貧しきものにも日は降り注ぐ

 

エピローグ2「モーターサイクル・ダイヤリーズ」

 個人的には共産主義者でも、特別チェ・ゲバラを尊敬しているわけではないが(カリスマとは思うけど)、今回の映画はぜひ見ようと思う。
 ロードムービー数あれど、二人の青年が通過儀礼として、長距離旅行をするという、完全に典型としてのロードムービーの王道、別にチェ・ゲバラというわけでなくても、心惹かれるものがある。
 昔話で恐縮だが、私が自転車で日本を一周したのは19の時だった。自転車もツーリスモではなく、ランドナーだった。BSのユーラシアが欲しかったが買えなかったのだ。オープンサイド・タイヤは軽いがよくパンクした。4万円の所持金も尽き、曲がったペダルシャフトは中古部品を自分で付けた(盗んじゃいないよ)。それが私のロードムービーの原点だ。
 ロードムービーというのは、必ず何かを背負い込む。そのときに「ペダルを回していれば次の地点に着く」と念じるように唱えたことは、今でもそう思う。行為とは移動である。ma=T-μmgだ。残念ながら私はそれだけだった。
 ゲバラも旅行中いろんなことを背負い込んだんだろうか。「遠い空の下、僕は世界が目覚める音を聞いた」がコピーだ。俊太郎みたいなコピーでちょっとアレだが、そのへんは伝わってくる。
 しかし私も随分年をとった。ゲバラも、先生も、ずっと若くて死んでいる。しかし、あんな馬鹿な事は出来ないが、日本をもう一周くらいしたい意気込みはある。自転車はさすがにつらいので、原チャリでいく。ビジネスホテルくらいには泊まりたいし、名物も食ってみたい。
 それにしても、もう新しいものは背負い込みたくないし、そんな感性もないが、ただ、世界の美しさをもう一度、この目にとめておくのも悪くはない。
 日本原に登った朝日、美しい星空を見た石川、上写真のような十勝平野、岩手の山岳ルート・・・。
 などと思いながら、窓際族(死語?)らしく、事務所から流れる雲を見遣るのでした。

加筆です。映画見ました。すげー良かったですね。バイクこけまくり。OKです。途中からヒッチハイクならびに徒歩。後半はずっとハンセン病治療の話で重くてOK。熱い正義感、オレも泳ぎたかった!最高!ってところで、今日の教訓「たまには無茶もしちゃおう」


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