Back Numbers : No.9~What else ?



日本の短編アニメーションの明日はどっちだ !!

去る9/12~14、恵比寿の東京都写真美術館の映像ホールでInto Animation'97という日本アニメーション協会が主催するイベントがあり、は14日のDプログラムとEプログラムを観に行って参りました。
アニメーションと言うと一般的に、主に劇場公開やTV放映用に作られる長編のセル・アニメーションのことを思い浮かべがちなのですが、実は一口にアニメーションと言っても、人形や切り絵などを使ってコマ撮り撮影するような形式のものから、果ては全てコンピュータを使って製作するようなものまで、実にいろいろな種類のものがあります。特に短編アニメーションでは、長編のものよりも更に実験的な試みをしてみたり仕掛けに凝ってみたりするといったようなことが出来る場合も多いので、これまでの認識を覆すような未知の映像体験に出会える可能性も高いと言えるのではないでしょうか。東京でも今まで、例えば旧ソ連やヨーロッパなどの短編アニメーションの大変質の高いものがいくつか公開されていて、もものすごくファンだった筈なのですが、何故か短編アニメーションというと外国の作家の作品という認識が出来上がってしまっていて、今まで国内の作家の存在を意識したことは、正直言ってあまりなかったのでした。そんな中で今回のイベントは、日本の現役の短編アニメーション作家の皆様の存在を意識する上で、非常に貴重な機会となりました。
まず率直に驚いたのが、日本にはこんなに多くのアニメーション作家が御活躍なさっているのだということ。(今回のイベントでは40組以上の作家の作品が上映されています。)更に、これらの作品の中にはTVのCFやスポット番組などで目にしたことがあるものも多いということ。普段それらをアニメーション作品として意識することがあまりなかったのですが、言われてみれば、これらの一つ一つがみんな、アニメーション作家の方々が創った貴重な作品だったのですね。
立ち見でも入れない人がいる程の会場の盛況ぶりにも驚きました。会場もあまり大きくなく、関係者の方々も多数いらっしゃたようなのですが、それだけでは到底説明できない混雑ぶり、熱狂ぶりで、今回のような機会がどれだけ期待されているかが如実に表れていました。今回はいかにも手作りイベントといった感じでしたし、舞台に上がる作家の皆様のお顔なども間近に拝見できて良かったのですが、次回は是非とももう少し大きな会場で開催して戴きたいですよね。今回の上映作品はTVなどで使用されていたものも多かった関係で、権利関係を全てクリアするのが難しかったので入場無料ということになったようなのですが、これだけの作品を見せて戴いた方としては、これがタダなんて……というような気持ちになりました。なんとか会場の費用などの運営費を捻出する分くらいは入場料を取って戴く方策はないものかと思います。
作品に関して言えば、はただ素直に可愛かったりするものよりは、ちょっと毒があるものの方が好きだったかもしれません。毒というのはきっと、平穏無事な日常を揺るがすような驚きがそこに込められていること、あるいは批評性のこと。日本アニメーション協会の初代会長だったという手塚治虫氏(今回もトリビュート上映なども企画されていました)も、自らの表現を決して人畜無害なものにはなさらなかった方だったと記憶しています。このような世相だと、毒を盛る対象もなかなか見えにくい部分もあるのかもしれませんが、はどうしてもそのような作品を期待する傾向があるようです。
とまれ、今回はいろいろなタイプの作品を観ることが出来て楽しかったですし、国内のアニメーション作家の活動を一般にもっともっとアピールして戴く上でも、このような催しはとても重要なものだと思いました。来年以降も、是非とも定期的に続けていって欲しいです。


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