Back Numbers : No.72~雑想ノート



うーぴーの選ぶ`03ベスト20映画


【2003年度ベスト20】

1.【マトリックス・リローデッド】【マトリックス・レボリューションズ】
2.【フリーダ】
2.【女はみんな生きている】
4.【マグダレンの祈り】
5.【六月の蛇】
5.【蛇イチゴ】
7.【イン・アメリカ 三つの小さな願いごと】
7.【ジョゼと虎と魚たち】
9.【アララトの聖母】
10.【戦場のピアニスト】
10.【過去のない男】
10.【アカルイミライ】【ドッペルゲンガー】
13.【シティ・オブ・ゴッド】
14.【ライフ・オブ・デビッド・ゲイル】
15.【私は「うつ依存症」の女】
16.【トーク・トゥ・ハー】
17.【エデンより彼方に】
18.【ヘヴン】
19.【ロボコン】
20.【黄泉がえり】

(ベスト20次点)
【息子のまなざし】


「何だこりゃ ? 」と言われてしまいそうなチャートだなぁ……特に1位と15位辺り。まぁ、あくまで個人が選ぶ順位なので、そこいら辺りはどうぞ御了承下さい。でもどれも見応えのある映画ばかりだとは思いますよぉ。うむ。
全体的に見回してみると、1位を除いては、いろいろな意味で女の人が頑張っている映画が上位に来ているような印象があります。特に意図した訳ではないんだけれど。


【各賞】

短編アニメーション大賞
     ……【《ヤマムラアニメーション図鑑》】
長編アニメーション大賞
     ……【キリクと魔女】【東京ゴッドファーザーズ】
人生の壁大賞(昔の少年編)
     ……【美しい夏 キリシマ】
人生の壁大賞(イマドキノワカモノ編)
     ……【アイデン&ティティ】
人生の壁大賞(中年カップル編)
     ……【人生は、時々晴れ】
人生の壁大賞(老境の入り口編)
     ……【アバウト・シュミット】
人生の余裕大賞
     ……【月曜日に乾杯 ! 】
シンプル・イズ・ベスト大賞
     ……【10話】
アイ・ラヴ・カオス大賞
     ……【アダプテーション】
ファースト・ラブ大賞(純情編)
     ……【少女の髪どめ】
ファースト・ラブ大賞(背徳編)
     ……【オー・ド・ヴィ】
どんな愛でも愛で賞
     ……【セクレタリー】【リード・マイ・リップス】【ヴァイブレータ】
ラブコメ大賞
     ……【猟奇的な彼女】
空を開ける鍵大賞
     ……【ナイン・ソウルズ】
泣くのが嫌ならさあ歩け大賞
     ……【幸福の鐘】
I put a spell on you大賞
     ……【D.I.】【氷海の伝説】
無間地獄大賞
     ……【赤目四十八瀧心中未遂】【インファナル・アフェア】
三池崇史大賞
     ……【許されざる者】【極道恐怖大劇場 牛頭】
瀬々敬久特別賞
     ……【MOON CHILD】
堤幸彦特別賞
     ……【恋愛寫眞<レンアイシャシン>】【2LDK】
疑似家族大賞
     ……【バティニョールおじさん】【北京ヴァイオリン】
       【エヴァとステファンとすてきな家族】

ジュブナイル大賞
     ……【飛ぶ教室】
オムニバス大賞
     ……【10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス】
期待賞
     ……【BORDER LINE】【棒たおし ! 】【カクト】
音楽賞
     ……【歌追い人】
ドキュメンタリー大賞
     ……【WATARIDORI】【あじまぁのウタ 上原知子・天上の歌声】
       【デブラ・ウィンガーを探して】

ドキュメンタリー特別賞
     ……【ロスト・イン・ラ・マンチャ】【ワンダー・アンダー・ウォーター 原色の海】
リバイバル大賞(または特集上映賞)
     ……【《聖なる映画作家、カール・ドライヤー》】
       【《真夏の夜の夢 イジー・トルンカの世界》】
       【《カレル・ゼマン レトロスペクティヴ》】

リバイバル特別賞(本邦初公開なんだけど……)
     ……【マルグリット・デュラスのアガタ】


【ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔】【キル・ビル】は、例によって、完結編が公開されてから評価をしたいと思いますので、今回のチャートには入れておりません。きっと来年のチャートには入ってくることだろうと思います。(ちなみに【マトリックス】の1本目の時は、それ自体で一応完結していたし、その時点では続編を作ることが分かっていなかったので、その年の年間チャートにも入っています。御了承下さい。)今現在抱いている感触では、【ロード・オブ・ザ・リング】はきっとチャートの上位の方、【キル・ビル】は特別賞といったところかな ?

三池崇史監督作品については、特に【許されざる者】の方は、本当はベスト20の方に入れてもいいくらいの勢いで好きだったのですが、今年のベスト20の他の作品を見ているとあんまりにも毛色が違うように思えたし、去年もベスト20に入れたからまぁいいかということで。【…牛頭】は(私の知る限り)劇場公開はされなかったので、いつもならこのようなチャートには入れないのですが、今年の、または今後の三池監督を語る上では絶対に外せない作品だと思われましたので、敢えて入れさせて戴きました。まぁ何と言いますか、1回観てしまったら、何か間違った遺伝子が体のどこかに永遠に刷り込まれてしまったような気分にさせられてしまう、そんなキョーレツな映画です……。しかし私って、三池監督については、毎年何かコメントしているような気がするんですが。

あと、ごく個人的になりますが、【HERO】【1980】は『ちゃんと評価できなかったで賞』という賞にさせて戴きたいと思います。映画っていうのは一期一会の出会いのものなのだなぁと、この2本を見た時につくづく感じました。映画館の方にもいろいろ事情があることだろうとは思いますが、プロの興行者として“映画を見る機会という商品”を提供している以上、やっぱり映写事故というのは基本的にあってはいけないことではないのでしょうか。


……閑話休題。
映画というものは、撮る人と、機材(映像媒体を含む)と、見る人さえいれば、基本的には成立するものだと思いますが、最近、『面白い映画』の場合は、これに「サスペンス」と「カタルシス」がなくっちゃいけない、と思うようになりました。
それって一体何かというと。
「サスペンス」というのは、何も火曜サスペンス劇場みたいなやつのことだけを言っている訳ではなくて、もっと広い意味で“次は一体どうなるんだろう ? ”と思わせる力のことを指します。風景が延々と続くだけの映画でも、子供がおつかいに行くだけの番組でも、見る人に“続きが見たい ! ”と思わせることができたなら、そこにはサスペンスが成立したことになります。逆に、一見どれだけ大仕掛けなお話だったとしても、見る人の興味がついていかなければ、そこにはサスペンスは成立しません。
そうやって見る人の気持ちを持って行った後、最後にうわ~っと盛り上げてスッキリさせることを指して「カタルシス」と呼びます。必ずしもハッピーエンドじゃなくても、また無茶苦茶な結末だったとしても、とにかく見る人の気分を盛り上げて一定のピークに持っていくことが出来さえすれば勝ちです。“泣ける”ことを謳っている映画がやたらともてはやされるのは、泣けば気持ちがスッキリするという人間の生理作用と深い関わりがあるのだろうと思います。(ただし、映画を提供する側が泣かせようとする部分で、見る人が必ずしも泣きたくなるとは限らない訳ですが……。)
まぁ、先人が手を換え品を換えいろいろな形で言ってきたことと同じだとは思うのですが、自分にとっては割と便利な概念なのか、最近映画を見る時に、いろいろと、考えるともなしに考えるようになりました。例えば、
“この映画の作り手はどういうサスペンス(またはカタルシス)を設定しているつもりなのか”
とか、
“このサスペンスに自分は同調することができるのか”“そのエンディングに自分はカタルシスを感じられるのか”
とか、
“どういう人ならこのサスペンスに乗れるのか”“どういう人ならこのカタルシスに共鳴できるのか”
とかね。
で、仮に映画を見る人全員にアンケートを取ることができるとして、「サスペンス」と「カタルシス」を強く感じる人の割合が多い映画が、“一般的に言って面白い映画”ということになるのではないかと思います、が、何を「サスペンス」と感じるか ? とか、何を「カタルシス」と感じるか ? とかいうツボは見る人によってかなり異なっているため、映画を見るという行為は本質的には、かなり個人的な体験になるという訳です。

私は昨年も、『私にとって面白い映画』にたくさん出会うことができて、本当に嬉しかったです。映画の神様、いつも本当にどうもありがとう !! 今年もどうぞよろしくお願いします。
皆様も今年、『皆様にとっての面白い映画』に出会うことができますよう、心よりお祈り申し上げております。

さて、今年は、新しく仕事(食うための)を始めたいという野望を持っているので、昨年以上に見に行く映画の数が少なくなってしまうだろうという予感があります。でも、私が映画を見に行かなくなってしまうということは恐らくないでしょうし、ということはこのページも、細々とですが更新が続けられていくことだろうと思います。なので皆様、どうぞ気が向いた時に、時々立ち寄ってみて戴けると嬉しいです。


2004年1月    うーぴー拝



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