ART織田の


週末画廊日記


2月15日版

2月15日

ボタニカルアートを楽しむ.またはマブーフ氏について.


植物誌といってまず最初に思い出すのはマブーフ老人である(知ってる奴いないって).名著「レ・ミゼラブル」に登場する人物の一人で,「コートレー周辺植物誌」を出版し,一日2,3冊売れ,年に2千フランの収入があったという設定だ.
さておき,ユゴーは植物誌について記述を残している.

>動乱の時代に,真っ先に売れなくなるのは植物誌である.「コートレー植物誌」は
>たちまち売れなくなった.何週間たっても一人の買い手もなかった.ときどき
>マブーフ氏はベルの音に,喜んで体をふるわせた.
(以上,佐藤訳/新潮文庫「レ・ミゼラブル」(三)162-163)

イギリスではどうだったかはしらないが,植物誌というのは,当時の出版事情からして,異種独特のものだったのではないだろうか.現在の植物図鑑とは違い,フィールドワークのような娯楽の一つだったのではないだろうか?
当時の人々は我々は図柄の部分を切り離し,額装し,純粋にアートとして楽しむとは思いもよらなかっただろう.

「櫻々コレクション」は自宅兼ギャラリーなので,電話番号のみ御紹介するが,興味のある方は電話の後訪問して下さい.小さいものは1万円前後で手に入る.一杯買って部屋を埋め尽くすのも良いかもしれない.額も本場のものらしく,大変高級感がある.

マブーフ氏はその後,革命の列に身を委ね,小銃の一斉射撃の元に倒れた.
私がボタニカルアートを送る姪は,もちろんマブーフ氏を知らない.

櫻々コレクション:092−561−7733


日記のページへ
ページ先頭へ
前の日記
次の日記