エコプロ展にはもう二度と行かなくても良いと思ってはいたが、昨年の入場者にはエコプロ展事務局からご案内メールが来る。そのメールを見てまた行くかという気になった。金曜日の朝は、幸い晴れて風もなく暖かかった。
京葉線からりんかい線に乗り換えて、国際展示場駅で降りて歩く。いくらなんでもここから国際展示場正門まで185円出して「ゆりかもめ」に乗る人はいないだろう。あげくに正門駅まで行ってしまうと、エコプロ展の会場まで走った距離の半分を戻ることになる。
と言いつつ、始めて来たときは位置関係が全然わからず、「ゆりかもめ」に乗ってしまったのだが・・・
会場に入ると、いや会場に入る前に入場者受付のところで感じたのは、寂れたなということ。ここ数年、入場者の減少は肌身で感じていたが、これほど寂れたと感じたことはなかった。エコプロ展も、もう長いことはないように思う。それが会場に入る前にまっ先に感じたことだ。
以下箇条書きに感想を揚げる。
- エコプロダクツとは単なるプロダクツとみたり
エコプロダクツ展とあるが、実際はありとあらゆる商品を対象としているようだ。お菓子、衣類、化粧品、ワイン、あらゆる商品が並んでいる。まあどんなカテゴリーでもエコプロの対象となるのはわかる。しかし特段環境配慮も関係ないようなものもすべてがエコプロダクツに該当するようだ。ということは世にあふれているすべてのカテゴリーの全商品がエコプロなのだろう。
おっと製品だけでなく、サービスすなわち形なき役務もエコプロ対象らしい。このあたりISO9000の定義そのまんま適用しているのか?
だが、すべてのカテゴリーの製品あるいはサービスが対象であるとしても、その中の「より環境効率の良いもの」だけがエコプロダクツではないのかという気がするが、私が間違っているのだろうか?
まあ、そもそもエコプロの定義がないのだから、なんでもありなのであろう。
- 展示に金をかけていない
各出展者に共通することだが、ブースも、展示物も、コンパニオンも、とにかく金をかけてないことが一目瞭然である。経済事情があるのかどうかわからないが、安っちいないなあと感じることおびただしく・・
去年以前に比べてそうとうケチっているように見えた。
キヤノンやゼロックスといった環境に力を入れていた企業も、以前に比べるとブースの小間数は大きく減らしているようだ。業種で言えば、出展している車メーカーは大幅に減った。シャープやパナソニックがしょぼいのは、最近の経営状況から考えて当然なのか?
もう環境を前面に出すのは古いというか、環境で売るのは時代遅れということか、環境など今更なのかもしれない。
ついでであるが・・・
クイズやアンケートに答えるとお土産がもらえるのだが、そのお土産が以前に比べて安物ばかりだ、アンケートを書いてまで欲しいようなお土産はなかった。
実を言ってトイレットペーパーを頂いたのだが、捨てるわけにもいかず千葉まで持って帰るのが大変だった。
いや、私はお土産が欲しくて出かけたのではない。
でも小中学生の入場者のほとんどはお土産目当てなのは間違いない。
- 本質的でない環境活動ではなく本業の環境効率で勝負すべきだ
イオンは広く環境に配慮しているということをアッピールしていた。正直言ってそれって正攻法じゃないというか、ちょっとずれているのではないかと思う。
少し前、岡田克也が選挙演説で「シャッター街を作ったのは誰か」と語ったら、即座に「ジャスコのせいだ」とヤジを返された動画がアップされていた。まあ、そのヤジも言いがかりというかダジャレのたぐいだろう。日本は自由主義なのだから同業他社に勝たなければ自社が存続できないし、その結果コンペティターが潰れてもやむを得ない。だが岡田克也が本質でないことを語ったのは事実だ。岡田が期待したリアクションは「自民党だ」だったと思うが、そうでないことは間違いないのだから。人により判断の異なることを政敵になすりつけるのは卑怯なことだ。
それはさておき環境に関して「環境配慮している」というようなアイマイなことでは社会に対する説明責任は果たしていないと思う。商流という分野で事業をしているなら、自分たちはこのビジネスにおいて環境効率が最大になることを目指して事業を設計して推進しているということを説明すべきだと思う。
どういういことかというと、本業において環境を配慮するということだ。具体的には大店舗を作ればよいというわけではない。太陽光発電した電気で店の使用量のわずか数パーセントを賄ってますなんてことでもない。高齢化社会において、お客様の店舗までのアクセス、店舗内の移動、商品の配送、地域コミュニケーションなどを考慮して、最大に環境効率に配慮して(それは社会貢献の指標でもある)、店舗規模、店舗数、形態などなどを設定しているのだという説明を聞きたい。
おっと、これはイオンばかりでなく、アマゾンだってウォルマートだって同じですがね。もっともアマゾンもウォルマートも出展してはいませんでしたが・・・
ところでGMSってのはどう考えてもサービス業だよね。エコプロダクツ展でよいのか?
- 教育機関の出展
大学・教育機関コーナーというのがある。教育機関のプロダクツは何で、どんな指標でエコを測るのかはともかくおいておく。従来出展者は大学がほとんどだった。だが今年は、なんと小学校までが出展していた。それも複数だ。
小学校が出展しちゃいかんとは言わないけれど、私個人としては、わざわざ大金をかけて行って見る展示物ではなかったと思う。子供の教育という観点では展示会に出る意味がないとは言わないが、遠方からお金をかけてエコプロダクツを見に行った人が希望したものではないのではないか。
入場料は確かにタダだけれど、往復2000円近くかけるなら、もっと価値あるものを見たい。主催者は出展物を審査して、一定水準に達しないもの、あるいは趣旨からはずれるものは不許可にすべきではないのだろうか?
まあその理屈ではNPOや大学のほとんども見る価値はないのだが
しかし・・・思うのだが、この出典はどちらから声をかけたのかということが気になる。つまり小学校側がぜひ出展したいと言ってきたのか、出展者が出てほしいと言ったのか、どうなんだろうか?
まさか出展者が少ないから穴埋めになんてことは・・・
- 出展者の移り変わり
過去より時系列的にメーカーからのエコプロダクツ出品が減る一方だが、代わって増えてきたのがNPO、学校などなど。だが内容がプアで、かつ小粒、小間数が小さなものばかりになってきた。以前は展示会場の遠くをみると大きなブースのために見通しがきかなかったが、今年ははるかかなたの相馬の空♪まで見えそうだ。
なんのことだかわかんねーという方は、「新相馬節」と検索してください
特に展示場の両側、特に東4ホールはほとんど火が消えたようである。来年は会場面積を半分に減らしても間に合うのではないかという気がする。
- 即売会
前項と関係するが、年と共に展示会から即売会に移りつつある。多数のNPOにとっては、エコプロダクツ展ではなくエコプロダクツ店と見ているようだ。石鹸、衣類、食品、日用品、ワイン、アイデア商品、まあいろいろだが、もうエコプロダクツを見せて入場者に環境意識を持ってもらう、環境意識をあげてもらうというものではない。そんなことよりも売上が大事、物を売るために出展し、いや出店しているだけのようだ。
次回からエコプロ展改め、ノミの市としたほうがお似合いかも
せっかく来たのだからと古巣に顔を出した。私はあまり先輩風を吹かしたりする気はないが、年に一度くらい顔を出すのは許してください。以前の同僚はみんな元気に頑張っているようで安心しました。
おっと、名古屋鶏さんの会社も見学してきました。ぶらっくたいがぁ様の会社は出展していなかったようです。

まとめです。
エコプロ展というのはかっては偉大な成果を出したと思う。私は一出展者の一説明者として過去10年間参加していたが、確かに環境配慮製品の情報提供やリサイクルや省エネの実情を入場者に伝えるという功績はあった。だが、今では世の中に環境に関する情報はあふれている。わざわざ大がかりな展示会をするまでもなく、またそこに出かけていくこともなく、情報は手に入るし、既に市民、消費者の意識は高い。もうエコプロダクツ展そのものを発展的解消しても良いのではないか。
ITというかネットの発達だってものすごいのだ。これを活用して大勢が一か所に集まらないバーチャル展示会を考えた方が環境に良さそうだ。
大学で環境を冠する学部が雨後の竹の子のようにできたのは世紀が変わる頃だった。そして15年後の今、そういった学部がどんどんと名称が変わりあるいは再構成されている。環境とは化学とか文学と違い、カテゴリーではなく考え方あるいはスタンスだから、わざわざ「環境」と銘打つ必要があるのはいっときだけなのではないだろうか。同様にエコプロダクツという名称が必要なのもいっときだと思う。企業においても環境部なんてものは、その考え方がライン部門に浸透し内部化されてしまえば消滅するのが当然だ。環境監査だって業務監査に包含されればよろしい。
もちろん出展者がはりきって、また相互に競い合うような状況なら今後も継続する意味はあるだろうが、今回のように、どの出展者も金をかけず、手抜き、なげやり、やる気なしがミエミエの展示会ではもうやらなくてもよいのではないか?
そんなことは過去から感じていたことではあるが、今年は特にそう感じた。

予言は?
ところで入場者数であるが、今年三日間の入場者数は161,647人であった。昨年、私は
2014年は入場者数が16万を切るだろうと書いたが、幸か不幸かその予言は成就しなかった。
予言者としてはまだ未熟であった。 _| ̄|○
なお過去からの推移は下のグラフのとおりである。過去2年間の減少傾向よりなだらかになってきたようだ。
私は宝くじが当たったのは2000円が最高で、万円も億円も縁がない。しかし預言者としての能力はマアマアかと自負していた。
だが本日は完璧に打ちのめされた。2015年のエコプロ展入場者数はなんと2014年を超えた。
これはいったいなんだ
!?
本日以降、ISOの預言者を名乗ることはしない。
しかしですよ、上のグラフを見て、動きがおかしいと思わない人はいないと思うのですが・・・
名古屋鶏様からお便りを頂きました(2015.12.13)
これはいったいなんだ!?
景気のせいかも知れませんね。
建設業は何処も職人不足に泣いてますし、求人倍率も伸びています。
街中にある協賛等の「ストップ!アベノミクス」ポスターが虚しく見えますわ
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なるほど、エコプロ入場者数はISOの衰退ではなく景気の従属関数だったのか
未熟なり
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現役時代はエコプロ展で勤め先の説明員をしていたし、引退してからも毎年古巣への挨拶、そして他社がどんなものを出しているのかとエコプロ展を歩き回ったものである。

しかし今年2016年は行くのをやめた。最大の理由はエコプロ展の内容が変質し面白くなくなったからだ。
具体的に言えば、10年前は各社とも技術自慢だったと思う。他社よりも省エネ、省資源など環境性能が良いですよ、あるいはリサイクルが可能です、リサイクル品を使っていますということを競っていた。
それが最近ではエコプロ展ではなくエコプロ店、つまり即売会になったように思えるし、出品するものもくだらないものが多くなった。最初は間伐材を使った雑貨などが売られていて、まあエコプロにかすっているかと思ったが、数年前ゴミ拾いのトングを売っていて「どこがエコプロなのか?」と聞いたら「ゴミ拾いをするときれいになるからエコだ」という。呆れた。こうなるとエコプロ店でさえなくどこにでもあるフリーマーケットである。
大学の展示と言っても、最先端の研究ではなく、二番煎じ、三番煎じの出展が多い。学生に恥ずかしくないのかと問いたい。そして車メーカーはモーターショーの出がらしを展示しているだけ。行政の出品も減った。かっては法規制解説パンフレットの入手に励んだが、今はほとんどない。JAXAが宇宙開発の出典をしているがエコプロとどうかかわるのかわからない。まあそういうことが重なってきてともかくつまらなくなった。
いくらエコプロ展の入場料はただとはいえ、千葉からの交通費は退職者にとって安くはない。費用対効果を天秤にかければ行く気になれない。
とはいえ今年のエコプロ展が賑わったのか、閑古鳥が鳴いたのかは気になる。
展示会終了後に
エコプロ展ウェブサイトで入場者数を見た。
1年前、私は
予言者の才能はないと宣言したのだが・・・
2016年のエコプロ展入場者数を見ると、私の過去の予想から大きく外れてはいないようだ。
品質管理をかじったものなら、なにものかの(まあ、たいていは不良だが)分布が一山でなく二山あれば、原因が二つあるというのは常識である。
まだデータ数がふたつしかないから断定はできないが、どうもエコプロ展の入場者数は二山のカーブを描いているようだ。
エコプロ展入場者数の二山(2017から減るような発言で恐縮であるが)であるということは、2015年に何かを仕掛けたか、2015年以降以前とは毛色の変わった内容になった(あるいは宣伝を変えた)ということになる。たぶんそういうことがあるのだろう。
いずれにしても2014年までの傾向とは違うことは明白だ。もちろんエコプロ展主催者にとって、エコプロ展の内容を守死することよりも、内容を変えて継続したほうがベターだろうと思う。少なくても来年の飯を心配することはない。
どうせ入場者の過半はお土産期待の子供たちだから展示内容がエコプロダクツであろうと、エコノミープロダクツであろうと気にしないだろう。気が付かないかもしれない。
ともあれ、エコプロ展繁栄おめでとう
!
おっと、前年よりも減っているが大丈夫だろうか?
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