Back Numbers : 映画ログ No.86



2009年に観た全映画です。

【アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン】三星半

キムタクってやっぱりハンサムなんだなー。このキャラクターはキリストのイメージなのかもしれないけれど、その周りのビョン様などのキャラクターは、どこか中途半端な人物ばかりのような。トラン・アン・ユン監督が芸術を標榜するのはもう仕方ないけれど、どうせやるなら突き詰めなくては、なんかやっぱりヘンな映画……で終わってしまうことになりがちかもしれない。

タイトル・インデックスへ

【愛のむきだし】四星半

237分があっちゅう間に終わったこの疾走感 !! 盗撮だの宗教だの脱洗脳だの、尖った素材がてんこもりで出てくるけど、園子温監督は完全なるエンターテイメントを目指したんだそう。これはあくまでも、純粋なままに突っ走って力の限りぶつかりあった男の子と女の子のBOY MEETS GIRLの物語なのだ。西島隆弘さんと満島ひかりさんのピュアな美しさも感涙ものだったけど、この二人に絡む安藤サクラさんの怪演も凄まじい。ありがとう園子温監督 !! 私は多分こういう映画に逢いたくて、映画ファンなんて酔狂なことを続けているんです。

タイトル・インデックスへ

【愛を読むひと】四つ星

ナチス絡みのドイツ人が何故英語で……あーもう嫌。そんな作品でもケイト・ウィンスレットはやっぱり上手かったのだが、レイフ・ファインズはやはりどうしても生理的に合わなかった。なにもかもヤツが中途半端なせいに思えてしまったのは、彼を好きになれないせいなのか、自分が何か筋を読み間違えているせいなのかは不明である。

タイトル・インデックスへ

【悪夢のエレベーター】三つ星

大体、雇って間もない人をどうしてそんなに気安く信用できるのだろう。こうなるオチは全然不思議じゃないし、そもそもありがちだ。もともと小説や舞台だった作品らしいが、実写にすると不自然なところも多いかも。でも人生悔いのないように監督に挑戦してみようと思ったという堀部圭亮さんのチャレンジ精神は買いたい。頑張ってくれよう。

タイトル・インデックスへ

【旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ】三星半

マキノ雅彦監督も気がつけばもう三作目だ ! 嫌いではなかったんだけど、ただ、人間ドラマを重視しようとしすぎたのか、動物の露出は少な目で苦労話のくだりが長くなり、またそれが最後あんまりにもあっさり解決してしまうので、カタルシス的にちょっと弱かったような気がする。あと、芸達者な渋い俳優さんがあまりに多くて味が濃すぎて、ある意味影が薄いのが持ち味なような(失礼!)主人公の中村靖日さんとのバランスがあまりよくなかったかもしれない。

タイトル・インデックスへ

【あなたは私の婿になる】四つ星

これだけ価値観が多様化し、男女の関係も一筋縄では行かなくなった時代にあって、ロマンチック・コメディの秀作を作るのって至難の業だと思う。そんな分野で自らプロデュースもして主演作を創り、一定の評価を得続けているサンドラ・ブロックってすんごい人だ。嫌味も破綻も少なく、登場人物が誰も馬鹿でも間抜けでもなくそれぞれ魅力的で、気持ちよく見れる映画ってなかなかできるもんじゃない。そのことは評価したいと思う。

タイトル・インデックスへ

【アニエスの浜辺】四つ星

アニエス・ヴァルダ監督のシネ・エッセイ。監督ももう80歳なんだ !? 昔語りになるのは仕方ないが、この人の感性はちっとも老いてません。

タイトル・インデックスへ

【あの日、欲望の大地で】四星半

アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の【アモーレス・ペロス】【21グラム】【バベル】、トミー・リー・ジョーンズ監督の【メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬】などの名作の脚本を手掛けてきたギジェルモ・アリアガの監督デビュー作。故郷を離れて都会で刹那的に暮らす女性(シャーリーズ・セロン)と、その母親と娘の3代の物語なのだが、監督はどうしてここまで女性の心の機微を描けるのだろう !? 実は不倫をしていた母親(キム・ベイシンガー)のことで葛藤し心に癒せない傷を負う、シャーリーズ・セロンの若い時を演じたジェニファー・ローレンスがこの本作の白眉だ。

タイトル・インデックスへ

【アバター】四つ星

一応ジェームズ・キャメロン監督の意を汲み、本作に関しては敢えて3Dで見てみたのだが、確かにキレイなんだけど、疲れるし、何しろ画角(視野)にどうしても限界があるため、画がこぢんまりと小っさく見えてしまうのよね。だから、本来ならばスケール感のある話なのであろうにもかかわらず、却ってそのスケール感が感じられなかった気がした。
ハリウッドではすっかり猫も杓子も3D的な展開になっているみたいで、映画業界の人達は、この映画のヒットを機に日本でも3D元年だ ! てな希望的観測を語ったりしているみたいなのだが、果たしてそうなのだろうか ? 技術的な問題もさることながら、映画の魂はそこにある訳では無いのではないだろうか。つまり、人々はあくまでも面白い内容の話が見たいだけなのに、3Dにさえすりゃ人が見るだろ的に技術先行で語られても何か違うんじゃないかと思うのだ。そこを勘違いして、内容のブラッシュアップを怠った3D映画を作り続けていたら、当然、しっぺ返しがくることだろう。今から予言しといてやる。

タイトル・インデックスへ

【イエスマン】<二星半

漠然と尻込みしていたことを積極的にやるようになれば、そりゃ人生好転するわい。そんなことを大仰に語られても話の膨らみに限界があると、脚本段階で何故気づかない。結果、ジム・キャリーの演技が空回りした絵に描いたような低調な作品になってしまった。

タイトル・インデックスへ

【イングロリアス・バスターズ】三つ星

アメリカ人の戦争感を揶揄するってことは、前提としてアメリカ人の戦争感が分かっていなきゃどうしようもない訳で。そんなことどうでもいい日本人のワタクシには、いくらタラちゃんの映画でも面白い訳が無いじゃん。大体、どーして男性監督は一度は戦争映画を作りたがるかな。こちとら戦争ってコンセプト自体に端から興味が沸かねえんだよ。

タイトル・インデックスへ

【インスタント沼】四つ星

ヘンな題名だなぁと思ったけど、水を注ぐとできる沼のお話なのでこれで正しいんである。麻生久美子さんのウルトラハイパーな怪演ぶりが超楽しく、見ていると妙に前向きな気分になる。三木聡監督作では今までで一番自分と波長が合っていたみたい。

タイトル・インデックスへ

【インフォーマント ! 】三つ星

企業の不正の内部告発者になることで、自分もその一部に荷担していたことも忘れてスパイ気分になる主人公は、バカじゃないの !? としか言いようがない。これが実話だとか考えただけで疲れるわ。ソダーバーグ監督は、嘘ついてでも勝てればいい的なアメリカのある種の文化を焙り出しているのだろうけれど、このテのバカは見ていてひたすら気分が悪く、ちっとも楽しくなかったです。

タイトル・インデックスへ

【ヴィクトリア女王 世紀の愛】四つ星

イギリス帝国が最も栄えた19世紀の為政者、ヴィクトリア女王。未だにロンドンにはヴィクトリアやらアルバートやらの名前がついた建物がいっぱいあるらしい。これは厳密な歴史ドラマというより、あくまで特殊な環境下での若い2人のラブ・ストーリーなのよね。そう思ったら楽しい作品だった。

タイトル・インデックスへ

【ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~】四つ星

"人間失格"を地で行く旦那(浅野忠信)、人の家庭を引っかき回しておいてあっさりフェイドアウトする根性なし(妻夫木聡)、人の弱みに付け込むゲス男(堤真一)。出てくる男性陣が揃いも揃ってダメ男なのが笑えてしまう。(まともなのは飲み屋の親父の伊武雅刀さんくらいだ。)しかし妻(松たか子)は、理不尽なことが起こるほどに不思議に強くなって純化されるように美しくなり、旦那との間に二人にしか分からない結びつきを得る。一種奇妙な愛情物語。傍目にはこーんな旦那やめちゃえよと思うんだが、本人がそれでいいならしょうがないわねぇ。

タイトル・インデックスへ

【ウェディング・ベルを鳴らせ ! 】四つ星

クストリッツァ節を更に凝縮したようなクストリッツァ的コメディ。ただこの味の濃さは、監督の昔の作品みたいな切実な表現上の衝動が失われた上で、物語を何かしら作らなければならない必要性というフィルターにより無理矢理漉し取られたものであるような気はする。それでも一定のレベルは楽々クリアしていてきっちり面白いのは凄いけど。

タイトル・インデックスへ

【ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢】三つ星

お馴染みのシリーズだが、ウォレスの無責任さが作品を負うごとに酷くなってきて、最早笑えないレベルになっている。もう少し脚本を練る努力とかを真剣にした方がいいのではないだろうか。

タイトル・インデックスへ

【牛の鈴音】三星半

ひたすら純粋に牛を愛し、牛が人生なじいさんの話。その純粋さがよかったんだろう。私の感想は……まぁこうした純粋さに共感できるほど純粋でない人間の感想を聞いても仕方ないじゃない。

タイトル・インデックスへ

【ウルトラミラクルラブストーリー】四つ星

好きだから死んでも生きる ! ってその思いつきを映画にゃしないよフツー。横浜聡子監督の訳分からなさが炸裂。しかし松山ケンイチさんは、故郷の青森に繋がる土のニオイのする仕事がしたいってここに行き着くとは凄い引き。やっぱりこの人には映画の神様がついている。

タイトル・インデックスへ

【ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破】四星半

本作になるともう完全にオリジナルの旧作とは流れが離れている。よく分かっていない私ですら、なんか凄いことが起こっているなーと思う。とりあえず次回作の【…Q】を待て !!

タイトル・インデックスへ

【大阪ハムレット】四つ星

中坊の長男は女子大生と恋愛、三男は女の子になりたくて、喧嘩三昧の次男は"To be or not to be"で悩みだす……。大阪の一風変わった家族の物語は、観ていて楽しく元気になった。主役の次男役の森田直幸さんが特にいいけれど、何があってもおおらかに受け止めるお母ちゃん役の松坂慶子さんの好演も印象的だった。

タイトル・インデックスへ

【おと・な・り】三つ星

岡田准一くんや麻生久美子さんを始めとするそれぞれの演者はまぁ好きだ。けど、この脚本や演出の視点のガサツさがどうにも性に合わない。私だったら客の目につく店内のごみ箱にまだきれいな花をガンガン捨てるような花屋には絶対に行きたくないし(何かを犠牲にしてきたやらという話のメタファー ? そりゃなんか違うだろ。)初対面の男性の家に自己紹介もせずに上がり込んで「○○、いないのぉ~ ? 」とか叫びまわる女なんて、可愛いとかじゃなくて頭おかしいとしか思えない。そんな非常識極まりない人間をずるずると家に置いておくという展開は理解できないし、ついていけません !

タイトル・インデックスへ

【女の子ものがたり】三つ星

原作者の西原理恵子さんがどこかで「プロである以上、スランプだから描けないなんてことはありえません ! 」と発言していたのに比べると、目の前の現実から逃避しがちなこの映画のヒロインは端から別物なんだよね。なんかもうファンタジーが前提というかきれい過ぎるというか、どれだけ頑張っても絶望にしか繋がっていない錆々で朽ちた世界の匂いを、この映画は微妙に避けている。それなら何もこの原作に手を出さなくても他の作品にしておけばよかったんじゃないだろうか。あーもう何でもいいけどさ。

タイトル・インデックスへ

【カールじいさんの空飛ぶ家】四つ星

カールじいさんが奥さんと死別するまでの最初の10分間の駆け足の描写が一番泣けた。じいさんと男の子は案外とあっさり目的地について、その界隈でうろうろする話だったのでちょっと拍子抜け。面白くなくはなかったんだけど、空飛ぶ家での旅自体にもっとドラマがあってもよかったんじゃないかな。

タイトル・インデックスへ

【海角七号 君想う、国境の南】四つ星

台湾で歴史的大ヒット…… !? どんなか映画と身構えて観始めたのだが、基本的には優しいタッチの青春ストーリーといった趣きで、すんなり観ることができて安心した。第二次大戦中の日本人男性から台湾人女性への配達されなかった手紙と、現代の現状いろいろうまくいってない台湾人男性と日本人女性(日本人の田中千絵さん ! この作品で台湾では大スターになったそうな。)というモチーフが交錯して、クライマックスの地元のコンサートのシーンへなだれ込む。この映画がヒットしたということは、台湾の日常にはこちらで思う以上に日本という要素が深く入り込んでいるのかなと思われて、ちょっと意外だった

タイトル・インデックスへ

【カイジ 人生逆転ゲーム】四つ星

人生に行き詰まった奴ばかり集めて行われる理不尽なゲームで人がボロボロ死んでいくのには全く救いなどないが(と言ってどこかのじいちゃん評論家が怒っていた)、この救いの無さは、荒唐無稽な作り物のようでいて、現実社会のある種のアレゴリーになっていて、だからこそ映画が何気にヒットしたんじゃないかと思う。主演の藤原竜也さんもさることながら、香川照之さんや天海祐希さんの怪演や、松ケンの一瞬の出番も印象に残るし、そういえばこれ、佐藤慶さんの遺作になったんだよね。う~ん、映画の神様って時折こういう映画に気紛れに微笑んだりするのね。

タイトル・インデックスへ

【風が強く吹いている】四星半

日本を代表する脚本家・大森寿美男氏が監督する王道の青春映画 !! 冗長と言う評論家もいたが、駅伝は10人で走るものだから、林遣都さんと小出恵介さんの主役の2人を中心にしつつも、全員のバックグラウンドを丹念に掬い上げているのが絶対正解。林さんもいろいろいい作品に出させてもらっていて大事にされているなぁと感じたが、本作では何と言っても小出恵介さんのカッコよさに惚れた !! 若手でも上手い役者さんはたくさんいるが、この包容力こそ小出恵介さんでなければ出せない資質なんじゃないだろうかと思った。

タイトル・インデックスへ

【カティンの森】四つ星

第二次大戦中、ソ連軍によりポーランド人が大量虐殺されたというカティンの森事件。この事件で父親を殺されたというアンジェイ・ワイダ監督の念願の映画化にして長年の集大成というから、それは観るしかないだろう。私は単純に昔の作品の方が好きかもしれないが……。

タイトル・インデックスへ

【火天の城】三星半

お城を建てた職人の人達をフィーチャーするという目の付けどころはよかったのに、場面転換のたびにお城がサクサク組み上がってしまうので、彼等の血と汗が染み込んだ仕事が結実するといったような達成感があまりなく、世紀の難事業という感じがあまりしない。良くもなく悪くもなく、全然印象に残らない感じだなぁ……。

タイトル・インデックスへ

【蟹工船】三つ星

ほとんどカニ加工船の中だけで場面が展開せず、SABU監督のある種の重戦車的な重厚さが今回はツラかった。自由のための団結という話も図式として表層的に流れて、リアルな感覚として迫ってこなかった気がした。松田龍平さんやら西島秀俊さんや高良健吾さんやら新井浩文さんやらなんていうゴーカなキャストが勿体なかったなぁ。

タイトル・インデックスへ

【彼女の名はサビーヌ】四つ星

フランスの有名女優サンドリーヌ・ボネールさんの実の妹さんの自閉症患者サビーヌさんのドキュメンタリー。そこまでひどくなかった病状が、明らかな治療ミスでみるみる悪化するのがかなりショッキングで、フランスみたいな国でも自閉症の診断や介護はそれほど進んでいないという現状にはかなり驚かされてしまった。また、サンドリーヌ・ボネールさんの妹さんに対する愛情や後悔(入院させた病院が適切でなかったから)がひしひしと伝わってきて泣けてしょうがなかった(アラそういえば私にも妹が……)。

タイトル・インデックスへ

【ガマの油】四つ星

不思議な雰囲気が面白い。確かに今村昌平監督っぽい風合いがあるかも。役所広司さんが監督としてこういう作品を創るとは意外だった。しかしこういう結果になるまでわからないものかな。というか物語のためにうら若き男の子(瑛太さん ! )を殺さなくても……。

タイトル・インデックスへ

【カムイ外伝】四つ星

本作は『カムイ外伝』の最も有名なエピソードの一つなのだそうだ。原作を読破したい ! と長年思っていたことを思い出した。映画化としては可もなく不可もない印象、と言ったら怒られるかな ?

タイトル・インデックスへ

【鴨川ホルモー】三星半

これはたまたま原作を先に読んでいたのだが、京都に古くから伝わるホルモーなる競技という原作の風変わりな設定を使って適当に話をこしらえただけという感じで、原作の魅力的な部分の多くがスルーされて活かされていないのが残念だった。本当に2浪の京大生っぽく見える主人公(山田孝之)は良かったとしても、例えば、親友の高村さん(濱田岳)の頼れる側面や、楠さん(栗山千明)の天才軍師ぶりはもっとしっかり描いて欲しかった。現実の京都の街並みや京都大学が3Dになっているのはいいけれど、ホルモーが脱線して京都の街並みを駆け回る下りは余計で、最後の辺りは平凡な青春コメディに堕してしまっていたように思う。

タイトル・インデックスへ

【感染列島】四つ星

日本で本格的なアウトブレイクが起こったらどうなるか……2時間余りで描くのには限界があるとも思うけど、人物やエピソードの配置に気を配って描いて、これだけの内容をよくこれだけの中にまとめたものだと思う。ただ、いくらドラマだとはいえ、様々な制約が課されるはずの状況下で主人公の妻夫木くんが自由に動きすぎじゃね ? というところがちと気にはなったが。ともあれ、妻夫木くんが出るよーなビッグ・バジェットの映画を瀬々敬久監督が監督しているなんて感無量。個人的には爆笑問題の田中さんがとてもよかった。

タイトル・インデックスへ

【キャデラック・レコード】四つ星

ロックン・ロールの元祖と言われるチャック・ベリーなどを輩出したレコード・レーベルの物語。当時のショウビズ界の熱気や過酷さや胡散臭さが伝わってくる展開はなかなか見応えがあったが、当時のミュージシャンに詳しければおそらくもっと楽しいだろう。エイドリアン・ブロディがチェス・レコードという黒人系レコード・レーベルの創設者役で出てくるのだが、私はどうも彼が好きみたいだ。彼の出演作は良作が多い気がする。

タイトル・インデックスへ

【キャピタリズム マネーは踊る】三星半

マイケル・ムーア監督の最新作。結局企業がカネ吸い取ってるってことを言いたいのだろうか。そんな今更な、と思うが、それを聞いて目を開かれる人がいるのであれば、それでいいのかな。

タイトル・インデックスへ

【キラー・ヴァージンロード】二つ星

どこかで見たことがあるような展開にギャグ、しかもスローモーションや回想シーンの無駄な多用などでテンポが悪い。しかも、中途半端に登場人物の成長やらの要素を入れ中途半端に感動やらを少し呼び込もうとするから、余計に潔くなくて気持ち悪い。大変申し訳ないのだが、これは正直、長編映画にしていいレベルじゃないんじゃないのかな……。

タイトル・インデックスへ

【銀色の雨】四つ星

米子を舞台にした『水曜どうでしょう』の鈴井貴之さんの監督作。高校生の成長物語って地味っちゃ地味な話なのだが、じっくりとした説得力のある描写は嫌いではない。

タイトル・インデックスへ

【空気人形】四つ星

原作は『自虐の詩』の業田良家さんの短編漫画なのだそうだ。あのペ・ドゥナさんにダッチワイフの役を演らせるなんて、是枝(裕和)監督もいい度胸してるよな。でも、うら寂しいセックスの対象だった人形が愛の化身として命を持ち始め、人間の欲望のグロテスクさと純粋さの狭間を行ったり来たりする様を描写するには、彼女のこの曇りない透明感が必要だったのかもしれない。エンディングは何とかハッピーエンドにならないかしらと願ったんだけど……。

タイトル・インデックスへ

【グッド・バッド・ウィアード】四つ星

舞台は戦前の満州。良い奴のチョン・ウソン、悪い奴のイ・ビョンホン、変な奴のソン・ガンホが三つ巴で、宝の地図を巡るハチャメチャなストーリーを繰り広げる。ビョン様のカッコよさったらないけれど、得体が知れないソン・ガンホの人を食ったキャラクターこそが真の主役。何にせよ、面白かったからそれでよい。

タイトル・インデックスへ

【クヒオ大佐】三星半

【腑抜けども、悲しみの愛を見せろ】の吉田大八監督の新作。このカタコトの台詞回しとか付け鼻とか、あり得ない大仰な経歴とか、全体的に胡散臭すぎて見ていられない……。しかしこのクヒオ大佐なる結婚詐欺師が実在したっていうんだから何だかなー。きっとこの女の人達(松雪泰子さんや満島ひかりさん)は愛を信じてみたかったんだろう。そのクヒオ大佐が結婚詐欺師になった理由をこの映画なりに解釈しているところはリリカルでよかったし、堺雅人さんの謎の微笑みはこの胡散臭さにはぴったりかもしれない。しかし、そもそも嘘が苦手な私には、この胡散臭さを楽しめるほどの度量はないのよねー。

タイトル・インデックスへ

【グラン・トリノ】四星半

葬式にヘソ出しルックで来てケータイいじりながら「このソファー頂戴」とか抜かしやがる孫娘なんて、日本人の感覚ではシバかれて当然じゃん !? 日本にはこのくらいの少々人付き合いの悪いじいさんなんてゴマンといるわよぅ、こんなの偏屈でもなんでもない。バリバリの保守派で差別も当たり前の彼が隣人のアジア人一家と接近するのも、結局は隣人を手助けすることを選ぶのも、感性が似てるんだから当然と言えば当然。他者とどうやって繋がるのかって切実な問題だが(特に歳を取ると)、大切なことは自ずと選び取られるものなのかもしれない。だからってこの結末でなくてもいいんじゃないかとも思うけどさ。

タイトル・インデックスへ

【クリーン】四つ星

マギー・チャン演じるミュージシャンのヒロインは、麻薬中毒の自堕落な生活のせいで夫が死に、子供とも引き離されたため、子供との生活を取り戻そうともがく。マギー・チャンは本作でカンヌ映画祭の主演女優賞を受賞しており、オリヴィエ・アサイヤス監督も元妻の彼女を「現代で最高の女優の一人」と讃えたということだが、それが納得できる力演に目が離せなくなる。夫の父親役のニック・ノルティがまた上手い。地味だけど、丁寧にシーンが紡がれる良作です。

タイトル・インデックスへ

【クローズZERO II】四つ星

女の子を中途半端に出すとかの前作の欠点は多少薄まった気はするが、高校生同士のケンカの話なんてどうでもいいかなぁという思いも強くなったような気もする……すみません。

タイトル・インデックスへ

【クローンは故郷をめざす】四つ星

ちょっと特殊な色合いの美しい画面と、独特な世界観が相まって("魂の共鳴"などよー分からんところもあったけど)、他では見られないような雰囲気を作り出している。加えて、主演の及川光博さん(かっこいい ! )を始め、永作博美さんや嶋田久作さん、石田えりさんなど、演技が揃いも揃って素晴らしい。中嶋莞爾監督という方は存じ上げなかったのだが、バジェットの制約はあるはずなのにビンボくさくない、完成度の高いSFだった。

タイトル・インデックスへ

【激情版 エリートヤンキー三郎】三星半

とことん力強くポジティブに馬鹿馬鹿しいのが清々しい。残念ながら、個人的には敢えて見たいと思うタイプの作品ではないんだけど、この道を極めつつある山口雄大監督は、それはそれでありなんだろうなと思った。

タイトル・インデックスへ

【行旅死亡人】三星半

名前や住所などが判らず引き取り手が存在しない行き倒れの死者を行旅死亡人というのだそうだ。本作はある行旅死亡人にまつわる井土紀州監督のミステリー。正直、キャストの演技力にはばらつきがあるし、明らかに予算不足を感じさせる箇所もあるのだが、そうした難点を差し引いてもやはり骨格のしっかりしたストーリーが訴えかけてくる。ただ、ヒロインの決断はちょっと極端に思えたので、もう少し説明等があってもよかったかもしれない。

タイトル・インデックスへ

【GOEMON】三星半

全体的に【…キャシャーン】よりはマシか ? しかし、1つ1つのシーンはそれなりにカッコよさげに見えても、全部をつぎはぎにすると伏線ばかりがやたらにあって本筋が行方不明になるし、自由というモチーフなどは扱いきれておらず、結局何を言いたいのかさっぱり分からない感じ。紀里谷和明監督は、意匠などの才能は桁外れだとは思うが、その画面の持続力はおそらくプロモーションビデオ並みの5分くらい。彼が才能を発揮する場は必ずしも映画監督である必要性はないのではないかと思う。

タイトル・インデックスへ

【ココ・アヴァン・シャネル】三星半

ちっぽけな孤児の女の子だったココ・シャネルが有名デザイナーのシャネルになるまで、というのはいい眼の付け所だと思うけど、デザイナーとして自立する話というより、金持ちの愛人として男性との関係が切った離れたする中での自我のゆらぎ、といった話がだらだら続くので、あんまり面白くはない。せっかくオドレイ・トトゥを起用して話題性は充分だったはずなのに、勿体ない仕上がりだなぁ。

タイトル・インデックスへ

【こまどり姉妹がやって来る ヤァ ! ヤァ ! ヤァ ! 】四つ星

こまどり姉妹さんが、今でも現役でいらっしゃることすら知らなかったが、極貧の中で日銭を稼ぐために歌うようになったとか、ファンに刺されたりとか店を出したりとか癌になったりとか、時代的に大衆に受け入れられなくなっても色々な場所で歌い続けたりとか、これだけドラマチックな半生を経てきたとは全く知らなかった。仕事としての歌に一貫して対峙してきた、見事という他ない鋼のプロフェッショナリズム。これはもう一つの昭和芸能史と言っても過言ではない。

タイトル・インデックスへ

【サーチャーズ2.0】三星半

アレッックス・コックス監督なので、何となく勝手に悲劇的な展開をイメージして身構えてしまっていた。終わってみれば、そこはかとなくハッピーな印象すらあるヘンテコ・オフビート・ロードムービーじゃん……。

タイトル・インデックスへ

【サイドウェイズ】三星半

ワーナーとフジテレビの亀山千広プロデューサーが絡んでいるんだそうだが、アカデミー賞受賞作(脚本賞だっけ)を日本語で作り直すことの意味やらはさっぱり分からなかった。ただ、小日向文世さんと生瀬勝久さんなんていう芸達者の二人を主役にすると、新味のないこのストーリーでもまた別個の物語として成立してしまう。そこが分かっている辺り、このスタッフは卑怯だがバカじゃないのかもしれない。

タイトル・インデックスへ

【サマーウォーズ】四つ星

俊英・細田守監督の新作。田舎の旧家の大家族の絆と宇宙を巻き込んだ地球滅亡レベルの災難が同居しているのが、この映画の面白さなのだろう。個人的には、大家族の個性的な面々の描き分けがもっと細かく出来ていて、それぞれの活躍がもっと際だっていれば、もっと面白かったのではないかと思う。

タイトル・インデックスへ

【さまよう刃】四つ星

私が主人公の寺尾聰さんと同じ立場だったらどうするか ? とりあえず、法治国家の市民でいることをやめて復讐するかな。いろいろな議論があることだろうが、ここまでのーてんきでノンポリな日本で、少年法の不備を指摘する映画が何本も作られているって事態は由々しきことに違いない。

タイトル・インデックスへ

【サンシャイン・クリーニング】四つ星

事件現場の清掃業を始める姉妹。【リトル・ミス・サンシャイン】のスタッフが制作したというだけあって、欠陥や反目を抱えながらも心の底ではいたわり合って前向きに進もうとする"普通"の家族の話がしっかり描けていると思う。

タイトル・インデックスへ

【ジェネラル・ルージュの凱旋】三星半

医療問題を折り込んだ脚本は、どこかで見たような踏み込みが足りない感じはあっても悪くはなかった。堺雅人さんが演じる、現場を思うあまり狂気に近いものを帯びたエキセントリックな医師だけでも見る価値はあったけど、彼が印象的だった分、阿部寛さんなどの他のキャストは全く影が薄かったかも。ていうか、【チーム・バチスタの栄光】の時以上に医者に見えない人が増えてるっていうのはどうなのよ。あと、こんな問題ばっかり起こる病院、私だったら行きたくありませんけどねぇ~。

タイトル・インデックスへ

【色即ぜねれいしょん】四星半

理解がありすぎる両親の元で悩みがなさ過ぎるのが悩みの、イケてなさを絵に描いたような1970年代の平凡な男子高校生が、ある時期のちょっとした経験を通してちょっとだけ成長する。みうらじゅん&田口トモロヲコンビは最早、青春映画の巨匠といっても過言ではない !? 主演の渡辺大知さんを始めとするキャストが皆ぴったりだったのだが、学生運動家崩れの峯田和伸さんの包容力があるけれどどこか胡散臭いキャラクターが秀逸。あなた当時の人ですか。私より一回りも若いなんて嘘でしょ !?

タイトル・インデックスへ

【沈まぬ太陽】四星半

JALの再建問題がクローズアップされているこの時期に、よくこの映画が無事創れたもんだ。(実際に妨害的な動きもあったやに聞くが。)家族を犠牲にしても矜持を貫こうとする主人公(渡辺謙)、かつて労組で一緒に戦っておきながら会社側に寝返った友人(三浦友和)、会社に飼い殺しにされ精神的に追いつめられる元部下(香川照之)、etc.etc.……。単に企業を糾弾するのではなく、主人公と会社側の人間との攻防を、日航機事故の遺族や主人公の家族などの物語と同一線上の人間ドラマの連鎖として描いているところが成功しているのだろう。旧式の日本社会の膿をこれでもかと見せつけつつも、その再生を願う祈りがこの映画には込められている。また、この映画で渡辺謙の関わる仕事に間違いはないという謙さんブランドが完全に確立したんじゃないかと思う。

タイトル・インデックスへ

【ジャック・メスリーヌ ノワール編/ルージュ編】四つ星

ジャック・メスリーヌはフランスに実在した犯罪王なのだそうで、やーさんを演らせたら三国一のヴァンサン・カッセル様はこの役にぴったり。ノワール編とルージュ編の前後編で約4時間あるけど、脚本も演出も手堅いからサクサク観れますよ~。

タイトル・インデックスへ

【重力ピエロ】四星半

容赦なく崩壊に向かう理不尽なエントロピーに対抗する力を紡ぐことができるのは意思の力だけで、それを可能にしたのは"家族"の絆だけだった。森淳一監督の手堅い演出が本作では生きていて、加瀬亮さん、岡田将生さん、小日向文世さんとみんな上手い人ばっかりで見応えありまくり。特に小日向さんのお父さんは男の鑑 !! かっこいい !! しかしそろそろ強姦は極刑にするよう法律を変えていいと思う。

タイトル・インデックスへ

【守護天使】三星半

カンニング竹山さんの俳優としてのポテンシャルに注目した人は偉いと思う。しかし、話を面白く転がそうとしても、無理がある部分にテンポを阻まれてしまう。もう少し志が高ければ格段に印象的な作品にできるんだろうに、勿体ないわよね。

タイトル・インデックスへ

【ジュリー&ジュリア】四つ星

ジュリア・チャイルドさんという料理研究家も、その料理本の料理を再現したブログで有名になったジュリー・パウエルさんも、どちらも実在する人物だそうだ。新旧の自己実現の問題をうまくリンクさせた話の構成が上手く、何せ料理が美味しそう。またメリル・ストリープは当たり前のように上手い。ノーラ・エフロン監督作では久々に、バランスの取れたいい作品だと思った。

タイトル・インデックスへ

【少年メリケンサック】四つ星

クドカンさんの監督第二作。一流の女優さんほど自分を客観視出来ているのでもれなくコメディも上手い、という持論の通り、宮崎あおいさんがコメディエンヌとしてはじけまくる !! ていうか、佐藤浩市さん・木村祐一さんの仲の悪い兄弟(!?)や、廃人状態から復活してどんどん変態キャラと化していく田口トモロヲさんの強烈なインパクトのおじさんたちがどれだけ画面狭しと暴れまわっても、所詮あおいちゃんの引き立て役だったのね。個人的には、田辺誠一さん演じる大御所ミュージシャンのキモチワルサが非常~にツボだった。

タイトル・インデックスへ

【シリアの花嫁】四つ星

舞台はシリアに近いイスラエル。ある一家の娘が結婚するというのに皆浮かぬ顔。それは、娘が国境を越えて嫁ぎ先のシリアに渡ってしまったらもう二度と帰ってこれないから。杓子定規的な行政を皮肉った部分もさることながら、戦争をしている訳ではない普通の中東の人の日常生活少し垣間見れるのが興味深い。登場人物がみんな魅力的で、状況は特殊でも普遍的な感情が描かれてるのが面白かった。

タイトル・インデックスへ

【しんぼる】四つ星

アレルギー反応的に過剰に毛嫌いしている人がどうも多いような気もするが、私の記憶では、堤幸彦監督が以前【溺れる魚】などを撮っていた頃もこれに近いような反応があったような気がする。松本人志監督の世界観の全てが好きな訳ではないけれど、独自性があるという意味ではもっと普通に評価してもいいんじゃないだろうか。似たよな内容の"コンテンツ"とやらばかりが横行するよりは、この際だから、松本監督に既存の型に嵌らないような無茶苦茶な映画をバンバン撮ってもらった方が楽しそうだ。

タイトル・インデックスへ

【スラムドッグ$ミリオネア】四つ星

貧しいスラムの男の子がミリオネア(日本でもお馴染みの例のクイズ番組)で勝ち上がって夢を掴もうとする、という展開は面白い。けど、例えばインド人の監督さんが同じような素材を撮ったところを想像すると、彼等の悲惨さの描写がなーんか写真みたいにきれいにまとまりすぎていて、今一つ切迫感や生々しさに欠けるような気もする。イギリス人のダニー・ボイル監督にしてみればインドという素材はあくまでエキゾチックな香りがする他人の庭に過ぎないのでは ? という気がどこかでしてしまった。

タイトル・インデックスへ

【ゼラチンシルバーLOVE】二星半

のっけのシーンの水音でこりゃヤバイと思い、5分でコラアカンと思った。結局、宮沢りえがカッコよく半熟卵を食べるところが撮りたかっただけ ? 終始思わせぶりな70年代テイストで、古いのが悪い訳じゃないけど、何を伝えたいというよりはスタイルにこだわりたいだけのように見えて、申し訳ないけれどかったるいとしか思えなかった。

タイトル・インデックスへ

【ゼロの焦点】四つ星

旧作は未見だったのだが、誰もが明るい未来を手に入れたいと死ぬほど願った戦後の時代背景に、1人の男性(西島秀俊)と3人の女性達(広末涼子、中谷美紀、木村多江)のそれぞれの境遇や生き方を帰着させる展開は凄いドラマだ。これを今の時代にリメイクする意義には正直疑問を感じていたのだが、違和感なく手堅くまとめている犬童一心監督はやっぱり腕があるなぁ。

タイトル・インデックスへ

【禅 ZEN】三星半

曹洞宗の開祖・道元様のバイオグラフィ。それ以上でもそれ以下でもない。中村勘太郎さんの存在感は高潔なお坊さん役には合っていたんだけど、後半、ちょっと歌舞伎くさいところがあったのが気になった。でも高橋伴明監督作品ではかつてないくらい混雑していたなー。

タイトル・インデックスへ

【戦場でワルツを】四つ星

レバノン内戦でイスラエル軍の歩兵だったというアリ・フォルマン監督が実際に体験したという戦争の恐怖のイメージが、アニメーションでじっくり焙り出される。こういう映画を見ると、イスラエルもタカ派の人ばかりじゃないというか、戦争をしたがるのは実際に戦争に行かなくていい立場の人ばかりなんじゃなかろうかと思う。ところで、この方は【セイント・クララ】の監督さんだったのですね。お懐かしや。

タイトル・インデックスへ

【セントアンナの奇跡】四つ星

タヴィアーニ兄弟の映画を思い出したのは、舞台が戦時中のイタリアの農村部だからだろう。いくら米軍の黒人部隊の話とはいえ、スパイク・リー監督がヨーロッパを舞台にした映画を撮るなんてびっくりだが、どんな素材で撮ってもやっぱり監督の手腕は澱みなく達者である。

タイトル・インデックスへ

【SOUL RED 松田優作】三星半

当時の資料映像がかなり少ないらしく、必然的に、誰かに語らせるシーンばかりが長くなり、当時の躍動感や熱気を何とか再生するのに苦労している感じで、ちょっと理詰めに傾いてしまった感があるのは残念だったかな。でも、浅野忠信さん、香川照之さん、仲村トオルさんなどの豪華な俳優陣の松田優作さんについてのインタビューは貴重で、特に、龍平さんと翔太さんという2人の息子達両方のインタビューは超レア。お母さんの美由紀さんがプロデューサーじゃないときっと出来なかったことだろう。

タイトル・インデックスへ

【それでも恋するバルセロナ】四つ星

ハビエル・バルデムのセクシーラテン男ぶりと、ペネロペ・クルスの天才エキセントリック美女ぶりに、自分探し中のスカーレット・ヨハンソンだけでなく、堅実を絵に描いたレベッカ・ホールまで翻弄され……出てくる人物は、図式的と言えば図式的だけど、みんな欠点だらけでも目が離せない魅力があって、ストーリーの運びには一部の隙もない。さすがはウディ・アレン。このラスト、発展性がないなぁとも思ったのだが、思い出以外なんも残らんというのがアヴァンチュールの姿としては正しいのかもしれない。

タイトル・インデックスへ

【代行のススメ】四つ星

他に比類ない存在感の名脇役だった山田辰夫さんの実質的な遺作。(【沈まぬ太陽】にワンシーン出ているのが本当の遺作。)代行業を営む家族を淡々と描く、すごく山田さんらしい、つつましくもいい映画だった。山田さんにはもっともっといろいろな作品に出て戴きたかった。まだお若かったのに、本当に残念だ。

タイトル・インデックスへ

【ダウト あるカトリック学校で】四つ星

気に入らないから疑うために疑うって感じ ? メリル・ストリープやらフィリップ・シーモア・ホフマンやらの演技合戦はそれだけでも充分見応えがあるけれど、キリスト教文化圏の"疑い"という行為に関する細かいニュアンスは、正直あまりピンとこなかった。でも後になって、この"疑う"という行為は、今のアメリカが仮想敵国に対してやってることのカリカチュアなのだ聞いて、ちょっとだけ成程と思った。

タイトル・インデックスへ

【TAJOMARU】二つ星

"多襄丸"というのは『藪の中』の登場人物のことで、これに肉付けしたストーリーなんだそう。話の骨子は悪くないかもしれないが、人物が薄っぺらすぎ、話の運び方が幼稚すぎ。小栗君、この映画に出て損したね~、残念だった。

タイトル・インデックスへ

【誰も守ってくれない】四星半

そもそも、犯人が悪けりゃその家族も償わなければいけない、というメンタリティが1ミリも分からない。何だか分からないルサンチマンのはけ口として弱いものいじめをするためにそれらしいエクスキューズが欲しいだけじゃねぇの ? しかもそいつは、集団の中で匿名性を帯び、自分で責任を取らなくてよくなった途端、凶暴化してやりたい放題になる。私は日本社会の一部にあるそういう部分だけは心底おぞましいと思うが、本作は、そんなおぞましさの本質を詳細に描いた力作。さすがは日本有数の脚本家の君塚良一監督である。

タイトル・インデックスへ

【チェ 28歳の革命】【チェ 39歳 別れの手紙】四つ星

キューバ革命を成功させるまでと、その後、南米で社会主義革命を広めようとして処刑されるまで。この合わせ鏡みたいな2本の映画は2本で1作品である。スティーブン・ソダーバーグ監督作品の中でも屈指の力作なのだが、話は不思議なくらい淡々と進む。とにかく戦って戦って戦って……やってるうちに訳分かんなくならないのかというくらい戦い続ける。理想が実現される高揚感のうちに幕を閉じる前半はまだいいのだが、敗走に次ぐ敗走を重ねる後半では、キューバ革命の時とは状況が何もかもが違いすぎることが残酷なまでに焙り出される。ゲバラ本人もそのことは痛いほど分かっていたはずだが、彼はただ力尽きるまで戦って静かに死んでいった。この映画を観て何が分かったか ? 革命とはよほど高い理想がなければ実現することは不可能だということと、チェ・ゲバラはそんな難題に逃げずに立ち向かいそのまま死んでしまったからこそ理想化されたアイコンになったということだ。

タイトル・インデックスへ

【チェイサー】四つ星

お国柄の違いなのかなぁ、どうも警察のやっていることがいい加減で後手後手だし、主人公の探偵が元警官だからって警察署にずかずか出入りして好き放題ふるまうのが信じられない。重厚で粘り腰の演出はいいけれどだから、中盤はどうももったりした印象が残ったし、重要な部分で偶然に頼る箇所が2つあるのは多過ぎ。でも新人監督離れした迫力があって、韓国映画界の人材の層の厚さを実感した。

タイトル・インデックスへ

【チェンジリング】四星半

とても実話だったとは思えないような酷いことが次々と起こるのだが、このヒロインのクリスティン・コリンズさんは子供のために戦い抜き、どうにもならないと思われた現実すら少しずつ変えて行き、最後には一つの結論に辿り着く。クリント・イーストウッド監督の無駄がなく余すことなく伝えきる話法の素晴らしさもさることながら、子供のことを一筋に思うヒロインを演じたアンジェリーナ・ジョリーが圧巻だった。彼女が押しも押されぬ大女優であることにもう意義を唱える人はいないだろう。

タイトル・インデックスへ

【ちゃんと伝える】三星半

EXILEのAKIRAさんも(ひげを剃るとまるで別人だ)伊藤歩さんもよかったんだけど、いろいろ事情はあるにせよ、悪性の癌ならさっさと入院して治療を受けて1日でも長く生き延びんかい ! と終始そればかりを思ってしまっていた。父親との関係がテーマなのは分かるけど、残される母親と恋人のことも考えようよ。全然ちゃんと伝わってないじゃないの、園子温監督。

タイトル・インデックスへ

【チョコレート・ファイター】四つ星

よ~く考えると話にはおかしいところがいっぱいあるし、ヒロインを自閉症にする設定の必然性もよく分からない。だが、ものすごく美麗で面白いように決まるヒロインの多彩なアクションに見入っているうちに、自分がアクション不感症だということも忘れて、上映時間があっという間に終わってしまう。今や格闘アクション映画の本場は完全にタイなのだと実感した。

タイトル・インデックスへ

【罪とか罰とか】三星半

オフビートな笑いの中に結構どす黒い悪意のようなものが終始流れてるのが独特な感触がする。でも、舞台だった面白いのかもしれなくても、実写映画にするとシュールすぎてあんまりピンと来ない部分もあるかもしれない。てゆうか、私はやはり成海璃子さんの演技がどうもあまり好きではないような気がする。上手なのかどうかは知らないけれど、どうも魅力に乏しいっちゅうかね。う~ん……。

タイトル・インデックスへ

【劔岳 点の記】四星半

実は地味な映画だよなー……だって詰まるところ一歩一歩山登りしてるだけだもん。でも真の歴史を作るのは、文字通り地道な一歩の積み重ねだけなのだ。木村大作監督の執念のロケが実った雄大かつ壮麗すぎる山々の映像は、時間が経てば経つほどボティーブローのようにずっしりと効いてくる。これが本物の重みなのだと思う。

タイトル・インデックスへ

【ディア・ドクター】四星半

いい人にも悪い人にも見える鶴瓶さんの存在感があってこそ、僻地の偽医者というこの役が可能だったんだろう。善悪のジャッジをすることなく、そこにあるがままある感じ。ではこの映画では何が言いたかったのか ? 人間のちっぽけな営為のサイズみたいなものだろうか。神様の目線。西川美和監督って一体どういう境地まで行くつもりなの !?

タイトル・インデックスへ

【This is it】四つ星

説明の必要もないマイケル・ジャクソンの遺作映像。コンサート・ツアーのリハーサル風景だから、これでも多分100%のパフォーマンスという訳ではないと思うのだが、それでも一挙手一投足がえっ !? ていうくらいカッコいいし、体のキレも歌声も全く衰えていない(というか、もしかすると昔より更にシェイプアップされているかもれない)。隠遁生活に近いことを行ってきた歳月、この人はどこでこれだけ自分を鍛え続けていたのだろう。やはりマイケル・ジャクソンは、世界中の一流の人達の中でも更に別格の、超が5つつくくらいの超一流のパフォーマーであり、パフォーマーはパフォーミングさえ一流であれば(犯罪等は別にしても)日常生活がどんなに奇矯だろうがそんなことは些細な問題なのだと改めて痛感した。このステージの完パケ版を(ビデオでも)心から観たかったけれど、それでも、彼が最後まで掛け値なしのスーパースターでありつづけたことの証拠としてこの映像を残してくれたことを感謝したいと思う。

タイトル・インデックスへ

【THIS IS ENGLAND】三星半

どうしてこんなネオナチみたいな頭の軽い連中の口車に簡単に乗っちゃうんだろう ? と思うんだが、主人公が世界の狭い子供だから仕方ないんだろう。主人公がフォークランド紛争で父親を亡くしたとかで、当時のイギリスの世相をよく熟知していればもっと深く思うところがあるんだろうけれど、そのあたりの機微がそれほどよく分からない外国人(私のことだ)の目には、よくある少年達の抗争もの以上には映らないきらいがあるのではないだろうか。

タイトル・インデックスへ

【天使と悪魔】四つ星

まぁアミューズメントとして普通に盛り上げられていたけれど、結構無茶な筋書きだし、犯人はほぼ見る前に予想した通りでひねりがない。でもハンス・ジマーさんの音楽が場を盛り上げていたのがよかったので星をおまけして。

タイトル・インデックスへ

【扉をたたく人】四つ星

いきかがり上、若い不法滞在者夫婦と同居することになる老大学教授。人間を信頼することや関係性を取り結ぶこと。それを媒介するのが音楽だというのも面白い。登場人物が、それぞれ人間として慎み深いのも好き。正直、ハッピーエンドとは言えないんだけど、これもある種、現実を反映していて仕方ないのだろう。久々に地味だけどいい映画だなぁと思った。

タイトル・インデックスへ

【ドロップ】四つ星

映画を観て少なからず驚いた。あの品川庄司の品川裕さんに、正直、ここまで映画監督としてのセンスがあるとは思っていなかったからだ。品川監督は、アクションや笑わせどころや泣かせどころ、青春の青臭さや楽しさや情けなさ、友達やヒーローや女の子などの魅力的なキャラクターなど、自分自身が映画に求めたい要素をよく知っていて、それを忠実に抽出して画面に再現しようと努めているからだ。そりゃ、ものすごくベタだったり多少もたついたりする場面もあるにはあって、それは今後の課題になるかもしれないけれど、デビュー作にして映画全体をエンターテイメントとして面白く見せようという強固な意志がこれだけしっかり形を成しているならば、この手腕は評価するべきだと私は思う。成宮寛貴さん、水嶋ヒロさん、上地雄輔さん、波岡一喜さん、ピースの綾部さんなど、たまたまこの映画に出て役を得たことが今後のかけがえのない財産になりうると思うが、どこで何が効を奏するか分からないから、返す返すも、何事にも手を抜かず全力で当たらなければなりません。

タイトル・インデックスへ

【鈍獣】二星半

宮藤官九郎脚本、浅野忠信・北村一輝・ユースケ・サンタマリアなんてキャストからして期待していたんだが、どうもテンポがのろくて弾まない。クドカン脚本はやっぱり演出を選ぶんである。残念。

タイトル・インデックスへ

【なくもんか】四つ星

ちょっとくどいところもあるけど、まぁ文句無く楽しい。阿部サダヲパワーは健在だ。竹内結子さんも、阿部さんの勢いを借りてようやく調子を取り戻し始めただろうか。

タイトル・インデックスへ

【夏時間の庭】四つ星

母親を亡くした兄妹弟3人。生まれ育って思い入れがある実家の家や品々も、兄妹弟それぞれの生活の都合のため、現実的に処分せざるを得なくなる。思い出と"大人の事情"とお互いに対する思いやりが、時に衝突しながらも優しく交錯する様を温かい視点で淡々と描いているのが、いかにも大人の映画といった趣きで、今までのオリヴィエ・アサイヤス監督作品では一番共感できたかもしれない。それにしても、以前見た映画では激太りしていたシャルル・ベルリングが復活していてよかったぁ……。

タイトル・インデックスへ

【7つの贈り物】四つ星

主人公がある事情から行う"償い"は、人間にとって償うって一体どういう行為なんだろう ? 死んでも償いきれないことを償うことは出来るんだろうか ? ということを考えさせてくれるのではないかと思う。ただ、そこまでせずともといった恣意的なきらいはあって、人によっては受け入れるのが難しいのも致しかたないかもしれない。

タイトル・インデックスへ

【南極料理人】四つ星

南極の観測基地という閉鎖空間の8人の男。たいしたことは起こらないんだけど、淡々とした日々の営みがそこはかとなく可笑しい。主演の堺雅人さんの微笑みはこの雰囲気にぴったり。沖田修一監督はこれが長編初監督作だそうだけれど、この雰囲気を狙って創れているのなら凄い。

タイトル・インデックスへ

【20世紀少年 <第2章> 最後の希望】三星半

波春夫役の古田新太さんが見たくて見に行ってしまったんだけど(出番は5分もなかったけど)、結局、原作をうまく映像化してあるなぁという以上の感想がない……。2作目まで見ちゃったのでこの際最終作まで見るけれど、原作も何だが煮えきらない終わり方だったのであまり期待感もないような。原作でも唯一のコメディ・リリーフだった小泉響子役の木南晴夏さんは出色だったと思う。

タイトル・インデックスへ

【20世紀少年 最終章 ぼくらの旗】三星半

なんかもう確認作業になってしまっていたので、それは映画としてあまり幸福なことではないんじゃないかと思った。おまけの部分があったのはまぁよかったんじゃないかと思う。試写会でやらなかったというのはここのことかな ?

タイトル・インデックスへ

【ニセ札】三星半

ニセ札を巡る人間模様という面白い切り口をよく物語化してあると思うのだが、木村祐一監督の演出は思ったよりスローだったり淡々としていたりで、思うほどには弾まなかったかもしれない。インパルスの板倉俊之さんのインチキ臭い存在感(いい意味ですってば)が光っていたので、彼をもう少し映画の画面で見てみたい気がした。

タイトル・インデックスへ

【脳内ニューヨーク】四つ星

現実が恐くなった男が、意識の裏側の裏側の裏側にどんどん入り込んでいく。自分の意識の世界の完全な舞台化を何十年も続ける、という奇矯な設定だが、まぁそんなものどこまで行っても完成する訳がないよね。世の中に妙な映画は多いけど、このチャーリー・カウフマン監督の世界はその中でもとびきり奇妙なんじゃないかと思う。

タイトル・インデックスへ

【ノーボーイズ、ノークライ】三星半

妻夫木君と【チェイサー】のハ・ジョンウさんとの競演作。後半は味が出てくるが前半はなかなか盛り上がらず、もう少し華やかさや軽やかさがあってもよかったかなーと思った。

タイトル・インデックスへ

【のんちゃんのり弁】四つ星

原作者の入江喜和さんの漫画、『杯気分 ! 肴姫』とか『おかめ日和』とか結構好きなのよね。本作の原作は未読だけど、ちょっと人生舐めていた結果現在どん詰まっているバツイチ子持ちの30女(小西真奈美さんが三十路のバツイチとは…)が、自立してお弁当屋さんを開こうとするまでが、リアルに楽しく、ちょっと切なく描かれているのがいい。緒方明監督は、ヘンなリメイクとかじゃなく、こういう日常的描写の手堅さが活かせるような作品が合ってると思うんだけどなぁ。

タイトル・インデックスへ

【バーダー・マインホフ 理想の果てに】四つ星

ドイツにも赤軍があったなんて知りませんでした……勉強させてもらいました。

タイトル・インデックスへ

【バーン・アフター・リーディング】四つ星

題名は「この指令は読み終わったら燃やせ」の意味。ジョージ・クルーニー、フランシス・マクドーマンド、ブラッド・ピット、ジョン・マルコヴィッチ、ティルダ・スウィントンといった名優達がそれぞれタイプの違うアホな人達を怪演する様を、コーエン兄弟が手慣れたタッチでシニカルに撮っているのだけれど、なーんかお話のためのお話といった恣意的な匂いが否めない感じがする。

タイトル・インデックスへ

【buy a suit スーツを買う】四つ星

都市の風景や雑踏の中に人間の息遣いや優しさが滲み出る。有名な俳優さんも登場しない小品だけれども、かえって非常に市川準監督らしい遺作になったのかもしれない。でも監督にはもっともっといろんな作品を撮って欲しかった。急逝なさったのが返す返すも残念だ。

タイトル・インデックスへ

【パイレーツ・ロック】三星半

60年代、イギリスではポピュラー音楽の放送が法律で禁止されてたから(!)ポピュラー音楽専門の海賊ラジオ船(ポピュラー音楽を独自に船から放送する)がいくつか実在していたという話は初耳だった。この海賊船をモデルにしたという設定はイカす。登場人物はもっと絞った方がよかったかもしれないし、お話も多少予定調和的すぎたかもしれないが、当時の風俗が新たな視点で描写されているのは面白かった。

タイトル・インデックスへ

【ハゲタカ】三星半

録画してあったドラマを一応全部見てから見に行った。これは完全にドラマありきだが、映画館の大画面だと、セリフ中心の情報の羅列は思った以上に響かない気もする。敢えて映画にするのなら、ドラマ以上でも以下でもないようなものにしなくても。天下のNHKにはもうちょっと独自の見識があるかと思っていたのだが。

タイトル・インデックスへ

【HACHI 約束の犬】三つ星

ラッセ・ハルストレムが監督をしてたからうっかり見に行ってしまったのよね……。ハチの自主性に任せすぎで放置し過ぎでは ? という点はお国柄の違いかもしれないから目をつぶるとしても、ハリウッド映画とは思えないほど淡々とし過ぎで抑揚がなさ過ぎる展開はどうしたものか。まさかやっつけ仕事 ? とは思いたくはないんだけど。

タイトル・インデックスへ

【パッセンジャーズ】二つ星

誰だよ、これをサスペンスだとか言ってた奴ぁ。私の定義じゃこりゃファンタジーで、しかもすごくよくあるタイプのネタ。終盤で、まさかそっちに話が帰結しちゃうの ? で本当にそうなってしまって唖然とした。平々凡々を絵に描いたような出来。ロドリゴ・ガルシア監督の映画を見るのはこれで打ち止めにしよう。

タイトル・インデックスへ

【母なる証明】四星半

伏線の張り方とかハンパなく上手い。鉄壁のサスペンスなんだけど、メインテーマはあくまでも、狂気に近いほどの母の愛なんだよね。韓国の国民的お母さん女優であるというキム・ヘジャさんの存在感もさることながら、兵役後のキャリアの再スタートとなったウォンビンさんもミステリアスな存在感が増し、演技の幅を見せつける。今、世界中で、作品としてこれだけ完璧なものを創れる人が何人いるか。ポン・ジュノ監督は、現役監督では世界のトップ5に入ると言っても過言ではないのではないだろうか。

タイトル・インデックスへ

【BALLAD 名もなき恋のうた】三星半

【クレヨンしんちゃん】の原作アニメは見ていないのだが、アニメでは成立しても実写になると難しいと感じられる部分がたくさんあったように思われるのが残念。【ALWAYS 三丁目の夕日】の山崎貴監督作には今まで外れが無く、今回も実写ならではの工夫とかも当然なさっているんだろうけど、総じて実写化する必然性があったのかどうか疑問を感じる。ただ、アニメのキャラに血肉を通わせてちゃんと戦国武将に見える草なぎ君の役者としてのポテンシャルはやっぱり凄いなーと思った。

タイトル・インデックスへ

【ハリー・ポッターと謎のプリンス】四つ星

ラストに向けて大分ストーリーがまとまってきたかな ?

タイトル・インデックスへ

【パリ・オペラ座のすべて】四つ星

世界で最も高名なドキュメンタリー作家の一人であるフレデリック・ワイズマン監督の描くパリ・オペラ座。バレエみたいな純粋芸術を維持するのって、お金もそうだけど高邁な理想が必要。皆がその理想に向かって動く姿って凄いです。

タイトル・インデックスへ

【ハルフウェイ】四星半

東京の大学に行きたい彼氏に対して彼女がゴネる、とストーリーにしてしまえば本当にそれだけの話。でも、絵に描いたようにあんまりにも可愛い北野きいちゃんと、絵に描いたようにあんまりにもカッコイイ岡田将生くんの、お互いのことを本当に好きな気持ちが理想的なまでに純粋に描かれていて、この切り取り方は、撮ろうと思っても実はそうそう撮れるもんじゃないんじゃないかと思うのだ。こんな麗しい10代を過ごしてみたかったものである。

タイトル・インデックスへ

【悲夢】三星半

夢を見るとその夢で他の人が行動してしまう ? どうして ? ……そこは置いとくとしても、キム・ギドク監督の映画にはどうして、自分の都合ばかりをヒステリックに振りかざす自己中な女の人しか出てこないんだろう……げんなり。

タイトル・インデックスへ

【フィッシュストーリー】四つ星

"フィッシュストーリー"とは"ほら話"のこと。いくつかのお話が最後に1本の壮大な"ほら話"になる構成が見事で、これは中村義洋監督を誉めずにいられない。また、伊藤淳史さん、高良健吾さん、渋川清彦さん、多部未華子さん、濱田岳さん、大森南朋さんといったキャストも何気に大変贅沢で、伊藤淳史さんの彼女役の江口のりこさんなどにも今後注目したいのだが、特に森山未來さんはアクションもイケる !! という点は声を大にして言っておきたい。

タイトル・インデックスへ

【プール】二星半

小林聡美にもたいまさこに加瀬亮と、【かもめ食堂】や【めがね】と出演者は似ているんだけど、まるでこの二作からきっちりユーモアだけを取り去ったみたいだ。なんか知らないが、これがいわゆる"ロハス"的なものなんだろうか。あいにく、田舎でのんびりオーガニックしてれば救われるという信仰を、そもそも信じてないのよね~。

タイトル・インデックスへ

【副王家の一族】三星半

19世紀半ばのシチリアの貴族の話。嫌っていた父親みたいな人間に自分もなってしまうという息子には何で ? としか言いようがないのだが、歴史大河ドラマにそんなこと言ってもしょうがないわよねぇ。

タイトル・インデックスへ

【PLASTIC CITY プラスティック・シティ】三星半

同じブラジルの貧民街を撮っていても、いかにも静かなる中国人(ユー・リクウァイ監督)が作ったっぽくて、例えば【シティ・オブ・ゴッド】なんかとは根っこに流れるビート感が全然違う。(そういえば昔、この監督の映画を見て寝そうになったような……。)アンソニー・ウォンやオダギリジョーの演技は好きだっだけど、取って付けたようなギャング話には、正直ついていくのがしんどかったかも。

タイトル・インデックスへ

【ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない】三星半

必死で働き通した先にだけ見えてくるものがある。その職業倫理は正しいと思うけど、でも労働基準法無視したブラック会社は社会的に駆逐せねばならんよね。そこのところはやっぱり働く人達の側に寄った展開を見せて欲しかったような気がする。ニート状態から一念発起して一生懸命働く小池徹平くんの姿はよかったんだけどね。

タイトル・インデックスへ

【フロスト×ニクソン】四つ星

ニクソン大統領って漠然と悪いイメージしかなかったのだが、良くも悪くも、信念を持って政治をやっていたのかなという気はした。今の政治家に、とにかく何かをやりとげなければならないというタフさや知恵や使命感や熱量があるだろうか。いや、だからって犯罪行為は困るけど。

タイトル・インデックスへ

【ヘブンズ・ドア】三つ星

以前、元ネタのドイツ版を見た時もだから何 ? という感じだったが、更に年取ったせいなのか、設定が無理だなぁと思ってしまう箇所が多く、感情的に入って行けなかった気がする。長瀬智也さんの迫真の演技は嫌いじゃなかったんだけど、マンガチックな設定の上で少し上滑りしてしまったかもしれない。

タイトル・インデックスへ

【ベルサイユの子】三星半

ベルサイユの森には本当に住み着いている人達がいるらしい。本作はその辺りをモチーフにしているらしいのだが、あの子供もどうも好みじゃないし、話の運びも終わり方もどうも中途半端な印象。ギョーム・ドパルデューの遺作じゃなければ観に行かなかったかもしれないが、しかし、本当に惜しい人を亡くしてしまって残念だ。合掌。

タイトル・インデックスへ

【ベンジャミン・バトン 数奇な人生】四つ星

老人として生まれてどんどん若返っていく、という奇矯な設定なはずだけど、ブラピ演じるベンジャミンが人生のそれぞれの時期に出会う人達との関わりが丁寧に描かれているので、普通に質の良い人間ドラマを観ている感覚だ。デビッド・フィンチャー監督は、こういう映画は初めてなのではないかと思うが、ちゃんと出来てしまうあたりがやっぱり達者な人だ。個人的には、ある箇所で、別に"ちゃんとした"パパじゃなくていいし、何か方法を探してその人との関係を全うしてくれた方が嬉しかったかなぁと思った。

タイトル・インデックスへ

【ポー川のひかり】四つ星

イタリア映画界の巨匠、エルマンノ・オルミ監督が最後の長編劇映画として創った作品。ポー川のほとりに住み着く大学教授は、周囲に住む人々からキリストさんと呼ばれる。細かいニュアンスはよく分からないが、人生を豊かに楽しむことが肝心なことだと言っているような気がする。

タイトル・インデックスへ

【ホノカアボーイ】三星半

水平線 ! 地平線 ! 美しい景色!美味しそうな食べ物!永遠に何も変わらないような小さな町に、人が自然に居ついては自然に旅立っていき、ここで過ごした時間があることはきっと一生の宝物になるんだろう。という一歩間違えば嘘臭くてしょうがなくなる世界を非常にナチュラルに創り上げているのはなかなか素晴らしいと思うし、このゆったりした雰囲気は好きっちゃ好きなのだが、ちょっと抑揚に欠けていて物足りないとも言える。ただ、岡田将生くんという俳優の素の魅力を楽しむにはいいのかもしれない。

タイトル・インデックスへ

【ボルト】三星半

テレビの世界の設定のままに自分に特殊能力があると信じるタレント犬が現実に目覚めるCGアニメ。子犬と少女との友情物語としても、ショウビズ界への皮肉としても、なかなか秀逸な脚本だと思う。

タイトル・インデックスへ

【湖のほとりで】四つ星

湖のほとりの小さな村で起こった殺人事件にはある秘密が……。でもその秘密の謎解きよりも、何層にも重なった人間ドラマとして観る方が正しいと思う。アンドレア・モライヨーリ監督はかのナンニ・モレッティ監督の弟子筋なのだそうが、久々にヨーロッパ映画らしい厚みのある作品をがっつり観た感じがする。

タイトル・インデックスへ

【南の島のフリムン】三星半

本作の監督をしたガレッジセールのゴリさんは、照屋林助さんの実のお孫さんというビックリな出自(そしてりんけんバンドの照屋林賢さんの実の甥なのだそうな)からすると、【ウンタマギルー】とか【パイナップル・ツアーズ】を見ててもおかしくないと思うし、実際、この映画には"沖縄映画"(と括ってしまっていいのかどうかは分からないが)の系譜に連なるようなゆったりとしたハッピーなバカバカしさの遺伝子を感じる。この味わいは、テンポの悪さやくだらなさと受け取られてしまう危険性と紙一重かもしれないが、そこはもっと表現力に磨きを掛けて、有無を言わせないくらいに力をつけて、またいつか是非とも次回作を手掛けて戴きたいと思う。

タイトル・インデックスへ

【ミルク】四つ星

アメリカでゲイを公言しつつ初めて要職に就いたハーヴェイ・ミルク氏の業績については1984年製作のドキュメンタリーを観た方が分かりやすいと思うが、これを、当時の風俗を内側から描写しゲイ・テイストを更に強めた物語としてガス・ヴァン・サント監督が喜々として撮っているのが何か楽しそうだった。ショーン・ペンは、【フィラデルフィア】のトム・ハンクスと違ってちゃんとゲイに見えたのがさすがである。

タイトル・インデックスへ

【MW -ムウ-】三つ星

手塚治虫先生の『MW -ムウ-』が映画化されると聞いた時には悪い予感がしたものだが、まぁ本当に大体予想した通りの感じの作品になってしまっていたのには失笑するしかなかった。原作をそのまま映像化する必要はないとは思うが、あの二人は一つの存在の表と裏なのであって、この二人の二人の同性愛関係を取り去って切り離し単なる善玉と悪玉に落とし込んでしまうのでは何の意味も無い。単なる商売として考えてみたってだな、玉木宏と山田孝之に濃厚なキスシーンの一つでも演じさせれば、その話題性だけで観客動員ハネ上がったでしょうよ。たかだかその程度のリスクを背負わずに、これだけの可能性がある作品をよくあるコンテンツとやらの1つとして単なるアクション映画に貶めてしまう感性は、私にはさっぱり分からない。
過去の作品を売り飛ばしてお金に換えたい人々。芸能プロダクションやメディアという集金マシーンを回し続けるために何でもいいから適当な器が欲しい人々。そういう人々の都合でショウビズ界が回っているのは仕方がないことなのかもしれない。でもそれならばせめて、全身全霊で仕掛けをこしらえて見る側に勝負を挑めと言いたい。そちらの都合優先の小手先の小細工にいちいち付き合っていられるほど、私達は暇ではないのだ。

タイトル・インデックスへ

【モンスターVSエイリアン】四つ星

何故か巨大化してしまったヒロインなど、規格から外れてしまったことでモンスター扱いされるはみ出しもの達が集まって、エイリアンに立ち向かう。この脚本はなかなか練られてて皮肉もあって面白い。この作品、日本でももっと話題になっていてもよかったと思う。

タイトル・インデックスへ

【ヤッターマン】三星半

ハリウッドなんぞで訳の分からないリメイクをされるよりは、とりあえず日本人にリメイクしてもらう方がマシだっただろうか。しかし、関係者各位様の過剰な愛と思い入れが、お金儲けをしたい人達の過剰な欲望と混ざり合って、混沌として訳がわからなくなっているみたい。若い人はこれを見て本当に面白いのかな…… ? 櫻井くんや深キョンはよかったけれど、私の中で『ヤッターマン』はやっぱり旧作のアニメで完結している作品だと再認識しただけだったかもしれない。

タイトル・インデックスへ

【屋根裏のポムネンカ】四つ星

チェコの有名人形アニメ作家のイジー・バルタ監督による作品。可愛い夢の世界。それでいい感じ。

タイトル・インデックスへ

【山形スクリーム】三星半

竹中直人さんも監督としてもう6作目か。もっと悪ふざけかと思って警戒していたが、一見くだらないと思われた平家の落武者のお化け話が、案外ちゃんと笑えて面白かった。でもやっぱり成海璃子さんの演技がどうしても好きになれ……いやいや。

タイトル・インデックスへ

【蘇りの血】二星半

古代の世界で蘇りがどうとかって全然興味が掻き立てられず、結果、勢いと音響で押し切られた感が……。自分にとっては、豊田利晃監督作で一番内面に響いてこない作品だったかもしれない。

タイトル・インデックスへ

【余命】三星半

自分はいつか死ぬだけだけど、子供には未来があるから、癌の治療を遅らせてでも出産を選択したヒロインの気持ちはよく分かる。で、自分の生命と引き換えにすることに反対するであろう夫を遠ざけようとしたところまではまぁ分からんでもない。でも、そうしておきながら夫が帰ってこない、とかいっていじける辺りになってくるとよく分からなくなってくる。で、出産終わったら少しでも長生きするために出来る治療をさっさと受けるのが子供への責任てものじゃないのかな。結局、涙をふり搾るのだけが目的だから、ストーリーの多少の矛盾には目をつぶれってことですか ? そのちょっとした齟齬が、映画を語り継がれる名作とそうでないものに分けるんじゃないだろうか。

タイトル・インデックスへ

【余命1ヶ月の花嫁】四つ星

限りある命を精一杯生きることの大切さ、なんて文字にすると誠に嘘臭いが、この凡百のお涙頂戴ものに堕す危険性大の素材に、瑛太さんと榮倉奈々さんらの役者さんも、廣木隆一監督らのスタッフ陣も真正面から堂々と取り組み、目指すところの「静謐で力強い映画」に仕上がっているのが素晴らしい。個人的には、榮倉さんのお父さん役の柄本明さんが瑛太さんに「ありがとう」と言うシーンが泣けて仕方なかった。

タイトル・インデックスへ

【ライアン・ラーキン 路上に咲いたアニメーション】四つ星

おそらくあまりに天才が過ぎ、一般社会やショウビズの世界で図太く生きていくには感受性が鋭すぎて自ら路上生活者となってしまった、伝説的短編アニメーション作家の作品集。60年代にこんな凄いアニメーターがいたことを知らなかった不明を恥じたいが、曲がりなりにも、こうした作品群に触れる機会があってよかった。

タイトル・インデックスへ

【ラッシュライフ】三つ星

昨今はやりの伊坂幸太郎さんの作品を、芸大の映像研究科がオムニバスにしたんだそうだ。悪くない箇所もあるけれど、全体的にはテンポ感がなくて弾まないシーンが多かったかも。やっぱりプロとしての水準に持っていくのは簡単なことじゃないんだよな。

タイトル・インデックスへ

【ララピポ】三つ星

中島哲也さんが脚本ということだが、中島さんが撮ったらどんなだったかなぁ……とどうしても考えてしまった。撮り方によっては都会に住むa lot of peopleの様々な思いを消化したようなクールな作品になったのかもしれないが、中途半端な戯画化に終わってしまったありがちな出来の印象しか残らなかった。

タイトル・インデックスへ

【リミッツ・オブ・コントロール】四つ星

謎の任務を遂行する謎の男 ? これは寓話的なお話…なのかな ? ジャームッシュ監督は相変わらずなお人だ。なんか妙に面白かったけど。

タイトル・インデックスへ

【レイチェルの結婚】四つ星

姉のレイチェルの結婚式に招待されたヒロインのキムは、実は普段は麻薬中毒の更生施設に住んでいる。彼女の疎外感や、家族も含め他人と上手く距離が取れない感じが痛ましいが、それでも何とか希望を見いだせるようなラストにちょっとだけ救われる。ジョナサン・デミ監督の人間描写の繊細さが圧巻。最近は作品が日本未公開になることも増えてしまったが、やっぱりこの人は名監督だなぁ。

タイトル・インデックスへ

【レスラー】四星半

好き放題やってきた人生のツケで概ね自業自得って言ったって、悲し過ぎる。ちょっと崩れた風貌のナチュラル・ボーン・アクター、ミッキー・ロークが日の当たらない場末のレスラーにぴったり。こういう作品をきっちり創れるのを見ると、ダーレン・アロノフスキー監督はやっぱり才能あったんかなぁと思う。

タイトル・インデックスへ

【レッドクリフ Part II】四星半

魅力的なキャラクター、わくわくするストーリー。エンターテイメントを熟知するジョン・ウー監督がこれでもかとツボを押しまくり、見事に結実する。『三国志』は膨大すぎて私のような素人にはどこから手を着けていいのか分からんかったが、本作は何かしらきっかけを与えてくれそうな気がする。

タイトル・インデックスへ

【レボリューショナリーロード 燃え尽きるまで】四つ星

ディカプリオくんの演じる旦那がどれだけ頑張っても、ケイト・ウィンスレットの演じるヒロインは、フォーマット化された発展性のない生活の"こう在りたかった自分"との解離に絶望してしまう。ちょっと極端なのかもしれないけれど、結婚してみると「思ってたんと違う ! 」(笑い飯風に)というのはままあることなのかもしれない。結婚って難しいものだなぁ……ってしてない人間が言うのも何だけど。しかし、結婚生活のメンタルな絶望を微に入り細を穿ち描く映画って、作品としては大変よくできていても観ていてもあまりシアワセにはなれないかもしれないし、ウディ・アレン&ミア・ファローしかりトム・クルーズ&ニコール・キッドマンしかりで得てして創っている人達の心情を反映しているものだったりするんだよなぁ……と思ってたら、ケイト・ウィンスレットとサム・メンデス監督、本当に離婚しちゃったじゃないの。

タイトル・インデックスへ

【ロックンローラ】四つ星

ガイ・リッチー監督、ようやっとあの【ロック、ストック……】や【スナッチ】の名調子が戻ってきた♪この映画を観てると、彼の映画監督としての才能はやっぱり段違いだと改めて感じさせられたが、同時に、彼がどうして離婚したのかもなんか分かってしまった気もした……。しかしこの作品、公式HP一つをとっても本当にひどいもので、せめてガイ・リッチー監督の世界観をもう少しでも好きな人達が配給すればもう少し小マシな興行成績になったんじゃないだろうか ? と真剣に思わざるを得なかった。

タイトル・インデックスへ

【ロルナの祈り】四星半

ヒロインがこんな麻薬中毒患者にほだされてしまうのが、観ていると納得できてしまう描写力。人間の絶望的状況を描きながら、同時に人間同士の繋がりも描き、その中に希望が込められているのがダルテンヌ兄弟の真骨頂。ヒロインに幸あれと祈らずにいられない。

タイトル・インデックスへ

【倫敦から来た男】三星半

ハンガリーのタル・ベーラ監督の新作。引っ越し後に久々に見た映画だったのだが、このモノクロームのスローペースな作風が、リハビリには丁度よかったかな。

タイトル・インデックスへ

【わたし出すわ】三星半

このタイトルはあみんのパロディか何か ? お金に右往左往する人間にまつわる様々な側面を描きたかったのかもしれないが、ポンとやってきてポンと大金をくれる女っちゅう、そのあり得ない設定に殺意を覚えるんだが……森田芳光監督ってお金に苦労したことないんじゃないの ?

タイトル・インデックスへ

【私の中のあなた】四つ星

白血病の姉のドナーにされるのが嫌だからと訴訟を起こす妹(アビゲイル・ブレスリン)。家庭内の行き違いがいきなり訴訟沙汰になってしまうのはアメリカらしいと思ったが、真相はまた別のところにあった。非常識なまでの手段を取ってでも何としても娘の病気を治したいお母さん(キャメロン・ディアス)と、それぞれの家族との思いはなかなか一致しないが、お互いを思いやりながらやがて一つの理解に至る過程が抑制を効かせたタッチで過不足なく描かれている。さすがはカサヴェデスJr.。

タイトル・インデックスへ

【笑う警官】二つ星

警察の暗部を暴きたいとか言っていた角川春樹監督は一体何を見せてくれるのかと思ってたが、主役の大森南朋さんがカッコつけすぎで、サックスなんぞまで吹き始めた日にはもうギャグでしかなかった。うーむ、一言で言うと、角川さんってナルシストってことになるのかな……。

タイトル・インデックスへ

【ワンダーラスト】三星半

マドンナの初監督作なんだそうで、原題は「Filth and Wisdom」、劇中では「悪徳と知恵」って訳してたけど悪徳やら堕落やら言うほどかなぁ……みんなマジメで可愛いもんじゃん。画面にはちょっと古めかしい独特なテイストがあって、全く退屈ってこともないけれど、筋立てとかは存外普通かなぁという気もした。悪いけれども、映画監督としての才能はやっぱり元夫君のガイ・リッチー監督の方がありますよ、ええ。

タイトル・インデックスへ

【ONE PIECE FILM Strong World】四つ星

『ワンピース』好きですよ、えぇ。おまけの0巻が欲しかったんですよ、えぇ。原作の尾田栄一郎先生が自ら脚本を書いたというだけあって、歴代の映画版の中でも突出した見応えでした。歴代の映画版 ? スカパー全部チェックしたんですよ、えぇ。

タイトル・インデックスへ

ご意見・ご感想はこちらまで


もとのページへもどる   もくじのページへもどる