○しげなまのつぶやき(過去ログ)
  Sigenama's monologue archive


「しげなまのつぶやき〜沖縄スペシャル〜」

9月3日月曜日 今日の気分:(*^0^*)

「しげなまのつぶやき〜沖縄スペシャル〜」スタート!第1話(色もCoral=サンゴ色!で)
 たった1日の休みと週末を合わせた2泊3日の旅ではあるが、気分はとても高揚していた。
 9/7〜9/9予約もしてないのにすっかり気分は沖縄だった。
 一昨日、帰省から戻ったたえなまを羽田空港まで迎えに行ったその時までは。
 「いよいよ来週だねえ」
 「で、チケットはとれたの?」
 「えっ、まだだけど大丈夫だろ、世の中不景気だし」
 「不景気とかは関係ないのよ、だいたい飛行機を使うツアーってのは1W前が締切りなの」
 「げげっ」
 毎日会社帰りに駅で集めた旅行パンフを見ながら僕は絶句した。
 「よーし片っ端から電話だ!、でもその前に空港内の旅行代理店に寄ってみよう」
 大きな荷物を抱えながら、空港内の代理店に滑り込んだ。もう既に16時を回っていた...。
 「いらっしゃいませ。何か?」
 「9/7沖縄、それも離島のチケットが取りたいんですけど」
 にこやかなお姉さんの顔が一瞬小さく引きつったのを僕達は見逃さなかった。
 「あのお、1週間前が基本的に締めきりになっていまして、それに...
  当店は代理店なので、結局旅行会社へ問い合わせることになりますが
  既にこの時間なのでこうなったら直接旅行会社まで出向かれた方が...」
 「わかりまひたあ!」
 間の抜けた声で答えると一目散に京急へ向かって走り出した。
 (そうかそういうことか...。)
 右手に旅行雑誌の「じゃらん」沖縄特集。左手に携帯電話。
 (なんかこの姿どっかで見たような...そうか俺の仕事スタイルと一緒だ...しょーもな)
 「もしもし、この「あなたの思いのままにホテルを選べる憧れの島
石垣島で夏の休日を満喫3日間」なんですけど...」
 「もーしわけありません、もう締めきりました」
 ガチャン。ツーツー。
 電車の中でも、小声で...。
 「あのーもしもし「お得なミニパスポート付、ヴィラフサキリゾートステイ3日間」...」
 「あ、それなら締切っちゃいました。」
 ガチャン。ツーツー。
 ま、まじかよ。どーしよう。
 一体この人は大丈夫なんだろうかと、心配げに見つめるたえなまを隣に
 必死の形相で携帯電話をかけまくる。
 もしもしもしもし...。
 果たして僕達は無事予約が取れたのでしょうか?
 続きはまた明日...ってなんでやねん!
 すいません。睡魔に勝てませんでした。
 では、おやすみなさーい!

9月7日金曜日

「しげなまのつぶやき〜沖縄スペシャル〜」スタート!第2話
横浜駅に着いた僕達は、コインロッカーに荷物を放り込むと、まず駅のビュープラザに走りこんだ。
「「石垣島全日空ホテル&リゾートで思いっきりバカンス!平日出発67700円」
ってまだありますかあ?」
「これは全日空さんのツアーですから聞いてみないと...もうこの時間ですから、
空いていたら即押さえないといけませんがどうされます?」
 
ここが運命の分かれ道だった...。
後から思えば、兎に角最初に入った店で決まるならそれを選んでおくのがベストなのだが
何故か僕達はもう1軒回ってみない事にはと躊躇した。
「どれくらい余裕ありますかあ?」
「ほんとはもう今すぐ位ですけど、なんといっても18時過ぎですから...せいぜい10分くらいです」
「了解!」
僕達は次の目的地東急観光へと向かった。
ここで驚くべき事態が...(^^;。
つづきはまた明日。


9月8日土曜日 今日の気分:\(^0^)/

「しげなまのつぶやき〜沖縄スペシャル〜」第3話
そういえば、あのバタバタはちょうど1週間前だったなあ...。
しげなまは、普段と違う景色を眺めながらひとり呟いた。
ここは...。
つづく。

9月9日日曜日 今日の気分:\(^0^)/

「しげなまのつぶやき〜沖縄スペシャル〜」第4話
ここは...。
ゴーヤを食べながらたえなまは傍らの女性に話し掛けた。
「お母さん、このゴーヤよく出来てますね。どーしたんですか?」
「お父さんがテニス仲間の人からもらってきたのを庭で育ててみたのよ」
「へえそうなんですか、大子でも育つんですね。実は私達来週末沖縄に行くんです」...!?!?!?
そう、あれから1週間、僕達は本来沖縄に居るはずだった週末を茨城の田舎で過ごしていたのだった...。
ちょうど1週間前の金曜日。
ビュープラザから携帯片手に走り出した僕達は横浜ルミネ地下の「○急観光」に駆け込んでいた。
「こ、この「琉球風コテージで別荘感覚の石垣島憧れの離島ヴィラフサキリゾート3日間60800円」ってまだ間に合いますかああ?」
鬼気迫る勢いの二人組の勢いに少したじろいだ様子を見せたアロハを着た若い担当のお姉さん。
(○急観光は担当者皆が皆若い女性でアロハシャツを着てリゾート気分を盛り上げているのだった)
そうはいっても、そこは百戦錬磨のツアコン。多少のことではひるまないらしく...。
ちょっと左の眉をピクリとさせただけで、爽やかな笑顔。
「もう締切りました。ハイ。」
ハイの後のはどー考えても「残念でした」の一言を心の中で呟いていたはずだが、そこはプロ。
皮肉な雰囲気など微塵も見せず一刀両断に切り捨てられた。
「う、うむ。そーですか。じゃあまた来ます。」
こういう時は一旦引き下がるに限る。
入ってきた時と同じ様にバタバタと出て行く二人組。
と、安心させておいて、ちょっと間を置いてから再び奇襲をかける。
「あの、さっきのなんですけど、ネゴることもできないんですか?○急観光さんだと思って頼りにしてきたんですけど。電話予約だとアウトだって言われたので羽田から大急ぎで一番近い蒲田を無視して力のある横浜支店さんにお邪魔したんですけどおー。」
今度は一気にまくしたてた。
一瞬支店内のアロハが全員顔を上げてこっちを見た。
トラブルと思ったらしい。緊張感が支店内にみなぎるのを感じる。
ところが、敵もさるもの。奇襲にもひるむことなく、さっきのお姉さんはニコヤカな笑顔で。
一言も発することなく、両手を胸の前でクロス。
「あ、バツね。バツ。そーですよねえ、1週間前ですもんね」
敗北感を隠そうと苦笑いをしながらスゴスゴと支店を後にする僕達。
「商売っ気ないよなあ、せめて確認する素振りでもみせればいいのに」
と僕。
「でもね、こういうことはハッキリ駄目なら駄目って言ってもらった方が時間の無駄がなくていいのよ」
とたえなま。
なるほど。
気を取り直して、支店を後にする瞬間、何かないかと窓口の外のウィンドーガラスに飾られた白黒のパンフレットが目に飛び込んできた。
これを運命の出会いと呼ばずしてなんと言おう!
安い!なんて安いんだ!
「毎日限定20組様ラストチャンスバーゲン夏休み沖縄へ行こう!石垣全日空ホテル&リゾート3日間(サンコースト館)39800円!」
なにい、サンキュッパだとお!これまで狙ってるのの半額じゃないかあ。大丈夫なのかあ。でもこの安さを見逃す手はない。すぐ電話だあ!
ずっと握りしめてすっかり汗ばんだ携帯のボタンを汗で滑る親指で押す。
隣のたえなまは不思議そうな顔。
(この人大丈夫かしら、だいたい話の筋が変でしょ。来週の予約ができるかどうかで騒いでいるのに、いつのまに「安い」とか「見逃せない」とかになるのかしら。それに○急観光のパンフでしょ。目の前の支店で聞けばいいじゃない。なんで電話するわけ?でもこういう何かがとり憑いた時のこの人には触らない方が賢明だわ、目が醒めるまで放っときましょ。それにもっと大切なことにまだ気付いてない様だけど...まあいいわ。この人にはいい薬よ。くわばらくわばら...。)
「はい、○急観光予約デスクです。ありがとうございます。」
たえなまの醒めた雰囲気など目に入らないトランス状態の僕は、電話に出た明るい声のおねえさんにまくしたてた。
「この毎日限定...なんですけど、まだ空いてますかあ?」
「はい、大丈夫です。」
やったあ!ついてるぞ!
「で、お客様いつの御出発がご希望でしょうか?」
あ、そうか忘れてた。でもいいや。とにかく交渉だ!
「いやあ、実は妻とどーしても旅行に出掛けたくて今年の夏ももう終わりじゃないですか、でも忙しくて夏休みが取れなくて、でもう最後のチャンスなんです。分かってるんですよ、1週間前じゃ駄目だってこと。でもねそこは天下の○急観光さんでしょ。こうしてお願いすればなんとかなるんじゃないかと思って。ね、分かりますこの気持ち」
半分泣き出さないばかり、小朝の人情話かと、道行く人も振り返る始末。
電話の向こうでもしばしの沈黙...。
ツアコンだって人の子。誠心誠意訴えれば気持ちが伝わるはず。きっと資料を当ってくれてるんだ。いい人だあ。
「あのーお客様。」
ほらきた。なんとかするけど条件が云々ってんだなきっと。いいんだよ、飛行機の時間なんか選べなくったって。ホテルの部屋がちょっとショボくったって。いいんだいいんだ。うんうん。で、なあに?
「お客様の御事情は大変良く分かったのですが、パンフレットを良くお読みになれば分かるのですが、実はこれ9/10ー30出発プランなんです。ですからそもそも9/7というのはスケジュール外でして...申し訳ありません。」
ガーン、ガーン、ガーン。
そ、そうか、いつの間にか安さに目がくらんで一番大切な出発日のことすっかり忘れてた。
すっかり落ち込んでふと後ろを振り向くと、たえなまが...。
(あたしゃ最初っから分かってたわいな)という涼しい顔でワンピースの裾を直したりして...。
「そーですか、お騒がせしました。」
「いいえどういたしまして。また御利用下さいませ。」
ガチャ、ツーツーツー。
それから数十分後。再びビュープラザで同じ騒動を巻き起こした挙げ句、三たび○急観光横浜支店の前に佇んでいた。
「じゃあそういうことでいいね。」と僕。
(うん)とうなずくたえなま。
妙な敗北感と妙な達成感の入り交じったなんとも言えない表情で僕達は支店のドアを開けた。
「すいません。9/14発の「毎日限定20組様ラストチャンスバーゲン夏休み沖縄へ行こう!石垣全日空ホテル&リゾート3日間(サンコースト館)39800円!」下さい...。」
ぜーったい勝ち誇っているに違いない。でもそれそこはプロ。一瞬の間を置き、今度は眉も動かさずににこやかな笑顔で...。
「いらっしゃいませお客様。はい御準備できます。では、この用紙に必要事項を...。」
負けた。でも結局安くていい旅行が手に入った。
試合に負けて勝負に勝った。
そんな気分。みょうにすがすがしい金曜の夜だった。
もうちょっとつづく。

9月9日日曜日 今日の気分:(*^0^*)

「しげなまのつぶやき〜沖縄スペシャル〜」第5話
<まだ第4話をお読みでない方は(ほとんどそのはず、だってほとんど同じタイミングのアップですから...(^^;。急いでスクロールして第4話をお読みになられることをお勧め致します...>
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そう、この話には落ちがありそうで、ない...(^^;。
結局僕達は、安くてとても良い旅行を手に入れた。
確かに出発到着共に飛行機が選べず。
たった2泊3日の旅なのに、初日羽田お昼発、最終日石垣朝発などというパターンも覚悟する様に言われた。
それでもいい。だってこんなに安いんだから。
覚悟して数日後、○急観光から電話がたえなまにあった。
申し訳なさそうなトーンだったらしい。
羽田発6:45の始発便、帰りは石垣18:00の最終便。
集合6:00となれば、普通なら羽田始発に乗る為には近くに前泊とか、早朝タクシーとか(その料金で泊れるから前泊する人も多いと聞く)になる。
それをおもんぱかっての申し訳なさそうなトーンだった様だが、僕達にとっては最高の朗報!
花○園に住む僕達にとって、京急の始発に乗れば余裕で集合時間に間に合う。
わずかな休みをフルに使いたい僕達にとって願ったり叶ったりのスケジューリング。
それに、台風。ちょうど9/7は台風15号の到来で那覇行きの飛行機が全便ストップしていた。
あの騒ぎのおかげで台風も回避できた。
そう、あと心配なのは台風。
安い訳だよな。台風シーズンだし。
この話、一体どこで落ちるのか、それとも落ちないのか。
全ては週末の旅行後にご報告!
もしかしたら、出発直前まで何かあるかも...(^^;。
まだまだつづきますよ。
旅行が終わる迄おつき合い下さい...(^^;!


9月13日木曜日

「しげなまのつぶやき〜沖縄スペシャル〜」第6話
(初めてお読みの方へ:是非スクロールして第1話からお楽しみ下さい)
遂に明日から待ちに待った沖縄の旅へ出発。
遠足前の小学生の気分。
そんな気分に水を差すお天道様の気紛れ...。
実は、台風16号がいるんだよなあ。
先週末15号をやりすごして、結果オーライのラッキーと
思っていたのに。
普通1週間も1ヶ所に留まるかあ!
沖縄は大雨警報、強風波浪注意報。
果たして僕達は無事沖縄に辿りつけるのか??
石垣島に泊まって、西表島でシーカヤック&原生林
トレッキングはできるのかあ!
竹富島のコンドイビーチで昼寝はどーなる!
請うご期待!ってば先週と同じじゃないかあ。
続きは帰京後...。お楽しみに!

9月17日月曜日

「しげなまのつぶやき〜沖縄スペシャル〜」第7話
帰って参りました。
無事といえば無事に...(^^;。
初日にコンドイビーチで無防備に焼いた背中が痛くてたまりません(いかに海慣れしてないかの証明...(^^;)
台風16号さんにはお世話になりました。ホント。
結局晴れたのは初日だけ。最大のイベント企画だった西表島カヌー&トレッキングツア−は中止...。
その代わり...。
いろいろハプニング満載の旅。
まだ報告は続きます。
明日をお楽しみに。
今日はもう寝ます。そうそう今日は誕生日。36才(年男)になりました。ヘビ年。ハブ酒を買って帰りました。これは効く!

9月25日火曜日

「しげなまのつぶやき〜沖縄スペシャル〜」第8話(最終話)
もうあれから1週間。あの石垣島での台風16号が嘘の様に、この3連休の横浜は晴れ渡っていた。
みなとみらいの上にかかった三日月とそのずっと右手に見える富士山が夕焼けに赤く染まった姿を闇に隠すまで、社宅の窓際で葉巻きをくゆらせた。
キッチンの椅子を2脚並べて、既に秋の気配が迫っている夕方は寒い、毛布にくるまって。
煙草も吸えないくせに(ふかすだけ...(^^;。)似合わぬ葉巻にはまっている理由はただ一つ。豊かな「時間」を過ごす為。
ぼーっと過ごす時間を「葉巻きを吸う」という行為で作り出す。そうコンドイビーチでもそうした様に...。
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「きっれいな海ですねえ」二人は初めての南の海に興奮していた。
「いいや、台風がきてるから濁ってていけないよ。普段はもっとずっと綺麗なんだから。」
「えーっそーなんですかあ?」
石垣島から約10分。台風の余波で揺れる波を切る様に八重山観光の高速艇が進む。その激しさに艇内では女性たちの嬌声が上がる。たえなまもすごい「うわぁー、きゃー」。ちょっとしたジェットコースターの気分。
竹富島で一番大きな乗り物は、タクシー代りのワンボックスカーかミニバン。あとはレンタサイクルか「牛!」が観光客の足。とりあえず往復1000円の料金を払ってバンタクシーに乗り込んでコンドイビーチへと向かった。
海が青い。というかグリーンに近い青。
どこまでも続く遠浅の海を歩いて砂州に辿り着く。
強い風の中、苦心して葉巻に火を点ける。
ぼーっ。ひたすらぼーっと。
吸い込んでいる訳ではないが、葉巻の香りも手伝ってだんだんと気が遠くなるような気分に。たえなまは砂浜に寝そべって目を閉じている。時間が止った様なひととき。
2泊3日のささやかな旅。それでも始発便に乗れた僕達は初日すぐに竹富島のコンドイビーチに向かえるという幸運に恵まれた。ちょっと雲はあるが、とにかく晴れていた。台風16号は西の大陸方面へ去ったというし、残り2日は南国の太陽の下最高の沖縄を味わうつもりだった。
葉巻を吸い終え、ビーチ沿いに星砂のとれるという浜まで歩く。途中で立ち止まりやどかりと戯れる。とても気分の良い一日だった。
石垣島に戻って、お手頃値段で石垣牛を食べさせてくれるという焼肉屋「金城」へと向かう。うーん美味。実は赤坂にも店があることを知り、次は東京でと二人で話す。地ビールをグイッと。「るるぶ」で紹介されていた店なので、いかにも旅行者風情の数組が店内にもちらほら。その後2日間いろんな所で出会うことになるカップルもそこに居た。
全日空ホテル&リゾート。リゾートホテルって感じが出ててなかなかいい。サンコースト館なるビーチに一番近いコテージ風の部屋に泊まる。1Fで海が直接は見えないがサンキュッパの値段を考えたら全然問題なし。どーせ昼間は海にカヌーに原生林にって忙しくて部屋は寝るだけだから問題ないさ...と、やがてここで一番過ごす事になるとはまだ二人は想像もしていなかった...。
「痛い!それになんだか寒気がする」
普段日焼けすることなどない青白い「ネギ」と呼ばれる自分が南国の日差しの下で平気なはずなどないのだが、興奮していて忘れたというかなんというか日焼け止めもなにもせずに炎天下約4時間も肌をさらしていたのである、火傷以外のなにものでもない。
どうにかこうにか大浴場にまでたどりつく。
シャワーをぬるめのお湯にして肌を冷しながら身体を洗う。流石に湯舟にはつかれないだろうと思ったが、とりあえずチャレンジ。
そーっと身体をお湯の中に沈めると...。やはり鋭い痛みが。でもしばらく我慢していると気持ちが良くなって来る。流石リゾートホテル?、お湯加減がぬるめに設定してある。日焼けした人の為か、ぬるめのお湯で温浴効果を出す為か。とにかく助かった。
風呂上がりにオリオンビ−ルを飲みながら、翌日の西表島大冒険の準備でバックパックに荷物を詰め込む。
米国同時テロと先輩の安否が気になって、部屋に居る時はずっとTVをつけていた。ニュースもテロ関連一色。ところが、そのニュースに更に臨時ニュースが加わった。
「ん?」突然画面一杯に現れた至近の1週間ですっかり見慣れた沖縄地方の天気図に二人は目が釘付けになった。「ええっ?」
そこには、つい夕方まで大陸を向いていた台風の進路を示す矢印がクルリと向きを変え、再び八重山諸島を向いている姿がくっきりと映し出されていた。
「明日の朝から石垣島は暴風域に入り風速30m...」無情にも気象台の担当官が解説を続ける。
「うそでしょ。台風って普通戻って来るの?」
「まあ高気圧の塊に弾かれてバウンドしたのかもなあ」
「何言ってるかわかんないわよ」
うむ、自分でも良くわからない...。
このいきなりの台風16号の気紛れに動揺したが、とにかく騒いでも仕方がないので、痛い背中に濡れタオルを乗せて、翌日早朝の西表島行きの船に遅れない様に目覚ましをセットして眠りについた。次第に激しくなる風音を耳にしながら...。
「トルルッルッルルー」
突然の電話の音で目が覚めた。モーニングコールは頼んでなかったはずだけど...。こんな朝早くから誰だろ。
「お客様、西表島からお電話です。」
ま、まさか...そのまさかだった。
「今日来て頂いても、戻れるかどうか保証できませんがどうされますか?それに海が荒れているのでカヌーも中止です。せっかくの機会だとは思いますが無理なさらない方が...」
「わかりました。仕方ないですね。諦めます。」
受話器を置いた。
戻ってきた台風16号。なんと以来の凝りの二日間、青空は見えず。雨と風の中、定期循環バスで石垣島観光。ホテル内の温海水プールで泳ぎ、風雨を縫って外のプールでウォータースライダーをやり、お風呂につかった。
西表島は行けなかったけど、結構リゾートホテルに閉じ込められるってのもそれはそれでのびりできるものだと知った。もともとかなりハードなスケジュールだった分、逆にポッカリ空いた時間をゆったりと過ごせて良かったかもしれない。
石垣島の郷土料理を有名店の「ゆうな」で食べ、ミンサー織りの工房を訪ね、八重山民俗園で沖縄伝統衣装で写真を撮り、リスザルと戯れる。
「よーし、次は西表島だ!」
誓いも新たに、予定は違ってしまったがそれなりの充実感に溢れて石垣空港へと。
「後は帰るだけだね。いろいろあったけど楽しかったね。」
「そーだね...もうここまできたら何もないだろう...」
だいだい安易な事を口にすると何かがあるのが常。
「ピンポンパンポーン!那覇行きJTA620便でまだミールクーポンを受け取りになられていないお客様はお近くのカウンターまでご連絡下さいませ」
...ってどーいうこと?ミールクーポン?、それって飛行機が遅れた時のサービスじゃないの??
慌ててカウンターに走っていくと、なんと1時間遅れ。おいおい、乗り継ぎ時間1時間しかないのにそれじゃ間に合うの??
最後までドタバタの二人。
空港のレストラン(居酒屋みたいなとこ)。もらったミールクーポンでビールとつまみを食べながら。
「まあ仕方ないね、同じJALグループだしなんとかしてくれるだろ」
そこになんと携帯電話のベル。
「えっ、今頃だれだろ?もしもし?」
「飛行機とんでへんやろ?」
えっ、この声はもしかしてN村さん?
「もしかして福山からですか?」
「そーや、旅程表送ってくれてたやろ、せやからインターネットで飛行機追っとったんや。やばいで、次に接続する飛行機まだ那覇でとらんわ。」
「ええ、1時間遅れって聞いてます。ギリギリですね。」
「そんな甘くないで、今何時やと思ってる?この時間で那覇をまだ出てないってことは大変やで。インターネットだと2時間半遅れになっとるで。」
ええーっ!
思わず人目もはばからず叫んでしまった。
回りの同じ飛行機待ちと思われる人々が、携帯電話の会話に耳をそばだてている気配が分かる。
「わかりました。とにかくすぐに飛行機会社に掛け合います!」
「そやな、それがいいわ、まあ会社これへんでもなんとかしとくから。無理せんでな」
「ありがとうございます!ハハハ」
「なにわろーてんねん?大丈夫か?」
わざわざ沖縄まで携帯にTELをもらったありがたさと、なんだかすごいなあという複雑な気持ちが入り交じって、大変な事態ではあるが、とにかく笑うしかなかった...(^^;。
トッテンクルリンパ...ってなんのこっちゃ。
民話の一つの終わり方ですな...(^^;。
(そんなのあるかいな?)
結局、飛行機は1時間遅れでなんとか繋がり、無事僕達は羽田に帰ってくることができました。
いやあー、映画って、いやもとい、旅行ってほんと楽しいものですね。じゃサイナラサイナラサイナラ。
じじともんちの沖縄旅行はこれでおしまい。
次回をお楽しみに!


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