ホームモニター日記




※家のテレビモニターで鑑賞した作品やコンテンツに関する感想のまとめです。(映画に限らず何でも話題にしています。)

※映画館や配信サイトでの公開から約1年以内の映画は、新作映画と考えて簡単な作品情報を載せています。(ただしタイトル・インデックスに残したい映画はこの限りではありません。何の根拠もない独自ルールですみません……。)


年末年始にNetflixを1ヵ月だけ契約。今回、主にオリジナルのなかなかいい作品群を見せて戴き、特にドラマ版の『新聞記者』などがよかった。(米倉涼子さんの最近の仕事っぷりはカッコいい!)国内作品の製作力も上がってきたのは喜ばしいことだ。また気になる作品が出て来たら契約させて下さい。(何せ貧乏なんでな。)

時代劇専門チャンネルで【殺すな】を視聴。まぁ相手がどれだけ身勝手だろうが腹も立とうが、殺したって悔恨になるだけだからやめといた方がいいわよね。江戸時代のその辺りの感覚なんて正確には分かるはずもないけれど、そういう雰囲気を感じさせてくれる主人公のお三方の演技には惚れ惚れさせられた。

【殺すな】(6/10)
監督:井上昭
脚本:中村努
原作:藤沢周平
出演:中村梅雀、柄本佑、安藤サクラ、中村玉緒、本田博太郎、他
製作国:日本

アマプラの『失恋めし』は挫折しました……。こういう言い方をして本当にごめんなさいだけど、正直、毒にも薬にもならないものを見ている時間はもったいないと感じてしまうのですよ。

U-NEXT視聴作品:

ずっと観たかったいまおかしんじ監督の【れいこいるか】がU-NEXTに入荷。阪神淡路大震災で一人娘のれいこを亡くした、奔放な元妻とサエない元夫。二人の人生は別々だし、二人の悲しみも同じじゃない。けれど長い歳月を経て、お互いに同じ出来事を悼み続けている間柄であることをようやく理解する。ものすごい傑作。時間が掛かったけどやっと観ることができて本当に嬉しい。

【れいこいるか】(9/10)
監督:いまおかしんじ
脚本:佐藤稔
出演:武田暁、河屋秀俊、他
製作国:日本

【すくってごらん】:ももいろクローバーZの百田夏菜子さん出演作。一応金魚すくいの話のようだけど、中途半端なミュージカル風でドラマにすらなっていない。いかにも広告代理店系のMV監督さんが作った風情(偏見)で残念だった。
【DIVOC-12】:12人の監督によるオムニバスの劇場公開作品だけど、上田慎一郎監督『ユメミの半生』、藤井道人監督の『名もなき一篇・アンナ』、三島有紀子監督の『よろこびのうた』しか見ていないのでご紹介だけ。オムニバス企画を成功させるのはいろんな意味で難しいと思うけど、こういう状況下でも何かしたいという意欲を持って、作品という形に結実させたのはいいと思った。
【ナポレオンと私】:武田梨奈さん主演じゃないと多分見なかった。人生行き詰まってる女性の目の前に架空の存在が現れて……ありがちなストーリーだなーと思ったら、ゲームの実写化なんだとか。いくら企画ものだからと言ってもうちょっと一生懸命作らないと。
【FUNNY BUNNY】:飯塚健監督が以前手掛けた舞台の映画化だそうだけど、犯罪行為に走る若い人の話って大体うだうだしてしまって、よっぽどじゃないと面白く映らないんだよな……。飯塚監督と言えどご多分に漏れず、中川大志さんの無駄遣いになってしまった。
【リスタート】:吉本が北海道下川町という自治体と提携して作った一種のご当地映画らしい。シンガーソングライターになる夢破れて故郷に戻った女性、というプロットを聞いて正直あまり気乗りしなかったけど、お話が案外無理なく丁寧に紡がれていて、主演のEMILYさんもとってもよかった。やっぱり私は品川ヒロシ監督の作品が好きらしい。経緯はどうあれ作品が世に出てナンボなので、これからも機会があれば新たな作品を手掛けていって戴きたい。

【ナポレオンと私】(3/10)
監督:頃安祐良
脚本:鈴木規子
出演:武田梨奈、濱正悟、染谷俊之、他
製作国:日本

【FUNNY BUNNY】(3/10)
監督・脚本・原作:飯塚健
出演:中川大志、岡山天音、関めぐみ、他
製作国:日本

【リスタート】(7/10)
監督・脚本:品川ヒロシ
出演:EMILY(HONEBONE)、SWAY(劇団EXILE)、黒沢あすか、中野英雄、他
製作国:日本

【優雅なインドの国々 バロック meets ストリートダンス】:18世紀バロック時代のフランスのオペラ『優雅なインドの国々』を現代のストリートダンスの舞台にしたというドキュメンタリー。正直、いろいろよく分からない……。こういうのは何でもアートって言ったもん勝ちなんだろうな(←失礼)。
【イーグルハンター 1000年の歴史を変えた「鷹匠」少女】:モンゴルの鷹匠の集落で、これまで男性しかいなかった鷹匠になる女の子を描いたドキュメンタリー。いろいろな制約や限界もあるだろうこれからの彼女の人生を思うと暗い気持ちになってしまうが、出来うる限り幸せな人生を歩いて行って欲しいなと思った。
【津軽のカマリ】:津軽三味線で一時代を築いた初代・高橋竹山のドキュメンタリー。津軽三味線って日本の芸能史の中で特異な位置を占めているのだなと改めて思う。
【台湾、街かどの人形劇】:台湾の人間国宝である人形劇の人形師を描いたドキュメンタリー。先輩の人形師である父親とのねじくれまくった葛藤は、多分第三者には理解不可能なレベル。
【ノンフィクションW 大林宣彦&恭子の成城物語 完全版 ~夫婦で歩んだ60年の映画作り~】:大林宣彦監督と、大林作品のプロデューサーを長年勤めていらした恭子夫人についてのドキュメンタリー。大林作品のヒロインは自分にはどこか非現実的に映るとずっと思っていたけれど、そんな疑問も氷解した。恭子さんて本当に大林作品のヒロインそのものな方なんだもの。
【ペギー・グッゲンハイム アートに恋した大富豪】:グッゲンハイム美術館の祖であるソロモン・グッゲンハイムの姪で世界有数の現代美術コレクターだったペギー・グッゲンハイムのドキュメンタリー。大富豪の家に生まれながら型通りの生き方に馴染めず、現代美術のパトロンとなり奔放な生活を送った彼女が心から幸せだったのかどうかは分からないが、寝食の心配をせずに美術三昧だったという点だけはシンプルに羨ましいよなー。
【Exit The Matrix】:ロシアの想像を絶するような僻地で暮らす人々を描いたドキュメンタリー。なかなかやって来ない古ぼけた列車だけが生活の頼みの綱で、生活インフラは縮小する一方。ここには世界の他の地と全く違う時間が流れているように見えるが、その厳しさや寂寥感を我が身に引き受けている人達もいる。現在のこの世界情勢の中で彼等は今どうしているのかと、ふと気になった。

【最後の決闘裁判】:リドリー・スコット印の欧米版「羅生門」に、今流行りの「女性目線の真実」というエッセンスを入れて。絶賛する人も多いのだが、そんなに新鮮味あるかな、これ?
【MINAMATA-ミナマタ-】:水俣がテーマというよりは、水俣病患者の写真集を出して水俣病の存在を世界に知らしめたユージン・スミスを描いた映画。日本からは豪華キャストが多数参加。ジョニー・デップさんの狙いは悪くなかっただろうけど、欧米でどこまでうけるのかは不明。
【ジャッリカットゥ 牛の怒り】:牛、牛、牛……。副題通り「牛の怒り」が全編に満ち満ちている。なんかもの凄いエネルギーに問答無用にねじ伏せられた。
【パリ 夜の医者】:脱法行為を繰り返しながら麻薬中毒患者の面倒を見ている夜間訪問診療の医者が主人公。夜のパリの下町の雰囲気が何ともうら寂しく、愛人との関係がだらだら切れない感じが何ともすっきりしない。この感じが生っぽいのかもしれないが、見ていてもあまりカタルシスは得られない。
【モロッコ、彼女たちの朝】:モロッコの下町で小さなパン屋を営む女性が、未婚の妊婦を助ける話。モロッコ社会での女性の生き辛さがあちこちに垣間見えるが、彼女たちのささやかな連帯には希望が感じられる。

【最後の決闘裁判】(6/10)
原題:【The Last Duel】
監督:リドリー・スコット
脚本:ニコール・ホロフセナー
脚本・出演:ベン・アフレック、マット・デイモン
出演:ジョディ・カマー、アダム・ドライバー、他
製作国:イギリス/アメリカ

【MINAMATA-ミナマタ-】(6/10)
原題:【Minamata】
監督:アンドリュー・レヴィタス
脚本:デヴィッド・ケスラー
出演:ジョニー・デップ、真田広之、國村隼、美波、加瀬亮、浅野忠信、岩瀬晶子、ビル・ナイ、他
製作国:アメリカ/イギリス

【ジャッリカットゥ 牛の怒り】(7/10)
原題:【Jallikattu】
監督:リジョー・ジョーズ・ペッリシェーリ
脚本:S・ハリーシュ
出演:チェンバン・ヴィノード・ジョーズ、アントニ・ヴァルギース、サーブモーン・アブドゥサマド、シャーンティ・バーラクリシュナン、他
製作国:インド

【モロッコ、彼女たちの朝】(7/10)
原題:【آدم (Adam)】
監督・脚本:マリヤム・トゥザニ
共同脚本:ナビール・アユーシュ
出演:ルブナ・アザバル、ニスリン・エラディ、他
製作国:モロッコ/フランス/ベルギー

【東京リベンジャーズ】:どんな話かと思ったらタイムリープものでござったか……。何度も書いているけど、年を取れば取るほどSF設定が受け入れ難い体質になっていくのは、もう仕方ないと諦めざるを得ない。でも有名な原作のあらましを知ることができたし、期待の若手男性俳優総出演で目の保養になったので、いろいろお得感があった。
【鳩の撃退法】:よく知らんけど、電通辺りの広告代理店がマージンを取るという目的のためだけに雰囲気だけで適当にこしらえた映画か何かのようにしか見えない。思い切りつまらない。ていうか君達、何でそんなに作家に憧れてんの?作家に夢見すぎじゃない?日頃クリエイティビティのない仕事をしていることへの逃避か何かなのかな?
【アルキメデスの大戦】:また山崎貴監督の戦争映画か……とうんざりして映画館には見に行かなかったのだが、当時の軍部の矛盾なども描きながら、ストーリーは菅田将暉さんの演じる数学者が自分の能力を使って使命を果たす話に集約していて、案外面白く見ることができた。
【太陽の子】NHKで放送したドラマの劇場版で、日本の原爆開発を背景に、太平洋戦争中の3人の男女を描く。良く言えば丁寧で、悪く言えば新鮮さがない。しかし、もうこれでいよいよ三浦春馬さんの新たな出演作を見るのは最後かもしれない……。
【スーパー戦闘 純烈ジャー】:純烈の歌謡ショーと戦隊ものの組み合わせ。純烈の皆さん、芸達者だな。でもファンの人以外に新たに遡及する要素があるかどうかはちと疑問。

【東京リベンジャーズ】(6/10)
監督:英勉
脚本:髙橋泉
原作:和久井健
出演:北村匠海、山田裕貴、杉野遥亮、今田美桜、鈴木伸之、眞栄田郷敦、清水尋也、磯村勇斗、間宮祥太郎、吉沢亮、他
製作国:日本

【鳩の撃退法】(2/10)
監督・脚本:タカハタ秀太
共同脚本:藤井清美
原作:佐藤正午
出演:藤原竜也、土屋太鳳、風間俊介、西野七瀬、豊川悦司、坂井真紀、濱田岳、リリー・フランキー、佐津川愛美、桜井ユキ、柿澤勇人、駿河太郎、浜野謙太、岩松了、村上淳、ミッキー・カーチス、他
製作国:日本

【太陽の子】(6/10)
監督・脚本:黒崎博
出演:柳楽優弥、有村架純、三浦春馬、田中裕子、國村隼、イッセー尾形、山本晋也、ピーター・ストーメア、他
製作国:日本/アメリカ

【スーパー戦闘 純烈ジャー】(3/10)
監督:佛田洋
脚本:久保裕章
出演:後上翔太、白川裕二郎、小田井涼平、酒井一圭(純烈)、小林綾子、小林幸子、前川清、他
製作国:日本

【マイ・インターン】:若いやり手の女性社長の会社に、人生を一周あらかたやり終えた男性がインターンで入ってくる。この男性がとてもチャーミング。デ・ニーロさんはいい当たり役をもらえてよかったね。見終わった後もとてもいい気分になれる映画だったので、公開当時見ておけばよかったとちょっと思った。(ところで、夏期に放送していた『ユニコーンに乗って』というドラマは、多分この設定を拝借していたのね。)
【タミー・フェイの瞳】:最後には不祥事で捕まった有名テレビ伝道師とその妻の実話を元にした話。事実関係の怒濤のような描写に引き込まれ、伝道師の妻役の厚化粧なジェシカ・チャステインにとにかく圧倒される。願わくば、アメリカにおけるテレビ伝導とは?という傍から見ているとよく分からないテーマをもう少し掘り下げて欲しかった。
【王の願い ハングルの始まり】:タイトル通りの内容。ハングルは意図的に作られた文字だとは聞いていたが、その歴史は15世紀にまで遡るものだったのね。
【修道士は沈黙する】:修道士がG8のオブザーバーをやってるの?……う~ん、内容に興味が湧かないから全然ついていく気になれない……。
【DUNE/デューン 砂の惑星】:昔のデヴィッド・リンチ監督版はよく失敗作だと言われているけど、今回のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督版もそんなに面白いとは言えないような……。昔、アレハンドロ・ホドロフスキー監督版が実現していれば、それが一番見応えがあったんじゃないだろうか。
【ミラベルと魔法だらけの家】:魔法一家に生まれたけど魔法が使えない女の子が、家族の中での自分の役割を見つけるまで。しかしこの一家の長であるおばあさんの振る舞いがなかなか理不尽。最後に決着がつくとはいえかなりイガイガして、あまり心地がいいものではなかったなぁ。
【アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン】:アレサ・フランクリンが1972年に教会で行った圧巻のライブの様子を収めたドキュメンタリー。これはとにかく見た方がいい。

【タミー・フェイの瞳】(7/10)
原題:【The Eyes of Tammy Faye】
監督:マイケル・ショウォルター
脚本:エイブ・シルヴィア
出演:ジェシカ・チャステイン、アンドリュー・ガーフィールド、ヴィンセント・ドノフリオ、他
製作国:アメリカ

【王の願い ハングルの始まり】(5/10)
原題:【나랏말싸미 (The King's Letters)】
監督・脚本:チョ・チョルヒョン
出演:ソン・ガンホ、パク・ヘイル、チョン・ミソン、他
製作国:韓国

【DUNE/デューン 砂の惑星】(5/10)
原題:【Dune】
監督・脚本:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
共同脚本:エリック・ロス、ジョン・スペイツ
原作:フランク・ハーバート
出演:ティモシー・シャラメ、レベッカ・ファーガソン、オスカー・アイザック、ジェイソン・モモア、ジョシュ・ブローリン、チャン・チェン、ステラン・スカルスガルド、ハビエル・バルデム、ゼンデイヤ、他
製作国:アメリカ

【ミラベルと魔法だらけの家】(6/10)
原題:【Encanto】
監督:バイロン・ハワード
監督・脚本:ジャレド・ブッシュ、シャリース・カストロ・スミス
声の出演:ステファニー・ベアトリス、マリア・セシリア・ボテーロ、他
製作国:アメリカ

【アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン】(9/10)
原題:【Amazing Grace】
監督:シドニー・ポラック
(ドキュメンタリー)
出演:アレサ・フランクリン、他
製作国:アメリカ

ロベルト・ロッセリーニ監督の【ローマで夜だった】を視聴。戦争って不毛……。あと、ルネ・クレール監督の【リラの門】【夜ごとの美女】【巴里祭】【悪魔の美しさ】などをざくざくと。(流し見すんなと怒られそうだな……。)

ずっと見る機会を逃していたストップモーション・アニメ【JUNK HEAD】をやっとアマプラで視聴。監督ご本人が長年やりたかったことを全部詰め込んだという趣きで、少し長くなってしまったところもあるけれど、これを全部手作業で作っていったのかと思うと、その熱量に気が遠くなる。これは必ず見ておいた方がいい怪作だと思う。

【JUNK HEAD】(8/10)
監督・脚本・声の出演:堀貴秀
(アニメーション)
製作国:日本

ウクライナ情勢に関連して某YouTubeチャンネルでお勧めされていた映画をまとめて視聴。アマプラでは【バトルフィールド クルーティの戦い】【赤い闇 スターリンの冷たい大地で】【市民K】、Netflixでは【ウィンター・オン・ファイアー ウクライナ、自由への闘い】【イカロス】など。
【…クルーティの戦い】と【赤い闇…】はフィクションで、前者は1918年にウクライナとソビエト連邦の間で起こった戦いを描き、後者はスターリン体制下のソ連がウクライナに対して行ったホロドモール政策(人為的飢饉による虐殺)を英国人記者が告発した実話を描いている。他の作品はドキュメンタリーで、【市民K】は、ロシアの10年の禁固刑に処せられた元オリガルヒ(新興財閥)を、【ウィンター・オン・ファイアー…】は、2013年から2014年にウクライナで起こったユーロ・マイダン革命を描き、【イカロス】ではロシアのドーピング検査機関の元所長が国家ぐるみのドーピングを内部告発している。どの作品も、ウクライナとロシアの歴史的な関係や、現在に繋がるウクライナやロシアの国内事情をいろいろ知ることができて、どれも重要な作品だった。

Netflixは、見たい作品がたまってきたらその月だけ契約するという方法に寛容で、実際、一旦契約を切ってもまた復活したくなるようなオリジナル作品を定期的に供給しているので、今のところ戦略的に妥当なのではないかと思う。

ということで、せっかくNetflixを1ヵ月契約したので、オリジナル作品や独占配信のアニメなどを視聴。【ロスト・ドーター】は、不倫して出奔した女性の心情を丁寧に綴った作品だけど、自分自身が嫌っていた毒母の元に娘たちを置いて出ていったという点は罪深いと言わざるを得ないのではあるまいか。【tick, tick…BOOM!:チック、チック…ブーン!】は、名作ミュージカル『RENT/レント』を生み出した作曲家ジョナサン・ラーソンの自伝ミュージカルの映画化なんだそうだが、う~ん、ミュージカルファンには遡及するのかもしれないが、お話としてはよくある若者の青春譚の域を出ていないのでは。

【ロスト・ドーター】(7/10)
原題:【The Lost Daughter】
監督・脚本:マギー・ギレンホール
原作:エレナ・フェッランテ
出演:オリヴィア・コールマン、ダコタ・ジョンソン、ピーター・サースガード、エド・ハリス、他
製作国:アメリカ/ギリシャ/イギリス/イスラエル

【tick, tick…BOOM!:チック、チック…ブーン!】(5/10)
原題:【tick, tick…BOOM!】
監督:リン=マヌエル・ミランダ
脚本:スティーヴン・レヴェンソン
原作:ジョナサン・ラーソン
出演:アンドリュー・ガーフィールド、アレクサンドラ・シップ、
ロビン・デ・ヘスス、他
製作国:アメリカ

アニメでは『TIGER&BUNNY』第2期の前半や、【ヴァイオレット・エヴァーガーデン劇場版】、【地球外少年少女】など。私は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』はそこまでファンじゃないんだけど、お話に決着がついてよかったね。磯光雄監督の【地球外少年少女】は、6本のシリーズを前後編にして劇場でも公開されたそう。コロナの自粛期間中の収穫の一つは、昔NHKで放送していたという『電脳コイル』を教えてもらって見たことだけど、宇宙ステーションからの脱出を目指す子供たちを描いた今回の作品もまた見応えがあった。磯監督は子供たちの群像劇では群を抜いた手腕がある。もっと世間にお名前が広まっていてもいい方なんじゃないかと思うんだけどな……。

【ヴァイオレット・エヴァーガーデン劇場版】(6/10)
監督:石立太一
脚本:吉田玲子
原作:暁佳奈
(アニメーション)
声の出演:石川由依、浪川大輔、子安武人、木内秀信、他
製作国:日本

【地球外少年少女】(8/10)
監督・脚本:磯光雄
(アニメーション)
声の出演:藤原夏海、和氣あず未、小野賢章、赤崎千夏、小林由美子、伊瀬茉莉、也
製作国:日本

他には、佐久間宣行氏がプロデュースした『トークサバイバー!』を見た。佐久間氏が、テレ東退社後の最初の大型企画としてまずNetflixというプラットフォームを選んだというのが、何か面白いなぁと思った。○○さん、優勝おめでとう!

Netflixの後は、アマプラで【フィールズ・グッド・マン】と【マルモイ ことばあつめ】を視聴。【フィールズ・グッド・マン】は、マット・フューリーという漫画家が生みだした「カエルのペペ」というキャラクターが、作者の意に反してトランプ支持者のアイコンに祭り上げられてしまった事象を描いたドキュメンタリー。監督はマット・フューリー氏の友人で、氏を助けるために映画制作を決意したのだそうだ。【マルモイ…】は韓国版の【舟を編む】のような話だと聞いていたが、日本統治下の朝鮮半島で起こった朝鮮語(韓国語)の保護運動だったという背景が大きく違う。もし誰かが日本語を放棄させようとするのであれば私だって戦う。母語は心の拠り所で文化の根幹であり、これを奪おうとするのは世界で最も凶悪な暴力の一つで、戦前の日本はそれをやろうとしていたのだ。

【フィールズ・グッド・マン】(/10)
原題:【Feels Good Man】
監督:アーサー・ジョーンズ
(ドキュメンタリー)
出演:マット・フューリー、他
製作国:アメリカ

またU-NEXTに復帰していろいろ視聴。

【博士と狂人】:「オックスフォード英語大辞典」の編纂に、貧しい出自ながら独学で言語学を修めた博士と、戦争で精神を病んだアメリカ人の元軍医が関わっていたという実話を元にした話。
【女神の見えざる手】:政策決定にまで影響を及ぼすアメリカの女性敏腕ロビイストを描いた話。クライアントの言いなりに見えるロビイストにも一片の信念はあるのか。数年前の映画だが、【タミー・フェイの瞳】の ジェシカ・チャステインがここでもエグかった。
【唐人街探偵 NEW YORK MISSION】:【唐人街探偵 東京MISSION】の前作。もうこの時点で【…東京MISSION】は企画されていたんじゃないか。十分面白かったけど、【…東京MISSION】のハデさの方がより好きかもしれない。
【お嬢ちゃん】:地方都市(鎌倉)で暮らす若い女性の話。いつも不機嫌で怒っているけれど現実を変える力はないというある種の侮りがタイトルに表れているんじゃないだろうか。
【あの日の声を探して】:ロシア侵攻により声を失ったチェチェン人少年が生き別れのきょうだいを捜す話。チェチェンでの戦争の過酷さなどは言うまでもないが、少年を保護するEUの女性職員に、EUの立ち位置などが垣間見えるのが興味深かった。
その他、【地球防衛軍】や【宇宙大戦争】、長年見ていなかった成瀬巳喜男監督の【乱れる】【流れる】【めし】【放浪記】【驟雨】などの邦画を視聴。(昔、監督の【浮雲】を見て、これはnot for meだと終了した思い出が。)20年くらい前に作られたさだまさしさん原作・磯村一路監督の【解夏】という映画、当時はしゃらくさいと思って鑑賞リストから外したけど、今見たらしっとり丁寧に作られたいい映画に思える。今より少し若い大沢たかおさんや石田ゆり子さんのきめ細やかな演技が素敵。

昨年の新作を何本か。

【恋する寄生虫】:潔癖症の青年と視線恐怖症の女子高生の話なのだが、人間に影響を及ぼす「虫」なる存在が観念的で、その設定に乗れるかどうかだと思った。
【そして、バトンは渡された】:永野芽郁さん演じるヒロインと、その3人の父親と、彼らと関わりのあった石原さとみさん演じる母親の物語。見る前はどんな話が謎だったのだが、終わってみるととてもいい話で、気分良く見終わることができた。
【Ribbon】:のんさんの監督・主演作。コロナで卒業制作展が中止になりダメージを受ける美大生を見て、彼等を応援する意味で映画化を企画したそうだが、主人公のアイデンティティが十分に客観視されておらず、周囲に理不尽な苛立ちをぶつける人にしか見えかねないのが少し残念。それでも自ら監督まで手掛けようというのんさんのバイタリティには感心する。何作が重ねていけば、表現者としてのいい経験になるのではないかと思う。
【梅切らぬバカ】:こういう慣用句があるらしいので何もおかしくないのかもしれないが、「バカ」という響きは強すぎるのでやっぱりタイトルには不向きなんじゃないかなぁ。せめて漢字で表記するとか。ストーリーは、自閉症の息子を持つ母親が高齢になり息子の行く末を案じるという話で、障害を持つ方の親御さんの高齢化問題を踏まえて丁寧に作られたとてもいい映画だった。加賀まりこさんはどんな作品で拝見しても常に素晴らしい女優さんである、ということを再確認できてとても嬉しくなった。

【恋する寄生虫】(4/10)
監督:柿本ケンサク
脚本:山室有紀子
原作:三秋縋
出演:林遣都、小松菜奈、井浦新、石橋凌、他
製作国:日本

【そして、バトンは渡された】(7/10)
監督:前田哲
脚本:橋本裕志
原作:瀬尾まいこ
出演:永野芽郁、田中圭、石原さとみ、岡田健史、大森南朋、市村正親、他
製作国:日本

【Ribbon】(5/10)
監督・脚本・出演:のん
出演:山下リオ、渡辺大知、菅原大吉、春木みさよ、小野花梨、他
製作国:日本

【梅切らぬバカ】(7/10)
監督・脚本:和島香太郎
出演:加賀まりこ、塚地武雅、渡辺いっけい、森口瑤子、斎藤汰鷹、林家正蔵、高島礼子、他
製作国:日本

【サリー・ポッターのパーティー】:あるパーティに集ったおハイソな皆さんが段々本性を剥き出しにしていくというお話。う~ん、演技は凄いんだろうけど、見ていて心寒くなるのであまりお勧めはできないな。
【クライ・マッチョ】:クリント・イーストウッド御大は結構、傑作とそうじゃない作品の落差が激しいタイプというか。御大はバリバリの共和党員でマッチョ的世界観を根底にお持ちなのはよく知られた話だと思うけど、それがいい意味でのアメリカ的良識に振れると傑作が出来上がり、虚勢の方向に振れてしまうとイマイチになってしまうんじゃなかろうか。残念ながら本作は後者だったんじゃないかと思う。
【カラミティ】:【ロング・ウェイ・ノース】のレミ・シャイエ監督の最新作。しかし、カラミティ・ジェーンの話自体にあまり親しみがないし、主人公のキャラクターも、前作の一途で真っ直ぐなロシアのお姫様の方が好きだったかもしれない。
【夢のアンデス】:パトリシオ・グスマン監督がチリ弾圧の歴史を描いた3部作の最終章。しかし、その3作の違いを聞かれても答えられない程度の見方しかできていないよな……。
【ダ・ヴィンチは誰に微笑む】:レオナルド・ダ・ヴィンチが製作に関与したとされる『サルバトール・ムンディ』を巡る騒動を描いたドキュメンタリー。しかし、YouTubeの某美術関連チャンネルで一連の流れがほぼ説明されていたのを聞いてしまっていたため、特に目新しく感じたことはなかったかもしれない。

【クライ・マッチョ】(3/10)
原題:【Cry Macho】
監督・出演:クリント・イーストウッド
原作・脚本:N・リチャード・ナッシュ
脚本:ニック・シェンク
出演:エドゥアルド・ミネット、ナタリア・トラヴェン、ドワイト・ヨアカム、他
製作国:アメリカ

【カラミティ】(5/10)
原題:【Calamity, une enfance de Martha Jane Cannary】
監督・脚本:レミ・シャイエ
共同脚本:ファブリス・ドゥ・コスティル、サンドラ・トセロ
(アニメーション)
声の出演:サロメ・ブルバン、アレクサンドラ・ラミー、アレクシ・トマシアン、ヨヘン・ヘーゲル、他
製作国:フランス/デンマーク

【夢のアンデス】(6/10)
原題:【The Cordillera of dreams】
監督:パトリシオ・グスマン
(ドキュメンタリー)
製作国:チリ/フランス

【ダ・ヴィンチは誰に微笑む】(6/10)
原題:【The Savior for Sale】
監督:アントワーヌ・ヴィトキーヌ
(ドキュメンタリー)
製作国:フランス

【弟とアンドロイドと僕】:豊川悦司さん主演の阪本順治監督作。古い洋館に一人暮らす男は、自分の存在を認識できない感覚を埋めるように自分のアンドロイド作りに没頭し、死にかけている父親の面倒を見ている腹違いの弟と諍いを起こす。……ひたすら暗い。孤独に苛まれているらしい主人公の気持ちに全くついていけなくて唖然としてしまうのだが、阪本監督はなんでこの話を映画にしたいと思ったのかな?この男性は阪本監督自身の何かの感覚を反映した存在なんだろうか。えー……。
【聖地X】:前川知大氏が主催する劇団イキウメの舞台作品が原作で、入江悠監督が同劇団の作品を映画化するのは【太陽】に続き2回目とのこと。聖地Xは思いが具現化したり人間が分裂したりするパワースポットらしいんだけど、もしかすると、その仕掛けはそのまま舞台で見た方が面白いのではあるまいか。映画に移すと妙なリアル感が出て、設定のいい意味での出鱈目さが大仰になりすぎてしまうというか。
【さくら】:西加奈子さんの小説を矢崎仁司監督が実写化。三きょうだいの長兄が事故に遭って家族の歯車が狂っていくという話なんだけど、私には小松菜奈さんが、他者の感情やその後起こりうることを考えずやりたいことをやるタイプには見えないので、どうも釈然としないというか。もしかするとこの題材は、矢崎監督のように女性の心理を静かに掘り下げるタイプの監督さんじゃなく、いい意味でもっとベタなホームドラマが撮れるような監督さんの方がよかったんじゃないだろうか。

【弟とアンドロイドと僕】(4/10)
監督・脚本:阪本順治
出演:豊川悦司、安藤政信、風祭ゆき、本田博太郎、片山友希、吉澤健、他
製作国:日本

【聖地X】(5/10)
監督・脚本:入江悠
原作:前川知大
出演:岡田将生、川口春奈、緒形直人、真木よう子、渋川清彦、山田真歩、薬丸翔、パク・イヒョン、パク・ソユン、キム・テヒョン、他
製作国:日本

【さくら】(5/10)
監督:矢崎仁司
脚本:朝西真砂
原作:西加奈子
出演:北村匠海、小松菜奈、吉沢亮、小林由依(欅坂46)、水谷果穂、山谷花純、加藤雅也、趙珉和、寺島しのぶ、永瀬正敏、他
製作国:日本

【イーグルVSシャーク】:【ジョジョ・ラビット】のタイカ・ワイティティ監督が母国のニュージーランドで撮った最初の長編映画。おそらくサエないと分類されてしまうようなはみ出し者の男女の不器用な恋物語。こんなキャラクター達が主人公のロマンティック・コメディを見たことがないかもしれない。こういう映画の雛型としていつまでも心に刻まれてしまう予感がする。
【ウェスト・サイド・ストーリー】:スピルバーグ監督は、自身が昔感銘を受けた作品を自分でリメイクしたくなる癖があるのでは。そしてそれは、必ずしも成功するとは限らない。本作は、かの名作の完全な再現化かもしれないけど、オリジナルの方をミリしらの人が見たら冗長に感じる部分もあるのではないだろうか。
【ハウス・オブ・グッチ】:グッチ家に起こった殺人事件についてのノンフィクションが原作と聞き、事件の裏で激しい愛憎劇がドロドロと展開するタッチを勝手に期待してたんだけど、良くも悪くも事実関係の淡々とした描写に終始していて、ちょっと拍子抜けしてしまった。まぁリドリー・スコット御大なのでこうした枯れた上品さに行き着くのも分からないじゃないけれど、レディー・ガガさんの熱演が行き場をなくしているみたいにも見えて、何だかもったいないと感じてしまったのだが。
【ファイター、北からの挑戦者】:脱北者の女性がボクシングにのめりこむ、というあらすじに興味を引かれたんだけど、この話に恋愛要素を絡める必要は無くない?何だか一挙に平凡なお話に見えてきてしまって残念だった。

【ウエスト・サイド・ストーリー】(6/10)
原題:【West Side Story】
監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:トニー・クシュナー
原作:アーサー・ローレンツ
出演:アンセル・エルゴート、レイチェル・ゼグラー、デヴィッド・アルヴァレス、アリアナ・デボーズ、リタ・モレノ、他
製作国:アメリカ

【ハウス・オブ・グッチ】(7/10)
原題:【House of Gucci】
監督:リドリー・スコット
脚本:ベッキー・ジョンストン、ロベルト・ベンティヴェーニャ
原作:サラ・ゲイ・フォーデン
出演:レディー・ガガ、アダム・ドライバー、アル・パチーノ、ジャレッド・レト、ジェレミー・アイアンズ、サルマ・ハエック、他
製作国:アメリカ

【ファイター、北からの挑戦者】(5/10)
原題:【파이터 (Fighter)】
監督・脚本:ユン・ジェホ
出演:イム・ソンミ、ペク・ソビン、他
製作国:韓国

アマプラで何作か視聴:

【真夜中乙女戦争】:世界の破壊を鬱々と夢想する頭でっかちな若者の話は、心情的にあまりにもついていけない……。これは完全に私のような年寄り向きではなかった。見てしまってすまんかった。
【ちょっと思い出しただけ】:松居大悟監督作。今は別れてしまった男女と、その恋が絶対的だった頃の幸せな彼らが対比して描かれる。描写としては優れているのかもしれない。が、今の私は単純にもっと幸せな話が見たいぞ。
【前科者】:刑務所を出所した人の更正を助ける保護司の女性の物語で、WOWOWのドラマと連動した作品らしい。話の核となる元受刑者を演じる森田剛さんの存在感が素晴らしい。丁寧に作られたいい話なんじゃないかと思う。

【真夜中乙女戦争】(4/10)
監督・脚本:二宮健
原作:F
出演:永瀬廉(King&Prince)、池田エライザ、柄本佑、渡辺真起子、他
製作国:日本

【ちょっと思い出しただけ】(6/10)
監督・脚本:松居大悟
出演:池松壮亮、伊藤沙莉、河合優実、大関れいか、屋敷裕政(ニューヨーク)、尾崎世界観、市川実和子、國村準、永瀬正敏、他
製作国:日本

【前科者】(6/10)
監督・脚本:岸善幸
原作:香川まさひと、月島冬二
出演:有村架純、森田剛、磯村勇斗、若葉竜也、マキタスポーツ、石橋静河、北村有起哉、宇野祥平、リリー・フランキー、木村多江、他
製作国:日本

またU-NEXTに復帰していろいろ視聴。

【ノイズ】:農業のカリスマとして孤島の村おこしに奮闘する男性と、その親友と、後輩の新人警察官が、村にやって来た「ノイズ」を排除しようとしてドツボに嵌まる話。現実のデフォルメがトンデモ描写ギリギリの表現だったが、少し慣れてくると、テレビの2時間サスペンス的な誇張された趣きが多少楽しくなってきた。
【吾輩は猫である!】:借金のカタに取られた白猫を救おうとする少女に、地下格闘技大会に出場させられる元受刑者で記憶喪失の格闘家?う~ん、設定に全然ついていけない……。これは武田梨奈さんが主演じゃなければ見なかった案件かも。久々に武田さんのアクションを見ることが出来て嬉しかったけど。
【椿の庭】:椿の咲く一軒家にはかつて祖母と孫娘が暮らしていたが、静かで丁寧な暮らしも年月とともに変化していく。美しいものがいつまでもその場に留まっている訳ではない、と示されるのがもの悲しかった。かつて日本家屋を出奔してきた立場で言えたこっちゃないのだが。
【ONODA 一万夜を越えて】:小野田寛郎氏や横井庄一氏がジャングルから帰国したのは自分が子供の頃で、当時連日テレビで流れるほど凄いニュースだったのは覚えている。あれから何十年も経つけれど、小野田氏に関してはかなりキナ臭い話もたくさん聞くようになってしまったから、何だかな。本作を作ったフランスの人は何を描きたかったのか、結局最後までよく分からずじまいだった。
【大怪獣のあとしまつ】:なまじ本格的な怪獣もののルックを作り込んでしまったから、三木聡監督の旧作を知らない真面目な怪獣映画ファンの皆さんが激怒してしまったらしい。私は三木監督の作品は乗れたり乗れなかったりなのだが、これは仕掛けが大袈裟すぎて全然入って行けなかった。

【ノイズ】(5/10)
監督:廣木隆一
脚本:片岡翔
原作:筒井哲也
出演:藤原竜也、松山ケンイチ、神木隆之介、黒木華、永瀬正敏、伊藤歩、余貴美子、柄本明、鶴田真由、諏訪太郎、渡辺大知、酒向芳、菜葉菜、迫田孝也、大石吾郎、寺島進、波岡一喜、他
製作国:日本

【吾輩は猫である!】(3/10)
監督・脚本:笠木望
出演:武田梨奈、黒田百音、芋生悠、津田寛治、他
製作国:日本

【椿の庭】(7/10)
監督・脚本:上田義彦
出演:シム・ウンギョン、富司純子、鈴木京香、張震、田辺誠一、清水綋治、他
製作国:日本

【ONODA 一万夜を越えて】(5/10)
原題:【Onoda, 10000 nuits dans la jungle】
監督・脚本:アルチュール・アラリ
共同脚本:ヴァンサン・ポワミロ
原作:ベルナール・サンドロン
出演:津田寛治、仲野大賀、遠藤雄弥、嶋田久作、森岡龍。井之脇海、イッセー尾形、他
製作国:フランス/ドイツ/ベルギー/イタリア/日本

【大怪獣のあとしまつ】(3/10)
監督・脚本:三木聡
出演:山田涼介、土屋太鳳、濱田岳、オダギリジョー、西田敏行、眞島秀和、ふせえり、六角精児、矢柴俊博、笠兼三、MEGUMI、岩松了、嶋田久作、笹野高史、田中要次、菊地凛子、有薗芳記、二階堂ふみ、染谷将太、松重豊、銀粉蝶、SUMIRE、他
製作国:日本

【唐人街探偵 THE BEGINNING】:【唐人街探偵】シリーズの第1作。【…東京MISSION】→【…NEW YORK MISSION】と遡ってやっと見ることができた!
【ドリームプラン】:ウィル・スミス氏がアカデミー賞の授賞式で物議を醸していたが、本作で受賞した主演男優賞はまだ返上していないんじゃないかと思う。(私はあの件はクリス・ロック氏の方が悪いと思っている。)テニスのウィリアムズ姉妹に我流の英才教育を施した父親の話なのだが、我流が総て正しいとも限らず、かといって周りが言うことが100%正しい訳ではないので、何につけそのバランスを見極めるのは大変難しいことだよなぁと思った。
【ホドロフスキーのサイコマジック】:ホドロフスキー御大が自ら考案したというサイコマジックという心理療法を解説するドキュメンタリーのような映画。ホドロフスキー先生は多分大真面目で、それだけに、一体何してらっしゃるの……というとまどいを感じざるを得なかったが、これで実際に心を解放して救われている人がいらっしゃって、他の人に迷惑を掛けたということもないのであれば、これはきっといいことなんだろうな、という結論に落ち着いた。
【影の軍隊】【仁義】:ジャン=ピエール・メルヴィル監督の旧作。前者は第二次世界大戦中のパリのレジスタンスの話で、後者は刑務所を出所した男が銀行強盗をする話。

【ドリームプラン】(8/10)
原題:【King Richard】
監督:レイナルド・マーカス・グリーン
脚本:ザック・ベイリン
出演:ウィル・スミス、アーンジャニュー・エリス、サナイヤ・シドニー、デミ・シングルトン、トニー・ゴールドウィン、ジョン・バーンサル、他
製作国:アメリカ

アマプラで【コーダ あいのうた】を視聴。フランスの【エール!】のリメイクだけど、オリジナルの欠点を魚の小骨のように丁寧に取り除き、独自の説得力あるバックグラウンドまで加えて、オリジナルより格段に見やすいいい映画になっていた。ハリウッド・リメイクって大体、オリジナルのユニークないい味が薄められて何のために作ったのか分からないぼんやりした作品にしかならないんだけど、まれにはオリジナルを超えるような場合もあるんだなとちょっと感心した次第。

【Coda コーダ あいのうた】(7/10)
原題:【Coda】
監督・脚本:シアン・ヘダー
原作:【エール!】(脚本:ビクトリア・ベドス、スタニスラス・カレ・ド・マルベルグ、エリック・ラルティゴ)
出演:エミリア・ジョーンズ、トロイ・コッツァー、マーリー・マトリン、ダニエル・デュラント、フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、エウヘニオ・デルベス、他
製作国:アメリカ/フランス/カナダ

またU-NEXTでよもやまな映画をわらわらと視聴。

【アカーサ、僕たちの家】:ルーマニアのドキュメンタリー。自給自足生活をしていた一家が街への移住を余儀なくされる話。
【プリンセス:ルーパー】:チェコのタイプループもののファンタジー。ちょっと冗長に感じられてしまったかな?
【画家と泥棒】:ノルウェーのドキュメンタリー。絵を盗まれた画家と盗んだ泥棒の事件後の交流って、そんなウソみたいな話があるの !?
【ローサは密告された】:商売の足しに裏で麻薬を扱っていて密告された小売店の女主人が主人公。どうにもならない貧困に、腐敗した警察。救いの無さが辛い。
【真昼の欲情】:別題は「神の小さな土地」。『タバコ・ロード』のコールドウェルの南部小説が原作とのことだが、どうしてこれを見ようと思ったのだろう。
【レッド・サン】:三船敏郎とアラン・ドロンとチャールズ・ブロンソンが共演している西部劇。あの頃って、謎の合作映画とか謎の日本人俳優出演作とか結構あるよな。
【在りし日の歌】:一人息子を事故で失った夫婦を描いた中国映画。悲しみそのものは決して癒えなくても、歳月を経ることで向かい合うことが出来るようになることもある。
【パリ、恋人たちの影】:フィリップ・ガレル監督の2015年の作品。ガレル先生は今も新作を準備中らしい。私は今もってガレル先生のよさがあまりよく分かっていないのだが、長年コンスタントに活動していらっしゃるのは本当に偉いよな。

【カモン カモン】:独身男性が甥っ子を預かる話。甥っ子との交流で変化していく心情を細やかに演じているホアキン・フェニックスさんが本当に見事。私は長年、こんなホアキンさんが見たいとずっと願っていたような気がする。
【ベルファスト】:ケネス・ブラナー監督が、1969年のカトリックとプロテスタントの対立による北アイルランド紛争下で生きる家族を描いた自伝的作品。ケネス・ブラナーって北アイルランド出身なのかーってまずはそこからだったけど、これまでみた同監督の作品では最も監督自身の血肉が感じられる映画だった。
【ゴヤの名画と優しい泥棒】:高齢者のためにBBCの無料化を勝ち取ろうとしたおじいちゃんがナショナル・ギャラリーからゴヤの名画を盗んだ、という嘘みたいな実話を元にした話。終始ユーモラスな味があるのが、いかにもよきイギリス映画といった趣き。
【ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男】:デュポン社が引き起こした環境汚染問題に立ち向かった弁護士の実話を元にした物語。アメリカってこういう大企業を告発するような映画が定期的に立ち現れてくるような。こうした健全性が失われないのがアメリカの美点だけど、それでも大企業による支配の非人道的な側面という社会の宿痾はいつまでも存在し続けるのだなとも思った。
【我が心の香港 映画監督アン・ホイ】:アン・ホイ監督の映画、あまり意識していなかったけど何本か見たことがあった。香港のインディペンデント映画界の巨匠また女性監督の嚆矢として偉大な方だと改めて認識したし、監督の作品を最初から見直してみると今こそ様々な発見があるのではないかと強く思った。

【カモン カモン】(9/10)
原題:【C'mon C'mon】
監督・脚本:マイク・ミルズ
出演:ホアキン・フェニックス、ウディ・ノーマン、ギャビー・ホフマン、他
製作国:アメリカ

【ベルファスト】(8/10)
原題:【Belfast】
監督・脚本:ケネス・ブラナー
出演:ジュード・ヒル、カトリーナ・バルフ、ジェイミー・ドーナン、ジュディ・デンチ、キアラン・ハインズ、他
製作国:アイルランド/イギリス

【ゴヤの名画と優しい泥棒】(7/10)
原題:【The Duke】
監督:ロジャー・ミッシェル
脚本:リチャード・ビーン、クライヴ・コールマン
出演:ジム・ブロードベント、ヘレン・ミレン、フィオン・ホワイトヘッド、アンナ・マックスウェル・マーティン、マシュー・グード、他
製作国:イギリス

【ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男】(7/10)
原題:【Dark Waters】
監督:トッド・ヘインズ
脚本:マリオ・コレア、マシュー・マイケル・カーナハン
出演:マーク・ラファロ、アン・ハサウェイ、ティム・ロビンス、ビル・キャンプ、ヴィクター・ガーバー、ビル・プルマン、他
製作国:アメリカ

【我が心の香港 映画監督アン・ホイ】(7/10)
原題:【好好拍電影 (Keep Rolling)】
監督:マン・リムチョン
(ドキュメンタリー)
出演:アン・ホイ、ナン・サンシー、ツイ・ハーク、フルーツ・チャン、ティエン・チュアンチュアン、ホウ・シャオシェン、アンディ・ラウ、ジャ・ジャンクー、シルヴィア・チャン、スタンリー・クワン、他
製作国:香港

藤井道人監督の【余命10年】は、難病で余命10年を告げられた若い女性が、恋をしてはいけないと思いながらある男性に魅かれていく話。しかし、「若くして死ぬ運命だったけど精一杯人を愛しました」みたいな映画を今まで何本か見てきたからか、10年って結構長いのでは?と思ってしまったのだが。というか、30過ぎまで毎日死にたいとしか思っていなかった自分は、この主人公の心情を理解するにはそもそも鈍感すぎたのかもしれない。
今泉力哉監督の【猫は逃げた】は、飼い猫をどちらが引き取るか揉めていた離婚寸前の夫婦と、それぞれの浮気相手との関係を描いた話。それほど派手な事件が起こる訳でもないしどの人物にもあまり共感できないのに目が離せなくなってしまうというのは、今泉監督の人物の描写力の高さゆえではないだろうか。

【余命10年】(5/10)
監督:藤井道人
脚本:岡田惠和、渡邉真子
原作:小坂流加
出演:小松菜奈、坂口健太郎、山田裕貴、奈緒、井口理、黒木華、田中哲司、原日出子、リリー・フランキー、松重豊、他
製作国:日本

【猫は逃げた】(7/10)
監督:今泉力哉
脚本:城定秀夫
出演:山本奈衣瑠、毎熊克哉、手島実優、井之脇海、伊藤俊介(オズワルド)、中村久美、他
製作国:日本

アピチャッポン・ウィーラセタクン監督の新作【MEMORIA メモリア】。ある女性の不可思議な体験が綴られ、最後にはエッ !? というシーンで終わる。監督自身が患った「頭内爆発音症候群」という疾患がモチーフになっているらしいのだが、良く言えば空想を刺激され、悪く言えば不可解。これは何回もじっくり見てみなければ監督の描きたかったものには辿り着けないのではないかと思う。
ジャック・オディアール監督の【パリ13区】。公式ホームページによると「4人の男女が織りなす“新しいパリ”の物語」となっているのだが、メインキャラの何人かがアジア系やアフリカ系であるところや(そういえば白人男性は背景程度にしか出てこない)、彼らのメンタルに影響を与える要素としてセックスがごくフラットに描かれるところなどが、パリの若者を描いた情景として確かに新しく映る。しかし不安に揺れる若い人の心情とか恋愛とかどうでもいいという自分自身の状態が勝ってしまい、あまり物語に入って行けなかった。それは全くもって映画のせいじゃないと思う。すまん。

【MEMORIA メモリア】(5/10)
原題:【Memoria】
監督・脚本:アピチャッポン・ウィーラセタクン
出演:ティルダ・スウィントン、エルキン・ディアス、ジャンヌ・バリバール、他
製作国:コロンビア/タイ/イギリス/メキシコ/フランス/ドイツ/カタール

【パリ13区】(5/10)
原題:【Les Olympiades (Paris, 13th District)】
監督・脚本:ジャック・オディアール
共同脚本:セリーヌ・シアマ、レア・ミシウス
原作:エイドリアン・トミネ
出演:ルーシー・チャン、マキタ・サンバ、ノエミ・メルラン、ジェニー・ベス、他
製作国:フランス

U-NEXTにタル・ベーラ監督の旧作が来ていたので鑑賞。【アウトサイダー】は社会に適合できないミュージシャンの話で、【ファミリーネスト】は住宅事情のため親と同居せざるを得ない若い夫婦の話。【ダムネーション 天罰】では愛人に捨てられそうになっている男のなりゆきが描かれていて、その後のタル・ベーラ・スタイルが出来上がっている。

NHKの『プリズム』『拾われた男』『空白を満たしなさい』、民放の『初恋の悪魔』『オールド・ルーキー』『ユニコーンに乗って』『未来への10カウント』『家庭教師のトラコ』『インビジブル』などのドラマを視聴。ここのところ感じるのは、筋立てや演出が必ずしも好みじゃなくても、設定に多少疑問を感じるところがあっても、いい俳優さんが上手い演技をしていると割と見続けることができるということだ。

『初恋の悪魔』は、いろいろな意味でノックアウトされたドラマだった!二重人格という下手すると鼻白んでしまう設定では、今までで見た中で一番見事で切ない物語だったんじゃないだろうか。プロットが完璧な上、仲野太賀さん、松岡茉優さん、林遣都さん、柄本佑さんの4人を始めとするキャストの演技がまた素晴らしすぎて非の打ちどころがない。あぁどうして録画しておかなかったんだ、私のバカ!

『プリズム』は、途中では見るのが苦しいような展開もあったけど、誰かとくっつきさえすればハッピーエンド、という恋愛至上主義に陥らないところに好感が持てた。杉咲花さんや森山未來さんも当然よかったけど、藤原季節さんていいなぁと改めて思った。ところで、あの主題歌は原由子さんだったんですね。厳しさもあるけどあたたかく包み込むような不思議な雰囲気のある曲調が、ドラマの魅力をより引き出しているように思いました。

『鎌倉殿の13人』と『エルピス』、リアタイできないんだけど、毎回なかなか録画に手が伸びない。見れば引き込まれると分かっているのだが……。

長澤まさみさんという女優さんを好きになったのは【ロボコン】という映画だったが、それからしばらくは(おそらく所属会社の方針による)妙なお嬢様扱いにずっとモヤモヤしていた。あれから約20年。今、一皮も二皮も剥けた彼女の演技を見ることができるのが心から嬉しい。

『エルピス』では眞栄田郷敦さんが予想の10倍くらい素晴らしく、それだけでも見てよかった。俳優さんにとって作品との出会いは本当に大切なんだなと改めて思った。

岨手由貴子監督の【あのこは貴族】が評判がいいそうで何よりだけど、プロットを聞く限り恐くて見れそうにないので、おそらく今後も見ないだろうと思う。何のかんの言って、東京は様々な一流のカルチャーが集積している特異的な場所で、そういう場所の空気を吸って生まれ育った人達に対し、文化の僻地の地方都市出身者の自分は、言い知れないほどのルサンチマンを持っていた。上京して何十年も経ってさすがにそんな恨み辛みは薄まってきたものの、またいろいろ思い出してしまいそうなのが嫌なのだ。

アマプラでは『モダンラブ・東京』、ネトフリでは『First Love 初恋』っていう豪華キャストの鳴り物入りのシリーズをやってるけど、愛だの恋だのどころじゃなくてどっちも見る気がしないんだよね……。

引き続きU-NEXTを観賞。

【パティシエさんとお嬢さん】:原作の一部をネットで読んでいたので、はっきり言ってがっかりする出来だった。あのケーキ好きのお嬢さんのぽっちゃりした体型の可愛らしさが作品の肝なのに、全く違うタイプの女性を採用してしまっていた時点で、もう失敗が決まってしまっていたのだと思う。製作サイドはおそらく最初から新人の売り込みだけが目的で、正直原作は何だってよかったのではあるまいか。古厩智之監督はお仕事としてこの作品を引き受けたのだろうと想像するが、これは お断りするべき案件だったのではないだろうか。
【ツユクサ】:平山秀幸監督による中年男女の物語。日常の自然なやりとりの中に、それぞれの人物が様々な事情を抱えているということが細やかに描かれているのがよかったが、そんなドラマって実はほとんど作られていないんだなぁと改めて思った。小林聡美さん、江口のりこさん、平岩紙さんの職場の同僚三人組の描写が特によかった。
【リング・ワンダリング】:笠松将さん演じる主人公が二ホンオオカミに興味を持っているという時点で何で?と思ってしまったのだが、そこで出会った出来事が過去の事物だったという不思議な展開に。近年SF設定が段々駄目になりつつある身としては、残念ながらあまりついていけなかったように思う。
【はい、泳げません】:てっきり綾瀬はるかさんと長谷川博己さんの恋愛話だと思っていたら全然そうじゃなかったので、自分の安易さを反省した。二人は水泳教室の先生と生徒で、そういう他人同士の関わりの中からそれぞれに過去を見つめ直して将来に向かう勇気を得ていくといういい話だった。
【大河への道】:立川志の輔さんの創作落語を映画化したものらしいが、やめてくれよう!別に伊能忠敬が日本を全周してなくても日本地図が完成したのが彼の存命中じゃなくてもいいんだよ!それでも伊能忠敬主演の大河ドラマを作ってほしいんです、チバケンミン的には。

【パティシエさんとお嬢さん】(2/10)
監督・脚本:古厩智之
共同脚本:蒲田子桃
原作:銀泥
出演:崎山つばさ、岡本夏美、村井良大、他
製作国:日本

【ツユクサ】(8/10)
監督:平山秀幸
脚本:安倍照雄
出演:小林聡美、江口のりこ、平岩紙、斎藤汰鷹、松重豊、渋川清彦、泉谷しげる、ベンガル、桃月庵白酒、瀧川鯉昇、他
製作国:日本

【リング・ワンダリング】(4/10)
監督・脚本:金子雅和
出演:笠松将、阿部純子、安田顕、片岡礼子、品川徹、田中要次、長谷川初範、他
製作国:日本

【はい、泳げません】(6/10)
監督・脚本:渡辺謙作
原作:髙橋秀実
出演:長谷川博己、綾瀬はるか、麻生久美子、阿部純子、小林薫、伊佐山ひろ子、広岡由里子、占部房子、上原奈美、他
製作国:日本

【大河への道】(6/10)
監督:中西健二
脚本:森下佳子
原作・出演:立川志の輔
出演:中井貴一、松山ケンイチ、北川景子、岸井ゆきの、和田正人、田中美央、溝口琢矢、西村まさ彦、平田満、草刈正雄、橋爪功、他
製作国:日本

【ケンとカズ】:覚醒剤売買をしている二人の行く末。やるせないけれど、こうした「行き止まりの青春」的な話はどうしても既視感を感じてしまうのだが。
【初恋~お父さん、チビがいなくなりました】:熟年離婚危機の話。妻にいちいち好きとか愛してるとか言わなくても分かってるだろう!と依怙地になるタイプのお爺さんはみんな見た方がいいと思う。
【大コメ騒動】:富山の米騒動。女学校出の主人公が、そういう女性は小賢しいと見られがちなコミュニティで、米騒動という事象を通じて徐々に自分を表に出して周りからも理解を得られるようになる話……なのかと思いきや、結局、その主人公が誰かの妻であるということに収斂して話が終わるって何だかな。
【アルプススタンドのはしの方】:甲子園に出場した野球部の応援に駆り出されている側の高校生達の青春。その手があったか!の着眼点で、思った以上に引き込まれる話だったけど、高校演劇の全国大会で優勝した作品が原作だとのことで、かなりの部分は原作のお手柄なのではあるまいか。

【リコリス・ピザ】:PTAことポール・トーマス・アンダーソン監督の新作。高校生男子と20代女性の恋愛の話、なのだが……う~ん、いよいよ本格的に若い人の恋愛の話がどうでもよくなってしまったというか、苦手ジャンルになってしまいつつあるような気がする。
【鹿の王 ユナと約束の旅】:上橋菜穂子さんのファンタジーを原作にしたアニメなのだが、期待していたほど盛り上がらなかったような。上橋さんは完全にオリジナルの世界を一から構築なさる方なるので、その世界観の説明だけで手に余ってしまったのではないだろうか。
【メタモルフォーゼの縁側】:原作を先に読んでいたので、どんな作品になるだろう、と思っていたのだが、原作のエピソードをそのまま映像化してそのまま並べてみましたというだけで、敢えて映画にすることのマジックが何も感じられなくて残念だった。
【神は見返りを求める】:吉田恵輔監督の最新作。ある中年男性がYouTuberになりたい若い女性を手助けし、あまり芽が出なくても仲良くやっていたのだが、女性が全く別のルートで突然バズってしまったことから険悪になり泥沼に陥る……。YouTuber同士の世界って私はあまりよく知らないのだが、これは全くの創作なのか、少しはあるあるなのか?想像以上にトゥーマッチなひどい展開になって誰もほぼ幸福にならないというのに、メーターが振り切れているからなのか妙にドライな感じがあって、えーっと驚くようなエンディングになだれ込んでもさほど嫌な気持ちにもならなかったのが不思議だった。

【リコリス・ピザ】(6/10)
原題:【Licorice Pizza】
監督・脚本:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:アラナ・ハイム、クーパー・ホフマン、ショーン・ペン、トム・ウェイツ、ブラッドリー・クーパー、ベニー・サフディ、他
製作国:アメリカ

【鹿の王 ユナと約束の旅】(4/10)
監督:安藤雅司・宮地昌幸
脚本:岸本卓
原作:上橋菜穂子
(アニメーション)
声の出演:堤真一、竹内涼真、杏、木村日翠、阿部敦、安原義人、櫻井トオル、藤真秀、中博史、玄田哲章、西村知道、他
製作国:日本

【メタモルフォーゼの縁側】(5/10)
監督:狩山俊輔
脚本:岡田惠和
原作:鶴谷香央理
出演:芦田愛菜、宮本信子、高橋恭平(なにわ男子)、古川琴音、生田智子、光石研、他
製作国:日本

【神は見返りを求める】(8/10)
監督・脚本:吉田恵輔
出演:ムロツヨシ、岸井ゆきの、若葉竜也、吉村界人、淡梨、栁俊太郎、他
製作国:日本

旧作を何本か視聴。【レニー・ブルース】はダスティン・ホフマン主演で、1960年頃に実在した過激なスタンダップ・コメディアンの話。【何かいいことないか子猫チャン】はウディ・アレン脚本の作品で、モテまくるプレイボーイがドタバタしながら結婚にこぎつける話。【奇跡の人】はヘレン・ケラーの家庭教師アニー・サリバンを描いた戯曲をアーサー・ペン監督が最初に映画化したもので、アニー役のアン・バンクロフトとヘレン役のパティ・デュークがそれぞれアカデミー賞を受賞している。ヘレン・ケラーの幼少期の話はこれ!という記憶そのままの雛型中の雛型で、完全に見入ってしまうような鉄板の力強さがあった。

かの大女優・田中絹代さんの監督作【お吟さま】は、千利休の娘・吟と高山右近との悲恋を描いた話。彼女は日本の最初期の女性映画監督の一人だったが(日本初の女性映画監督は坂根田鶴子さんだと言われている)、その監督作はあくまでも偉大なる女優業のご褒美的な余技と見られがちだったのが、最近では海外を中心にその功績を再評価する気運が高まっているという。これは他の5作品も是非とも見てみたいのだが、どこかで配信してくれていないでしょうか。

ベラルーシ生まれ、ウクライナ育ちで現在ベルリン在住のセルゲイ・ロズニツァ監督の作品をまとめて視聴。【国葬】【粛正裁判】【アウステルリッツ】はドキュメンタリーで、それぞれ、スターリンの国葬、スターリンによる粛正裁判、ホロコーストの現場のダークツーリズムを描いたもの。【ドンバス】は新ロシア派が実効支配するドンバス地域を舞台にした劇映画だった。

年内の映画鑑賞のラストスパート!

【ハッチング 孵化】:最近、北欧のホラーが元気がいいのはいいけれど、北欧は薄暗くてちょっと狂気を孕んでいるという偏ったイメージを助長したりしないかなとちと心配。本作は、少女が森で拾った卵から生まれた化物には彼女が母親から受けた抑圧が映し出されていたという話。誰も幸せにならない。嗚呼。
【アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版】:ルーマニアのラドゥ・ジューデ監督作。夫とのセックス動画が流出してしまった教師が主人公なのだが、ジョークめかした語り口ながら社会主義時代から尾を引くルーマニア社会の様々な矛盾を語り尽くしてやろうという野心に満ち満ちていているのが見て取れる。こんなに真正面からぶつかってくる紛うことなき社会派映画は久々に見たような気がする。自己検閲版というのは国際版のことなのだそうだが、要するにセックスのシーンを加減しないと国際的に流通させるのが難しいからのようで、「censorship=money」というポップなロゴに監督の怒りとも諦めともつかないシニカルな自虐的センスが感じられる。
【ハウス・イン・ザ・フィールズ】:モロッコの山奥に住むアマズィーグ人の姉妹を描いたドキュメンタリー。といっても、国や民族に関わらず、世界のあちこちに今もこんな伝統的社会が存在していて、こんな女の子達がたくさん生きているんだろうなぁと思わせた。をタラ・ハディド監督は、先年亡くなった建築家ザハ・ハディド氏の姪なのだそう。
【1978年、冬。】:中国の文化大革命の終わり頃、田舎町に暮らす兄弟と都会からやってきた少女の交流と淡い恋を描いた物語。時代なのか土地柄なのか、町の人々の偏狭さが彼らを糾弾する。見る前は少し身構えていたが、詩情に溢れたいい映画だった。
【フェアウェル】:死期が近いと宣告されたグランマに会うため、世界中に散らばった一族が結婚式を偽装して中国に帰郷する(彼らと中国本土との距離感は存外近い)。中国系アメリカ人女性が監督しているアメリカ映画なので(将来に悩む主人公にはおそらく監督自身が投影されている)、人物配置もストーリーもテーマもいい意味でとても分かりやすく構築されているし、ラストのオチもいかにもアメリカ人好みという感じ。今や世界中のあらゆるところに進出している中国人の親族の間の絆をとても見やすいタッチで描いた秀作だと思う。
【息子の面影】:アメリカに行くと言い残してメキシコ国境付近で行方不明になった息子を捜す母親の物語。ラストの悲痛さ。メキシコを含む中南米諸国にはびこる暴力と、それ故にアメリカを目指す人々の悲劇について、いくつかのドキュメンタリーなどでも見たことがあるが、こういう暴力の連鎖をいつかこの世から消滅させるには、一体何をすればいいんだろう。
【ジャーニー】:日本・サウジアラビア合作のアニメ映画。「太古アラビア半島での奇跡と戦いの物語」なる長い副題がついているのだが、コーランの1節を題材にした話らしい。正直、冗長に感じられてしまったのだが、サウジアラビア人男性のセルフイメージってこんなふうなのかなと思うと、ちょっぴり何かの参考になったような気はする。
【シチリアを征服したクマ王国の物語】:原作はディーノ・ブッツァーティという著名なイタリア人作家による児童文学で、このアニメーションのタッチは作者が自ら手掛けた挿絵が元になっているのだそう。自分には、クマ達が人間の文明に毒されてクマであることを放棄してしまったために滅びてしまった悲劇を描いているように思われたのだが、何故シチリアの歴史として語られているのかなど、きっともっと深い背景がありそう。知識が無くてそこまで深掘りできなかったのが残念だった。
【冬薔薇(ふゆそうび)】:阪本順治監督作。中途半端な生き方をしている青年に、寂れてあまり先行きのない商売を続ける親達。彼らはまるで冬に咲く薔薇のよう。……言われてみればそういう狙いなのだと分からないじゃないのだが、実際に見ると何だかピースが噛み合ってなくてちぐはぐな印象が残る。最近の阪本監督の作品ってどうもそういうふうに、理念が空回りして登場人物の情感がダイレクトに伝わってこない傾向があるような。
【三度目の、正直】:【ハッピーアワー】や【スパイの妻】の脚本家である野原位(ただし)氏の監督作品。過去に流産や離婚を経験している女性が、またパートナーやその連れ子と別れ、今度は偶然出会った青年をまるで自分の子供のように育てたいと願う。う~ん、もっと小さい子供とかならともかく、ある程度育ち切った青年を自分の子供として面倒みたいってちょっと無理っぽくないですか?少なくとも自分はその気持ちがよく分からず、全然共感できなくて脱落してしまったのですが……。

【ハッチング 孵化】(6/10)
原題:【Pahanhautoja (Hatching)】
監督:ハンナ・ベルイホルム
脚本:イリヤ・ラウツィ
出演:シーリ・ソラリンナ、ソフィア・ヘイッキラ、ヤニ・ヴォラネン、レイノ・ノルディン、他
製作国:フィンランド/スウェーデン

【アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版】(7/10)
原題:【Babardeala cu bucluc sau porno balamuc (Bad Luck Banging or Loony Porn)】
監督・脚本:ラドゥ・ジューデ
出演:カティア・パスカリウ、クラウディア・イエレミア、オリンピア・マーライ、他
製作国:ルーマニア/ルクセンブルク/クロアチア/チェコ

【息子の面影】(5/10)
原題:【Sin Señas Particulares】
監督・脚本:フェルナンダ・バラデス
共同脚本:アストリッド・ロンデロ
出演:メルセデス・エルナンデス、ダビッド・イジェスカス、フアン・ヘスス・バレラ、他
製作国:メキシコ/スペイン

【シチリアを征服したクマ王国の物語】(7/10)
原題:【La Fameuse Invasion des ours en Sicile (The Bears' Famous Invasion of Sicily)】
監督:ロレンツォ・マトッティ
脚本:トマ・ビデガン、ジャン=リュック・フロマンタル
原作:ディーノ・ブッツァーティ
(アニメーション)
声の出演:アントニオ・アルバネーゼ、アンドレア・カミッレーリ、リンダ・カリーディ、他
製作国:フランス/イタリア

【冬薔薇(ふゆそうび)】(5/10)
監督・脚本:阪本順治
出演:伊藤健太郎、小林薫、余貴美子、眞木蔵人、永山絢斗、毎熊克哉、伊武雅刀、石橋蓮司、他
製作国:日本

【三度目の、正直】(4/10)
監督・脚本:野原位
出演:川村りら、小林勝行、出村弘美、他
製作国:日本



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雑想ノート 映画館で見た ろばみみ BN