アート織田の新週末画廊日記
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2009年5月31日

作家: 南たえ子
個展タイトル: 何処までもゆく
場所: ARTSPACE貘

孤独な小学生のO君はあやとりが好きだった。
転校して友達がいない彼は、一人下校の時に、うつむきながら「5段はしご」などを作りながら、あぜ道を歩いていた。
なぜ、あやとりが好きだったかは不明だが、あるいは小さな両手の間の空間に引かれる線が、様々な形象を作り出していくのが面白かっただけかも知れない。
南さんの作品もまた、空間に引かれた線である。
一般的にドローイングというのは、平面の世界であり、紙の上の二次元の線が立体を作り出し、三次元をイメージさせる。
この作品は空間に直で引かれた線であり、それが部屋中に広がっている。
よれたような弱々しく、有機的で、それでいてはっきりと目立つ青が、空間をゆがめるように、這い回っている。
あるいは、三次元の線で四次元を表現しているのかもしれない。(とも思えてくる)


会場にて撮影 (SoftBank 913SH (Full Face) VGA)

三次元の奥深さを感じさせる斬新な作品だった。
ちなみにO君は年を重ね、あやとりを忘れ、孤独だけが残ったようだ。


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