Back Numbers : No.77~雑想ノート



うーぴーの選ぶ`04ベスト20映画


【2004年度ベスト20】

1.【ハウルの動く城】
2.【誰も知らない】
3.【理由】
4.【ロード・オブ・ザ・リング】三部作
5.【オアシス】
6.【下妻物語】
7.【マインド・ゲーム】
8.【みなさん、さようなら】
9.【イノセンス】
10.【珈琲時光】
11.【69 sixty nine】
12.【スウィングガールズ】
13.【わが故郷の歌】
14.【父と暮せば】
15.【ミスティック・リバー】
16.【25時】
17.【キル・ビル】二部作
18.【オールド・ボーイ】
19.【21グラム】
20.【深呼吸の必要】
20.【約三十の嘘】
20.【死に花】

(ベスト20次点)
【酔画仙】【堕天使のパスポート】【隠し剣 鬼の爪】


今年は是枝さんで決まりかな、と思っていたのですが、最後になって【ハウル…】が全部かっさらっていきました。映画史的な意義からすると【理由】を1位にすべきかも、とも一瞬思いましたが、年間チャートは私個人の好みの傾向を最優先に反映させたいものなので、となるとやはりこの順番が妥当でしょう。宮崎駿監督作品は大概好きではありますが、年間チャートで1位に据えよう ! と何のためらいもなく思ったりしたのは、この作品が初めてだと思います。【ハウル…】にあって【誰も…】や【理由】にないもの……ロマンかな、やっぱり。それにしても、邦画のワン・ツー・スリー・フィニッシュというのは、このHPを開設して以来初めての快挙 !!
他に、【インファナル・アフェア 無間序曲】も力のある作品だったのですが、これからシリーズ最終作が公開になるらしいので、そちらを待ってから評価をしたいと思います。


【各賞】

哀川翔様主演100本おめでとうございます大賞
     ……【ゼブラーマン】
今年のアニメは豊作だったで賞
     ……【Mr.インクレディブル】【ベルヴィル・ランデブー】
短編アニメはこれで賞
     ……【岸辺のふたり】
こんなアニメも面白かったで賞
     ……【スチームボーイ】【アップルシード】【雲の向こう、約束の場所】
アニメじゃないけど面白かったで賞
     ……【キューティーハニー】
ここではないどこかへ大賞(前向き編)
     ……【この世の外へ/クラブ進駐軍】【ヴィレッジ】
ここではないどこかへ大賞(後ろ向き編)
     ……【グッド・ガール】【モンスター】【ドッグヴィル】
家族の肖像大賞(前向き編)
     ……【ふたりにクギづけ】【イブラヒムおじさんとコーランの花たち】【銀のエンゼル】
家族の肖像大賞(これも前向き ? 編)
     ……【カーサ・エスペランサ 赤ちゃんたちの家】
犯罪事件大賞
     ……【殺人の追憶】【イズ・エー[is A.]】
渡る世間に鬼はなし、もしくは、人を見たら泥棒と思え大賞
     ……【油断大敵】
デンマーク女性監督大賞
     ……【幸せになるためのイタリア語講座】【しあわせな孤独】
崔洋一大賞
     ……【クイール】【血と骨】
新人監督賞
     ……【犬猫】
冒険活劇大賞
     ……【マスター・アンド・コマンダー】
一発逆転大賞
     ……【スクール・オブ・ロック】【シービスケット】
宇宙警察大賞
     ……【スペースポリス】
ビザール・ラヴ大賞
     ……【恋の門】【ヴィタール】
日々是好日大賞
     ……【きょうのできごと a day on the planet】
プロレス大賞
     ……【ワイルド・フラワーズ】【MASK DE 41】【お父さんのバックドロップ】
マッシュルーム・カット大賞
     ……【バーバー吉野】
すっかり嵐のファンになってしまったで賞
     ……【ピカ☆☆ンチ LIFE IS HARDだからHAPPY】
オムニバス大賞
     ……【SURVIVE STYLE 5+】
人間を幸福にしないコマーシャリズムというシステム大賞
     ……【スーパーサイズ・ミー】
リバイバル大賞
     ……【WALKABOUT 美しき冒険旅行】
ミュージカル大賞
     ……【五線譜のラブレター DE-LOVELY】
音楽特別賞
     ……【ザ・ゴールデン・カップス/ワンモアタイム】


2004年は、良くも悪くも、映画のビジネス化に一層拍車が掛かった一年だったかな、という気がしています。

良い面とはどういうことかというと、映画を作る際にどのくらいの費用がかかるのか、それを大体どの程度は回収することが出来そうなのか、という計算と管理がしっかり出来る人が少しは増えてきたのか、一昔前は海のものとも山のものともつかない大バクチでしかなかった映画製作が、ある程度はリスクが軽減された投資になってきて(勿論、他の産業ほど確実な利益が見込めるようなものではありませんが)、創られるべき映画がちゃんと創られ、世に出て行く機会が少しは増えてきたのではないかという感触があることです。その際、ある程度は利益を出さなければならないことを前提にしなければなりませんから、結果として、常に観客の存在を想定し、妙な独りよがりに陥ることのない、表現に力のある作品も着実に増えてきたのではないかという気がしています。

その反面、どういうものを創りたいかではなく、利益を出すということだけをまず前提にしたような作品が作られがちな傾向も、ますます強くなってきたようにも思えます。これは日本に限ったことではなく、また今に始まったことでもないかもしれませんが、こういうものがウケるという線ばかりを狙ったとにかく見やすい企画への画一化、また、一連のお金儲けのシステムの中に組み込まれたパッケージ化は、ますます進行しているように思われてなりません。

また、絶対観るべきだと思えるような外国映画の数が、最近何だか減ってきているような気がしてならないのですが、これは一体どうしてなのでしょう…… ? 上のような過程が世界的にも進行してきて、面白い映画の絶対数が実は減ってきているのでしょうか ? それとも、世界的に映画配給のエージェント網が張り巡らされるようになり、外国映画の売り値がどんどん上がってきて、ある程度の評価をされているような力のある作品が入って来にくくなっているのでしょうか ? 一部の会社で、映画を買い付けて国内に流すという一連の行程のマニュアル化がますます進行した結果、さほどの愛情も持たれず通り一遍の手間隙しか掛けてもらえない映画達が一見ますますつまらなく見え、マスコミに頻出する超話題作以外はあまり省みられなくなるという傾向が加速しているのでしょうか ? また、お金を出す側に、下手な外国映画を買うよりは、内容をコントロールしやすく客の好みに合わせたものを作りやすい邦画に投資した方が利益が出やすい、という判断が出来つつあるのでしょうか ?
いずれにせよ、もしかすると今後は、外国映画は邦画以上に、ロードショー公開以外の形態で上映されるものにせっせと足を運ばなくては、面白いものに巡りあうことが難しくなってしまうのかもしれません。でも私は今年、そのような機会を持つのが去年以上に難しくなりそうな情勢なのですが……う~んどうしよう。

要するに、映画がどのように作られようが、どのように配給されようが、面白ければいいわけなんですが、“確実に”利益を出したいと思う人々は得てして“確実に”当たる方法を採ろうとしがち=前に当たった場合と同じパターンを踏襲しようとしがちで、結果として冒険をしたがらなくなる傾向がある、というところに問題があると思うわけです。だって、いつまでも同じパターンを続けていると……まぁ通常は飽きてきますよね。例えば、皆さんだって、泣ける、泣けるばかりで内容がさっぱり分からないような最近の映画の宣伝方法に、そろそろ食傷してはいませんでしょうか ?

“寅さん”や【釣りバカ日誌】でも、実は毎回趣向を凝らして少しずつ違うことをやっているからこそ、お客さんに飽きられないんですよね。結果というのは、常に頭を使って考え、リサーチし、粘り、せめぎ合って作られたものだけに、たまについてくるものなんじゃないんでしょうか(いつもではない辺りが何なんですけれども)。
なぁなぁのリーマン仕事なんか勘弁してくれ。映画だけは、どこか日常の世界を逸脱した異形のデーモンであり続けていて欲しいのよ。でもって、直接作っている人達のみならず、配給や宣伝、興行など、世に映画を送り出すことに携わっている総ての人の、プロフェッショナルかつクリエイティブな真剣勝負の仕事を、私は見たいんだ。もし、予測できる範囲内の安全牌の仕事しか見られなくなってしまった時には、もう映画は見ないから。と、なんか毎年言っているような気もするんですけれど。


去年は、何とか月平均10本以上くらいのペースは維持したものの、見る映画の数をかなり減らしたため、見残した映画もたくさんあるように思われて、ちと消化不良気味です。今年は、去年の引っ越しみたいな一大イベントこそ予定していませんが、ジョブ・チェンジ・プログラムは引き続き発動中なので、似たような状況は当面続きそうです。でも、今年もやっぱり映画を見ることはやめないでしょうし、ページの更新も少しずつでも何とか続けていくつもりです。なので皆様、今後ともどうぞご愛顧のほどをよろしくお願い申し上げます。


2005年1月 うーぴー拝



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