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関富士子 『rain tree 』
詩人の関富士子さんの個人誌『rain tree 』は webでオンタイムにみれますが、送っていただく紙版の『rain tree 』も楽しくて、いつかなんとか製本したいと思っていた。
原形を活かしたかたちで製本したい
送っていただいている紙版の『 rain tree 』は、A3の両面に印刷されたものをA6サイズに折り、それに毎号「おまけ」が一枚(A6サイズ)付いてくる。この「おまけ」がきれいにかわいくプリントされてくるので、それを活かした製本をしたいと考えたが、もう少しゆったり文字を組みたくなって版型を考え直してつくりなおす。
作り直した。

これからも続いて行くので、表紙は「続いていく面白さ」を遊べるようにした。
(左奥01-05号合本、手前06-10号合本)

製 本:パピヨン仕立
表 紙:水色の明るい部分はもくもくした質感の紙。
    革ひもとステンレスのチェーンで境目を埋める。
花 布 : 濃緑のベルベット調の紙
見返し : 黄色
本 文 : 書籍用紙

雫を追って製本していく。
雨の木からしたたり落ちる雫。
それは、空中の水分が重さを持って落ちてきて、木々に一旦間借りしてのちさらに地に落ち、また上がってまた落ちてを繰り返す循環のなかのごくわずかの瞬間を目撃しているという状況。そのあまりにもさやかな音に触れられた偶然はいい気分。

さて関さんのこの " rain tree " もそんなふうにこれからもどんどん増殖しながら循環していくのでしょう。私はその雫音を折々に耳にしながらニヤニヤ製本して楽しんでいくんだろう。何冊めかには、技術的にも満足のいくものができる(はず)。そういう全ての循環の体感を楽しみたい。

はい、そして第三弾
" rain tree " no.11~no.15 の合本はとうに済んでいたのだが、なかなか関さんにお渡しできずに年を越してしまった。うろうろしてる間に " rain tree " は19号を迎えている。(2001.03.28記)

表紙の雫も徐々に下がってきて...というつもりでやってるが、こうして並べてみると ちょっと今回、下がりすぎたみたい...。雫が垂れる速度にもリズムがある、ということで。

だいぶ雫も垂れて第四弾
" rain tree " no.16~no.20を合本するにあたって、この製本の経緯を振り返る機会があった。どうしてこんなことを始めたんだろう、という。

請われて陳腐に意味づけしてみたけれど、どれもピンとこず。最初からたいした意味はない。思い付きで始めたことだからね。意味や理由を考えながらなにかをはじめるひとはそうそういないでしょう。始めた以上、やり続けるだけ。とにかく"rain tree"に感謝。これがなければ決して生まれない楽しみ。関さんの雨は降り続く。わたしの雨も降り続く。(2002.04.28記)