2003/4/27

早稲田大学 VS NZU
早稲田大学VSNZU
3714前半1431
2TRY2
2GOAL2
0PG0
0DG0
23後半17
2TRY2
2GOAL2
3PG1
0DG0

早稲田、おめでとう。
秩父宮でこんな感動を味わったのは、ジャパンがスコットランドを撃破した時とワールドセブンズのプレートトーナメンントで優勝した時以来かな。
ただ、レフェリングとNZUのクレーム、小競り合い等でちょっとだけ素直に喜べない気分もあったけどね。

木曜日の日本代表Aの試合を見た時は情けなくなった。
"こいつらプライドないのかあ!!"と激怒していました。だってA代表とはいえ、仮にもジャパンの看板背負ってるんだよ。いくらコンビネーションが合ってなくても、世界一の(今、一番強いのはイングランドだろうけどさ)ニュージーランドが相手と言っても、たかが学生代表だよ。それに90点以上、14トライも取られるなんてね。信じられなかったよ、テレビで見ていて。

同志社が善戦したのに日本代表を目指す選手達があんな情けない試合をしていてはいつまでたっても日本のラグビーは向上しない。もっと自覚してもらいたいね。監督もコーチも。むろん協会も。

ただ、あの試合を見て"今回のNZUは相当強いのかな??"とも思ったし、そのチーム相手に"早稲田がどんな戦い方をするのか?"という楽しみもあったので、天気も良かったし、久々に秩父宮に生観戦に行きました。

行った甲斐がありましたよ。早稲田の徹底して意思統一された攻撃と個々のハードなタックル、素晴らしいパスワークなどが見られたからね。フィットネスもNZUに負けなかった。秩父宮の観客席に久々に感動が走りました。

予想屋の私としては、これで早稲田の大学選手権連覇は90%以上確定した、というか、間違いなく連覇します。
対抗の一番手は今期も関東学院だろうし、復活を期す明治やここ数年不振の関西勢も今年は盛り返しそうな気もするが、力差は相当あるね。今後完成度を高めて行けば、清宮監督の言うように、社会人撃破も夢ではないチームになりそうな可能性まであるよ。
で、この試合はスカパーでしか放送されなかったので、試合経過を書いておきましょう。

まず、前半から早稲田のテンポの良い球出しにNZUが戸惑って、3分に早くも早稲田FB内藤信平がG横にトライ。彼は切れ味鋭いステップを切るしスピードがあるので、一気にNZUディフェンスを突破した。
その後も早稲田ペースで決定的な場面(首藤と山岡がG前でタッチに押し出されたシーン)もあったが、結局トライを奪えず。ここらあたりは、NZUもさすがに厳しい凌ぎを見せた。国内のチームだったらどちらもトライになってたはず。

逆にNZUは、26分にFBホワイトマンが個人技で簡単に早稲田バックスを抜き去り、トライを奪い7対7の同点に。
早稲田も30分に、大田尾、山岡、豊山と繋ぎ素晴らしいパスとスピード、ステップでディフェンスを切り裂きG下にトライを奪い、再び14対7とリード。このサインプレーは見事だった。パスと入ってくるタイミングが絶妙。国内の大学チームでは絶対止められないだろう。
NZUはWTBツイアキがギャップを突いて抜き去り、中央にトライ。少しでも隙を見せると彼らは簡単にトライを奪う力を持っている。14対14で前半終了。

前半の内容を見て、NZUも早稲田の想像以上の強さに気付き、後半は最強メンバーに入れ替えてきた。
後半も早稲田が常にリードを奪う展開。PGを2本決めて20対14と6点差に。10分にNZUもPGを返して20対17と3点差。
さあ、ここから残り30分が本当の勝負。

NZUのG前で早稲田が攻めつづけると、再三小競り合いが続き、場内からはブーイング。早稲田の早い展開について行けないNZUは露骨なノットテンで防がざるを得ず、23分にPGを決めて23対17と再び6点差に。あのノットテンは海外のレフェリーなら注意を与えるところですよ、御陵園さん。"レフェリーは神聖にして侵すべからざる存在"と言うが、それは選手たちが従う事であって、僕ら見る側からいえば、レフェリーのミスや疑問の笛を吹いた場合には、当然それを指摘すべきだと思う。そうしなければ、日本のレフェリーはいつまでたっても技術向上しない。

やはり、国際試合には海外のレフェリーをどんどん呼んでグローバルスタンダードのレフェリングとはどんなものか、しっかりと選手にも日本のレフェリーにも見せつけるべきでしょう。協会はどう考えてるのかね。この件についてはラグビー協会にメールを送るつもりなので、返事が来たらまた書いてみます。

30分、NZUが早稲田陣22mライン付近に攻め込みながら痛恨のミスでボールが早稲田に渡ると、ここから大田尾がSH後藤にロングパスを放って後藤がギャップを突いて抜き、自陣10mライン付近でキック。これを追いかけたWTB山岡の手に上手く弾んでキャッチし、ディフェンスを二人振りきり正面にトライ。30対17に。これでNZUも焦り始めた。
NZU22mライン付近で攻撃を仕掛けた早稲田はFB内藤弟がゲインしてすばやくオーバーし、後藤、大田尾、CTBの内藤兄と繋ぎ、スピードで抜き去りゴール下にトライ。

これで37対17となんと20点差に。そして残り5分。普通ならここで完全に勝ちゲーム。ただしこれでも僕は安心できなかった。こんなところから簡単にトライを立て続けに返され負けたのを海外チームとの試合では何度も見て来たからね。
だから「早稲田集中!!」という掛け声を思いきりかけてしまいました。(~_~;)
案の定、早稲田もこれで勝ったと安心したのだろうね。5分間で簡単に2本トライを返されてしまうはめになり、37対31の6点差という微妙な点差にまで追い詰められたから。

ここが勝負事の怖いところ。今まで攻めつづけて安易なキックを蹴らなかった大田尾が敵陣にキック、そこから繋がれてトライを奪われた。ここで重要なのは徹底してボールキープして時間を費やす事がプライオリティであるべき。

ロスタイムは3分といわれたが実際は46分まで試合は続いた。
その間、3度PGを狙う場面があり1本決めれば勝利は決定したのに、名手安藤が見事に全部外し、必要以上に観客を沸かせてくれました(笑)。
特に最後のG真正面15mは当然これを決めて試合終了と誰もが思ったのに、ボールが低くてNZUにブロックされ、試合が続いた時は冷や汗モノでした。

その後、ボールデッドでノーサイド。
結局4トライ4ゴール3PGをあげた早稲田が2PG差の37対31で勝利を治める快挙。大学の単独チームがNZUに勝ったのは初めてじゃないですかね。これは凄い事です。最初の方にも書いたけど、この強い早稲田に他の大学チームがどう挑んでくるのか、非常に興味深い。僕が思うに、早稲田とは全く違うような徹底した戦略、戦術で挑むチームじゃないと勝負にならないだろう。

選手では、再三、1年生の首藤が対面をスピードで抜き場内を沸かせた。163cmと小柄なうえに顔も童顔で、NZUにすれば、なんか子供に負けているようでプライドが傷ついたんだろうね。対面のロクティーやFBのホワイトマンが必要以上にいらいらしてたのは、そんな理由もあったと思う。上半身もしっかりしてるし、腰も強い。さすがに柔道をやっていただけの事はある。日本のラガーマンは他のスポーツをいろいろ経験しなきゃいけないね。

御陵園さんのレフェリングはアドバンテージオーバーが早すぎる。
その笛でNZUが不利になった場面が何度かあった。キャプテンがクレームつけてたけど。海外の試合ならあれはまだオーバーにしないで、NZUボールに戻すところだ。もっとスーパー12や海外の試合のレフェリングを見て勉強して欲しい。またまたレフェリー批判になっちゃうけど、今日の試合を海外のトップレフェリーが吹いていたらどうなってたのだろう、という不安が芽生えたのも事実だ。

早稲田のクイックプレーをどこまで認めるか、低いラックをペナルティと取らないのか、スクラムをどう組ませるか? などがまだ解らないな。ジャパンが世界と戦うためにはグローバルスタンダードのレフェリングをしっかりと認識して戦う事が必要絶対条件なのだから。

とまあ、こんなところで今回はご勘弁を。
でも本当に早稲田は良い試合を見せてくれました。
清宮監督と選手達に感謝。ありがとう。

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