1997/11/8
サントリー VS 東芝府中
【東日本社会人リーグ戦】






サントリー
34
21-7
19
東芝府中
13-12

3
T
1

1
2
3
G
1
1
1
0
PG
0
2
0
0
DG
0
0
0

長谷川(中 大)
FW
溝辺(関東学大)
坂田(法 大)
薫田(筑波大)
中村(同志社大)
中村(筑波大)
栗原(早 大)
釜沢(大東大)
星川(関東学大) 
安田(専修大)
エニス(B C 大)
渡辺(日体大)
天野(明 大)
小野(専修大)
清宮(早 大)
ゴードン(ボーイズ高)
永友(明 大)
HB
村田(専修大)
武山(日体大)
島崎(佐賀工)
永島(早 大)
TB
和田(東海大)
ウルイナヤウ(オーク工大)
小山田(男鹿工)
青柳(早 大)
マコーミック(Cチャーチ高)
尾関(日体大)
森田(東洋大)
今泉(早 大)
FB
松田(関東学大)

途中交代


王者東芝府中のまさかの敗戦。
観客の度肝を抜いたウルイナヤウ選手のノーホイッスルトライに始まったこの試合。終始サントリーペースで試合は進み、前年優勝の東芝府中の一年振りの敗北となりました。

まず、開始早々東芝キックオフのボールをしっかりキャッチしたサントリーは、三洋戦でも威力を発揮したモールで10m程度押し込み、バックスに展開すると、ウルイナヤウ選手が素晴らしいスピードと強さで東芝バックス陣を突破し、右ライン際を快走。あれよあれよという間にゴール前に迫り、東芝FBがディフェンスに来たところで、絶妙のショートパント。ゴールライン付近に転がるボールはカバーに戻って来たマコーミック選手を嘲笑うかのように、ウルイナヤウ選手の手に。そのままインゴールへ。鉄壁の東芝ディフェンスをいとも簡単に打ち破ったウルイナヤウ選手の凄さに、秩父宮の観客席からどよめきが洩れました。

東芝も13分に、サントリーゴール前でのラインアウトのボールをキープしてそのまま押し込み、ゴードン選手がトライを返して同点とします。
ところが18分には、再びウルイナヤウ選手にバックスが次々と交わされ二つ目のトライを奪われます。
20分には要の村田選手が足を痛めて退場。このあたりから東芝に暗雲が立ち込めます。


34分、勢いづくサントリーは自陣からモールを20mほど押して前進、ボールをつないでゴール前に攻め込むと、もみ合いながらもFWがしつこい攻撃を続けて、最後は栗原選手がインゴールに飛び込み、前半は21-7とサントリーリードで折り返しました。

後半になってもサントリーの勢いは衰えず、逆に東芝にミスが目立ちます。
20分まで両チームとも無得点のままでしたが、この時間帯、押していたのはどちらかというと東芝の方。ところが、東芝が持ち込んだラックのボールが再三サントリー側に出る、という状態。この後も東芝はノックオン、パスミスを連発し、王者らしからぬ振る舞いを見せます。
結局、陣地を挽回された東芝が自陣で反則を犯し、PGを決められ24-7と点差が開きます。

29分にもPGを決め、27-7としたサントリーは、戦略的交替でウルイナヤウ、栗原の両選手を引っ込め、岡安、オルソン選手を投入。これがピタリとはまり、33分に東芝ゴール前のスクラムからサイドを突破してトライを決めたのは代わったばかりのオルソン選手でした。
これで34-7となり、勝負は決します。

38分、40分と東芝は、去年を思い出させるような素速い攻撃で二つのトライを返しますが、何故、この攻撃がもっと早い時間帯に出来なかったのか不思議でなりません。
終わった後、東芝ってこんなに弱いチームだったっけ? と思わず首をかしげてしまいました。

東芝にとって前半の村田選手の退場は痛かったかもしれませんが、一人の選手に頼るようなチームではないはず。結局、目標を社会人選手権に置いて、今日はサントリーの力を計ったのか?と穿った見方までしてしまいました。

サントリーはモール・ラックとも完勝。
FW周辺でゆっくりボールをキープして、効果的なキックで敵陣に入ってからボールをバックスに展開する、という東芝の速攻を封じるような安全な戦い方。スタンドからは『一時代前の戦法だな』という声も聞こえていましたが、エニス、天野、清宮の第三列とSO武山、青柳、ウルイナヤウのCTB陣が素晴らしいディフェンスをしていたのも忘れてはいけません。兎に角、今日は全てにおいてサントリーが勝っていました。


選手では、何と言っても二度にわたり東芝バックスを翻弄したウルイナヤウ選手が今日のヒーローでしょう(たった一人で14点取ったのと同じなのですから)。ただし、二つトライを決められた後のマコーミック選手もさすがに目の色が変わり、意地のタックルを見舞っていました。この二人の対決は、現在日本で見られる最高のCTB対決(カーワン選手もいますが)と言っても過言ではなく、社会人選手権での再戦が非常に楽しみです。

勝敗もほぼ決定的になった後半終了間際にペナルティをもらったサントリー。
キッカーの永友選手が退場して、『一体誰が蹴るのか、もしや?』と場内固唾を飲んで見守る中、出てきたのは、そう今泉選手。
待ってました、とばかりに苦笑も交えた大きな拍手が送られ、久々の『イーチ、ニー、サーン』の掛け声を聞くことが出来ました。イージーなキックでしたが、予想通りしっかり外してくれたのはご愛敬でした。
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