アート織田の新週末画廊日記
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2009年5月2日

作家: 斉藤秀三郎
個展タイトル: 不安定なキャベツたち
場所: ARTSPACE貘

農作物というのは、育種学の先人たちの努力の結晶であり、キャベツというのは確か元々は丸くはなく、ただの小さな菜っ葉だったと習った覚えがある。
だからかどうかは知らないが、キャベツ畑というのは、なんとなく人工的なSF的な香りがするのは私だけだろうか。
特にあの丸々しさは、卵っぽいところが奇妙な感じだ。
バンデルエッグみたいな、というのは記憶違いだろう。

しかし、この作品、明らかにキャベツが苦悩している。
色を塗られている他、中からフィギュアやら、マザボやらがはみ出している。
こうしてみると、脳みそみたいだし、そのコンプレックスやらがちょい出しなところが、苦悩なのだ。

会場にて撮影 (SoftBank 913SH (Full Face) VGA)

いかにも、僕らは皆キャベツ頭だ。(ごめんなさい、少なくとも僕はでしたね)
僕のキャベツは、皮ジャンやら、ブーツやら、ジーパンやら、そんなつまらないものが芯から詰まっているのだろう。
こうして改めて提示していただくと、我が身のつまらなささが、身にしみて情けなくとも思うのだが、そこでふと思う。
一つは作家のキャベツ作品に対する思い入れの深さ。
もう一つは、これは日々感じるとこなのだが、人生の軽さと平等性である。
もちろん畑のキャベツと、人の命は比べものにならないが、あるいはどこか、似ている物なのかも知れない。


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