督さんへの思い入れ度 : 75%
あまりよくなかったところ :
石井隆監督の映画となるとかなり暴力的な側面があるのは避けて通れないので、そこは好き好きになってくるだろう。
HIRφさんやZEEBRAさんの原案の段階ではもっとリアルなものが想定されていたそうだが、こんなに拳銃をバンバン撃ちまくる展開になったのは石井監督の意向らしい。そこがあまりに嘘の世界であるところが(いくら何でも日本ではそこまで銃は流通しておらん)、実際の東京の夜の描写と少し噛み合わないような気がするのも否定できない。
あの外国人DJのMCには狂言回しのような役割を担わせたかったのかもしれないが……う~ん、ちょっとうまくいかなかったかなぁ。
コメント :
若い人とも組んでこういう新しい題材にも果敢に挑戦しようとしたところに、石井隆監督の完全復活の兆しが見えたような気がしたのだけれど ? 監督の次回作に注目したい。

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【反則王】四つ星

一言で言うと :
ある落ちこぼれ銀行員がひょんなきっかけから弱小プロレス・ジムに入門。反則技を使う悪役レスラーとしてリングデビューさせられるのだが……。ちょっとほろにがい味もある韓国産のコメディ映画。
すごくよかったところ :
主演のソン・ガンホさんって【JSA】(あの北朝鮮兵士役 ! )や【シュリ】の無骨でコワモテのイメージだったのだけれど、ダメサラリーマンを演じる本作の彼はちょっと気弱そうなところがとってもチャーミング。いやぁ芸域の広い方なんですね~。
キム・ジウン監督の描く笑いはひと呼吸置いて可笑しさが込み上げてくるといったテンポで、打った直後に反応の返る日本のお笑いの間とは少し違っているのだけれど、とにかく分かりやすい(ベタな ? )ネタなので、その面白さは充分伝わってくるのではないかと思う。
韓国のサラリーマン生活も、日本のそれとまるっきり変わらないみたい。(通勤電車に乗る時整列しないのが違っているくらいかな。)そんなサラリーマン生活の悲哀のようなものを絡めて描いてあるところがいいなぁと思った。
無気力スチャラカ社員だった彼が「初めて熱中できるものに出会えた ! 」と語る場面、かなり好きである。
あまりよくなかったところ :
でもそのオチはちょっと肩透かしを食らったというか、何もそこに持ってこなくても、といった感じでどうかと思ったのだが。
コメント :
この程個人的に、韓国No.1俳優はソン・ガンホさんに決定させて戴きました ! 拍手 !

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【美脚迷路】三つ星

一言で言うと :
しがない警官(迫英雄)と再開した幼なじみ(大浦龍宇一)は、もう一人の仲間の女(渡辺真起子)に彼を引き合わせた後、自ら経営する脚フェチ専門の秘密クラブの世界に誘うが…。
かなりよかったところ :
迫英雄さんは、それほど大々的に主役を張るようなタイプの役者さんではないとお見受けしますが、それがかえってこの映画にはぴったりの雰囲気を出していた。
個人的にスキだったところ :
自分の脚がかなり丸太みたいでどうにもならないもんで、脚がキレイな女の人を見るとついつい見入ってしまう癖がある。この映画はさすがに脚フェチをテーマにしているだけあって、これでもかと言わんばかりに脚のキレイな女の人ばかりが続々登場。いやー、眼福、眼福。(オヤジかっつーの。)
監督さんへの思い入れ度 : 60%
あまりよくなかったところ :
ストーリーが今ひとつすっきりと伝わって来ない気が。幼なじみ同士の因縁というモチーフがうまく整理されていなかったからだろうか。ま、それを何とか脚フェチに結びつけようという発想自体にそもそも少し無理があるような気もするのだが。
フェチという題材を扱っている割にはその執着の度合いの描写があっさりし過ぎていて物足りない、という意見をどこかで読んだ。な、成程、そういう見方もあるのか……。
コメント :
脚フェチ映画といえばやはり、ルイス・ブニュエル監督の【小間使の日記】でしょう。ルイス・ブニュエル監督の表現と較べてしまえば、そりゃ大抵の映画の変態描写はもの足りなく思えてしまうかもしれないが。

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【ビヨンド・ザ・マット】四つ星

一言で言うと :
世界最強のプロレス団体・WWFの舞台裏や選手の素顔などに迫るドキュメンタリー。
すごくよかったところ :
××の実態に迫る、という切り口自体はドキュメンタリーではよくあるものだが、レスラーや興業師などの人生観なり、彼等の人生におけるプロレスの占める位置なりに迫ることで、プロレスラー自身の生き様がリングの上のぶつかり合いに反映されるところこそにプロレスの醍醐味があるのだ、という、プロレスなるものの本質まであぶり出されているように見えてくるところが凄い。
その他のみどころ :
今号の【反則王】にも出ていたのだけれど、プロレスはそのパフォーマンスを楽しむエンターテイメントだから、ある程度シナリオがあるってのは当然の前提の話なのだそうですね……知らんかった。
コメント :
会場は8割方が格闘技ファンの男性(と稀にそのガールフレンド)といった風情で、何か異様な熱気に包まれていた。
私が過去プロレスに嵌まっていたのは初代タイガーマスクが活躍していた時期の一瞬だけで(またまた歳がバレそうな)、特に様々な団体が乱立するようになってからは全然ワケ分からなくなってすっかり遠ざかってしまっていた。そんな私でも充分に引き込んで圧倒するだけの迫力が、この映画にはあったように思われる。

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【PLANET OF THE APES 猿の惑星】三つ星

一言で言うと :
宇宙探査中の米空軍パイロットは猿が支配する惑星に不時着するが……。鬼才の呼び声高いティム・バートン監督による、SF映画史上不朽の名作『猿の惑星』のリメイク……じゃなくてリ・イマジネーション版。
かなりよかったところ :
悪役セード将軍ことティム・ロスの猿芝居、じゃなくて猿の演技。あのジャンプはさすがに何か仕掛けがあるのだろうけど、彼等はあくまでも人間とは違う猿人間なのね、と見る側に納得させてしまうところがさすが。瞳うるうるのお嬢様猿ヘレナ・ボナム・カーターなどもかなり健闘していたけれど、やっぱりセード将軍の独壇場。
猿が人間を虐待するのは、人間の方だって猿を虐待していたからかもしれない、と匂わせる着想はまぁ面白いと思う。
ダニー・エルフマンのサントラ、特にオープニングとエンディングの曲がかっこいい !
その他のみどころ :
ティム・バートン監督のインタビュー等を読むと、本当は人間と猿のもっと突き詰めた異種間恋愛を撮ってみたかったのではないか ? と思わせるふしがあちこちにある。(さすがにプロデューサー側から厳禁されたそうだが。)確かに本編を見ていても、プラトニックな友愛だと言いながら、その実かなりボーダーラインに寄った描き方がされていたんじゃないかと思われたのだが。
監督さんへの思い入れ度 : 50%
ちょっと惜しかったところ :
マーク・ウォルバーグが出演と聞いて、誰もが一瞬猿の方の役だと思ったはず……って失礼 ! いやでも、だからこそ、猿と人間の友愛の架け橋という役柄にはよかったのかな ? (ますます失礼な ! )とはいっても、ドハデな大作の主役を張るには、彼ではやはりいまいち華がなかったような気も。
あまりよくなかったところ :
猿が支配している世界という発想そのものは、前作がすっかりスタンダードにしてしまっているので、そこのところにはやっぱり今更驚けないよなぁと実感。ではティム・バートン監督は今回どこで勝負したかったのかというと……う~ん、一体どこだったんだろう ?
オチは予想していた辺りから更に2~3転して、割と意外ではあった。でも、ラストがどうしてそうなるのか一瞬よく分からなかったんだけど……そりゃ私が頭悪いから ? (ちなみに、前作の向こうを張っているのかアメリカのある有名な建造物が出て来ます。)
こういった火薬をぼんぼんいわしてる戦争シーンを見ていると、私は自動的に眠~くなってきてしまうんだけど……。
コメント :
前作とは違う視点をいろいろと取り入れてみたり、タイムパラドックスものにしてみたり、メイクやビジュアルにより一層凝ってみたりと色々と工夫はしてあるのは見てとれるのだが……【バットマン】では登場人物のペルソナを深くシリアスに掘り下げてみるというフックがあったけれど、前作からもともとシリアスだった本作ではそういう絡め手も通用しづらいし。なんかやっぱりリメイクって難しいものなのね、とため息。

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【ほとけ】一つ星

一言で言うと :
今まで一度も怒ったことがないというほとけ(武田真治)は、盲目で幼なじみのユマ(yuma)を愛しているが、彼女は密猟グループのリーダーでほとけの兄のシバ(大浦龍宇一)以外には心を動かされず……。辻仁成監督による函館を舞台にしたドラマ。
かなりよかったところ :
周りを固める熟年の俳優さん達は、このドラマにまだしも多少リアルな味付けを与えていた。そうじゃなかったらこの映画、もっと低い評価にしていた筈だ。
あまりよくなかったところ :
とにかく口を開けば罵詈雑言の嵐になってしまいそうなので、最も気になった箇所を2つばかりコメントさせて戴くと……
主人公の性格づけが曖昧だから、話の全体の焦点もぼやけてしまうのではないだろうか。大体、本当に“生まれて一度も怒ったことのない”ような人はそれを自然にやっているのだろうから、自分でそんなこと言ったりしないでしょう。それじゃ単なる自意識過剰だってぇの。
主人公が思いを寄せるヒロインは、不幸な境遇の中で一途な心を持ち続ける女と言うよりは、ひたすら感受性が鈍くてずうずうしいだけの女にしか見えなかった。
コメント :
監督の作品を一度も見もせずに敬遠してるのはよろしくない、一度は試してみようかな、なんて思ったのがそもそもの間違いだったようだ……あぁ、見ながら脳みそ腐って死ぬかと思った。
監督が様々な文学的モチーフに憧れてるのは見て取れる(でもどれもどこかで見たようなものだけど)のだが、その掘り下げ方に全く成功してないんじゃないかと思われた。

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【《マジカル・ビュー ! 》】四つ星

一言で言うと :
トニー・ヒル監督(英)の実験映画(『ウォーター・ワーク』『ヴュアーを持つ』『時報映像』『車輪の歴史』『拡張映画』『ダウンサイド・アップ』)と、ジョルジュ・シュウィツゲーベル監督(スイス)のアニメーション(『イカルスの飛翔』『遠近法』『オフサイド』『フランケンシュタインの恍惚』『78回転』『絵画の主題』『破滅への歩み』『鹿の一年』)の短編作品集。
かなりよかったところ :
トニー・ヒル監督作品は、思い付き一発で普段見慣れている世界がこう見えてしまう、といったところが面白い実験的な映像。ジョルジュ・シュウィツゲーベル監督作品は、絵の具を筆でなでつけた線が自由に躍動し、変幻自在に形を変えていく様が美しい短編アニメーション。
短編アニメファンの私としては特に、今回初めて拝見させてもらったジョルジュ・シュウィツゲーベル監督作品に注目したい。世界にはまだまだ、日本ではあまり紹介されていないいろんなアニメ作家がいらっしゃるはず、と痛感。
コメント :
つまらない作品を一本見るよりは、こういった長く印象に残る映画を観る方が、よっぽど後々の心の財産になるのではないかと思うのだが。

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【真夜中まで】四つ星

一言で言うと :
本番の合間に屋上で休憩していたジャズ・ミュージシャン(真田広之)は、殺人を目撃した女性(ミッシェル・リー)をたまたま助けることになってしまい……。大の映画通として有名なイラストレーター・和田誠氏の監督作品。
かなりよかったところ :
何と言っても岸部一徳さん&國村隼さんの悪徳警官コンビ !
他のどの役者さんも皆、適材適所にハマっていていい味が出ているなぁと思った。
観る側を一定の特別なシチュエーションに引っ張っていってハラハラドキドキ状態に落とし込み、最後まで無理なく持続させる脚本や見せ方の工夫。それを一本の作品の中にうまく紡いでいく手腕はやはり大したものだと思った。
個人的にニガテだったところ :
今時ジャズ・ミュージシャンなんて設定もないだろう、それって70年代華やかなりし頃のレトロな感覚なのでは ? などと観る前は思っていたのだが……(実際に観てみたらそれほどの違和感はなかったことを告白しておきます)。
タバコを手に挟んだまま演奏するミュージシャンが本当にいるのだろうか(大事な楽器に灰がかかるじゃん ! )とか、今時ジャンルの違いを云々するような視野も感性も狭いミュージシャンが本当にプロとしてやっていけるのか ? などと思ったりしたのだが。少なくとも監督と私とでは、音楽なるものの捉え方はかなり違うのではないかと思われた。
コメント :
以前キネ旬で連載していた和田誠さんと三谷幸喜さんの対談などを読む限り、彼等は昔のハリウッド映画のような破綻のないウェルメイドの作品がお好きなのだということがよく分かる。一方私なんぞは、少々破綻していようが強烈な個性やエネルギーを感じさせてくれるような作品の方が好き。だから本当のことを言って、彼等が映画の規範として認識しているものとの齟齬を感じる場合もなきにしもあらずなのだ。でもそれはそれとして、ってことで。

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【RED SHADOW 赤影】三星半

一言で言うと :
横山光輝原作でかつてTVドラマ化され一世を風靡した『仮面の忍者 赤影』を、【SF サムライ・フィクション】他の中野裕之監督が独自の切り口で映画化。
かなりよかったところ :
何と言ってもキャストの豪華さ。中野監督の映画には、一度出演した人が他の作品にも出演するというリピーターも多く一種“中野ファミリー”のようなものを形成しつつあるのだが、作品ごとに“ファミリー”のメンバーは増えるばかりということは、今後顔ぶれがより一層充実していくということになるのだろうか。(凄いなぁ。)
その面々同志のユーモアに溢れるやりとりには、お馴染みの中野節が効いていて可笑しい。
音楽と最大限にシンクロさせたきめ細やかな編集で、今までの忍者映画には見られなかったようなスピード感を演出するのに成功していると思う。
監督さんへの思い入れ度 : 60%
あまりよくなかったところ :
でもそのあまりにも細かなカット割りが、時としてゴチャゴチャとして落ち着かない印象を与えてもいるような。
ヒロインが二人いるのがどうも中途半端な気がする。特に、赤影君が姫君を助けようとする動機が結局よく分からないというか、それじゃカノジョは一体何だったんだという疑問が、後半ずっとついて回ってしまっていたのだが。
コメント :
昔のTVシリーズの『赤影』の方は未見のため特に何の思い入れもないので、私は本作もそれなりに楽しむことは出来た。
しかし、ピース&ファンキーを標榜する監督が、従来の非情かつ好戦的な忍者像を覆えそうとして人物設定などに様々に工夫を凝らしたという割には、結局、結構ボロボロ人は死んでいくんだよね。忍者の世界を描いた話だから当たり前っちゃ当たり前なのかもしれないけれど、なにかちょっと意外な感じを受けたのも確か。

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【路地へ 中上健次の残したフィルム】二星半

一言で言うと :
故・中上健次が終生こだわり続けた出身地の被差別部落。瀬々敬之監督一連の作品の脚本などで知られる井土紀州が、作家が生前自ら撮影した映像の地を求めて旅をする。
監督さんへの思い入れ度 : 25%
あまりよくなかったところ :
再開発により今は失われてしまった路地=中上健次の心象風景の場所を求める旅、という触れ込みだったように思うのだが、そうすることにより青山真治監督自身は作家の何を見いだそうとしていたのかということが、見ていても一向に伝わってこなかった。単に作品の朗読をしてもらうだけのことなら、各自で本を読んだ方が早いじゃん。
コメント
思うに、監督自身にとって中上健次氏がどういう作家なのかということが分析し切れてないから、雰囲気を映し取ることに終始するだけで終わってしまい、端から見ると何なのか今ひとつよく分からない内容になってしまったのではないのだろうか。
しかし、私もゴチャゴチャ何のかんのと言う前に、中上健次氏の作品を1回くらいちゃんと読んどくべきだろうっての。

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