犬と人が共存できる町を

  元郵政大臣
優良家庭犬普及協会会長
佐藤 文生


ヘリコプターに乗る救助犬 

かつて「HH600研究会」という名称で、国会議員やお役人の有志たちを集めたヘリコプターの勉強会を主唱していたので、今でもその関係の会合に招かれることがあります。先日、ある会合に出向いたときですが、そこでこんな話を聞きました。

 カナダの山岳警備隊にはヘリコプターに乗って遭難者を探す救助犬がいて、人間が降下できない急峻な谷間に救助犬だけをヘリから放す。人間はヘリで上空にいて救助犬の動きを監視している。犬と人間との見事な連携ブレーで何人もの遭難者が助かっているという。 私はこの話を聞いて、何とも素晴らしい犬がいるものだと感心したものです。

 犬への理解や活用に関して、わが国ではどの程度進んでいるのか考えてしまいました。この優良家庭大普及協会の運動からして、一般の認識と理解を求めていかなくてはならない段階ですからヘリに乗る救助犬の養成には、まだまだ時間がかかりそうです。


犬にとつてのバリアフリ 

福祉の分野で身障者に対する「バリアフリー」という言葉があります。
初めて耳にする人もおられるかと思いますが、これは身障者が健常者と同様の生活を送るうえで妨げとなる障害(バリア)を取り除くことを意味する言葉です。 建物の階段や歩道橋などは身障者にとっては町のなかのバリアといえます。

こう考えますと、よく訓練された優良犬にとっても、町にはまだまだバリアが多いと言えるのではないでしょうか。皆さんの活動も実は犬にとっての「バリアフリー」の側面があるといえます。

それぞれの家のなかでは家族の一員として生活している愛犬が、一歩外へ出れば危険がいっぱい。駅やホテルなど公共性の高い建物のなかには入れてもらえない、レストランの利用もなかなか難しいというのが現実ではないでしようか。

 社会のしくみや建造物の構造が健常者の目でつくられてきたために、身障者にとっては大きな障害になってしまったことがあるように、犬が人間社会と共存していくにも同様のことがいえるはずです。 犬にとってのバリアとは、持に人の心のなかに宿っているものが多いといえます。それは犬への無知、無理解といえるかもしれません。 

 これからの私たちの使命は、しつけのできた優良家庭犬を育てていくとともに、社会や人の心のなかにあるバリアを取り除いていかなくてはなりません。

 今回は少し堅い話になりましたが、とにかく人が犬と楽しく一緒に生活ができる町が日本中にできるまて頑張りましょう。

優良家庭犬普及協会広報誌「OHワンダフル」第四号(25.March.1997)に掲載


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