久しぶりに会ったある上司は、当時会社でも有名なうるさいひとで、わたしはろくに言うことをきかず、辞めるときもまともに御礼もいわずに飛び出てしまったのだった。布絵作家としてますます活躍していたそのひととの再会は一瞬びびったが、とても楽しくて気持悪いくらいだった。 翌日彼女から、作品の葉書セットが届く。その翌日、同じものがまた届く。「きのうも送りましたがきっと切手が足りなかったでしょう、ごめんなさい」とある。こんなに几帳面なひとだったっけ?と驚く。翌年、そのひとは突然逝ってしまった。
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