アート織田の新週末画廊日記
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2009年11月7日

作家: 久保ユカリ
個展タイトル: 美しく燃える月
場所: ARTSPACE貘

発光体以外の色というのは、反射や吸光などのスペクトルであり、光源や角度、大気の状態まで、様々な要因で変化する、いわば移ろうものである。
ちなみに、月が赤いのは、夕日が赤いのと同じで、仰角が小さく水蒸気や粉塵などで、赤以外の色が届きにくい時に、そうなりやすい。
などと書くと、ミスター・スポックか湯川先生みたいで、いきなり嫌われそうだ。 そんなことはともかく、作品を見た。


会場にて撮影 (SoftBank 913SH (Full Face) VGA)

照明に照らされた作品は、美しく繊細で情熱的だった。
「美しく繊細で情熱的」
あるいは説明になっていないが、まさにこのようにしか、言い難いすばらしさである。
渦巻く赤色は、少し悲しく感じるが決して暗いわけではなく、逆にすっきりと透き通っているようでもある。
それらが、大きさを変えながら整列しており、理知的で真面目な美しさも、全体としてはちゃんとあるのだ。


会場にて撮影 (SoftBank 913SH (Full Face) VGA)

それらの要素は矛盾しているようだが、こころのこもった絵であるゆえに、うまく収まっている。
やはり、絵は気持ちで描くもので、気持ちで見るものなのだろうか。
そんなことまで、伝わってくる、すばらしい作品だと思った。

ところで、最新のスター・トレックでは、スポックの言葉にこうある。
「論理を捨てろ。正しいと思うことを行え」
これすらも難しい事ではあるが、きっと、ほんの少しでも素直になれればいいのだろうと思う。


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