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『青山ロブロイ物語』遠藤瓔子
かの『青山ロブロイ』のママだった遠藤さんの本である。ロブロイに出入りしていた不良おじおばさんたちの話を聞いているうちに『青山ロブロイ物語』を読みたくなったがすでに絶版。
遠藤さんに「読みたい」と言ったら、誤植訂正版の『青山ロブロイ物語』がテキストになってあるという。「『pastic book 』にしてプレゼントするからそのテキストをちょうだい」と申し出る。何度も読み返しながらB6版に組み直して製本する。
階段にボトル
矢野顕子が、上京してすぐにジャズクラブに入り浸っていたというような話はどこかで聞いていたのだが、それが『ロブロイ』であったことを初めて知る。「カエルに言われちゃしょうがない....」的歌詞に、こそばゆくもわくわくしていたころを思い出す。他にも今や大御所のミュージシャンや役者たちが◎×××な状態で出てきて、いっきに読みきる。

ロブロイ閉店の場面となる最後のところで、遠藤さんは自宅の階段に、お客さんが残したボトルを並べてそれを飲む。きっとめちゃくちゃ辛い時期の話であるにもかかわらず、そのシーンすら潔くて、「かっこいーねー」と遠藤さんに言うと、「どこが?」とあっさりかわされる。

ある日ラジオ屋の前をとおると、なにやら部品がビニール袋にごっそり詰め込まれて売られている。これがほんとは何なのかわからないが、ロブロイのボトルにぴったりと思って買って帰り、さっそく表紙を作る。

製本 : パピヨン仕立て
表紙 : 型押しした革のような質感をもつテカテカしたクリームの紙に窓をあけ、下には水色のもくもくした紙を貼り、五線譜模様を赤の綿糸で縫い、ラジオ屋で見つけた部品をはめこむ。
見返し : 朱色のベルクール75k、 花ぎれ : ベルベット調の緑の紙、 本文 : 書籍用紙

五線譜の風
裏表紙には、ボトルの並んでいない階段を一段。これが今の遠藤さんだ。ボトルをとっくに飲み干した遠藤さんは、いつでもどこでも五線譜の風だけを残してサバサバ歩く。

遠藤さんの、アイディアとセンスとリズムできものを遊ぶホームページ〜『きものであそぼ』