Back Numbers : No.25~雑想ノート



うーぴーの選ぶ`98ベスト20映画

年の始めのお約束(?)、昨年度のベスト映画を今年も選んでみたいと思います。はあまり本数を見ていないということで、今年もによる選出のみになりましたことを御了承下さい。
年間のベスト映画を選ぶのは、去年はどんな映画を観たのかを再確認する意味ではとても楽しい作業なのですが、どの映画を選ぶのかにはいつも死ぬほど頭を悩ませてしまいます。で、昨年はいつも以上に本ー当にいい作品が目白押しだったので(って毎年言っているような気もしますが)、どうにも作品数を絞りきることが出来ませんでした。ということで、今回はベスト20に加え、他の賞なんぞも幾つか選出してみました。
今回は特に、作品の完成度の高さに加えてどれだけ個人の心の琴線に触れるものがあったか、ということをかなり重視して選んでみました。いつものことと言えばそうなのですが、ここに選ばれた作品を皆様が御覧になった場合の評価や順位の付け方などはまたかなり違ったものになる筈だということは、予めお含みおき戴ければ幸いです。


1位の【バタフライ・キス】は、自分の中ではちょっとあまりにも別格の映画になってしまいましたが、以下の8位くらいまでの作品は、全てそのままオールタイム・ベストに入れてしまいたいくらい本当にクオリティの高いものばかりです。
11位以下の順位は本当に微妙なので、差はほとんどないと考えて戴いてもよろしいかと思います。17位の【汚れた女】はポルノ四天王の一人と称される瀬々敬久監督の作品でユーロスペースでレイトショー公開されたものですが(さしもの私も一般のポルノ映画館に一人で行く根性はありませんで……)、この映画に描き出された荒涼とした心象風景は非常に印象深く、これは是が非でも入れておきたいと考えました。性描写などはさすがにかなりハードではありますが、しかしあまりにも凄絶なタッチなので、これでいやらしい気分になるのはかなり難しいのではないでしょうか(笑)。20位の【のら猫の日記】も同じくユーロスペースのレイトショーで、これも知っている人があまりたくさんはいなさそうな映画なのですが、テーマ的にとにかく非常に印象に残ってしまった作品だったので、敢えて選ばさせて戴きました。
次点の3作品はもっと上位でもよさそうなものばかりなのですが、既にたくさんの人に評価されている作品だから敢えて私が選ぶこともなかろうということで、今回はちょっと外して他の作品にチャートを譲ってみました。【カンゾー先生】や【桜桃の味】は、監督が“巨匠”と呼ばれるような存在になって幾星霜の今でも全く衰えない瑞々しさがあるところが特に素晴らしいと思います。
ドキュメンタリー大賞などと名付けてみた2作品は、ベスト10に入れてもいいくらいのクオリティや力強さのある作品なのですが、ドキュメンタリーといわゆる商業映画は単純に比較するのが難しいだろうということと、チャートに他の作品も入れたいと思ったのとで、今回はちょっと別な枠を設けてみました。
期待賞は、他に印象に残った作品の中で、まだ作品数の多くない監督さんや特にこれからが期待できそうな監督さんの作品を10本ばかり集めてみました。【アンドロメディア】は入れようかどうしようか少し迷ったのですが……作品が印象に残っていると言えば(ある意味)そうで、監督さんにはこれから更に期待できそうなのは間違いないからまぁいいか、ということで(笑)。
【血を吸うカメラ】はリバイバルなので、これも新作と直接比較するのは難しいのではないかということで特別賞ということに致しました。他に【キングダム】などもどうしようかとかなり悩んだのですが、まだシリーズの途中なので、今年以降に発表されるであろう完結編の方に期待を寄せたいということで、今回は見送りということにさせて戴きました。
今年も他にも印象深い作品が山のようにありましたが、あんまりやっているときりがなくなってくるので、そろそろこの辺りで割愛させて戴くことに致します。そういえば、例の大きいお船の映画はどうしたって ? セリーヌ・ディオンの歌うあのフレーズを聞き飽きて、さしもの私もいい加減本気で嫌になってきたので、もーいいだろうということで今回のチャートからは外させて戴くことに致しました !

昨年、淀川長治さんが亡くなった時に、映画を観る人の力、ということを非常に痛感してしまうことになりました。勿論映画は、それを創る人や売る人がいないことにはそもそも存在し得ないものではありますが、観る人がいないことには決して成立し得ないものでもあろうと思います。そして、映画史の歩みとほとんど期を同じくしてずっと映画を見続けていらっしゃった淀川さんのような方の、一途に映画を愛する心がこの世のどこかに存在することを知っていればこそ、私達は映画なるものに対して変わらぬ信頼や安心感を抱き続けることが出来たのではないかと、淀川さんがいらっしゃらなくなった今こそ、強く思われてなりません。
淀川さんがいらっしゃらなくなってしまった心細さというものは覆うべくもありませんし、誰一人、決して淀川さんの代わりになれる人はいません。ただ、私も映画狂いの人間の一人として、淀川さんが映画を愛した心の何十分の一かでも受け継いでいきたい、全ての映画ファンや淀川さんのファンの人達と共にそうしていかなければならないのだと感じています。
淀川さんの御冥福を謹んで心よりお祈り致します。


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