Back Numbers : No.54~雑想ノート
うーぴーの選ぶ`01ベスト20映画
【2001年度ベスト20】
1.【今日から始まる】
2.【アメリ】
3.【ディスタンス】
4.【メメント】
5.【スナッチ】
6.【ELECTRIC DRAGON 80000V】
7.【千と千尋の神隠し】
8.【ギター弾きの恋】
9.【アカシアの道】
10.【A.I.】
11.【EUREKA<ユリイカ>】
12.【リリイ・シュシュのすべて】
13.【オー・ブラザー ! 】
14.【トラフィック】
15.【レクイエム・フォー・ドリーム】
16.【LIES/嘘】
17.【ターン】
18.【ウォーターボーイズ】
19.【セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ】
20.【渦】
20.【ギフト】
20.【ゴーストワールド】
20.【ガールファイト】
(次点)
【彼女を見ればわかること】
【光の雨】
【各賞】
- 新人監督賞(もしくは、【Go】は本当は彼に監督してほしかったで賞)
……【青 chong】の李相日(リ・サンイル)監督
- アニメーション大賞
……【チキンラン】【《チェブラーシカ》】
【ラマになった王様】
- フロンティア・スピリッツ大賞
……【ファイナルファンタジー】
- SF大賞
……【UFO少年アブドラジャン】
【ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃】
- マルチ・ストラクチャー大賞
……【パズル】【RUSH ! 】
- タイムカプセル大賞
……【DOWNTOWN81】
- アホは国境を越えてとうとうNYにまで行ってしまったで賞
……【リムジンドライブ】
- tokyo atmosphere 大賞
……【Stereo Future】【東京マリーゴールド】
- エクセレントドラマ大賞
……【ムッシュ・カステラの恋】
- トライアングル大賞
……【バンディッツ】【僕たちのアナ・バナナ】
- ヒロインがいっぱい大賞
……【ゴシップ】
- いつまでたっても根無し草大賞
……【ハイ・フィデリティ】
- 人類再生産大賞
……【幼なじみ】
- ブラックコメディ大賞
……【青い夢の女】【どつかれてアンダルシア(仮)】
- 身も蓋もないのが暴力ってもので賞
……【ファニーゲーム】
- ドキュメンタリー大賞
……【SELF AND OTHERS】
- mother earth 特別賞
……【地球交響曲 ガイアシンフォニー第四番】
(この映画に賞というのも今更ではありますが……)
最初にコラムを書く時には、映画の好き嫌い以外に作品としての完成度や重厚感といったものもそれなりに加味して星をつけたりするから、翌年明けに年間ベストのリストを作る際には、もとの星の数にはそれほどこだわらずに本当に好みの映画だけを選んで再構成してみることにしている。年々星のつけ方が甘くなっていて連発という事態になっている昨今(好みに合わないと思われる映画はますます見に行かなくなりつつあるので尚更)、筆者の好みの傾向をもっと端的に表すために、こういったリストを作ることにもそれなりに意義があると思われるのだがいかがなものだろう。しかし本年度も見事に色んな方面の映画が入っていて節操がない。見ていて我ながら可笑しくなってくる。
リストの解説を少しだけ。【アメリ】【ディスタンス】【メメント】といった強力ラインナップを退けて【今日から始まる】を1位にしたのは、今の私自身が日頃考えている人生のテーマのようなもの(大袈裟 ?)に何かしら近しいものを感じたから。各賞の方に入れた【幼なじみ】という映画は主人公達の初恋といった部分ばかりが取り沙汰されていたが、実は根本には【今日から…】と通底するテーマがあったように思われたのだがどうだろう。それにしても、最近フランス映画が苦手と公言している割には、今年度はフランス映画のワンツーフィニッシュとなったのは不思議な感じがする。昨年ワンツーだった邦画は今回も検討していて、上位25作品中9作までを占める結果となった。
世間的にはあまり評判のよろしくなかった【A.I.】だが、10位に入れさせて戴いた。私はこの映画のテーマは“存在すること自体につきまとう悲しさ”だと思っているので、一般受けしないというのは致し方のないことなのかなという気はしている。ただ、一応プロフェッショナルを名乗っている物書き関係の人々なんぞの間でも、この映画はとりあえずけなしておいた方がなんかカッコイイみたいな風潮が安易に罷り通っていたのは、どうも釈然としなかった。
フロンティア・スピリッツ大賞なんて肩書きをつけさせて戴いた【ファイナルファンタジー】に関しても、マスコミの扱い方にはフラストレーションを禁じ得なかった。確かに商売上の目算だけを考えるなら、プロデューサーで監督の坂口博信氏は勝ち目のない勝負に挑んだドン・キホーテのようなものだったのかもしれない。しかし、現時点で世界でも間違いなく最先端を行っている技術的な達成のみならず、アメリカで映画を製作し一般の劇場で全国公開するなんて離れ業にチャレンジしてみたこと自体は、もっと評価されて然るべきなのではないだろうか。一度の失敗が徹底的に揶揄され復活の機会がほぼ与えられないのが日本のビジネス風土の問題点だというけれど(本当はビジネスに限らない話なのだが)、他人の失敗をただあざ笑うばかりで、こんな貴重な経験やノウハウを(技術的な側面は別として)今後に引き継いで活かしていこうという志や心づもりの一つも無いなんて、あまりにも近視眼的で愚かしいし、勿体ないとしか言いようがない。そんなんじゃ、日本経済の復活なんて今後もありえる訳がないわね。
経済の復活と言えば、去年の前半まであんなに映画産業の危機だと大騒ぎしていたのに、ちょっと【千と千尋…】が当たって他の大作も割と好調だったからって、す~ぐ調子に乗って「映画産業はやっぱり不況に強いから……」なんて言い始めている業界の一部の人間の神経も、本当に全く理解できない。過去何十年、その認識の腐れ果てたアマさが映画業界を散々駄目にしてきたことが、未だに、い・ま・だ・に、分かっていないのか。
さて、今回は【JSA】【反則王】のソン・ガンホさんに“男優大賞”を差し上げようかとも思ったのだけれど、やはりここは今後への期待も込めて、【ディスタンス】【ショコキ ! 】【天国から来た男たち】【ビジターQ】などで思いきり光った演技を見せて下さった遠藤憲一さんに進呈したいと思う。遠藤さんは昨年はこの他にも何本かの劇場公開作、更には昼ドラにも御出演なさっていたという話を耳にしている。これだけ露出が上がってきているのだから、昨年『北条時宗』に出演してお茶の間でもそれなりに認知され始めるようになった北村一輝さんに引き続き、そろそろ遠藤さんがブレイクしてもいい頃合いの筈である !
男優さんのみならず、例えば【ディスタンス】【アカシアの道】の夏川結衣さん、【光の雨】の裕木奈江さんなど、ここのところ演技が本当にいいと感じられる女優さんが日本でも少しずつ増えてきたように思われるのは素晴らしいことだと思う。今年公開になる予定の【ハッシュ ! 】の片岡礼子さんなどにも今後期待したいところだ。
後は大体去年延々と書いたことと似たようなことになるだろうか。今年もますます自分の視点は世間の好みとは乖離していきそうな気はしているが、私は私で思うところを書き続けて行くしかないのだし、それが多様性の一翼を担うっていうことになる筈なのだと考えている。
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