Back Numbers : 映画ログ No.8



【《アスパラガス》】三星半
昔ニューヨークのレイトショーで、かのデヴィッド・リンチの【イレイザーヘッド】と併映していたアニメーションてどんなんやー ! という興味で、とりあえず見に行って戴けるとよろしいでしょう。は標題作の『アスパラガス』よりも3本目の『ジョイ・ストリート』の方が、いろいろな手法も使っているし、テーマ的にも(製作年度が新しいせいか ? )共感できるところがあって、面白いと思いましたです。
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【ウォレスとグルミット、危機一髪 ! 】四つ星
もう、クレイアニメとは思えないほど芸がいちいち細かくて、隅から隅まで泣けるほど素ん晴らしい。他のアードマンコレクションの作品もとても楽しめるし、これはこの夏必見の一本でございましょう。
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【キラークィーン・舌を巻く女】二つ星
予告編を観た限りではキッチュな映像の連続で面白そうだったのだが、実物は今一つテンポがなくて期待したほどじゃなかったかなぁ、というのが率直な印象。それに、いくら自分のじゃないからって舌が真ん中からぶった切られる映像ってどうも苦手だし、長ーいてらてらした舌がのどの奥からずるずるっと出てくるのって、なんとも苦しそうでキモチワルいんですけど……。
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【ティコ・ムーン】三星半
今を去ることン年前に同じエンキ・ビラル監督の【バンカー・パレス・ホテル】を観た時には、お話も映像も平面的で地味ーな印象でちょっとピンと来なかったのだが、今回のこの作品は、ちゃんと実写の世界の中でストーリーが形づくられているように感じたし、出ている俳優さんもなかなかゴーカ(特にリシャール・ボーランジェが大変シブい ! )なので、悪くない一本になっているんじゃないかと思った。とはいうものの、やっぱりこの作品は、コミックで読んだ方が面白そうではあったりして……。
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【テシス・次に私が殺される】四つ星
パブリシティを見た限りでは何かもっと猟奇的なシーンとかがフィーチャーされた特殊なテイストの映画かと思っていたのだが、実際観てみるとこれが、拍子抜けするほどまともな、大変良く出来たサスペンス映画であった。この話の中に歪んだ映像を求める人々の在り様がうまく織り込んであり、こんな難しい命題を結構真正面から描いてしまっているのにも恐れ入った。この監督さんの、とても若い人だとは思えない、堂に入った演出は一体何なんでしょー。こんな映画が作れちゃって大ヒットしてしまう、いやはやスペインって国は深いぞ。
余談 : あの妖精のようだったアナ・トレントがあんなになっちゃって……てな記事をどこかで読んだのだが、そうですかぁ ? 才女の役のよく似合う、すごくステキな女優さんになっていたでないの。私はいいと思ったぞ。
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【2/デュオ】三星半
てめえら子供じゃねぇんだから、言いたいことがあるんならちゃんと口で説明せんかいっ !! と、上映中ずっとイライラさせられた。ほとんど台本無しに即興でやってもらったという場面を切り取ったこの映画には、かように抜き差しならない臨場感がそのまま収められており、これが大変よく出来ているんだが、あんまりよく出来ているが故に、観ていて気分はよくなかったよなぁ……。
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【20世紀ノスタルジア】四つ星
“僕、本当は宇宙人なんだ”……通常、ナンパのセリフとしてこれくらい不適当なものもあるまい。大抵の女の子は引いてしまうであろうに、面白そう、と思ってお話についていってしまうヒロインもヒロインである。これが一応ミュージカル、しかも主人公の男の子は“僕は世界を救えない”なんて、いまどき天然記念物的な命題で悩んでいたりする。これが噴飯ものにならずに詩的でピュアな美しい物語として成立しているところが、この映画が奇跡的である所以である。こんな道筋をちょっとでも通った覚えのある人なら感じるであろう“ノスタルジア”= 懐かしさを、この映画は次世紀に向けて投影しているのがスゴい。未来は果たして明るいのであろうか。この映画が人類の墓標とならないように、私は祈らずにいられない。
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【百貨店大百科】三星半
前回公開作の【猫が行方不明】もそうだったのだが、この監督さんの映画は決して派手でもなく、完全無欠のハッピーエンドでもないというのに、その人の欠点ですら愛おしいという人物描写がしみじみと暖かくて、実にいいのである。今回、すごい数の登場人物がみんな生き生きと活写されていて、その手腕が実に見事だと思った。
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【燃えよドラゴン】三星半
ブルース・リーが“日本の文化”に与えた影響って巨大だったのだなぁ、と、今回改めて痛感した。これはもう言わずと知れたどクラシックなのだから、四の五の言わずにさっさと映画館に行って一度は鑑賞しておくのがよろしかろうと思う。(このお星様の数に関しては、のアクション映画に対する感性に由来するものなので、あまり気にしないで下さい。)
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【ラリー・フリント】四星半
日本のような国でこそ、“何を見て何を見ないかは個人に選ぶ権利がある”(そのことの責任といった側面も勿論含めて)というテーマは大変重たいはずだから、この映画はもっとたくさんの人が観るべきだよなぁ。あと印象的だったのが、“何に対して戦うのか”という下り。闇雲にヒステリーをおこすだけでは問題は解決しないのであって、打ち砕くべきものをはっきりと想起するのが、実はとっても重要なことだったりして。
すごく余談だけど : 先々月くらいに“自主規制”とかで上映中止になった【スクリーム】という映画(前々回くらいにちょこっと書いた)だけど、なんと今月末から公開することになったのだそうな。神戸の小学生殺人事件の犯人は捕まったとしても、その事件が生み出された日本ていう国の土壌は全く何も変わっちゃいないっていうのに? 配給会社の人間は一体何考えてるんだー !! 言うまでもないが、私はもう絶対にこの映画は見に行かないことに決めた。
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【林檎のうさぎ】三星半
今時こんな家族愛が本当に存在するのか ? と思うくらいクラシックな家庭観ではあるが、この映画に関してはそこがよいのだと思う、きっと。子供達二人やシブいパパの石橋凌さんもさることながら、前回のJ-Movie Warsでも気を吐いた松田美由紀さんが、また超抜群に良かった。今、日本でいまどきのお母さんの役をやらせたら、この人の右に出る人はいないかもしれないね。
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