○年賀歌集
New Year celeblated Japanese
traditional poem of 31syllables (WAKA)
平成26年(2014) 甲午
武士(もののふ)の 意地(わざ)を究むと 出雲路で
人生(みち)をきづきぬ 君等(きみ)の午睡顔(ねがお)に
(通算二十七歌)
(大意)2013年11月に二段昇段を果たした薬丸野太刀自顕流の稽古を通じて実践を学び、曾曾祖父が極めたという
笠間示現流の気合をいつか身に付け、その奥義を究めたいと願っている。合わせて日本文化の源流を学びたいと
伊勢神宮20年に一度の遷宮の年に、同じく60年に一度の遷宮を迎えた出雲大社を訪れた。
そこには発掘された巨大な3本に結ばれた杉の柱から復元された壮大な空中社殿の復元模型があった。
古代に思いを馳せながら、これからの仕事や人生を考えた。残りの人生いかに生きるべきか。
ついつい時間の経つのを忘れ自分自身の世界に埋没していたとき。ふと考え疲れて横をみると
そこにはなにがあっても自分に寄り添ってくれる愛妻とすっかり安心しきって腕の中で眠る愛猫ホームズの姿。
自分の生きる道は何か、幸せとは何か、ハッと気付かされた。何が大切なのか。何の為に生きるのか。
(隠喩)武士の意地:2013年10月にベトナム演武を果たした薬丸野太刀自顕流と曾曾祖父の笠間示現流を暗示。
出雲路:2013年11月に多江子と訪れた出雲大社を示しつつ、これまでの自分の歩んできた路を暗示。
人生をきづきぬ:あえてひらがなにした「きづき」には「気付き」と「築き」の両意を持たせた。
君等:多江子とホームズ。
午睡顔:「午」年を示すと共に無邪気な寝顔と幸せの本質とは何かを暗示。
平成25年(2013) 癸巳
春風や 巳の時迎かふ 八溝杉(やみぞすぎ)
伐(き)りて筑波に 天命(さだめ)遷宮(うつ)しぬ
(通算二十五歌)
(大意)(文中挨拶がそのまま)
(隠喩)春風や:2012.4/23に移った「春風台」と新年を暗喩。
巳の時迎かふ:干支48才、巳年になったことを暗喩。
八溝杉:新居の材料になった生まれ故郷大子町の杉。
伐りて筑波に:故郷から自宅の構造材となった八溝杉と自分を重ねて筑波に移り住んだことを暗示。
天命遷宮:つくばに転居したことと、伊勢神宮と出雲大社の遷宮の年であることと終の住処を暗示。
平成24年(2012) 壬辰
龍震ふ 筑波東北風(つくばおろし)に 千度(チタび)堪へ
庵(いほり)結びぬ 蔵人(クラんド)の初春(はる)
(通算二十五歌)
(大意)2011年(平成23年)3月11日14時46分18秒(日本時間)、宮城県牡鹿半島の東南東沖130kmの海底を震源として発生した
東北地方太平洋沖地震は、日本における観測史上最大の規模、マグニチュード (Mw) 9.0を記録し、震源域は岩手県沖から
茨城県沖までの南北約500km、東西約200kmの広範囲に及んだ。この地震により、場所によっては波高10m以上、
最大遡上高40.5mにも上る大津波が発生し、東北地方と関東地方の太平洋沿岸部に壊滅的な被害をもたらした(Wikiより)。
あの日金曜日、JRが全停止し会社から帰れなくなり日比谷のオフィスで同僚と夜を明かした。
翌朝から報道でどんどん入ってくる津波と原発被害の甚大さにおののきながら、一体自分に何ができるだろうかと自問。
気持ちばかりが焦る日々。そんな時4月から厚板営業部チタン・クラッド室長への異動辞令。
その時、結局は自分の持ち場で精一杯働くことが結果として日本経済を良くし震災復興や支援にもなると
心に決め以降精一杯仕事に打ち込んできた。一方、同年6月末には1997年(平成9年)にを購入した市街化調整区域の
つくば市中根・金田台の土地(地目山林)が苦節15年を経て遂に区画整理が完了、換地が行われ晴れて自分の宅地となった。
地元の工務店を使い、茨城県の木、実家大子町近辺の杉を使って家を建てる。がんばろう日本!がんばっぺ茨城!
元々地元の木で木造住宅をつくるつもりだったこともあり茨城でお金を使う事が復興支援にもつながると信じる。
11月3日に地鎮祭、ヘモの手術で年末年始に入院手術する直前の12月27日に上棟式。
春風台全109区画中の最小区画地主ではあるものの、15年の思い入れもあり日々できていく新居を熱い思いで見つめている。
(隠喩)龍震ふ:干支と東日本大震災を暗喩。
筑波東北風(つくばおろし)に千度堪へ:つくば市に住むことと東北を中心として何度も襲ってきた地震とその復興を暗喩。
千度(チタび):カタカナを使ってチタン(・クラッド)室を暗示。
庵結びぬ:緑住と全区画中最小区画に新居を建てことることを暗喩しつつ、縫合手術を暗示。
蔵人(クラんド):カタカナを使って(チタン・)クラッド室を暗示しつつ、皇室の文書道具類を管理する蔵人所から
新居につくる自顕流の道場兼クラシックギターと舞踏のスタジオ兼ホームシアター兼書庫兼書斎を暗喩。
初春(はる):新年と春4月に新居に移る事を暗示。
平成23年(2011) 辛卯
初稽古 不二(にし)に筑波(ひがし)に 卯杖(つえ)打ちて
人生(まこと)尋ぬる 磐座(いはくら)の道
(通算二十四歌)
(大意)冬の晴れた正月の朝、初稽古で打ち棒を西の富士山、東の筑波山に向けて
天地を両断する如き気概を持って打ちつける。まるで平安時代、正月上卯の日に
地面を叩いて悪鬼を払ったとされる卯杖の様に。その胸に去来するのは
昨秋に15年乗り続けている愛車CR-Vを福山から持ち帰る際、思い立って
紀伊半島を半周往復し「何事のおはしますかはしらねどもかたじけなさに涙こほるる」と
西行がその感動を詠んだ伊勢神宮から日本最古の磐座と言われる巨大な一枚岩を御神体とする
「花の窟」神社や山頂の奇岩を御神体とする神倉神社、荘厳な熊野三山の磐座をたえなまと一緒に
巡った旅のこと。これからの人生をいかに生きて行くか。これからも自らに問い続けて精一杯生きてゆきたい。
(隠喩)初稽古:昨年初段を頂いた薬丸野太刀自顕流の稽古と昨年から合奏団に参加しているギターの練習を両暗示。
不二(にし)に筑波(ひがし)に:現在のマンションからも見える両巨峰と広重の浮世絵の画題にしばしば
登場する「西の富士山、東の筑波山」に大きな視野を暗喩し重ねる。
卯杖(つえ):大意に示した悪鬼を払う杖を自顕流の打ち棒や木刀に重ねると共に干支を示す。
梅や桃や椿などを五尺三寸(約1.6m)に切り、五色の糸を巻いて大学寮から宮中にその卯杖を献上する際に
奏上したという寿詞を「卯杖祝(うづえほがい)」と呼ぶことから、新年の祝いと和歌を暗示。
人生(まこと):誠であり真実であり、歌論に言う作品に表れる作者の心情と人生をかけて。
磐座(いはくら)の道:神の御座所、大意に示した旅を示すとともに巨石のイメージに揺るぎなき信念を暗示。
平成22年(2010) 庚寅
寅明星(ほし)の消(き)ゆ 瀬戸の朝(あした)に迷津航(まよ)ふとも
岳翁(ちち)の慈眼(まなざし) 多生船(われ)を水脈導(みおび)く
(通算二十三歌)
(大意)昨年09年4月14日付に妻の父が瀬戸内の福山で亡くなった。
いつも静かで穏やかに我々を見守ってくれていた父。
広州時代にも遊びに来てもらおうと思いながら忙しさにかまけて
果たせぬままに帰国。いつかは旅行でもプレゼントできたらと考えていた。
あまりに突然のことだった。驚き、悲しみに暮れた。
丁度仕事上の悩みとも重なり、深く心は迷った。
福山で通夜、葬儀、後片付けと葬祭儀礼をするうちに父の慈愛に満ちた
まなざしを何度も思い出した。生身の父は居なくなってしまったが、
静かで穏やかな瀬戸内の海の様な父のまなざしは心の中にいつもある。
夜が明けても、星は消えたのではない。ただ隠れただけだ。
目に見えることだけが真実ではない。これからも父は我々を
見守り導いてくれることだろう。いつしか悲しみと小さな悩みは消え
深い感謝の念へと変わっていった。お父さん本当にありがとうございました。
どうか安らかにお眠り下さい。
(隠喩)寅明星(ほし)消ゆ:父の名(利明)を暗示する暁の明星。また寅は星から生まれた
という「枢星散じて寅になる」の故事にかけて寅年を示した。「消ゆ」は父の永眠を暗示。
瀬戸の朝(あした):「明星(あかぼし)の」は「あくる朝(あした)」にかかる枕詞。
それに福山と穏やかな父を暗示する瀬戸をかけた。
迷津航(まよ)ふ:「迷津慈航(めいしんじこう)」とは迷いの世界から悟りの彼岸へと
渡す慈悲の船のこと。悟れず悩み悲しみに暮れる想いを暗示。
慈眼(まなざし):仏様が慈悲の心で人々を見る目「慈眼(じげん)」に父の眼差しを重ねて。
また「じげん」は昨年秋に縁あって始めた「薬丸野太刀自顕流」と精神の支柱である
曾曾祖父の「笠間示現流」を共に暗示。。
多生船(ふね):当HPの主題でもある「袖振り合うも多生の縁」の「多生」=「輪廻」や
「一殺多生の剣」と使われる「多くのものを生かす」意に生き方を暗示。
同時に、多江子の「多」と茂生の「生」を示し、二人の人生を暗示。
水脈導(みおび)く:万葉集3627「潮満ちて水脈導き行けば〜」より。水先案内をする、
航路に従って舟を漕ぐの意味。そこから我々の舟(人生)を導く暗示。
全体を通して仏様に関する言葉を使って表現することで父の冥福を祈る。
平成21年(2009) 己丑
寒紅(べに)を点(さ)す
牛宿(うし)映(は)ゆる江(かわ)に 佇(たたず)みて
(きみ)と見上げぬ 廣州(ふるさと)の天空(そら)
(通算二十二歌・東京帰国一年目・GJSS設立五年目・JFE設立六年目に)
(大意)昨年08年9月1日付で05年1月1日以来3年8ケ月を過ごし
立上から共に歩んで来た広州JFE鋼板有限公司(GJSS)を離れ東京へ戻った。
瞼を閉じると、想い出が不思議な幻視を生む。季節はバラバラだが
隣に居る一緒に苦楽を共にしてきた妻が唇に点す寒紅の様に、
広州を貫く珠江の岸沿いに市花である「木綿花」の紅い小さな花が一面に
咲き誇り、その川面がいつしか赤く染まっていた。
やがてたゆらうその川面の赤さの中に煌めく星が見えてきた。
「稲を見る」という意味を持つ山羊座の六つ星、牛宿(いなみぼし)。
GJSSのこれからの発展を祝うかの様にたわわに実った稲穂が目の前に広がる。
隣に居た妻がいつの間にか次々と懐かしい顔に変わって見えて来た。
一緒に頑張って来た顔、お世話になった顔...中国人、日本人...お客様、上司
...スタッフ、友人...国籍を超え、公私を超え全てが渾然一体となった「きみ」。
笑顔の皆と共に見上げるのは赴任した頃はめったに見ることができなかったが、
いまや南沙の空の様に時々は晴れ上がる様になった広州の青空。
瞑った瞼からいつのまにか涙が溢れていた。
離れて想い胸が熱くなる場所、それはふるさと。
(隠喩)寒紅(べに)を点す:丑紅。冬の丑の日に買う。妻(口紅)と干支を両暗示。
また紅は広州に春の到来を知らせる市花「木綿花」の色。
牛宿(ほし):二十八宿の一つ牛宿。山羊座の西部の六星。
山羊座は9月下旬の宵に南中することから、9月異動も暗示。
映ゆる江(かわ):広州を象徴する大河「珠江」を暗示。河口にGJSSの工場がある。
また「江」は妻の名前の一文字でもあり、苦楽を共にした妻を暗示。
ク(きみ)と見上げぬ:傍らに立つ妻を暗示しつつ、中国簡体字、発音はninの
二人称単数尊称に「きみ」の和発音を当てることで、特定のだれかではない
全てのお世話になった皆様への感謝と一緒に未来を見つめる意をこめて。
平成20年 戊子
南沙(しま)馳駆(はし)る
案山子(われ)は生きをり 鴻鵠(をのこ)らと
艱難(た)へて鋼玉(たま)成し
白雲山(やま)こそ越えめ
(通算二十一歌・中国広州四年目・GJSS三年目・JFE五年目に)
(大意)昨年、広州JFE鋼板有限公司は稼働後1年を迎え3月20日には開所式を行った。
大変な苦労をしてきたが、なかなか目標を達成することができず苦しんだ。
個人的には、不注意から左肘を骨折するという年の初めとなった。
案山子の様に突っ立っているだけの様なもどかしい気持ちになることもあったが
妻や家族、友人、上司先輩同僚後輩らに助けられなんとか耐え過ごすことができた。
その心強い仲間達と11月25日には上海マラソン(ハーフ)に初めて参加。
練習不足や体調不良から棄権の恐れもあったが、2時間31分でなんとか完走。
大きな自信となった。この皆で走り抜いたマラソンの様に今年も皆と頑張って
目標を達成したい。広州に聳える白雲山を大鳥の群れが羽ばたいて飛び越えて行く様に。
(隠喩)南沙(しま):南沙のGJSSを隠喩。
馳駆(はし)る:
昨年11月25日に皆と一緒に走った上海マラソンを隠喩。
「馳駆(ちく)」の原義は他人のために走り回る、奔走する、尽力する。
案山子(われ)は生きをり:
「子年」と左肘を折り自由の利かない自分と仕事で苦悶する姿を隠喩。
「をり」は「居り」と(骨を)「折り」と掛ける。
鴻鵠(をのこ)らと:
「燕雀安くんぞ鴻鵠の志を知らんや」(史記、陳渉世家)を元に、志高く共に
働く仲間を「をのこ=男、漢、志士」と隠喩。
後段、南沙の空から白雲山を飛翔し越えて行く姿へとつなげる。
白雲山(やま)こそ越えめ:
広州の象徴である「白雲山」を越えるべき目標に見立てる。
「をり」は「居り」と(骨を)「折り」と掛ける。
艱難(た)へて鋼玉成し:
「艱難汝を玉にす」を元にに「鋼」を加え、これまでの苦労が実ることを祈る。
「たへ」はその苦労を支えてくれてる「多江子」を隠喩。
白雲山(やま)こそ越えめ:
広州の象徴である「白雲山」を越えるべき目標に見立てる。
「をり」は「居り」と(骨を)「折り」と掛ける。
平成19年 丁亥
猪牙船(ちょきぶね)や
初荷行き交ふ 橙(だいだい)の
勇姿(すがた)聳(そび)えん 光輝(かがや)く涌(かわ)に
(通算二十歌・中国広州三年目・JFE五年目に)
(大意)昨年、広州JFE鋼板有限公司が稼動し、初荷を出荷することができた。
工場のある南沙十六涌(=十六番目の運河)には、広州市を貫く珠江
で歴史的に多く暮らしてきた船上生活者を彷彿とさせる、多くの小舟が
浮かんでいる。新しい工場で初荷の出荷を見ながら「猪牙船」の名で
呼ばれる江戸時代に隅田川を行き来していた小舟が、正月の初荷を満載して
涌(かわ)を行き交う光景が幻視される。地上63mに聳える冷却塔と
橙色の工場がその輝く水面に揺れる様を見ながら、今年より一層大きく
成長したいと願う。
(隠喩)猪牙船:猪(亥)年を隠喩。
橙色:橙色をした工場を隠喩。
勇姿(すがた)聳(そび)えん:昨年登った世界遺産「黄山」を隠喩。
光輝(かがや)く:初日の出と今年の成長を隠喩。
涌(かわ)に:工場のある南沙十六涌を隠喩。
平成18年 丙戌
犬飼星(ほし)仰ぐ
南沙に燃ゆる 柑子(こうじ)得て
広州(ひろ)き慈英(ジエイ)の 志士(をのこ)ぞ起ちぬ
(通算十九歌・JFE四年目・広州二年目に)
(大意)今年2006年に、南沙の地でいよいよ広州JFE鋼板有限公司が稼動する。
工場は綺麗な蜜柑色。日中合弁の新しい工場を表す日の出の色。
そこに降り立った日本人出向者11名。心新たに成功を祈っていよいよ走り出した。
(隠喩)犬飼星:戌(犬)年を隠喩。また、彦星、アルタイル。七夕を隠喩。7月順調生産を祈る。
南沙に燃ゆる柑子:蜜柑色をした工場を隠喩。同時に南沙地区でとれる小さくて甘い蜜柑を隠喩。
その蜜柑を手に皆が決意を新たにしているイメージを広げてみた。
広州:中方の合弁相手である、広州鋼鉄の意味。
慈英:ジエイ=J、JFEの意。互いを慈しみつつ英知を結集している合弁のイメージも。
志士:「士」は十一の合成字ととれることから11名の出向者を隠喩。1月にH本君が赴任。
それに合わせて出向者全員で11名になることから。
起 :出向者が意識を新たにすることと工場が立ち上がることを隠喩。
(通算十八歌・中国広州一年目・JFE三年目に)
(大意)鉄の起源は、太陽系の小惑星群から飛来し地球の大気中で燃え尽きないで
地球上に落ちた星のかけら、隕石の鉄分だとも言う。鉄は自然界には
自然金・自然銀・自然銅のようにそのままの形では存在しない。
広東省広州市南沙地区に2006年初めに立ち上げる広州JFE鋼板。
そこに今年2005年1月に営業担当として赴任することとなった。
南沙の地に立って天空を眺め、新会社の行く末に思いを馳せると、
遠く古代この地にも降り注いだであろう隕石を拾い上げ、それを玉鋼として
武器に鍛え直した、南越時代の刀匠の姿を幻視する。
眼下には、歴史の荒波に何度も洗われた、珠海が広がっている。
近世中国唯一の世界に開かれた窓として広東貿易の中心となった誇り高き地。
欧米列強の蹂躙の後、停滞の歴史を経て今再び世界産業の中心とならんとする広州。
そこに続々と進出する日本自動車産業。
我々が鍛えた鋼板を使った車が中国の地を疾駆する日も近い。
熱い想いを胸に新春、中国へと旅立つ。
(隠喩)図南鵬翼:昨年(H16年)歌と同じ。広州JFE鋼板の発展を祈念。来年の干支「酉(=鳥)」を隠喩。
沙天空:南沙の空と宇宙の意。「沙」は南沙の「沙」と同時に、釈尊涅槃の際床の周りにあったという沙羅双樹も意識。
「沙」:沙羅双樹は釈尊入滅の後、東西と南北が合一して各々一樹になったという故事から、日中の融合の想いを込める。
玉隕鉄:刀の材料である古代精錬された玉鋼と隕石に含有する隕鉄を意識。
南越珠海:秦帝国崩壊後、広東の地に誕生した古代南越王国と珠海を意識。同時に2004年の想い出である「座間味の海人」
初めて世に出た「ミズーリ戦艦上の外交官」、海に関連する2004年であったことを隠喩。
陸車、疾駆:空〜海へと幻視が続き、最後に陸で、陸海空の広大な意識の広がりをイメージすると同じに自動車産業を隠喩。
日出づる 国に滋英(ジエイ)の
鵬翼(はね)生みし 図南の願ひ
沙流(さる)に実らん
(通算十七歌・JFE二年目・東京八年目に)
(大意)昨年4月にJFEスチールが日本に発足。その英知をますます(滋)結集し、
大鵬がその巨大な翼を広げる様に大きく羽ばたいて行きたい。
その想いの一つの結晶として、大鵬が向かうという南の地、広東省広州市南沙地区に
2006年4月、年間40万t能力の新CGLを立ち上げるという広州JFE鋼板プロジェクトが
昨年9月に発足した。大鵬の図南の願いは、まさに南沙の流れに実現することだろう。
(隠喩)日出づる国:日本の意。JFEのJapan。
滋英:ジエイ=J、JFEの意。
(大)鵬:「鯤之大不知其幾千里也、化而為鳥、其名為鵬」[荘子(逍遥遊)]より。
ひととびに九万里ものぼるという想像上の大鳥。JFEを隠喩。
鵬翼:大鵬が羽を大きく広げる意。図南鵬翼。JFEの発展を隠喩。
図南:(大鵬が南方に向かって翼を広げようとする意)遠征を試みること。
転じて、大事業をくわだてること。図南鵬翼。広州プロジェクトを隠喩。
沙流:さる=申、猿を意味。図南の「南」と沙流の「沙」で「南沙」地区を隠喩。
沙流で南沙地区、珠江河口の三角州地帯も隠喩。
平成15年 癸未
美(ちゅ)ら海に 「斯ク戦ヘリ」
未草(ひつじぐさ) 小羊(われ)も義変(かは)らん
撥雲(くも)蹴る 谷風(かぜ)へ
(通算十六歌・JFE一年目・東京七年目に)
(表意)先の大戦末期。美しい海が広がる沖縄で酸鼻を極めた地上戦が行われた。
未草(睡蓮)が紅白の小さな花を朝咲かせてはすぐ午後にはしぼんでしまう様に
多くの貴い命が失われた。旧海軍司令太田少将が海軍次官宛に打った電文に込められた思い。
「沖縄県民斬ク戦ヘリ県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」に象徴される
その貴い犠牲の下、戦後米国は日本の同盟国となり今日の繁栄が築かれた。
戦後鉄鋼と言う限られた分野ではあるが、激しい戦いを続けて来たNKK(日本鋼管)と
川崎製鉄が合併し、今年JFEスチールが誕生する。いつまでも過去に囚われていては
未来は築けない。小羊の様な力のない存在の自分ではあるが、大義の為には、こだわりを捨て
将来の繁栄の為に、変化しようと思う。そして、暗雲を吹き払うという撥雲を蹴り出す様に
湧きたたせる、万物を生長させるという谷風(こくふう)の様な存在になりたいと思う。
(願意)我々夫婦を外孫と呼んで可愛がって下さった敬愛する小谷豪冶郎先生が12/18に亡くなられた。
突然の訃報だった。先生は戦後一貫して安全保障問題、特に沖縄の基地問題の専門家として
沖縄復帰に尽力された。まさに先生は、谷風の様な方だった。喪失感はあまりにも大きい。
しかし、ただ慨嘆することは先生の本意ではないはず。まさに先生は谷風の様な方だった。
心から御冥福をお祈りし、この歌を先生に慎んで捧げ、自らもいつかは谷風たらんと願う。
(隠喩)美ら海:沖縄の海。昨年沖縄復帰30周年であったこと、先生の専門テーマも象徴。
「斬ク戦ヘリ」:太田少将電文の一部。戦いを象徴。鉄鋼業の競争、先生の闘病も暗喩。
未草:干支を象徴。咲いては萎む小さな花に戦争の犠牲者を象徴。「未」は未来も。
小羊:小さな自分と干支を読み込む。同時に12/18に亡くなられた小谷先生の一文字。
義変:義の文字で大義につくことを象徴。昨年の赤穂浪士討ち入り300周年も暗喩。
撥雲:暗雲を吹き払うという雲。統合を象徴。
蹴る:ここでは蹴り出すという勢い。同時に昨年のサッカーワールドカップを象徴。
谷風:「こくふう」と読む。万物を生長させる風。「小」「谷」先生を読み込む。
平成14年 壬午
鋼管鐙(あぶみ)保(も)ち
海外焔(ほむら)見据ゑし 馬車坂(くるまざか)
牽牛星(ほし)を仰がば
常初花(はな)も咲くらむ
(通算十五歌・東京六年目に)
(大意)馬に乗り坂の上までやってきて海の向こうを眺めると大きな火の手が上がっている。
その大きさに思わず、鐙(あぶみ:乗馬の時、足をのせる道具)を外して
呆然と立ちすくんだ。ただ何も考えずひたすら馬を走らせてきた世界に、
自分の理解を超えた何か大きな変化がおきつつあるのだと。思わず目を背けたくなった。
そんな時でも、立ち上る焔の上には牽牛星(ベガ)が明るく輝いている。
そうだ、逃げている訳にはいかない、どの様な苦難にも顔を上げ前向きに人生に立ち向えば
常初花(とこはつはな:万葉集で詠われる「永久に新しい花」の意)が咲く様に
新たな道を必ず切り開くことができるはず。苦境もしかと見据えてしっかりと生きて行こう。
(隠喩)鋼管:今年合併してJFEグループとなるNKKの思い出とその象徴。
鐙、馬車:馬具を用いることで午年を象徴。
鐙保ち:鐙を外すことは武士としての儀礼、矜持を正していることを象徴。
保(馬車)坂:昨年3月に亡くなられた 敬愛する上司の名前を詠み込む。
海外焔:同時多発テロとアフガン戦争を象徴、特に「焔」は情念を意味し、対立の根底を示唆。
見据ゑ:ただ呆然と立ち すくむのではなく、しっかりとした意志を持っていることを意味。
馬車坂:造語、坂の多い横浜に居住を暗示すると同じに今年「自動車営業」に異動したことを象徴。
牽牛星:昨年前半の仕事の象徴であるWEGAを表現。
常初花も咲く:意味上記、今年JFEグループが誕生し新しい世界が始まることを暗示。
cf. 相見れば常初花に心ぐし...<万葉集3978>
平成13年 辛巳
乙(わか)き木は 常丁(つね)に陽光(ひ)浴びむと 己葉(は)を広げ
辛風(かぜ)に根を知る 四度目の巳干支路(たびじ)
(通算十四歌・東京五年目
生年干支の四巡目に)
(大意)伸びようとする若い木は、いつでも太陽の
光を浴びようとして葉を精一杯広げては 空ばかりを眺めていた。
ところが、あるとき突風が吹いて来て「そうか倒れずに済んだのは
しっかりと大地に張った根に支えられていたからなのだな」と気が付いた。
そういえば今年は36才、いよいよ干支も四巡目に入る。悔いのない人生を送りたい。
(隠喩)
・干支の巡り:乙巳(きのとみ) S40年(1965) 0才、誕生
丁巳(ひのとみ) S52年(1977)12才、大子小学校6年生
己巳(つちのとみ)H01年(1989)24才、福山製鉄所入社2年目
辛巳(かのとみ) H13年(2001)36才、本社勤務5年目、入社14年目
、21世紀
癸巳(みずのとみ)H25年(2013)48才、???
乙巳(きのとみ) H37年(2025)60才、還暦、???
・厳しい現実:(辛風)
・家族や友や同僚先輩等自らに関わる方々の想い、夢や意志など自分を形作ってきた全てのもの:(根)
・人生:(巳干支路)たびじ
平成12年
深山の 桂華(はな)煌めかせし 朝夢露(つゆ)が
消えてぞ生まるる龍江(ながれ) 萬土(バンド)に
(通算十三歌目・東京四年目に)
(意訳1)深い山に咲く桂の華をきらめかせる朝の露
それは僅かな水滴ではあるが
朝の光を浴びて蒸発しやがて雨となり大地に降り注ぐ
それがいつか大河となり流れて行く
そんな風に夢が叶えばなあと思う。
(意訳2)今年春、人生をきらめいて生きていた華が散ってしまった。
友人の妻であり母校の後輩。
彼女の身体は朝の光とともに消えてしまったが
その輝きは僕達の胸の中のともしびとなり。
やがてその想いは皆の心の中に大きな流れを形作り
ゆるやかに進んでいくことだろう。絶えることなく。
(隠喩)
・後輩の名前の一文字:(桂)華
・最も印象深かった場所北京の象徴:桂(華)
・淺野の夢:(朝夢)露
・龍年:(龍)江
・茂生と多江子の夢:(生)まるる、龍(江)
・HSバンドに象徴される仕事の夢:(萬土)
平成11年
冷春夏(さめし)炉も
多事苦(タジク)の秋も 義士の冬刃(は)も
獅子流星(ほし)に包みて 兎影(つき)は光りぬ
(通算十二歌目・東京三年目に)
(意訳)春(1月)、夏(7月)と2度も京浜製鉄所の高炉が不調になり
大変苦しい日々を送った平成十年。7月末(98.7/20)にはタジキスタンの
地で恩師秋野豊先生が非業の死を遂げた。このような多事に苦しみの多い
年ではあったが、11月末(11/18)に地球に最接近した獅子座流星群を
眺めていると地上の些事から心が解き放たれるような心地がした。
思えば赤穂浪士が吉良邸に討ち入りした約300年前の元禄十五年(1702)も
ちょうど獅子座流星群の巡ってきた時期にあたるようだ。
(1999−1702=297年=33年周期×9倍)白刃をきらめかせて
夜陰を駆け巡った彼らも、どこかで流星を見つめたいたかもしれない。
そういえば、自分の生まれた年、昭和四十年も周期に当たっている。
これを知ったとき、不思議な巡り合わせを感じたものだが、天体の運行は
こうした地上の人間の感慨などとは関係なく、歩み続ける。
その悠久の時の流れから見れば、人の営みなどいかにも儚い。
しかし、だからこそ小事に悔いることなく、精一杯に輝いて生きて
行きたいと思う。ふと夜空を見上げると今日も月は輝いている。
その光はどこまでも優しい。
(隠喩)
・1年の巡り:冷(春夏)、(秋)の、(冬)刃
・高炉不調:(さめし炉)
・タジキスタン:(多事苦)の
・秋野豊先生:(秋の)
・卯年:(兎)影
・兎影:「とえい」古語で月の異称
平成10年
天狗らが 虎咆(こゑ)留めたる 常磐木(ときはぎ)の
城壁(いは)も緑に映りをり 水面は揺れむ
白鷺の 天空(あめ)に飛翔(はばた)く 前ぞ激しき
(東京二年目に・通算十一歌)
(意訳)皇居の近辺を歩いていると、幕末に自らの志に従って戦い、
大行軍の末に散っていった天狗党の叫び(=虎咆)が、耳に聞こえる
様な心持ちがする。その城壁は緑濃い(=常磐木)お堀の水に映っている。
静かな湖面が突然大きく揺れた。水面だけを見ているとそれは驚きだが、
実は羽を休めていた白鷺が大空へとはばたく瞬間であった。
天狗党の激しい行動も、揺れるお堀の水面も、新しい時代、大空へのはばたきの
前触れであったろうか。翻って現在、未曾有の社会経済構造改革に揺れる
世の中ではあるが、もっとも激しく湖面を叩くのは、まさに白鷺が
天空へ飛び立つその直前。この激しさもやがてくる新時代の胎動であり、
慌てることなく、心して新時代に備えてゆきたい。
(隠喩)
・寅年:(虎)咆
・97年夏つくばに土地購入(常磐新線開通期待):(常磐)木
平成9年
神無月 神は出雲に 子牛(わ)は江戸に
水涸れ地震(ちふ)る九年も 瀬戸の流れは福多く
重ねて詠みし十牛歌 悟りの道は遠けれど
心新たに初日影(はつひ)に駆けん
(発句以来十年目・東京一年目に)
(意訳)十月(=神無月)には神様がみな出雲大社へ帰ってしまうが自分(=子牛)は
その月に東京へ異動になった。渇水や阪神大震災といった不幸な出来事もあった
九年間の福山生活だったが、瀬戸内海のほとりで過ごした日々は幸福であった。
入社以来十作の稚歌を詠んできたが、禅宗で使われる「十牛図」のように十作
を経て悟りにたどり着くなどということは全くないが、せめて年の初めには
初日の出に向かって心新しく決意をして今年も頑張っていきたいものだ。
(隠喩)
・丑年:子(牛)、十(牛)歌
・妻の名前:福(多)く、(江)戸、(子)牛=多江子
・福山:(瀬戸)の流れは(福)多く
平成8年
地の震ふ睦月に隠れし双忠星(ふたつほし)
雪解水(みず)多き江(かわ)を卯月に漕ぎ出でぬ
而立舟(われ)は子午線(かなた)に新風(かぜ)を孕(はら)まん
(福山九年目に)
(意訳)一月(=睦月)に阪神大震災があった。この月に神戸の小父(=平塚忠)と
母方の祖父(=武士忠)が相次いで亡くなった。雪解け水が川に流れ出す四月
(=卯月)に結婚式を挙げて、新生活をスタートさせ、30歳(=而立)にして
一家を構えて世の中に漕ぎ出した。将来に向かって帆に風を一杯受けて走って
行きたい。
(背景)小父は阪神大震災(95.1/17)で亡くなった訳ではなく、その前の週に病気で亡くなり
多江子と共に葬儀に参列(1/16)。親戚も多く訪神戸していたが、ほとんどが当日に
帰宅し、難を逃れた。私達が神戸を離れてから数時間後の出来事であった。
この年は三月に地下鉄サリン事件もあり、四月の結婚式も含め忘れ得ない年となった。
(隠喩)
・子年:(子)午線
・妻の名前:水(多)き(江)、(子)午線=多江子
・小父と祖父の名前:(双忠)星=二つの忠
平成7年
水涸れの夏に小町のほのかなる
菖蒲(あやめ)の面影(なごり)偲びつつ
青猪(われ)は目覚めぬ栲(たへ)の白きに
(福山八年目に)
(意訳)福山が大渇水で苦しんだ夏。これに先立つ五月に祖母(=あや)が亡くなった。
若い頃には小町と称されたという祖母を、菖蒲を見ながらその面影を偲んでいた。
そんな時、結婚にいろいろ悩んでいたが、相手の正直な心に改めて思い至り
翌年の結婚に決意を新たにした。
(隠喩)
・亥年:青(猪)
・祖母の名前:菖蒲(あやめ)=あや
・祖母の命月:菖蒲(あやめ)=五月
・婚約者の名前:栲(たへ)=多江子
・正直な心:栲の白き=梶の木から作った繊維で織った白い布
平成6年
氷雪を堪え越ゆ姿に見えるとも
初陽を目指す若狗は
胸の鋼熱(あつ)さに心楽しき
(福山七年目に)
(意訳)(結婚式の延期や仕事の辛さ)などでいろいろと苦しんでいるように見えるが、
結構本人は前向きに考えており、胸の中には熱い思いがあって心楽しくしている。
今年もその熱さを大切に頑張りたい。
(背景)七月には婚約をしたが、その後いろいろとあり十二月の結婚式を延期した年。
皇太子御成婚、台風13号被害、米不足などがあった。
(隠喩)
・戌年:若(狗)
・婚約者の名前:(堪え越)ゆ=多江子
平成5年
幼雛(われ)を抱き 掌に文字(かな)教へし祖父の瞳が
毅星(ほし)になりけり冬の朝
天空(そら)に誓はん※(われ)の大志を
(福山六年目に)
(意訳)小さい頃自分を抱いて掌にひらがなを書いて文字を教えてくれた祖父(=一郎)が
十一月の朝に亡くなった。祖父を偲びながらも、これから一生懸命頑張ろうと誓う。
(隠喩)
・酉年:幼(雛)、※(われ)=文字変換ができなかったので振り仮名のみだが実際には、
「燕雀安んぞ(こうこく)の志を知らんや」の(こうこく)=われとした。
・毅然とした祖父:毅星
平成4年
月の影 掬いて取りぬ若猿が
小波(なみ)に驚き 夜空見上げん
(福山五年目に)
(意訳)池に映った月をすくい取ろうとして必死になっている猿が、自らが起こした波で
姿がかき消えて慌てて夜空を見上げると、そこに変らず輝く月がある事に気付いた様に
バブルも消えていった。今年は不況に慌てふためく年となるかもしれないが、
所詮は湖上に映った月に騒いでいるに過ぎないのかもしれない。本当に大切なものは
雲の上に輝き続けている。それを見失わず生きていきたい。
(隠喩)
・申年:若(猿)
平成3年
望羊(ぼうよう)の多岐路に拾ひし玉鋼
三年(みつとせ)鍛造(うち)て今ぞ刀光らん
(福山四年目に)
(意訳)人生の岐路に今の鉄鋼会社を選んだ。それから三年。打ち鍛えられ、
今年は一人前になって頑張りたい。
(隠喩)
・未年:望(羊)
・鉄鋼会社の新人:玉鋼=刀の原料
・人生の岐路:望羊の多岐路=本来は「多岐亡羊、亡羊の嘆」という形で逃げた羊を
追って道が多く分かれていることから、選択肢が多く悩む様を示すが、「亡」
を嫌って「望」を使って希望の道を表現してみた。
平成2年
龍夢を鋳込み
巳に打ち鍛えしこの蹄鉄
午の地蹴り出す要とならん
(福山三年目に)
(意訳)辰年(=竜)に就職、巳年に二年目を過ごし、今年は三年目。
午年の今年は、競争馬の足を支える蹄鉄の様になりたいものだ。
(隠喩)
・午年:午の地蹴り出す、蹄鉄
・鉄鋼会社に就職:龍夢を鋳込み
平成元年
龍にて巣立ち
巳にて迎える初の春
炉出し鋼は冷めんとも
熱きこの身はいまだ変わらじ
(福山二年目に)
(意訳)辰年(=竜)に卒業、巳年に迎える二年目の春。加熱炉から出された鋼は
冷めやすいが、初心の熱い思いを忘れずに頑張るつもりだ。
(隠喩)
・巳年:巳にて迎える初の春
・鉄鋼会社:鋼
昭和63年
目覚めれば
紫もえたつ
筑波山
いつか昇らむ
龍と変わりて
(福山一年目に)
(意訳)大学のアパートから外を眺めると筑波山が紫に煙っている。
今年はいよいよ卒業、そして社会人となる。
いつかは一角の人物となれるよう頑張って行きたい。
(隠喩)
・辰年:龍と変わりて
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