No.1.2002.5. 大分市美術館『近代の京都画壇』の巻。


写真:1.外の風景、2.「浅道釣帰図」3.「柳鷺」4.「緑波」5.「不老仙鶴図」、 6.「白鷺城図」7.「春」いずれも部分、8.レストラン、9.図書コーナーにて

大分市街地より、少々入り組んだ道を通って上野ヶ丘公園へ。
そのテッペンにあるのが、大分市美術館。
美術館自体も、少々入り組んだ建物ですが、素敵な空間です。

今回は、企画展示室で行われていた『近代の京都画壇』展について。
『近代の京都画壇』・・・この名前からして、あまり期待していなかったのですが、 見て観てびっくり!。意外性のある展覧会でした。
<近代>とは、日本でいうとこの明治・大正・昭和初期の部分(戦前)ですね。
初めのパネルでは、これらが「シアトル美術館からの里帰り」作品であるとの事。
前半の作品は、予想どおりあまりピンとこないので、ずんずん進みました。

ところが終盤あたり、都路華香(つじかこう)という人の「浅道釣帰図」(写真2)がきたとき、う〜ん、なんだか、よさげだぞ〜。
『ピピピーっ。キタロウ、妖気を感じました。髪の毛が逆立つ。』みたいな。
(別に妖しい気配じゃないんですけど。)
その絵も、明治の終わり頃に描かれた掛軸ですね。
しかし、その茂る木、その茂る葉っぱがいいのですね〜。
通常の水墨画のように、それらは墨で描かれているのですが、 その「墨」が、色彩の「黒」に見えて、とても新鮮なんですね〜。

次に同じ人の「柳鷺」(写真3)っというのも、よい感じ。
この<柳>は、わさわさと、もっさりとしてて、 そこに停まってる<白サギさん>も、きまってました。

次は、屏風「緑波」(写真4)。
しかしこの緑色が、どーも怨念めいた色合いで、恐いので、次へ進む。

ここに、今日のNO.1になった<鶴の絵>登場!
『ピピピピピ〜っ。髪の毛総立ち。』みたいな。
都路華香「不老仙鶴図」(写真5)。
私が今まで見た、どの<鶴さん>より、こちらの<鶴さん>が素敵。
二羽のたっぷり感が良くて、表面はふわふわ、中はぎっしり。
そして、二羽のクチバシの閉じ加減と開き加減が、なんだかとっても喜ばしいのですね。
お題から察するに『不老めでたや、タッタラッタ、ラ〜。』かな?
そして、こちらの緑色(波)は、よかったです。輝いてました。
(それから、この作品の軸装、掛軸の柄が、粋でした。)

次の「白鷺城図」(写真6)っというのは、ムーミンのお城みたいでイケてます。
この都路華香:ツジカコウっていう作家は、すばらしいですね〜。
『近代の京都画壇』に対する私の先入観を、よい意味で打ち壊してくれました。

他の作家のでは、野長瀬晩花さんの「春」(写真7)というのが、すごく楽しい。
『え?キタロウの肩にいるのは、ネズミ男だったの〜!』みたいな。(←意味不明です)
その絵は、お題どおり<春>なんですが、そこに『ぬぬっ。』と現れるのは<黒マントの男>。
右下に現れて、中央の橋まで行ったら、傘もさしています。あ、帽子もかぶってます。
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水墨画の風景に描かれている小さい人物=点景人物は、
【作家本人】あるいは、その風景の中を行く【あなた】です。
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じゃ、春なのに黒マント? それとも、春だから黒マント?
【あなた】なら、春には何を着て、行きますか?

っというわけで、うれしい意外性に満足しながら、 しかし、ツジカコウって何者なんだ? 
しかし、なんで、シアトル美術館にあるんだ?
なんで、なんで〜、etc,etc,,,,,
そんな気持ちで大分市美術館を後にした、トンチンカエルでした。

P.S:上野ヶ丘周辺には、食べ物屋さんがないので、 美術館にあるレストラン『オ・プルポ』(写真8)に行きました。
う〜〜ん、☆(星1コ)です。満点は3コでしょー、やっぱり。


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