江嵜千賀子の


寄り添うものたち


7月13日

まきちあき@梅屋。風の布

□さらさらとして、ふんわりと包み込まれるような心地よさ。さっくりとした風合いと、自然の力強さを兼ね備えたような布の柔らかな手触りは、森の中を通り過ぎていく風のようになんとも清々しく、爽やかです。

□真木千秋さんの作り出す布は、糸も染料も自然の中から生まれてきたもので出来ています。インドの野生の繭、「タッサーシルク」を中心に、様々な手紡ぎ糸や苧麻などが使われています。シルクと言えばツルツルとした薄手のものばかりだと思っていた私は、ざっくりとした太い糸や、さらりとして張りのあるもの、ふんわりとした織りの優しさなど、それぞれに違う表情を持つ布の風合いと自然の色合いの豊かさに、すっかり魅了されてしまいました。
□時折、ワークデスクの横に布をかけては、風が入ってくる度にふわりと揺れる姿をお茶を飲みながら眺めています。いくら眺めても飽きなくて、気持ちのよい時がさらさらと過ぎていきます。出掛ける時にはそこからするりとはずして持っていったりもします。肩に羽織ったり、ジーンズの上から腰に短く巻いてみたり。使う程に柔らかく、身体に馴染んできます。飾り棚の上にさらりと敷いてみてもなかなかいい雰囲気です。
□たった1枚の布が、いろんな楽しみや心地よさを私に届けてくれるのです。

□千秋さんはおおらかで力強く、大地のような雰囲気を持った素敵な方です。キラキラとした大きな瞳で、どんな質問にも真剣に、一生懸命答えてくれます。インドと東京/五日市、そして西表島などを何度も往復しながら、素材を探し、自然の色を引き出し、気の遠くなるような手間をかけてインドの職人たちと共に丁寧な手仕事で布を織り上げていく。真直ぐに前を向き、布を通して自然の素晴らしさを伝えてくれる、素敵な笑顔を持った千秋さんの姿を見ていると、なんだかとても元気づけられてしまいます。
□先日何気なく借りてきたビデオを見て、「グリーンフィンガー」という素敵な言葉があるのを知りました。<植物の気持ちを理解してそれぞれのもつ力や魅力を充分に引き出しながら、上手に育てることのできる人。
□千秋さんはきっと「タッサーフィンガー」。インドの地で生まれたタッサーシルクと心を通わせ、暮らしの中で気持ちよく使える素敵な布に形を変えて、私たちのもとへと届けてくれます。
□じゃあ、あのひとは、どんな指?・・・なんて考えていたら、なんだか楽しくなってきてしまいました。

□さあ、お茶でも飲みながら、窓を開けて風と一緒に嬉しい時間を味わうことにしましょうか。


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