Back Numbers : No.92~雑想ノート



うーぴーの選ぶ`15ベスト20映画


<<2015年度ベスト20>>

1. (該当なし)
2. 【あん】
3. 【バケモノの子】
4. 【消えた声が、その名を呼ぶ】
5. 【私たちのハァハァ】【ワンダフルワールドエンド】
6. 【バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)】
7. 【KANO 1931海の向こうの甲子園】
8. 【味園ユニバース】
9. 【フレンチアルプスで起きたこと】
10. 【さいはてにて やさしい香りと待ちながら】
11. 【イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密】
12. 【龍三と七人の子分たち】
13. 【裁かれるは善人のみ】
14. 【真夜中のゆりかご】
15. 【サンドラの週末】
16. 【妻への家路】
17. 【バクマン。】
18. 【シェフ 三ツ星フードトラック始めました】
19. 【アゲイン 28年目の甲子園】
20. 【きみはいい子】
20. 【幕が上がる】
20. 【さようなら】

次点の映画(好きな順)
【神々のたそがれ】
【野火】
【フェデリコという不思議な存在】
【海街diary】
【恋人たち】
【ジヌよさらば かむろば村へ】
【岸辺の旅】
【セッション】
【アリスのままで】
【アメリカン・スナイパー】
【母と暮せば】
【FOUJITA】
【ジミー、野を駆ける伝説】
【サイの季節】
【愛を積むひと】

<<ドキュメンタリー大賞>>
【フリーダ・カーロの遺品 石内都、織るように】
<<ドキュメンタリー金賞>>
【皆殺しのバラッド メキシコ麻薬戦争の光と闇】【セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター】【サム・ペキンパー 情熱と美学】【ルンタ】
<<ドキュメンタリー銀賞>>
【アドバンスト・スタイル そのファッションが、人生】【氷の花火 山口小夜子】【薩チャン正ちゃん 戦後民主的独立プロ奮戦記】
<<ドキュメンタリー銅賞>>
【徘徊 ママリン87歳の夏】【バベルの学校】【みんなの学校】【地球交響曲<ガイアシンフォニー> 第八番】


今年は何を1位にしよう?といくら考えても思い浮かびませんでした。
実は、昨年見た映画で最も印象に残ったのは、フリーダ・カーロの遺品の写真を撮った写真家のドキュメンタリー映画だったからです。
そして、フィクション映画で一番衝撃を受けたのは松居大悟監督の【私たちのハァハァ】と【ワンダフルワールドエンド】だったのですが、これを1位にするというのもどうもピンと来ませんでした。
そんなこんなでこのような変則的な順位になってしまいました。どうぞご了承下さい。


かなりいいと思った映画(50音順)
【ヴィオレット ある作家の肖像】
【ヴィンセントが教えてくれたこと】
【大阪外道】【大阪蛇道】【コントロール・オブ・バイオレンス】
【お盆の弟】
【彼は秘密の女ともだち】
【グッド・ストライプス】
【GONIN サーガ】
【死神ターニャ】
【Zアイランド】
【チャッピー】
【チョコリエッタ】
【ディアーディアー】
【ナイトクローラー】
【脳内ポイズンベリー】
【薄氷の殺人】
【パプーシャの黒い瞳】
【春子超常現象研究所】
【ふたつの名前を持つ少年】
【ローリング】

わりといいと思った映画(50音順)
【駆込み女と駆出し男】
【キャノンレース】
【クーキー】
【この国の空】
【さよなら歌舞伎町】
【百日紅 Miss HOKUSAI】
【ストレイヤーズ・クロニクル】
【繕い裁つ人】
【二重生活】
【マジック・イン・ムーンライト】
【雪の轍】
【ロマンス】
【わたしに会うまでの1600キロ】
【私の少女】

ちょっとといいと思った映画(50音順)
【あなたにゐてほしい Soar】
【悼む人】
【映画 深夜食堂】
【顔のないヒトラーたち】
【風に立つライオン】
【奇跡のひと マリーとマルグリット】
【ギリシャに消えた嘘】
【くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ】
【グローリー 明日への行進】
【ザ・トライブ】
【新宿スワン】
【ソレダケ that's it】
【起終点駅 ターミナル】
【追憶と、踊りながら】
【日本のいちばん長い日】
【博士と彼女のセオリー】
【パレードへようこそ】
【ピース オブ ケイク】
【ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム】
【ひつじ村の兄弟】
【ボーダレス ぼくの船の国境線】
【女神は二度微笑む】


世間で主流とされる映画と自分の好みが乖離しつつあることに何年か前から気がついてはいたけれど、【スター・ウォーズ】の新作をまるで見る気がしなかった時、その乖離がいよいよ決定的なものになったと感じた。

年明けに渋谷のシネマライズが本当に閉館したニュースを聞いて間もなく、デヴィッド・ボウイさんの訃報が飛び込んできて、これでもう、何かの時代がいよいよ完全に終わったのだと思った。

あらましを聞いただけで見る気が失せる映画のリストがどんどん長くなっている。3D、前後編もの、続編もの、アクション、ホラー、ウイルス、ゾンビ、そもそもハリウッドものの大部分、第二次大戦の懐古系、アメリカの軍隊系、スパイもの、カーチェイス、銃撃戦、謎の殺人ゲーム系、死んだ人が見守ってる系、記憶喪失、そっくりさん、タイムスリップ、高校生の恋バナ、無軌道な青春系、大人の御伽噺系、人生の黄昏系、“訳あり連中の群像劇”的なもの、登山もの、海難事故もの……。
マンネリに底の浅い賑やかし。ぬるい映画はもう沢山だ。

映画というものに新鮮さを感じなくなってきたのは、いろいろな映画がひと通り作られて目新しい発想が出てこなくなったからなのか、自分の年齢が映画の作り手の年齢に追い付いてその発想に驚かなくなったからなのか。それとも単に自分の感性が老化しているだけなのか。
あるいは、日本にお金がなくなって多様性のある映画を輸入して試してみる余裕がなくなったのか、それとも、世界中の映画から多様性が失われつつあるのか。
多分、こうした要素が全部混ざり合っているのだろう。

しかし、ここまで世間の潮流とかけ離れてしまったところで、これ以上映画を見てあーだこーだ考えたりするなんて意味ないんじゃないだろうか。もうやめてしまった方がいいんじゃないだろうか。

そうは言っても。
自分にとって面白い映画というのはやっぱり存在していて、そういう映画を見ると誰かに言いたくなるんだよね。

映画館に行ってもあまりにも人がいなかったり、あまりにも高齢の観客ばかりで暗い気持ちになったりする一方、尖ったプログラムを見せる一部の映画館はいつ行ってもある程度人がいたりして、最近逆に元気になっている気もする。別にブロックバスター映画を否定するつもりはないんだが、生身の人間を経由して醸し出される力や、人間の私的領域、また映像自体のスペクタクルといった、他のメディアでは見られないものを映画に求めようとする人達の一定の需要も、まだまだ存在しているんじゃないだろうか。
今は過渡期で何もかもが流動的な気がするのだが、一周回ってそういう需要を吸収し、動員数や視聴数はそれなりでも安定したサイクルで稼働できるシステムが出来ないものだろうか、と勝手な期待を抱いたりする。

どう考えてもやっぱり映画は好きだから。
老い先が短くなってきたことをはっきりと自覚せざるを得ない歳になってきたので、映画との向き合い方を少しだけ変えて、これからは本当に面白そうだと思える映画だけを見ることにしてもいいのかな、と思った。

ああ、なんてまとまりがない文章なんだ。すみません。
今年もどうぞよろしくお願い致します。


2016年1月 うーぴー拝


(追記)

2月の初めに我が家と関わりの浅くない知人が亡くなりました。
それでも世界はびっくりするくらい変わりなく動いています。
人の命は、一生は、一瞬の明滅する光のようにあまりにも儚い。と改めて意識せざるを得ませんでしたが、それだからこそ次の世代に何を伝えていかなければならないのか。
それでもボウイさんの曲はかっこよく、それでも映画は面白く、それでも世界は美しい。そうしたことを感じられることこそが生きているということの証だから、そうしたことを伝えたい、と思いました。

今後ともどうぞよろしくお願い致します。


2016年2月 うーぴー拝



ご意見・ご感想はこちらまで


もとのページへもどる   もくじのページへもどる