シネマ雑想ノート



ごあいさつ

コロナ禍以降、本業としていた仕事がすっかり立ち行かなくなり、アルバイトをしようにも仕事自体がなかなか見つからなかったり、やっと見つかっても生活を維持するには全く足りなかったり。
私はこれまで映画で見てきたような、一生の仕事と思っていた職から追われた炭鉱労働者の気持ちも、リストラされたことを家族に打ち明けられなかったサラリーマンの気持ちも、就職氷河期にいくつ応募しても仕事が決まらなかった当時の大学生の気持ちも、全然分かっていなかったのかもしれない。ババアは霞食って生きてろってか、死ねってか。身を切られるようというのはこういうことか。厳しい。本当に厳しい。

そして、有り体に言ってお金を稼げなくなったので、映画館通いを中心にしてきたこれまでの映画との向き合い方は、根本的に変えざるを得なくなった。
不幸中の幸いというか、コロナ禍の外出制限の時期に動画配信サービスが一挙に浸透し、我が家のお茶の間でも環境が整えられたので、何かと制限が多かったこれまでのレンタルビデオ時代よりはもっと気軽にホームモニター生活を始めることができた。Fire TV万歳!文明って素晴らしい。ただ、「いつかどこかで出会えたら見たい映画」のリストがどんどん長くなっていく、というちょっとしたストレスを新たに慢性的に抱えることにはなったけど。

とはいえ、日常生活の中に身を置きながら比較的小さな画面(時には携帯やタブレットだったり)から映画を覗き見するというのは、日常から切り離された映画館という空間に全身を浸して映画だけに没頭するという贅沢な経験とは全く違う。正直、集中力は何分かの1。そんな状態で見た映画について、これまでと同じ方法であれこれ言ってる場合だろうか?大体、自分が何かをしなくても、自分よりもっと正確に映画の情報を伝えられる人なんて世間にいくらでもいるんだし。

コロナは単なるきっかけで、こんなふうに変わってしまう予兆は以前からあったのかもしれない。それにしても、自分にとって映画が最優先事項じゃなくなる時が来るなんて考えもしなかった。面白い。実に面白い。

でも、自分がどういう映画を見てその時どう思ったか、後々読み返す分には楽しいので、ログとしては残すことにする。でもそれ以上のことをするのはやめにする。これからはそういう方針にしようと思う。

きっかけは何であれ、いい方向に変わっていくことができればいいと思う。もし読んで下さる奇特な方がいらっしゃったら、これからもよろしくお願いします。




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映画館で見た ホームモニター ろばみみ BN