Back Numbers : 映画ログ No.80




2005年10月~12月は映画の感想が全く書けませんでした……。後日、やっとこさ何とか仕上げましたが、内容がかなりの簡略版になっております。申し訳ありませんが、どうぞご了承下さい。


【愛してよ】二星半

いい加減な気持ちで親になる人間だけは生理的にどうしても許せないので、息子をキッズ・モデルにしようとする母親の姿が、懸命と言うよりは身勝手なだけのもののようにしか映らなかった。そんな不条理な状況に付き合ってる息子といい、自殺してしまう父親の話といい、袋小路な状況がだらだらと綴られているのも、あまり共感はしづらいかもしれない。その上で無理やり穏やかな線に落とし込もうとする最後辺りの展開はご都合主義なのでは。一体この作者は何が描きたかったのだろう ? と、終始不愉快でイライラさせられっぱなしだった。

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【愛より強い旅】四つ星

トニー・ガトリフ監督の映画って割と起承転結が弱い気がするのだが、ロード・ムービーというのは監督の資質を生かしやすい形式なのかなと思った。もともと、ロマの人々の文化って旅と切り離せない訳だし。自分のルーツを探す旅に出るアルジェリア移民の二世(三世かも)を演じるロマン・デュリスの、繊細さのある野性味が、映画にぴったりだった。

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【愛をつづる詩<うた>】四つ星

レバノン移民で本国では医師だった男性(他国の医師免許は使用できない場合が多いらしい)と、学者の白人女性の、中年男女のラブ・ストーリー。お互いのバックグラウンドに対する無理解を乗り越え、それでも『Yes』(原題)へと至る過程が感動的で、今までのサリー・ポッター監督の作品では私は一番好きなんだけど、ちょっとこういうセオリーを外れた話になると、想像力が働かなくなるのか、途端に宣伝の手を抜いちゃうんだよな、配給会社の人って。

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【ある子供】五つ星

ただ単に面倒くさいなーと感じて自分の赤ちゃんを売り飛ばしてしまう少年(定住所もなくヤバめの小遣い稼ぎで日々をしのぐヤンパパ)の話。打ち捨てられた子供達、というダルテンヌ兄弟お馴染みのテーマに、赤ちゃんの行方やカップルの関係の行く末、というサスペンスが加わり、お話は異様にソリッドな緊張感を見せる。少年の言動は、あんまりにも脳みそが足りない ! としか言いようがないが、赤ちゃんの母親である彼女のことだけは純粋に好きらしく、そこに希望が見出せるところがまだ救いだ。厳しい現実をいくら投影させていても、ダルテンヌ兄弟の視点は、基本的に優しいのである。

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【アワーミュージック】三つ星

ゴダールのいう“私達”には、きっと私は入っていないような気がする……っていつものことか。

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【イントゥ・ザ・サン】二つ星

う~ん、もう既に内容をさっぱり覚えていない~。なんだこりゃと思った印象と、見た当時につけた2つ星という評価しか残ってない。すいませんです。

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【イン・ハー・シューズ】四星半

かの【L.A.コンフィデンシャル】のカーティス・ハンソン監督の新作で、優秀すぎる姉(トニ・コレット)と奔放すぎる妹(キャメロン・ディアス)の葛藤と和解が余すところなく綴られる。姉妹間の葛藤をまともにテーマにした映画って実はあんまりないような気がするので、その筋の中での名作として歴史に残るんじゃないかな。久々にお見かけしたシャーリー・マクレーン様が非常~にいい味を出しておられました。

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【ヴェニスの商人】四つ星

これは原作をとても忠実に映画化したものなのではないのだろうか。シェークスピア劇の舞台で非常に評価が高いというアル・パチーノ様のシャイロックを是非見ておこう !

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【エリザベスタウン】四つ星

オーランド・ブルームの初の現代劇の主演作、ということで話題になっているが、キャメロン・クロウ監督の視点を通して見たアメリカ深部の美点が切々と綴られているところが興味深いと思った。しかし、終盤はちょっとしつこかったかも。

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【ALWAYS 三丁目の夕日】四星半

ノスタルジックな舞台設定(それ自体には私は何の郷愁も覚えないけれど)は、人情というテーマをてらいなくやる上で有効。練り込まれた脚本に、堤真一さん、薬師丸ひろ子さん、吉岡秀隆さんを始めとする役者陣が皆、抜群に上手い。ヒットするのも当たり前、それくらい完成度が高い。

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【同じ月を見ている】三つ星

窪塚洋介君の演技は悪くないと思ったし、エディソン・チャンさんの存在感もよかったが、大事なシーンを2箇所も火事というネタで処理してしまうなど、脚本がちょっとお粗末では。(脚本上そうする必然性があったというのなら、もっと説明が必要では。)ヒロインの行動は共感しにくい上、申し訳ないが演技的にもズブいと感じられ、魅力的と思えなかった。

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【女は男の未来だ】三つ星

そんな勝手なこと言われましても、という趣きの題名。男はバカで女は図太いと、そうかもしれないけどさ、それで何が面白いのか、私にはよう分からん。ホン・サンス監督の女性観もやっぱり肌に合わないのかも。

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【カーテンコール】四星半

地方都市のある映画館の栄枯盛衰に重ね合わせ、かつての映画文化に対する郷愁を描きながら、その映画館専属の幕間芸人(昔は映画の休憩中に芸をする芸人さんがいたんだそうな)だったある在日韓国人青年の悲しい歴史を辿る。お話の構成がとても見事で、かつての青年役の藤井隆さんがとてもよかったです。

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【風の前奏曲】四つ星

タイにはラナートという伝統楽器があって、その楽器の奏者であるソーン師という楽聖がいたそうな。本作はそのソーン師のバイオグラフィーを丁寧に描いたもの。とにかくラナートの演奏シーンに感動したので、その分も星を加味しておきます。

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【奇談<きだん>】三星半

阿部寛さんの、TV関連以外の久々の映画出演作なんですが……。原作は諸星大二郎さんの漫画で、隠れキリシタン伝承と山奥の寒村の因習をおどろおどろしく絡めた発想はおもしろいと思う。でも最後、このクライマックスを画面で大真面目に表現するには、もしかして、ちょっと予算が足りなかったのでは……。

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【奇妙なサーカス】三星半

女の子に対する性的虐待をモチーフにして観賞するというスタンスは、全世界的にいい加減にやめてくんないかなと思うので、その辺りで星は少し減らさせてもらった。が、その復讐よろしく展開するひたすらグロい暗黒のスパイラルの、あまりに思い切りのいい振り切り方を見て、どこかでスッキリしている自分がいるのも事実かもしれない。宮崎ますみさんの怪演と言っていい演技は、一見の価値あり。

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【キング・コング】四つ星

【ロード・オブ・ザ・リング】のピーター・ジャクソン監督の最新作。どこを取ってもスペクタクル ! 過去の【キング・コング】に引けをとらない出来になっているんじゃないだろうか。

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【空中庭園】四つ星

郊外のさびれつつあるマンモス団地と、家族の寂寥感が重なる。しかし、そこまで用意周到な家族計画って……すごいなぁ。一般的にももっと評価される作品になるはずだったのに……監督の馬鹿野郎 !

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【この胸いっぱいの愛を】二つ星

ここまでハズレなしだった塩田明彦監督が、ついに駄作を作ってしまったか……。明らかに【黄泉がえり】の二番煎じを狙って失敗した感じで、途中のシーンにはいいものもあったんだけど、終盤辺りの陳腐さやだだ滑り感は許しがたいレベル。周りの要請とかいろいろあるのかもしれないけど、これは、もう少し考えるべきだったんじゃないのかな。

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【SAYURI】四つ星

まぁ、本作は日本を描いたものじゃないことは確かで、幾つかはあり得なさ過ぎる箇所もあったけど(まるでストリップの舞台みたいな踊りのシーンとか、客に対してあまりにもエラソーな態度をとる芸者とか)、ハリウッドが描く日本なんてこんなもんよねと割り切って見れば、謙さんも役所さんもかっこいいし、それなりに見どころは多いんじゃないだろうか。チャン・ツィイーさんやミシェル・ヨーさんは、武芸や舞踏に通じていて型の重要性を理解なさっているからだろうか、所作がなかなか決まっていて、それらしく美しく見えたのがちょっと印象に残った。

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【Jの悲劇】四つ星

ある事故でのちょっとした選択の違いで、どんどん、どんどんドツボに嵌まって、坂道を転がり落ちるように不幸になっていく男(新ジェームズ・ボンドのダニエル・クレイグさんだ ! )の物語。一途な勘違い男のリス・エヴァンスさんがあまりにも恐すぎる !! この人はこういう役をやらせたら天下一品ですね。

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【シェイン・ザ・ポーグス 堕ちた天使の詩】四つ星

80年代にポーグスを聞いた時にはその良さがあんまり分からなかったんだけど、それが分かるようになったというのが、我ながらちょっと嬉しいかも。このポーグスのフロントマンだったシェイン・マガウアンという人が、こんな平々凡々な顔立ちをしていながら(失礼 ! )こんなにも天才肌の人だったのだということを改めて知ったのだけれど、あれからバンドはいろいろあり過ぎて、もともと繊細すぎた彼は今やすっかりアルコール漬け、風貌もまるで別人みたい。……アルコールが道連れの人生はあまり推奨しませんけども、もう誰も彼を止めることも出来ないのだろうなぁ。何だか、昔の知り合いと再会して、昔のことや現在の状況を聞いてみた時みたいな、そんな妙な感覚がした映画だった。

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【七人のマッハ!!!!!!!】四つ星

【マッハ】のスタッフが、タイの各界の本物の一流アスリートに御出演願って作ったという(え~っ本当 !? )アクション映画。アクションのついでに適当に話が進むのではなく、案外ストーリーがしっかりしていて、最後まで割と楽しめたのがよかった。

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【疾走】四つ星

重松清さんの同名小説をSABUさんが映画化。行き止まりの少年の青春は救いがなさ過ぎるようにも見えるけれど、彼自身には走り切ったという感覚があったのだろうか。やっぱり少し悲しい。

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【シン・シティ】四つ星

3人のオッサンの恋ゆえの暴走の物語。原作のコミックスの絵面(えづら)はこんなだったのかなと容易に想像がつくような画面(読んだこと無いけれど)が、浮き上がった印象にならずスタイリッシュに映る辺りに、相当な工夫が凝らされているんだろうなと思う。ブルース・ウィリスも悪くないけど、クライヴ・オーウェンがひたすらかっこいいのが印象的 ! しかし、ミッキー・ロークは原形留めてないんですけど……本人的にはいいんですか ?

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【親切なクムジャさん】四つ星

クムジャさんの復讐は、凄惨の一言。パク・チャヌク監督の作風はどんどん特異な方向に向かっているみたいだけど……大丈夫なのかな ?

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【スクラップ・ヘブン】四つ星

やっぱり青春ものは少々苦手なのかもしれないが、加瀬亮さん、オダギリジョーさんらの確かな演技力を、李相日監督の確かな演出力でまとめると、それなりに説得力が醸し出されるのね。

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【世界】三星半

北京にこんな、世界中の有名建造物をミニチュア版にしたテーマパークみたいなのがあるなんて知らなかった。(世界公園という名前だそうです。)本作は、そこで働いている女性従業員のプライベートの話。公園は世界中を巡っていても、彼女自身は狭い世界以外のどこへも行けない。今までに見たジャ・ジャンクー監督の作品の中では、内容的にまだしも共感し易かった方かなと思う。

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【蝉しぐれ】四星半

同じ藤沢周平ものでも、本作と較べると、都会のご出身である山田洋次監督作品は随分と垢抜けてスマートな感じがする。が、元来、地方の藩を舞台にした話なのだから、自然の緑が印象的で、どこか土臭い匂いのするような本作の方が、作品世界の実像に近いのではないかという気がした。

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【そして、ひと粒のひかり】四星半

基本的に生活が困難なため、お金やアメリカでの生活と引き換えに、麻薬入りのカプセル(10センチ弱ぐらいある)を大量に飲み込んで密輸する、という余りにも危険な取引に手を貸すコロンビアの少女達。入国審査に引っかかったらアウト。カプセルがお腹の中で1つでも破れたら中毒死。そして執拗なギャング達……。本作自体はフィクションでも、これと似たような状況は実際に存在しているのだろう。そんな中でも希望を見出していくヒロイン像がよかった。

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【大停電の夜に】四つ星

停電の夜に繰り広げられるいろいろな人間模様(それぞれのエピソードが互いに少しずつ重なっている形式)脚本はよく練られているし、演じる俳優さんもみな上手い人ばかり。特に、豊川悦司さんと田畑智子さんのエピソードなんてカワイくて好きだったけど……やっぱりこの“停電”ってタイトルがアカンかったんじゃないんですかね。あんまりロマンチックな感じがしないし、イメージが湧きにくい言葉なんだもん。

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【誰<た>がために】四つ星

愛する妻を未成年に殺された青年の心の澱(おり)。この青年は、あの後、どのような行動を取ったのだろうか…… ? 本作が初監督作品という日向寺太郎監督のタッチは重苦しいが、この映画のテーマにはよく合っていると思う。ところで、現状にまるで合っていない少年法が一向に改正される気配がないのは一体何故 ?

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【TAKESHIS'】四つ星

肥大化しすぎた超有名TVタレントとしての自分を持て余す、という感覚がどういうものなのか、それはどんなに苦しいことなのか、私どものような普通の人間には想像もつかない。海外では“あなたの個人的なリハビリに付き合う義務はない”といったような感じの評もあったようだが……まぁそれも言えているのかもしれないが、その割には、迷宮的なイメージを喚起する作品としてちゃんとまとめているのはさすが北野監督だな、と思った。

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【チキン・リトル】四つ星

あんまり見に行くつもりはなかったんだが、見てみたら割と面白かったかな。ディズニーみたいなメジャーな会社でも、意外にも、パブリック・イメージによって喚起されるヒーロー像とはかけ離れた平凡で冴えない実際の自分、みたいなことをテーマにするんだな。チキン・リトル君が割と普通に頑張り屋さんで、嫌いじゃなかったかも。

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【DEAR WENDY<ディア・ウェンディ>】三星半

銃(=自分を補う力、という意味 ? )に対する偏愛って、その感覚はあまり理解できないかもしれない。でもって、何故舞台がアメリカ ? (トマス・ヴィンターベア監督はデンマーク人。)まぁ、他の国では銃が規制されているのでもっと無理だけど……。

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【ティム・バートンのコープス・ブライド】四つ星

ストーリーもよくまとまっているし、クレイ・アニメーションとしての完成度もすこぶる高く、文句のつけようがなし。ここ何年かで観たティム・バートン監督作では一番好きでした。

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【東京ゾンビ】三星半

なんかもう既に筋をよく覚えていないのですが……勢いはあったような気がします、うん。でも、浅野忠信さんのアフロはともかく、翔さんのハゲヅラはやっぱりあんまり見たくなかったような……。

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【トゥルーへの手紙】三つ星

写真家のブルース・ウェバーさんが、9.11以降の世界に危機感を抱き、ニューヨークの自宅で待つ愛犬のトゥルーに宛てて書いた手紙、という発想で作られた映画とのこと。取り留めのない極私的なエッセイみたいな感じで、内容にはあまりまとまりはないように思えるが、裕福な層のニューヨーカーが9.11以降にどんなことを考えているのか ? ということを垣間見ることは出来るかもしれない。あと、もしかして犬好きの人には心温まる映画なのかもしれない ?

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【鳶<とび>がクルリと】二星半

バリバリのキャリアウーマンと鳶職人の世界の対比、という根っこの発想は面白かったと思うのだが、いかんせん、表現がマンガチックに過ぎて全然共感できず、全くついていけなかった。特にあのヒロインの造形は酷すぎる。そんなカッコして働いてる女の人を私は見たことないし、二週間しか期限がない割には仕事の仕方があんまりにも悠長すぎやしませんか ? 映画業界では、働く女性というのはまだギャグでしか存在し得ないものなのでしょうかしら。

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【バッドアス ! 】四星半

これは出来れば先に、黒人映画の草分け的存在と言われているメルヴィン・ヴァン・ピープルズ監督の【スウィート・スウィートバック】を観ておいてもらいたいところだ。同作がなかったらスパイク・リーもタランティーノも生まれていなかったかもしれず、また公民権運動にも深い影響を与えるなど、その歴史的インパクトは計り知れない映画である。ただ、私はまだあんまりモノを知らなかった頃に見て、当時、結構ショックが大きかったものでしたが……。
本作は、その【スウィート・スウィートバック】の制作過程を、息子のマリオ・ヴァン・ピープルズ監督が再現したものなのだが、これが、単なる再現フィルムという枠を超えている代物。次から次へと降りかかる、これでもか、これでもかの聞きしに勝る苦労の連続に立ち向かい、それでもフィルムを完成させようとするメルヴィン・ヴァン・ピープルズの不屈の闘志とエゴがもの凄い。実際にこの映画にも深く関わっていたマリオ監督だからこそ描けるエピソードも満載で(あの少年はマリオさんご自身が出演させられていたものだったって知らなかったし、実際に映画を創っていたのは黒人だけでなくかなりの人種混成チームだった、というのも意外な発見だった。あ、あと、音楽はまだ無名時代のアース・ウィンド&ファイアだったんですね……)、メルヴィン監督の仕事が偉大であればあるほど、最大級の敬愛を捧げつつ、それを独自の視点から詳細に検討し、しかもそれ自体をエンターテイメントとして成立させている本作も、ますます凄い映画になっているのではないかと思う。
しかしこのタイトルは、日本人の観客に対しては見にくるなと言っているようなもんですよね……【スウィート・スウィートバック】の原題から引用してある由緒正しい原題そのものなんだからしょうがないんですが……せめて原題どおりのアルファベット表記にするとか何とか、何かしら工夫の余地はなかったものかしら…… ?

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【ハリー・ポッターと炎のゴブレット】三星半

内容盛り沢山なのはいいけれど(でもって多分よく出来ているんだろうけど)、盛り沢山すぎて、この映画単体を観ているだけでは既に展開についていけないような気がする。でも、これは全世界的イベント映画なのであって、ほとんどの観客は原作を読んでいるということを前提に作られていて、彼等の多くは、原作が3D化された時にどうなるのかということを確認するためだけに映画館に行くのだというのであれば、それはそれで需要と供給が成立しているからいいのかなぁ。何だかもうよく分からん。

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【春の雪】三星半

おそらくは三島由紀夫の原作でも理解することが難しいのであろう主人公の時代錯誤で自意識過剰な行動原理が、映像に起こしてしまうと全くもって理解不能になる。今、なぜこの映画を作ろうと思ったのか、そこのところがさっぱり分からない。これでは役者がいくら頑張っても可哀想なだけかも。

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【ビッグ・スウィンドル ! 】三星半

大仕掛けなコン・ゲームの面白さはあるけれど、雰囲気がちょっと古めかしい気がした。それがいいのだという向きもあるかもしれないが……。

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【秘密のかけら】三星半

う~む、アトム・エゴヤン監督は、ライフワークと言えるだろう【アララトの聖母】を撮ってエネルギーを使い果たしてしまったのかしら……(昔、スパイク・リー監督が【マルコムX】を撮ってエネルギーを使い果たしてしまったみたいに)。人気コンビの解散の裏にはこんな事件がありました、みたいな筋立て、だから何 ? といった感じが否めない。

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【ビューティフル・ボーイ】三星半

トランスジェンダーのムエタイ選手の実話を元にした映画。でもその当の本人も何度か来日していることだし、実物のインパクトには適わないと思うんですよね……。

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【フォー・ブラザーズ 狼たちの誓い】三つ星

何か既に、やたらと暴力的でゲンナリしてしまったことしか覚えていない。おまけに最後は“フォー・ブラザーズ”ですらなかったような……展開としてどうなの、それ。ジョン・シングルトン様、こんな駄作を作っている場合なんでございましょうか ?

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【不滅の男 エンケン対日本武道館】四星半

遠藤賢司さんがこんなにものスゴい人だとは知らなかった……。彼が何に対して戦っているのか、それは不明だが、何か知らないが感動してしまった。

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【ブラザーズ・グリム】三星半

表面的にはおどろおどろしさを演出しようと苦心惨憺しているみたいなんだけど、それが人間の抱える内面的な闇へ1ミリも降りて行かない。ハリウッドに毒気を抜かれたテリー・ギリアム監督、やっぱり彼等とは相性が悪いんでないかい。

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【ホールドアップ・ダウン】四つ星

V6×SABU監督の【ハードラック・ヒーロー】もビデオで見てみましたが、こちらの方が、ストーリーももっとしっかりと練られ、1人1人の見せ場にも工夫が凝らされていて、更にいい出来なのではないかな ?
ところで、本作はV6の10周年記念作品的な意味合いもあるやに伺っているのですが、彼等はこの10年間で実に味のあるいいグループになりましたね。大変申し訳ないのだけれど、結成当初は正直、寄せ集め感が否めないように見えたので、このグループとしての成熟は、彼等自身の努力の賜物以外の何者でもないと思います。これからも更に成長し続けていって、あらゆるシーンで、もっともっと素晴らしいパフォーマンスをいっぱい見せて下さると嬉しいです。

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【僕の恋、彼の秘密】三つ星

台湾発ボーイズ・ラブもの、ということになるんでしょうか……しかしこれ、あまりに作りが雑なんじゃないのかな。

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【マカロニ・ウエスタン 800発の銃弾】四つ星

何故スペインでウエスタン !? と悩むヒマもなく、時代の波に乗れないオジサン達の悲哀を怒濤の如く描く。やっぱりアレックス・デ・ラ・イグレシア監督の作品って、どこかしらヘン。

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【真夜中のピアニスト】三星半

ピアニスト志望のヤクザという主人公のイメージが、私の中ではあまり結実しなかった。ストーリーも割と単調に感じられてしまったみたい。

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【Mr. & Mrs.スミス】三星半

ブラピさんもアンジェリーナ・ジョリーさんもあまりに役柄にぴったりで、ヒットするのも頷ける。しかし後半の展開はあんまりにもマンガチックに過ぎるかも……そんなことしてたら普通死ぬって。娯楽作だから別にいいんだろうけど。

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【ミリオンズ】三星半

私には、ファンタジーというよりは荒唐無稽な話としか映らなかったかも。無神論者でキタナイオトナである筆者には、このあまりに信心深過ぎる次男坊君がそれほど可愛いとの思えなかったのが敗因だったのかもしれませんね。

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【もっこす元気な愛】四つ星

ずっと観ていると、この男性が脳性マヒの障害を持っていることが、本当にどうでもいいことのように思えてきた。多分それは、この男性が、周囲に幾重にも張り巡らされた壁を乗り越えていく柔軟な強靭さを持っているからに違いないけれど。この彼にならそりゃ奥さんも惚れますよね。どうぞお幸せに !

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【モンドヴィーノ】四つ星

現在のワイン業界の世界情勢を描いた映画でもあるんだろうが、図らずも、画一化という名のグローバリズムについて考察している映画にもなっていると思う。有象無象の人間世界の営みを無垢な瞳で超然と眺めているインサート映像の犬たちがカワイイ。

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【欲望】四つ星

女性の性欲という、ありそうで実はほとんどまともに手がつけられていない領域の描写に真っ向勝負を挑んだ板谷由夏さんの女優根性に拍手 !! この人は本当に、もっともっと評価されてもいい人なのではないかと思う。しかしこのラストは……えーっそうなるの !! 人生経験の浅い私には全然理解が出来ません~。……観終わった後もいろいろなことをしみじみと考えさせられてしまいました。

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【歓びを歌にのせて】三星半

ストーリーは結構ご都合主義で中途半端な印象があるのだが、歌っていいものだなぁと素直に思わせるだけの力はあるんじゃないかと思った。

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【ランド・オブ・プレンティ】四星半

活動家の母と住んでいたの紛争地帯からアメリカにやってきた女の子(ミッシェル・ウィリアムズ)が、ベトナム戦争の後遺症で傍目には少し常軌を逸した行動を取り続ける叔父と行動を共にし、互いに理解を深めていく。表面的な主義主張ではなく、人間としてもっと深い根っこの部分で理解し合い、許し合う。それが可能である土壌こそが、原題にある本当の意味の“豊かな土地”であると述べている。ヴィム・ヴェンダース監督久々の、本当の心からの会心作。

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【乱歩地獄】三星半

いくらオムニバスでも、面白い話とそうでない話の落差が大き過ぎる。せめて主人公を同じにするとか時代設定を合わせるとかテーマを絞るとか、何かしらの統一感を出した方がよかったのでは。

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【ロード・オブ・ウォー】四つ星

実在の武器商人をモデルにした話で、監督は【ガタカ】のアンドリュー・ニコル。資本主義社会ではお金こそが絶対的正義だ、というテーゼが間違っていると主張できるだけの論拠が、果たして資本主義の側にどれだけあるのでしょうか…… ? ニコラス・ケイジはこういう映画にこそもっと出ればいいのに。

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【《ロッテ・ライニガーの世界》】四つ星

戦前のドイツに、こんなアニメーション作家がいらっしゃったなんて知らなかった。かつて藤城清治さんも影響を受けたという影絵のクラシカルな美しさを是非ご堪能下さい。

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【ロバと女王】四つ星

【シェルブールの雨傘】のジャック・ドゥミ監督&カトリーヌ・ドヌーヴによる幻のミュージカル。おとぎ話をモチーフにした内容そのものよりも、あぁなんか見ちゃった~という充足感の方が私には強かったかな。

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