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ディープスペースナイン エピソードガイド
第134話「闘う交渉人フェレンギ」
The Magnificent Ferengi

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・イントロダクション
クワークの店。
リータ※1がカウンターに立ち、オドーが見回っている。
そこへクワークが戻ってきた。後ろには箱を抱えたベイジョー人たちを連れている。「じゃあカウンターに置いてくれ。モーン、触るなよ。皆さん、ご注目。スクイル・シロップ※2が 3ケースも入荷しました。」
リータ:「グロートケーキ※3にスクイル・シロップって最高。でも一年以上口にしてない。」
「みんなそうだ。」
オドー:「バランカー※4の干ばつは終わったってことか?」
「元々干ばつなんてなかったのさ。全て農業組合※5の策略だったんだよう。スクイル※6の価格高騰を狙って、しこたま溜め込んでいたってわけさ。」
リータ:「…汚い連中ね。」
「許せないだろ。」 カウンターの上に座るクワーク。「それでな、昔一緒に仕事をしたことがある、組合のチーフ会計士の秘書の友達の義理の姉さんのいとこの甥がいるんだが…えっと…友達の義理の姉さんの…いとこの甥…ああ、合ってるな。それで、たまたまそいつから耳にしたんだ。そのチーフ会計士が、すごくイケテるフェレンギのレインシューズを買ったってな。」
オドー:「バランカーが干ばつなら、レインシューズなんて買う必要はないわけだ。」
「おりゃピンときたねえ。それで、俺はこの会計士と密談を設定して話をもちかけたんだ。こちらの要求通りにスクイル・シロップを渡さないのなら、全宇宙域にあんたらの策略をバラしてやるってね。」
客から一斉に拍手が起こる。クワークは箱から瓶を出す。「明日の朝には、スペシャル・グロートケーキがお目見えします。スクイル・シロップがたっぷりかかった奴だ。」 また大きく歓声。「店に来りゃ誰でも味わえる。何ボーっと突っ立ってる。さっさと貯蔵庫に運べ! ラチナムに匹敵する価値があるんだぞ。ああ思い出すなあ。昔こんな風に儲けたことがあったっけ。あれは確か 11年か 12年前だったな、ここに来てすぐの頃だ…」
リータは叫んだ。「ダックス! ジュリアン!」 オブライエンも店に入ってきた。「戻ったのね、心配してたのよ。」
ダックス:「心配ないって言ったでしょ。」
「だって任務のこと何も話してくれないんだもの。」
オブライエン:「内密にするよう言われてるからねえ。」
ベシア:「ああ、でももう秘密じゃない。任務も終わったし、報告も済んだ。敵との境界線を越えてきた。」 3人は席についた。
「ドミニオン撤退後、カーデシア領域に入る最初の偵察任務だったんだ。とにかく、無事戻って来ることができた。」
ダックス:「今日みたいな日こそ、ぜひお祝いしなくっちゃね。」
オブライエン:「シンセエールを 3つね。」
リータ:「すぐにお持ちします。」
客は 3人の話に聞き入る。クワークは無言だ。
オドー:「クワーク、どうかしたか?」
クワーク:「どうかしたも何も、自分勝手な宇宙艦隊の士官連中め。聴衆を奪いやがって。」
「彼らはただの士官ではない。3人ともヒーローだ。そうだろ、クワーク。儲け話に夢中になるヒーローなんていない。」
「俺の故郷にはいる。」
「ここはフェレンギ星※7ではない、フン。」 出て行くオドー。
フェレンギ人がクワークに耳打ちした。「ネーガスから連絡が。」
クワーク:「ネーガスが? 急ぎなのか?」
うなずく部下。
「ああ…きっとシロップのことを聞きつけたに違いない。一本贈ってやるか。いや! 一ダース送ろう。好物だからな。」

アクセストンネル。
ロム※8が作業をしている。
クワークが上ってきた。「ロム。ここにいたのか。ステーション中を探し回ったぞ。」
ロム:「兄貴、何の用? 兄弟でかくれんぼでもするの?」 笑う。
「ロム、笑ってる場合じゃない。悪い知らせだ。おふくろがドミニオンに捕虜として捕まった。」
手を止めるロム。「…マミーが? …捕虜だって?」
「それだけじゃない。救出をグランド・ネーガスに頼まれた。」
「兄貴が? マミーを救出? ドミニオンから?」
「ああ。」
「…大変だ。」
「一大事さ。」


※1: Leeta
(チェイス・マスタースン Chase Masterson) DS9第131話 "You Are Cordially Invited" 「花嫁の試練」以来の登場。声:榎本智恵子

※2: syrup of squill

※3: groatcakes

※4: Balancar

※5: バランカー農業組合 Balancar Agricultural Consortium

※6: squill

※7: フェレンギナー Ferenginar
惑星で、フェレンギ社会の母星。DS9第69話 "Family Business" 「クワークの母」など

※8: Rom
(マックス・グローデンチック Max Grodenchik) DS9第131話 "You Are Cordially Invited" 「花嫁の試練」以来の登場。声:田原アルノ

・本編
ロムは尋ねる。「それで、どうやって助けるの?」
先にアクセストンネルに入ろうとしたロムを止め、自分が入るクワーク。「どうやって、俺たちがマミーを救出するってか?」
「兄貴、僕は誰にも頼まれてないよう。」
「俺が指名した、お前をな。イシュカは、お前のおふくろでもある。」
「大好きだけど、僕は力になれない。僕には家族がいる。妻のためにも、まだ死ぬわけにはいかないよう。」
「俺だって死にたかない。だがグランド・ネーガスが提示した報酬額を聞いたら気が変わるさ。」
「報酬?」
「ラチナムの延べ棒、50本だぞ。」
「50本!」 驚いて頭を打つロム。「ああ…。」
「2人で山分けするんだ。」
「五分五分でかい?」
「もちろんさ! 俺が 30本で、お前が 20本。」
「そりゃあ五分五分じゃない。」
「仕事の話をもってきたのは俺だ。」
「ああ、そうだねえ…。」 頭をさするロム。

まだトンネルを進んでいる。
ロム:「でもよくわからない。ドミニオンは、どうやってマミーを捕まえたの?」
クワーク:「輸送船に乗ってる時に捕まった。」
「ネーガスはフェレンギ女性の旅を禁じてるよ。」
「おふくろは例外だ。ある手術のために、ヴァルカンに行くことを特別に許されたんだよ。」
「何の手術だい?」
「…耳を上げる手術だ。」
「何でまたそんなことを。」
「耳が自慢だからさ。」
「ネーガスってすごく寛大だねえ。」
「全くだな。」
「でも何でマミーに親切なの?」
「お前にまだ話していないことがある。」
「兄貴がラチナム 10本多くもらうのは取り過ぎだってこと? 僕もそう思ってたよ。」
「おふくろとネーガスの関係だよ。」
「どうかした?」
「恋人同士だ。」
「…そんなあ!」
「関係は一年以上続いてる。」
「そんなあ…!」
「おふくろは影の金融アドバイザーで、フェレンギの同盟を左右してるんだ。」
「そんなあ……!」
「うるさいぞ、ロム! ああ…。」
出口のパネルを開けるクワーク。ロムも顔を出す。
だが、そこは司令官室だった。
シスコ:「何か手伝うことがあるかね?」
ロム:「…お供です。」
クワーク:「…道を間違えました。」
シスコ:「そのようだな。」
またパネルを閉めるクワーク。

廊下の途中にあるパネルが飛ばされ、クワークが出てきた。「ここならいいか? ああ…。」
パネルを閉じるロム。「ねえ、兄貴。いろいろ考えたけど、…僕たちでマミーをドミニオンから助け出すなんて絶対無理。僕らだけじゃとても…」
「わかってる。人手が必要だ。」
「人を集めてチームを結成しよう。屈強な傭兵たちを大勢集めるんだよ。ノーシカンやブリーン、クリンゴン…」
「シッ! 今回、そんな連中は必要ない。」
「じゃあ誰?」
「フェレンギだけで行くんだよ。」
大声を上げるロム。「やられちゃうよ!」
「何言ってる! フェレンギだってクリンゴンに負けないさ。」
「ほんと?」
「もちろんさ! 今までその機会がなかったんだ。ラチナムの 2、3本でも見せて訓練すりゃいい。」
「僕の取り分が減っちゃうよ!」
「いや。今後メンバーが増えても、報酬は分け合うことになるが、20本をな。」
「ネーガスの提示は 50本だろ?」
「だが黙ってりゃわからん。20本だ。」
「20本ね、そういうことか。」
「さーてと、問題はだな。最初に誰を誘うかだ。」

ノーグ※9は手を挙げた。「僕は結構。」
ロム:「でもノーグ、マミーはお前を待ってる。」
クワーク:「ネーガスも期待してる。」
「お前が必要だ。頼むよ、メンバーになってくれ。頼むよう。」
ノーグ:「僕は宇宙艦隊の士官だ。そんないい加減な救出任務に行けるわけがないだろう。僕には職務があるんだ。」
「でもお前はフェイザーの使い方を知って…」
クワーク:「もういい、ロム。仕方ない。でも残念だ。お前を戦略士官にしようと考えてたのに。」
ノーグ:「それってウォーフ少佐みたいな?」
「まさにウォーフ少佐だ。想像してみろ。お前自身が作戦を考え、計画を練るんだ。」
ロム:「訓練リーダーだぞ、僕らの能力を試し、鍛えるんだ。」
「戦士に仕立てる。」
ノーグ:「大変な仕事だ。」
「お前が必要なんだ。」
「…チームの規模は。」
「今の時点でか?」 クワークは 2本の指を立てた。
ノーグは首を振って 3本の指を立て、笑った。

クワークはコンピューターを操作している。「いいか、ロム。レック※10は一般のフェレンギとは違う。俺らの常識は通じない。」
ロム:「わかったよ、兄貴。」
「ま、いずれわかる。」
画面にナイフを研いでいるフェレンギ人が映し出された。『安全なチャンネルなんだろうな。』
クワーク:「あなたの指示通りやりました。」
『そりゃあよかった。それで消して欲しい標的は。』
「そういう仕事じゃない。」
『じゃあ片付け屋※11に何の用だ。』
ロム:「片付け屋!」
クワーク:「シーッ! 救出チームを編成しているんだが、あなたにも加わって欲しい。」
レック:『俺は一匹狼だ。』
「報酬はラチナムだ。」
『そんな物に興味はない。』
ロム:「ほんとだ、僕らとは価値観が違う。」
クワーク:「…わかった。そりゃ忘れてくれ。だが今回の任務はあなたにピッタリだ。」
レック:『…挑戦するのは好きだ。』
「では教えましょう。その人物は、ドミニオンに捕らわれているんです。」
『ドミニオンだと?!』
「挑戦しがいのある仕事でしょう?」
『うーん。』
通信が終わった。ロムは指を立てる。これで 4人。

連邦の宇宙基地。
クワーク:「ゲイラ※12も落ちぶれたもんだ。」
ロムも腕を組む。独房の中に、横になったフェレンギがいた。
ゲイラ:「従兄弟のクワーク。」
クワーク:「お前、タロス6※13 で逮捕されたんだってな。放浪罪で。」
「何もかもお前のせいだ。」 起きあがるゲイラ。「そうさ、俺はお前と商売をするまでは…武器商人で儲かっていたんだ。お前が台無しにした。クワーク、いつかここから出られたら…この落とし前はきちんとつけてもらうからな。」
近づくクワーク。「フォースフィールド解除。」 ゲイラの服をつかんだ。「落とし前の代わりに、やってもらうことがある。」
「どういうことなんだよう。」
ロム:「兄貴が罰金を支払った。あんたは自由の身だ。」
「お前、俺に何をさせようってんだい。」
クワーク:「儲けさせてやる。」
微笑むゲイラ。「話を聞かせてくれ。」
拘留室を出て行く 3人。ロムとクワークは手を広げた。これで 5人。

DS9。
説明するノーグ。「カウンターには、ドミニオンの捕虜収容センターの概略図が出たパッドが用意されている。各自よく見て頭に入れるように。」
4人はゆっくりとパッドを手にした。
逆さまになっていたゲイラのパッドを直すノーグ。
レック:「だがこれが正確なものだとどうして言えるんだ。」
ノーグ:「サー。」
「かしこまって『サー』なんて付けなくていいよ。レックと呼んでくれ。」
「いや、あんたが俺をサー付けで呼ぶのさ。」
「馬鹿馬鹿しい。」
「『馬鹿馬鹿しいです、サー』だろ?」
レックを抑えるクワーク。「レック、待てよ! つまらない言い合いはよせ。我々はチームなんだ。」
ロム:「チームです、サー。」
「お前は引っ込んでろ。話を聞いてくれ。」
ノーグ:「僕はもう降りる。」
「今更そりゃないだろ。この計画はお遊びじゃないんだぞ。」
ゲイラ:「それより、その捕虜収容所まではどうやって行くんだ。計画はあるんだろうな。」
ロム:「船さ。」
「どこに船があるんだよ。」
クワーク:「手に入れる。」
レック:「船もないのか。」
「手に入れると言っただろ。」
ノーグ:「どうやって。」
「見つけ出す。」
レック:「どこで。」
「わからんよ! これは挑戦の一つだ…」
突然、クワークの店に手を叩く音が響いた。フェレンギ人がやってくる。
ロム:「整理屋のブラント※14!」
ブラント:「元整理屋のブラントだ。お前の兄貴のせいで、俺はフェレンギ会計監査局から締め出された。」 笑い、集まったフェレンギたちについて話していく。「ガキに、間抜け、前科もん、それに…サイコ野郎か? よくもこれだけ面白いメンバーを揃えたな。」
クワーク:「何の用だ、ブラント。」
「俺も参加するんだよう。お前のおふくろを救出するつもりさ。」
「何だと。」
ロム:「何でマミーのこと知ってるんだ。」
ブラント:「俺は何でも知ってる。」
クワーク:「ああ…俺のおふくろを助けることができれば、前の職に戻れるってか?」
「出発はいつだ?」
「どこにも行かない。お前とはな。」
ロム:「それだけは全員の一致した意見だ。」
レック:「整理屋を好く奴などいない。」
ノーグ:「元整理屋でも、同じだね。」
クワーク:「残念だが、そういうわけだ。」
ゲイラ:「それに、報酬の延べ棒 20本のこともあるからな。」
ノーグ:「6人より 5人の方がいいに決まってる。」
ブラント:「わかった。それじゃおとなしく船に戻って、帰るとするか。」
ドアへ向かおうとするブラント。その横の柱に、飛んできたナイフが突き刺さった。「あらら。」
レックが投げた物だった。「今船って言ったか?」
「ああ…そうだよ。…何か?」
ロムは微笑んだ。「メンバーは 6人だ。」
うなずくクワーク。


※9: Nog
(エイロン・アイゼンバーグ Aron Eisenberg) DS9第131話 "You Are Cordially Invited" 「花嫁の試練」以来の登場。声:落合弘治

※10: Leck
(ハミルトン・キャンプ Hamilton Camp VOY第97話 "Extreme Risk" 「心は闘いに傷ついて」のヴレルク指揮官 (Controller Vrelk) 役) フェレンギ人。DS9第118話 "Ferengi Love Songs" 「愛の値段」以来の登場。声は樫井笙人さんから秋本羊介さんに変更

※11: eliminator

※12: Gaila
(Josh Pais) フェレンギ人事業家で、クワークの従兄弟。DS9第116話 "Business as Usual" 「武器を売る者」以来の登場。声:益富信孝 (継続)

※13: Thalos VI
TNG第36話 "The Dauphin" 「運命の少女サリア」でタロス7号星 (Thalos VII) が言及

※14: Brunt
(ジェフリー・コムズ Jeffrey Combs ウェイユン役と同じ人が演じています) フェレンギ会計監査局の元役人。DS9第118話 "Ferengi Love Songs" 「愛の値段」以来の登場。声は以前の田原アルノさん (現在のロム役) から変更され、小島敏彦さん (現在のドクター・マッコイ役)

洞窟で、ジェムハダーに連れられたイシュカ※15がやってきた。
フェレンギ人たちが岩陰から現れる。
クワーク:「動くな! 銃を捨てろ。」
ジェムハダーは撃ってきた。
足を撃たれるクワーク。逃げ出すゲイラ。適当に撃ち、壁にぶつかるロム。
銃を放り投げるブラント。「撃たないでくれ! 降参だ!」
だがジェムハダーは聞き入れず、ブラントを撃った。吹き飛ばされる。
独り残ったレックは、銃を発射した。人質に向けて。倒れるイシュカ。「ああ…。」
ノーグ:「何やってる! コンピューター、プログラム終了。ジェムハダー消去。」
ホログラムのジェムハダーが消えた。
ロム:「前よりましだったよねえ?」
ノーグ:「いや、だめだ。これでもう 8回目の訓練なのに、ジェムハダーを一人も倒してない。レック、人質を撃ったぞ!」
レック:「救出は無理だと判断したから、楽に死なせてやったのさ。」
ゲイラ:「誰だ、こんな奴呼んだのは。」
ため息をつくクワーク。
ブラント:「もう少し簡単な訓練からにしたらどうだ?」
ノーグ:「例えば。」
「ボリアン 2人を待ち伏せするとか。」
「人質が目隠しされて木に縛りつけられているのに、待ち伏せか?」
独り離れて座っていたクワークは言った。「おい、もういい! みんな出てけ! 聞こえないのか? 出てけ。」
ホロスイートを出て行くフェレンギたち。ロムはクワークに尋ねる。「でも兄貴、訓練を続けなくていいの?」

店にいるクワーク。「時間の無駄だよ、ロム。おふくろのそばに近づくのは無理だ。自力で逃げてもらう。」
ロム:「せっかくフェレンギも戦えるって思ったのに。」
「考えてみりゃ、ほんの数日前までは…俺は世界の頂点に立っていた。」 シロップの瓶を手にする。「スクイルの王様さ。お前にも見せたかったよ。どっちに転んでもおかしくない、際どい交渉だった。だが俺は時間をかけて、勝機を捉え、そして…とどめを刺した。そりゃ見事な光景だった。」
「…兄貴、僕たちやり方を間違ってたんじゃない? 僕らは戦士じゃない、交渉人なんだよ。取引をするのさ。得意なのはそれだろ? ドミニオンは僕らの欲しいものをもっている。だから、僕らも彼らの欲しいものを探せばいいんだよ。」
「そして交換すればいいんだ。それでみんな丸く収まる。」
「ハッピーで生きたまま。…それで、マミーと何を交換すればいいのかなあ。」
考えるクワーク。

クワークはシスコと話している。「大佐、この度のご協力には感謝しています。」
「私ではなく、キラ少佐に感謝したまえ。宇宙艦隊に話すよう、私を説得したのは彼女だ。」
キラ:「お返しのつもりよ、クワーク。ドミニオンから私を救ってくれた。」
「キラ少佐を助け出したのもかなり危険だったが、これからやろうとしてることは更なる危険が伴う。」
クワーク:「交渉事には危険がつきものです、大佐。」
「そうかもしれない。」
「…そろそろ捕虜を迎えに行く時間ですね。」
キラ:「捕虜に背を向けないよう気をつけてね、クワーク。油断ならない男よ。」
「俺だって。」 司令官室を出て行く。

発着パッドに収容されている、ブラントのフェレンギ船。
ゲイラが中央に座る。「失礼。ああ…!」
ロム:「ごめん。」
「こりゃ船じゃねえ。クローゼットだ。」
ブラント:「気に入らないなら、降りろよ。」
「俺は降りる。その方が船内が広くていいだろう? それにこれはもう救出任務とはいえない。ただの捕虜交換じゃないか。チームなんてもう必要ないだろう。」
レック:「クワークはドミニオンを信用してないのさ。俺もだがね。」
ブラント:「でもなぜドミニオンは、取引場所に見捨てられたカーデシアのステーションを選んだのかねえ。」
ノーグ:「選んだのは伯父さんの方だよ。行ったことあるんだ。ディープ・スペース・ナインと同じ設計だから、内部もわかりやすい。」
レック:「ああ、じゃあ何の心配もない。逃走経路や隠れる場所には困らないな。」 笑う。
ヴォルタ人と共に、クワークが入った。「諸君、捕虜のキーヴァン※16だ。こいつとおふくろを交換する。」
手を振るロム。「やあ。僕はロム。彼はノーグ。それにブラント…」
「ロム。紹介はいい。」
キーヴァン:「皆さん現実を把握していないようだ。…全員家族に遺言を残しておくことをお勧めする。ただし…有効か確認すること。」
ロム:「何で?」
「ここを離れた瞬間、君らの死は約束されてる。…では失礼して、昼寝をさせて頂こうか?」 キーヴァンは奥へ行った。
無言になるクワークたち。


※15: Ishka
(Cecily Adams) フェレンギ人事業家で、クワークの母親。DS9第118話 "Ferengi Love Songs" 「愛の値段」以来の登場。声:京田尚子、ST4 アマンダ (継続)

※16: Keevan
(クリストファー・シー Christopher Shea) ヴォルタ人。DS9第126話 "Rocks and Shoals" 「洞窟の密約」以来の登場。声優は同じ方

フェレンギ船。DS9 と同じ形状をもつ、エムポック・ノール※17へ近づく。
ノーグを先頭に、暗いステーション内をライトをつけて中を進む。ブラント、ロム、ゲイラと続く。
トリコーダーを使ったノーグ。「異常なし!」
クワーク:「本当か?」
「トリコーダーは、何の生命体も感知していない。」
合図するクワーク。キーヴァンとレックも出てくる。
ノーグ:「よーし、急いで基地に向かおう。」
ブラント:「基地だと?」
クワーク:「医療室のことさ。あっちにあるはずだ。」
ノーグ:「行くぞ、さあ急ごう。駆け足だ!」 誰も付いてこようとしない。「おい、何を待ってるんだ?」
「一番に医療室に着いた者に、ラチナム 2本。」
「ああ!」 走り出すフェレンギ人たち。レックも早足だ。
クワークはノーグに言う。「たかが基地なのにな。」
「全く先が思いやられるね。」
「何せフェレンギだからな。」
ため息をつくノーグ。

医療室に入る。
レック:「驚いたぜ、何て狭いんだ。」
明かりがついた。
ノーグ:「ここを選んだのはわけがある。1つ目の理由は、出入り口が 2ヶ所だけの囲まれた場所だということ。そこと、あっちにある。2つ目は、エアロックに近いからすぐシャトルに戻ることができる。3つ目、ここはプロムナード上にあるから、捕虜の交換も楽だ。」 ロムが機具のスイッチを入れた。「ああ、触っちゃだめだよ。」
ロム:「まだ使える医療機器もあるみたいだよ。」
ゲイラ:「腹の調子を整える機器はないか。」
レック:「必要なのは新しい背骨だろう。」 笑う。
「おい、俺は武器商人で兵士じゃないんだぞ。」
クワークは邪魔な貨物をどけるため、ゲイラを呼んだ。「ゲイラ!」
ノーグ:「隊長、周囲に防御を張り巡らしては。」
「そうだな、費用はどれくらいかかる。」
「心配ありません、ただです。」
「士官になってお前も堕落したもんだな。…まずはだな、外部センサーをオンラインに戻せ。ドミニオン船がステーションの 1千キロ以内に侵入したら、すぐにわかるようにな。」
ロム:「僕は転送妨害シグナルをセットアップするよ。そしたら、ドミニオンは捕虜を転送することができなくなる。」
キーヴァン:「そんな事態は避けたいものだね、お互いに。」
レック:「お前さん、仲間の元に戻れるというのに、あまり嬉しそうじゃないんだな。」
「喜べるような要素など一つもないからね。ヴォルタ人※18は捕まったら自殺するよう指導されてるんだ。その辛く厳しい規則に従うことが、私には…できなかった。」
笑うレック。
ロム:「戻ったら処刑されるの?」
キーヴァン:「すぐではないが、必ず殺される。辛い…報告を終えた後にね。」
クワーク:「気の毒だとは思うが、俺には関係ない。俺はおふくろを取り戻したいだけだ。」
「ドミニオンとの取引が済んだら、私の死を望んでる。そうでしょう? すぐに。」
「こいつを隣の部屋で見張ってろ。」
ノーグ:「24時間体制で見張ります、4時間交代で。」
キーヴァンを連れていくレック。「さっさと歩け。何か役に立つ情報を教えろよ。なあ、ジェムハダーの最大の弱点はどこなんだ? ん?」
ノーグ:「よし、指令はわかったな。早速取りかかれ。」
ロム:「あの子はもう立派な戦士だ。」
クワーク:「ああ…さあ、どうかな。」

エムポック・ノールの医療室。
布を頭から被って寝ているクワークたち。
叫び声が響いた。「ああー!」
飛び起きる 5人。
クワーク:「何だ、今のは。」
ノーグ:「悲鳴だぞ。」
ナイフを持ったまま寝ていたレック。「ゲイラだ!」
すぐに隣の部屋に駆け込む。
叫んでいたゲイラ。
クワーク:「キーヴァンは? どこだ。」
ゲイラ:「わからない。」
ノーグ:「わからないってどういうこと。」
ブラント:「見張ってんだろ!
ゲイラ:「寝てる間に逃げられちまったんだい。」
ロム:「寝てる間! 誰が寝ていいって言った!」
「疲れてたから仕方がないさ、船じゃ全然眠れなかったんだ!」
クワーク:「船だ!」 走り出す。
ノーグ:「キーヴァンに逃げられたらおしまいだぞ。」
ブラント:「馬鹿め!」

ステーションを駆け抜けるクワーク。
他の者もノーグを先頭に続く。
走りながら銃を取り出すクワーク。
ノーグは間違った道へ行ってしまったが、後ろの者は正しい方を進む。廊下に置いてあった貨物を倒していく。
遅れてノーグも続いた。

キーヴァンは船の操縦席にいた。
クワーク:「どこに行くんだね?」 疲れている。
キーヴァン:「…どこにも行けそうにない。エンジンをかけることができなかった。」
「ロムに誘導マトリックスを外すよう言っておいたからな。」
「じゃあ何で私を追ってきた?」
「弟はたまに忘れてドジるんだよ。」 息を切らす。

エアロックからキーヴァンと共に出るクワーク。ノーグを先頭に、他のフェレンギ人たちもやってきた。
クワーク:「よーし、みんな安心しろ。実害はない。捕虜は無事だった。」
突然、警報が鳴り響いた。
ゲイラ:「何の音だ?」
ノーグ:「セットしたアラームだ。ドミニオン船が接近してるんだ。」
クワーク:「全員医療室に戻れー!」
走り出す。「急げー!」

元来た道を慌てて引き返すクワークたち。
さっき倒した貨物につまづく。全員医療室へ入った。ノーグがドアを閉める。

一つになって固まるクワークたち。最後に来たノーグは一瞬みんながどこに行ったかわからなかったが、反対側に一緒に座った。「…これからどうする?」
ブラント:「誰かがアラームを止めたな。」
ゲイラ:「自然に止まったのかもしれないぜ。」
ロム:「何か聞こえるよ。」
「外に誰かいるんだ。」
ブラント:「誰かが外に出て、確かめるべきだ。クワークを推薦する。」
クワーク:「俺が?」
ノーグ:「…僕が行こう。」

ノーグはドアのスイッチを押そうとしたが、それはやめ、銃を置いてドアを手で少しだけ開けて外を見た。驚く。
2階にズラリと並んだジェムハダーたち。
声が響く。「銃を構えて、狙いを定めろ。」 一斉にノーグに武器が向けられる。
ノーグはドアを閉め、銃を構えた。
クワークも来ていた。「誰かいたか?」
「そうみたいです。」


※17: Empok Nor トレヴァス星系に位置する、カーデシアの宇宙ステーション。DS9第122話 "Empok Nor" 「眠れるステーション エムポック・ノール」より

※18: 「ヴォルタ」と吹き替え

医療室の奥で静かにしているフェレンギ人たち。
ロム:「外で何をしてるのかなあ。」
クワーク:「シーッ。」
ゲイラ:「何にも聞こえないぞ。」
「静かに!」
ノーグ:「なぜ隠れてるの。」
ゲイラ:「外にはジェムハダーたちがいるんだよう。」
「そりゃいるのは当然だよ。こっちが呼んだんだ。」
ブラント:「そうだよ、全ては計画通りに進んでるんだ。クワーク、お前がやるべきことは捕虜交換の交渉だ。しっかりやってくれ、強気でな。」
ゲイラ:「でも、連中を怒らすなよ。」
ロム:「がんばって兄貴、マミーによろしくね。」
クワーク:「罠だったらどうする。」
キーヴァン:「もちろん罠に決まってる。彼らは交渉に来たのではない、我々を殺すために来たんだ。」
「ほんとか…」
ブラント:「こいつを信じるな! 自分だけ助かろうと思ってるんだ。」
キーヴァン:「みんなで助かりたいと思ってる。」
外から声が響いた。「フェレンギ! 出てこい。我々は交渉に来たのだ。」
キーヴァン:「出たら危ない。船に戻ったほうがいい。助かるには逃げるしかないんだ。」
ノーグ:「僕たちは逃げないぞ。マミーを取り返すまではね。だろ、伯父さん。」
クワーク:「…そうだ。」
また外の声。「フェレンギ、我々は待たされるのは嫌いだ。」
クワークは立ちあがる。「今行くよ。今から行く。2人ともついてこい。」
ノーグはすぐに立ちあがる。
ロム:「こうなると思ってた。」
クワーク:「ロム。」
3人は出て行く。

クワークたちは医療室を出た。前にヴォルタ人、ジェムハダー、そしてイシュカがいる。
顔を見合わせる 3人。ゆっくりと近づく。
ロム:「マミー!」
イシュカ:「お前たち、来てくれたんだねえ。」
「マミー、とっても綺麗だ。」
「耳たぶがこんなに引き締まったのは百年ぶりだもの。」
クワーク:「そのせいでこんな所まで来る羽目になるとはな。」
「ママを責めないでおくれよ、クワーク。」
手を挙げ、イシュカに近づくクワーク。手を握る。
ヴォルタ人のイェルグルン※19。「感動的で心温まる再会だな。この場にいられて嬉しいよ。それでキーヴァンはどこだ。さっさと決着をつけてしまおうじゃないか。」
クワーク:「すぐ片付くさ。だがその前に、保証してもらいたい。」
「どんな保証かな。」
「まず最初に、このステーションからジェムハダーを一人残らず追い払うこと。」
「彼らがいなくなると、こっちの身が危うくなる。ヴォルタ一人にフェレンギ 6人だからな。」
「そういうことなら、2人だけは許そう。」
「ま、それならいいだろう。キーヴァンはどこだ。」
「待て、まだ終わっちゃいない。いいか、今すぐ船の操舵手にドミニオンの領域に戻れと伝えるんだ。ワープ9 でな。」
「私はここに足止めされてしまう。」
「2、3日のことだ。」
「こっちの船が戻ってくる頃には、お前たちは遥か彼方ってわけか。」
「そういうことだ。」
「別の展開もありえるぞ。ジェムハダーたちに医療室を襲撃させ、皆殺しにする。」
ロム:「その計画は遠慮します。」
クワーク:「医療室を攻撃したら、最初に死ぬのはキーヴァンだぞ。」
イェルグルン:「キーヴァンの運命は既に決まっている。」
「かもな。だがそんなことをすれば、奴が宇宙艦隊にバラしたドミニオンの秘密がわからなくなるぞ。」
イシュカ:「あなたの負けよ、イェルグルン。」
イェルグルン:「……フェレンギは抜け目ないという評判だが、それも当然という気がするね。そのうちフェレンギは、ドミニオンの貴重な仲間としての地位を得ることになるかもしれんな。」
クワーク:「何でもありの世界だ。」
「直ちにジェムハダーを撤退させることにしよう。」
「捕虜の交換は 30分後ってことでどうだ?」
「待ってるぞ。」
ノーグは言った。「もう一つだけ。彼女が偽者のマミーじゃないとどうして言える。」
イシュカ:「宇宙艦隊の制服がきつ過ぎるんじゃない、ノーグ? 頭に血が巡ってないようだねえ。」
ロム:「絶対マミーだ!」
ノーグは銃をクワークに渡した。「偽者を見分ける方法がある。」 イシュカに近づいていく。
身構えるジェムハダー。
イェルグルン:「待て! なかなか面白そうだ。」
ノーグはナイフを取り出し、イシュカの手を傷つけた。
イシュカ:「ああー!」
ナイフについた血を確認するクワーク。「ああ、フェレンギの血だ。」
ロム:「やっぱりマミーだ。」
イシュカ:「お前も本物かどうか確かめてやるよ!」 ノーグの耳をつかみ、頭をポコポコ叩く。
ノーグ:「ああ、痛いよ!」
ロム:「ノーグが偽者だったら大変だもんな。」
イシュカ:「そうよねえ、ナイフを貸しなさい!」
ノーグを戻らせるクワーク。「マミー、もうわかったよ。家族だ。わかるだろう。」
イェルグルン:「どうかな、私はクローンだ。」
ロム:「親はいないの? だからクールなのか。」
イシュカ:「両親もいない、恋人もいない、株券もないんですってよ。」
イェルグルン:「ついでに忍耐力もない。ここで 30分後に会おう。遅れるなよ。」
連れて行かれるイシュカ。「頼んだわよ、クワーク、ロム。頼りにしてるわよ。いいわねえ! みんな愛してるわ!」

笑っているクワークたち。
ロム:「みんなにもぜひ見せたかったなあ、兄貴はすっごくカッコ良かったよう。」
ノーグ:「30分後に捕虜を取り返したら、みんなでうちに戻れるんだ。」
「ああ…。」 ため息をつくゲイラたち。
ゲイラ:「うちか。豪雨にぬれたフェレンギ星が懐かしいな。」
ブラント:「一番懐かしいのは、腐った植物だな。」
ロム:「それにあのジメジメ…。」
レック:「ああ、もう一度あのドロドロの川に飛び込んで、走り回ってみたいな。」
キーヴァン:「ああ、私も一度は見てみたいよ。」
笑うレック。
ロム:「信じられない、僕たち報酬をもらえるんだよね。」
クワーク:「イェーイ!」
「本物のラチナムの延べ棒、50本だ!」
ブラント:「50本だと? 20本じゃなかったのか?」
クワーク:「ロムの勘違いさ。」
レック:「50 と言った。」
ロム:「あんたは金に興味ないんだろ?」
「ないよ! ごまかされるのが許せんだけだ。」
クワークを指差すブラント。「アー、アーアーアー。」
ノーグ:「みんな落ち着いて。」
ゲイラ:「何だと、自分の従兄弟にだまされようとしてるのに!」
クワーク:「そんなことしてやしないさ!」
ブラント:「じゃあ残りの 30本はどうなる。」
ノーグ:「30本なんてないよ。」
「嘘だ。」
「あるの?」
ロム:「いやー、あの…いやよく知らない。」
「ほら。」
ゲイラ:「ロムは嘘つきだ、2人はグルだ。」
ブラント:「だますなんて許さないぞ、クワーク!」
「俺は命を懸けてここまで来たんだ、何のためだ! そんな俺をだましてたなんて、もう許さないぞ!」 銃を構えるゲイラ。
ブラント:「うわー!」 逃げる。
ノーグ:「よせー!」
みんな逃げる。銃を撃つゲイラ。だが、突っ立っていたキーヴァンに命中してしまった。
呆然とするゲイラ。
撃たれたところを見るキーヴァン。「だからフェレンギは嫌いだ…。」 倒れた。
6人のフェレンギは驚いて、死んだキーヴァンを見つめた。そしてゲイラに視線が集中する。
レック:「何て、こったい。」


※19: Yelgrun
(イギー・ポップ Iggy Pop 有名なロックミュージシャン) 声:千田光男

エムポック・ノールの医療室。
ノーグはキーヴァンの遺体に医療器具をつけ、トリコーダーで調べている。
ロム:「どうしたらいい? もう捕虜の交換なんてできないよ。捕虜が死んだんだ。」
ブラント:「キーヴァンが死んだことがバレたら、みんな殺される!」
クワーク:「少し黙ってくれ。」
ゲイラ:「そうだ。ドミニオンに降伏したら、命だけは助かるかも。」
ブラント:「もっといい考えがある! 俺の船に戻って、さっさとずらかろうぜ。」
ロム:「ステーション内は広いから、隠れるのはいいかも。うまく隠れれば、見つからないよ。」
クワーク:「俺たちは隠れもしないし逃げもしないし降伏もしない。みんな忘れちまったのか? プレクスナックの戦い※20を。」
「フェレンギの歴史で最も重要な戦いを忘れるもんか!」
「10人のフェレンギが、273人のライタジアン※21に立ち向かったんだぞ。」
ゲイラ:「確か彼らは…全員皆殺しにされたんだよな。」
「俺が言いたいのは…俺たちは銀河で最も強い種族ってことさ。今回はそれを証明するいい機会だ。」 銃を取るクワーク。
レック:「ああ。」
「今がその時だ。」 ロムに投げ渡す。
レック:「クワークの言う通りだ。イシュカのために戦おう。立ち上がろう、グランド・ネーガスのために、フェレンギのために戦い抜こうじゃないか。」
ブラント:「いっちょやるか、50本のラチナムをみんなで山分けするために、戦ってやろう。」
クワーク:「儲け話ときちゃ、見過ごせないもんなあ。」
ゲイラ:「俺たちゃフェレンギだ。」
肩を組むクワーク。「だからお前らが好きなんだよ! ラチナムは 50本だ。」
ブラント:「ああ!」
「だが紹介料は頂くぞ。」
ノーグはトリコーダーを閉じた。「ああ、間違いない。僕の計算によると、この男は死んでる。」
クワーク:「ありがとうよ、ドクター・ノーグ。」
「確かめたかったんだよ。もしかしたら、生き返らせることができるかも。やっぱり無理か。」
ノーグが小さな器具をキーヴァンの額につけた。すると突然、キーヴァンの腕が動いてノーグの頭を叩いた。
ノーグ:「イテッ!」
ゲイラ:「生きてる!」 みんなキーヴァンに近づく。
「いや、死んでるよ。神経が刺激された※22だけさ。小脳の反射性衝動を引き起こしたんだ。」
ロム:「医学まで学んだとはすごいなあ。」
「違うよ…でも考えてみれば、医学と工学ってよく似ているんだ。身体と物の違いはあるけど、壊れた部分を修理するのは同じ。」
クワーク:「俺が何を考えてるかわかるか?」
「神経をもっと刺激する方法を探す!」 笑うノーグ。
イェルグルンの声が響いた。「時間だぞ、フェレンギ。捕虜を連れてこい。」
ノーグ:「時間稼ぎを。」
クワークは出ていく。「やってみよう。」

クワークは医療室から出て、ドアを閉めた。
イェルグルン:「そちらの要求通りにしたぞ。ジェムハダーたちはドミニオンの領域に送り返した。ここにいるのは私たちだけだ。」
クワーク:「素晴らしい。」
「ではキーヴァンを連れてこい。さっさと済ませようじゃないか。」
「キーヴァンか、ああもちろんだとも。」
「…今すぐだ。」
「すぐ来るよ。でもその前に…本当にジェムハダーが消えたのかどうか、弟に調べさせているから、待ってくれ。」
「そんな必要はない! ジェムハダーはもういない。さ、キーヴァンを連れてこい。」
「すぐに連れてくるさあ。」
「今すぐ連れてこいと言ってるんだ! それとも気が変わって、母親のことはどうでもよくなったか? 殺せ。」
ジェムハダーが銃を構える。
クワーク:「待て!」
イシュカ:「言うことを聞いてちょうだい、クワーク。」
「わかった。」
イェルグルン:「そうか。」
「弟のチェックが完了したら、すぐに連れてくるよ。」
「…ブリーン人も君らにはてこずっただろうな。……わかった、5分だぞ。それが限界だ。それ以上は一秒の遅れも許さないからな。」
イシュカ:「私も限界よ。」
クワーク:「ああ、俺だって限界だよ。」 笑いながら後ずさりする。「よし、やっと意見が一致したな。」 ドアを開ける。「ああ、それから…あと…一つ。」
イェルグルン:「君らには負けたよ。」
「捕虜の交換場所だが、エアロック3 の外でやりたいと考えているんだ。」
「プロムナードじゃまずいのか?」
「別に…ただ、俺たちの船がエアロック3 に入っているんでね。わかるだろ?」
「よくわかるとも。だがあまりにも疑い深いんで悲しいよ。」
「ああ、…昔からの習性でね。」
クワークは医療室に戻り、ドアを閉めた。

戻ってきたクワーク。「ノーグ、あと 5分だ。」
ノーグ:「よし、いくぞ。」
トリコーダーのボタンを押すノーグ。寝ていたキーヴァンが起き上がった。驚くフェレンギ人たち。
微笑むノーグ。自然に笑い声が起こる。ノーグと手を叩くクワーク。つつかれるキーヴァン。

エアロックの前で、イシュカと話しているイェルグルン。「ヒップキャット※23ってのはそんなに使い道があるのかね?」
イシュカ:「ヒップキャットの根は用途が広いのよ。様々な薬にも使われてるわ。工学機器とか、もちろん化粧品にもよ。ほら、触って。とっても滑らかでしょ。」 頭を触らせる。「ヒップキャットのクリームよ。2日に一度は塗ってるの。分散して投資しておけば、大金と美しい肌の両方が手に入るってわけよ。」
「面白い。もっと聞いていたいが、あんたのせがれが現れなければ、残念だが死んでもらうことになる。」
無言のイシュカ。
クワークの声。「イェルグルン! 準備はいいか。」 エアロックを挟んで、反対側の廊下にキーヴァンと共に立っている。
イェルグルン:「準備ならとっくにできている。」
「今から 3つ数えたら、互いに捕虜を放す、いいな。」
「わかった。」
「1。2。3。」
イシュカはイェルグルンに手を挙げ、歩き出す。
奥に隠れたノーグが、トリコーダーを操作し始めた。キーヴァンが首を傾けたまま進む。
明らかにぎこちない動きに気づくイェルグルン。「お前ら、捕虜に一体何をしたんだ。」
小声でノーグに指示するクワーク。「まっすぐだ、まっすぐ進め。」
ノーグ:「やってるよ。」
キーヴァンはイシュカとぶつかりそうになったが、イシュカがよけてすれ違う。
イシュカはクワークのところにたどり着いた。抱き合う二人。
キーヴァンを見つめるイェルグルン。ニヤつくクワーク。
キーヴァンは壁にぶつかった。だがそのまま動こうとする。前に進めない。
クワークはイシュカを連れ、エアロックのドアに飛び込んだ。
イェルグルン:「捕まえろ!」
その時、貨物室のドアが開き、隠れていたレックがナイフをジェムハダーに投げる。
反対側から現れたロムとブラントが、もう一人のジェムハダーを撃った。
小さくなり、無抵抗のイェルグルン。
まだ動けないキーヴァン。
笑うクワーク。「向きを変えてやれよ。」
ノーグ:「ああ、できない。トランシーバーが壊れた。」 笑っている。
イシュカ:「ああ、クワーク。グランド・ネーガスはあなたのこと、とっても誇りに思うわ。ママもよ。」
ロム:「マミー!」 抱き合う二人。
ブラントはイェルグルンを連れてきた。「ハハ、こいつはどうします?」
クワーク:「ついでだ、連れて行こう。宇宙艦隊へのいいみやげになる。お返しに丁度いいだろう。」
イェルグルン:「フェレンギめ!」
「いいさ、俺たちが嫌いなんだろう?」
イェルグルンに命じるゲイラ。「よーし、お前! さっさと歩け!」 クワークに向かってうなずき、エアロックへ入る。
レック:「全く、こんなにまとまりがなくてド素人の集まりとやったのは初めてだぜえ。だがまた今度こういう仕事があったら、仲間に入れてくれ。」
クワーク:「一番に声をかけるよ。」
レックは笑い、中へ入った。
クワークは言う。「俺がまたこんな無茶をやろうと言い出したら、止めてくれよ。」
ノーグは笑い、イシュカを連れて行く。
ロム:「なあ、兄貴。どんな気分なんだい? 交渉に勝つって。」
クワーク:「わかるだろ?」
「ああ…気分は最高?」
クワークは笑い、ロムの頭をなでた。「そりゃそうさ!」
ロムも笑い、エアロックに入った。
キーヴァンは、まだ壁につっかえていた。


※20: Battle of Prexnak

※21: Lytasians

※22: 神経刺激器 neural stimulator
医療器具。TNG第23話 "Skin of Evil" 「悲しみの星に消えたターシャ」など

※23: hypicate

・感想
「七人の侍」や「荒野の七人」をパロディとしたタイトルからもわかるように、フェレンギ人を前面に押し出したコメディの快作。細かい笑いがそこかしこに散りばめてあって、特に最後の放置されたキーヴァンなんかはフェレンギじゃないと (DS9じゃないと) できない描写でしょうね。
単なるお笑いではなく、以前の設定を多数引き継いでいるのも嬉しいです。フェレンギ人は全員以前にも登場したことがありますし、エムポック・ノールを舞台として再び使うのも予想外でした。幅の広いストーリーを観られるのが、スタートレックの魅力ですね。
惜しかったのが、せっかくだから新しい「金儲けの法則」の一つでも出してもらいたかったです。


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