*これはISO14001:2015のDISを基に2015/3/30に書いたものである。
今後、改定や正式版が出れば見直ししたいと思うが、しないかもしれない。そこのところはご了解してお読みいただきたい。
リソースからの妄想 |
7.1 資源
組織は、環境マネジメントシステムの確立、実施、維持及び継続的改善に必要な資源を決定し、提供しなければならない。
(ISO14001:2015DISより)
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役者 | 会話 | 本音 |
![]() ![]() ISO事務局 | 事務局は今私ひとりしかいません。ISOのための負荷が大変ですから、社長に人を増やすことを観察事項として提起くれませんか。 | 俺が楽になるように、こいつからウチの社長に話してもらおう。 楽になるために人を増やしてもらおう。 |
![]() 審査員 | それは大変ですね。経営者インタビューの際にお話ししておきましょう。それに報告書にも書いておいた方がいいかな。 | どこに行ってもISO事務局担当者の語ることは同じようだな。 まあこんなことに金がかかるわけではないからリップサービスしておくか。 |
![]() ![]() ISO事務局 | よろしくお願いします。 | やったぜ ♠ |
社長 | 審査員 |
「御社は業務遂行のためのリソースが絶対的に不足しているのではないですか?」
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「絶対的と言われるとどうかと思いますが、残業があるということはリソースが不足しているということになるのですかね? とはいえ、あなたのご意見が経営にどんな意味というか価値があるのかよく分りませんが、」 | |
「はあ!論点はですよ、リソースも確保せずに仕事をしろとかプロジェクトを成し遂げろというのはISO規格に不適合だということです」
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「なるほど、あなたのお考えではウチは事業をたたむしかありませんね。実際問題として我々は持っているリソースでビジネスをしていくしかない。それじゃだめだというならどうしようもないってことです」
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「そういうことになりますかな?」
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「そういうことになりますね。もっとも私はビジネスをたたむつもりもなく、ウチの社員に弱虫はいませんわ。 そんなことなら、ウチはISOなんて止めるよ」 | |
「はあ?」 | |
「ISO規格適合でビジネスに敗れ去るよりも、ISO規格不適合で生き残っていくしかありませんからね。 それともISO規格適合ならコンペティターに勝利できるとおっしゃいますか?」 |
役者 | 会話 | 本音 |
![]() 審査員 | どうも御社のISO活動を拝見すると、ISO事務局が負荷オーバーになっているようです。リソースの投入が必要ではありませんか | まあ、これくらい言っておけば事務局は満足してくれるだろう。社長が右から左に聞き流してくれても俺はかまわないし |
![]() 社長 | いや、これは気が付きませんでした。確かに業務繁忙ですね。考えなければなりませんね。 | ○○課長がご家族の看病で大変と聞くから、あいつをISOに回そう。そうすりゃ事務局もパワーアップ、○○課長も楽になり、今の担当者はリストラで楽になるだろう。三方良しだ |
![]() ![]() ISO事務局 | そうしていただければ一層ISO活動が進むと思います。社長ぜひともお願いします。 | ヤッタね♥ |
管理者 | 審査員 |
「なるほど、環境目的として輸送エネルギーを徹底して削減することを取り上げているのですか。すばらしいですね。 ところで、その環境目的を達成するための資源としてどのようなものが必要で、それは十分に確保されているのでしょうか?」 | |
「なにしろ新しいことへの挑戦ですから、環境目的達成のための施策がすべて解決されて決定しているわけではありません。 これから輸送機械(トラックなど)への積み下ろしの検討、最適流通ルートを考えるアルゴリズムの開発、情報システムの開発、従事者に必要な力量など不確定な要素が多々ありまして、鋭意開発中です」 | |
「規格では『6.2.2計画するとき、決定しなければならない』とありますね、今現在、必要なリソースを決定できないわけですから、御社の仕組みと運用は不適合になります」
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「あなたがそうおっしゃるなら、そうなのでしょう。ただ世の中の仕事ってのは、完全に方法が確定して、そのとおり実施すれば実現するなんてものは過去から存在しているものだけでしょうね。建築物だって飛行機だって情報システムだって、新しいものを作るには常にチャレンジが必要で、そのチャレンジに解があるかどうかさえも分からないわけですよ。 ![]() | |
「ともかく御社の環境目的とその計画は、リソースが決定されておらず、当然それが確保されていると言えないから不適合です」
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「あなたがおっしゃることがよく分らないのですが・・・・あなたが適合と考えるものは、技術が確立した陳腐なものということになる。となるとISOマネジメントシステム規格とは革新とか発明をするなということなのだろうか?」
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担当者 | 審査員 |
「あなたは時間外をどのくらいしているのですか?」
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「季節によって繁閑がありますが・・・・やはり年度末とか年末は忙しいですね。まあならせば月40時間くらいでしょう。妥当なところだと思いますよ。時には深夜や徹夜がないわけじゃないですがね。 オット、ウチはブラック企業じゃありませんよ」 | |
「ISO規格ではマネジメントシステムの実施に必要な資源を決定し提供しなければならないことになっています。残業40時間とか、ときには徹夜をしなければならないとなると、リソースは不十分と考えられますが?」
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「残業がないのが正常というわけでもないでしょう。なにごとにもバッファが必要です。それに残業を含めてリソースを確保しているって考えることもできますよね。 ところで審査員の方は移動するのは勤務時間外だと思いますが、それはリソースが確保されていないってことなんでしょうか? 御社の見解は?」 | |
「認証機関はISO認証を受ける必要はありませんよ」
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「そりゃ確かに認証機関はISO認証を受けてないでしょう。でも、ISO17021に基づいて認定を受けてますよね。ISO17021にも『資源に対する要求事項』ってのがありましたね」
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「ISO17021で要求している資源とは、審査員の知識やシステムについてであって、工数は含まれていませんよ」
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「あれ〜そうですか、7.2.2に『認証機関は,認証活動のすべてを網羅し,実施する審査の業務量を処理するために,審査チームリーダー及び技術専門家を含む,十分な人数の審査員を雇用するか又はいつでも利用できなければならない』ってありましたよね」
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「そうだったかな? ま、それはそれとして、仮にだ、当認証機関のリソースが不足しているとしても、御社のリソースが不足していて良いというわけではない」
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「ま、そりゃそうですが、なんかダブルスタンダードって感じですね。李下に冠を正さずっても言いますし、誤解を招くような言い方はしないほうが良いですよ。ともかく、ウチがリソース不足ってこともないでしょう」
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「誤解しては困りますが審査員の場合、審査工数はIAF基準などで決まっていますから、工数は厳密に確保されていますよ」
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「それはあれでしょう、要するにISO審査というものは標準化されていて、かつ進歩がない単純作業だからできるのと違いますか」
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作業者 | 審査員 |
「あなたの仕事のリソースは足りているのですか?」
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「リソースって? ソースとかお塩 ![]() |
「ううーん、ISO規格を知らないなんてそれもまた問題だな、いやこれはひとり言だ。 ええとあなたの仕事をするためにの人手や機械設備などは足りていますか?」 | |
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「私は一人分の仕事しか与えられませんから、人手が足りないなんてことはないですよね。機械や工具は自分が使う分は用意されていますから足りないこともない。 そもそも人が足りなくて仕事しろとか、工具も渡さずに仕事しろっておかしくないですか? 私がそんなこと言われたら監督署に飛び込みますよ」 |
「まあまあ、落ち着いて・・・ じゃあ一日に一人が作る量は決まっているんだ?」 | |
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「当たり前でしょう。仕事が増えれば人を増やしてもらうか、足りない分は時間外をすることになります。 もちろん定時分の仕事がないときに帰れとは言われませんけど、そんなときは掃除をしたり勉強会をしたりですね」 |
「しかし時間外をなくすには人を採用すれば良いわけだが・・」
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「あんたバカなの! ちょっと考えたらわかるでしょ、1割仕事が増えても人が1割多くなったら賃金が増えないし、仕事が減ったらそのぶん解雇するなんて言われたら最悪!」
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役者 | 会話 | 本音 |
![]() 社長 | このたびは事務局の強化について改善提案を頂きましてありがとうございました。次回審査で来られるときは期待してください。 | この審査に90万円も払うのか、いい加減にISO認証なんて止めたいものだ。 でもまあ今のISO事務局をクビにすれば人件主費・副費で年700万くらいは削減できるか。 |
![]() 審査員 | 提案を受けていただきありがとうございます。きっと御社の改善につながると思います。 | おお、俺なんかいい事したみたい。会社も喜んでくれて俺って有能かも、 |
![]() ![]() ISO事務局 | 社長、それは業務改善につながると思います。文書改定の遅れは一掃されますよ。 | 部下ができて俺は事務局担当者から事務局長に昇進だあ 来月の辞令が楽しみだ。 |