Back Numbers : No.5~よもやま話



Should I Stay Or Should I Go ?

(世間で言うところのゴールデン・ウィークも終わった、五月のある日のこと。)

う : わーい、やっと休みがもらえるぅ。
ぴ : ほー、この時期にお休みですかい。いいわねー。
う : 何をゆーとるんだ。人が必死こいて働いてるゴールデン・ウィーク中、ずっと休んでたくせに。
ぴ : そんなこともありましたかいなぁ(そらとぼける)。だって私だってゴールデン・ウィーク前は心身ともにへろへろで、もうここで休まないことには働き続けられるよーな状態じゃなかったんだもん。それにお休みだってゆっても、半分以上は映画関連でつぶれちゃったし、他の日だって休養を取ったり何なりで、結局他のことなんかあんまり何も出来ないうちに、あっちゅーまに終わっちゃったわよん。
う : まぁねぇ……私も旅行に行って、後は1日ずつ美術館と映画に行って終わりか。ねーねー、今映画に行くとしたらどれがいいかなぁ ?
ぴ : そうねぇ、今ロードショー公開してるやつなら、一番のオススメは【奇跡の海】で、二番が【コーカサスの虜】、三番が【グレイス・オブ・マイ・ハート】ってとこかな ? あ、でも【フープ・ドリームス】なんかも外せないなぁ。ところであんた、いっつも体がしんどいしんどい言って目の下真っ黒にしてるくせに、そんな一日の寝て過ごす日もないよーなハードスケジュールで大丈夫なの !?
う : でへへ、分かんないー。
ぴ : ホントに大丈夫かいな……まぁ分かんないでもないけどさぁ。お休みったって限られてるし、勢いあれもこれもしたくなると。
う : 平生はそれこそほんとに疲れてて何にもできないし……。寝ていたいのもやまやまだけど、やっぱり気分転換もしてないと、精神的に腐っちゃうしなー。
ぴ : そーだよね。私も、映画だけはある程度ちゃんと観てないと、禁断症状が出てくるんだよなぁ……。
う : ジャンキーですか、あーたは。
ぴ : 映画のせいで、一般的に推奨されるようなごくまともな社会生活を送るのが難しくなってる、ってことを考えたら、確かにジャンキーかもしれないよな。シネ・ジャンキー。わはは、確かに。
う : わははってねぇ……しかし“まともな生活”って、その“まとも”って言葉がいやだなぁ。何をどういう基準をもって“まとも”と判断すんのよ ?
ぴ : この場合は当然、いかに世間から求められるしゃらりーまん生活に迎合……いやいや、適合してるかってことだな。朝はだるくても無理矢理起きてー、地獄のような通勤ラッシュをくぐり抜けてー、
う : 人間関係クリアしてー、イヤなおぢさん我慢してー、嫌な仕事も我慢してー、
ぴ : でも結局さぁ、正社員として勤務していると会社勤め以外の他のことができるような余裕がほとんどなくなってしまう、っていうところがなんたって極めつけかもしれないよなー、しゃらりーまん生活の耐えられない点って。
う : うんうん。それはとっても大きい。まぁ、自分に本当に合った仕事や好きな仕事をしていればまだ問題は少ないのかもしれないし、個人の時間の使い方っていう問題もあるのかもしれないけどさ、
ぴ : でもそれ以前に、日本の場合は、どうも明らかに構造的な欠陥があるわよねー。何でもお仕事の部分を中心に発想していかないとついていけない、っていうように社会のシステムが出来上がっちゃっていて、それについていけないっていうことが要するに“まとも”じゃないと判断されると。
う : 日々せいかつしてると、日本って国はほんとに隅々までそういう発想で動いてるよなぁ、って感じるよねー。
ぴ : そう。例えば、よく“アフタースクール”とか“余暇の使い方”とか言っても、結局、それが仕事をする上でどう有利になるのか、役立つのか、って発想からの話にしかなっていないことがよくあったりしてねー。
う : そうそう。最近の大学生が前よりよく勉強するようになった、とかいう記事なんか最近たまに出てるけど、それが要するに、就職の時にどう得になるか、っていう話でしかなかったりするのね。アメリカ型のビジネススクールのような大学に行ってるとかならともかくさぁ、大学は大学で別にお勉強することがあるじゃないのねぇ。
ぴ : 仕事や単なる息抜きのためだけの勉強や習い事や趣味、じゃなくて、全く別の価値観の流れが存在しているし、そのこと自体を知ることに意味があるんだ、という発想があんまりないかのようだよねぇ。そんなものがあること自体を知らないみたいだと言うか。
う : 知る余裕すらないことも、実はよくあったりして。
ぴ : 何か前に読んだ本とかにあったんだけど、要するに、「民衆に余計なことを考えるヒマを与えるな ! 」っていう発想が歴史的に常にお上にあって、全てがその発想で作り上げられちゃってるってヤツ ? その方が支配がしやすいからってことで。
う : げろげろ。
ぴ : 今までだったらそれをゴリ押しても何とかやっていけてたのかもしれないけどさぁ、もうそういった考えは通用しなくなってきている、というのはいろんな場面ではっきり見えてきてるんだから。せめて、いろんな価値観があるんだってことを認めた上で、その中から次世代にも通用するような発想を見つけていけるようにしていかないと、どのみちこの国にはあんまり将来はないんじゃないのかねぇ。
う : 将来なんかなくったってどうでもいいと思ってるんじゃないの ? この国のエラい人たちは。てなところでおあとがよろしいようで。
ぴ : ああぁ、何かこう、日々違ったものをお勉強して考えてる余裕が欲しいよわねぇ……、つくづく。
う : そーだねぇ。でもそういう願望ってよく、現実逃避って言われるんだよね。
ぴ : 何て呼ばれたっていーわよ、この際。どうせこの先、“まとも”に生きていける見込みなんてほとんどない訳でしょ ? 私らには。
う : それは言えてるんだけどさ……あーあ、生活資金を稼ぐのにあくせくしなくったって生きていける方法って、何かないものかなぁ ?
ぴ : って、仙人じゃないんだからさぁ。それに、そんなこと、百万人がそう思ってるって。
う : そりゃぁそぉなんだけどさぁ。

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