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ディープスペースナイン エピソードガイド
第88話「ロムの反乱」
Bar Association

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・イントロダクション
※1ディファイアントがDS9に帰艦した。司令席のウォーフは各部責任者に明日の任務指令に気をつけるように伝え、解散させた。ガンマ宇宙域に5日もいて、一度もジェムハダーに出くわさないなんてついてたわねというダックス。カー・テルス星系※2での小惑星帯の演習のとき、左舷に旋回するとスピードが落ちることに気づいたというウォーフ。ダックスは慣性制動機のジェネレーターをチェックした方がいいという。その間にターゲットスキャナーも再設定し、EPSのチェックもするというウォーフ。整備したばかりなのに、きっとオブライエンががっかりするというダックス。オブライエンはすばらしい仕事をしてくれた、実にいい船でそれを最高の状態に保つのが私の仕事なんだというウォーフ。ダックスは、ディファイアントに恋してるでしょうといった。相変わらず大袈裟な人だといい歩いていくウォーフ。ダックスは微笑んだ。
リータ※3がテーブルの片づけをしていると、剣と盾を携えた古めかしい格好をした2人連れが入ってきた。ベシアとオブライエンだ。大きな声で笑うリータ。恥ずかしいよというベシアに、特に足元が素敵よというリータ。観衆は正直だというオブライエン。リータはごゆっくりといい、ベシアの頬にキスをした。歩きながら、なんていうホロスイートプログラムか尋ねるベシア。クロンターフの戦い※4だ、1000人の勇敢なアイルランド戦士と共に、狂暴なバイキング相手に剣だけで戦う、ブリテンの戦いみたいにというオブライエン。何で君が王様なんだと聞くベシア。オブライエンはブライアン・ボル※5の末裔だから、それにこれは僕のプログラムだといった。それなら仕方ないなとあきらめるベシア。
その下ではクワークがパッドで計算をしている。誰もいないダボテーブルを見て、ため息をつく。がらすきだというクワーク。カウンターではロム※6がうめき声を上げている。お前の気持ちは良くわかるというクワーク。モーンに向かって、何がベイジョーの浄化月間※7だ、1ヶ月もあらゆる楽しみを絶つなんて正気の沙汰じゃないという。連中は典型的な快楽主義者なんだ、ホロスイート中毒の大酒飲みがというクワーク。まだロムは耳を押さえうめいている。泣いても客は来ないというクワークに痛いんだよといい、薬を作っているロム。マミーの特効薬だという。耳の中か、またかよというクワーク。ロムは耳に作った薬をこぼしながら流し込む。クワークは汚いな、ただでさえ少ない客が帰っちまうという。目が回るというロムにいつものことだ、7番テーブルで待ってろという。リータはロムを見て、顔色が悪いという。余計な口をきくな、お前はダボを仕切ってればいいんだというクワーク。賭けてる客なんていないというリータ。お前がいなきゃ賭けたくても賭けられないというクワーク。ほんとに気分が悪いというロム。視界がぼやけてきた。ロムは病気なのよというリータに、お前がベシアとどれだけ親密かは知らないが、お前が医者になったわけじゃないんだぞというクワーク。ロムのめまいはいよいよひどくなってきた。リータたちの声が遠のいていく。プライベートな問題まで口を出す権利はないというリータ。いいから仕事に戻れ、一生プライベートな時間を過ごすことになるというクワーク。ロムにお盆を渡し、さっさと働けという。ロムはわかったよ兄貴といったが、そのまま倒れてしまった。瓶の破片も散らかる。慌てて近づくリータ。見てないで何とかしてよとクワークにいうリータ。もちろんするさ、こいつは今日から給料減額だとクワークはいう。ウェイターのブロイク※8に、ここを片づけとけといった。
※1: 監督は DS9第81話 "The Sword of Kahless" 「カーレスの剣」に続き、TNGラフォージ役の、レヴァー・バートンです

※2: Kar-telos system

※3: Leeta (チェイス・マスタースン Chase Masterson) ベシアと付き合っているダボガール。DS9第71話 "Facets" 「クルゾンの秘密」 以来の久々の登場

※4: クローンターフの戦い Battle of Clontarf

※5: King Brian Boru

※6: Rom DS9第82話 "Our Man Bashir" 「ドクター・ノア」以来の登場

※7: Bajoran Time of Cleansing

※8: Briok


・本編
ロムの耳を見ながら、これはまた厄介な感染症にかかったもんだというベシア。痛みは2、3週間前からだというロム。かなりの重傷だ、こんな鼓膜で2週間も放っておいたのかというベシア。ロムはほぼ3週間ですという。死にたいのか、後2日も遅れたら、天国で新しい命を競り落としているところだというベシアに、気を失って命拾いしたというロム。なぜもっと早く来なかったとベシアが言うと、仕事が忙しくてというロム。クワークは30分の休みもくれないのかとベシアが聞くが、そんなことをしたら契約違反ですという。第76項の3節には、「クワークの店で働く従業員は、雇用者クワークに命じられたとき以外に、勤務時間内に職場を離れることを固く禁じる。この規定に従わないものは皆、高額の罰金を科せられ解雇される場合もある」。フェレンギ連盟では常識だ。それを聞いて部下と顔を見合わせるベシア。フェレンギでは常識だというロム。つまり病気でも休めないわけかと聞くベシア。ロムは休暇なんて従業員の権利に含まれているわけありません、病気休暇、有給休暇も残業手当も当然なしという。もっと条件のいいところで働けよとベシアは言うが、フェレンギの契約書は共通なんですというロム。治療が終わり、明日の朝また来るように言うベシア。早起きして店が開く前に来なきゃというロム。出て行くロムに、組合を作った方がいいんじゃないかとベシアは言う。労働組合だ、搾取から身を守るためにという。そんなことはできない、フェレンギの労働者は搾取をやめさせたいのではなく、一日も早く搾取する側に回りたいだけだというロム。勝手にしろ、だが君に搾取なんかできるのかとベシアはいった。
医療室を出て、クワークの店に戻ってくるロム。リータが大丈夫と声をかける。平気とロムが言うと、さすがジュリアンね、でもクワークがもっと早く見せていればという。耳の定期スキャンを忘れていた俺が悪いんだ、さっきウー・マックス※9をやりすぎたからというロム。やるじゃない、ラッキーな相手はと聞くリータ。独りでやってたんだというロムに謝るリータ。お詫びにウー・マックスしないと耳を近づけるロムだが、それは多分ベシアが許してくれないからと断るリータ。頼んでみようかというロム。クワークがやってきて、従業員に集まるように言う。とても大切な話だ、今日の売り上げを計算してみたがベイジョー人の浄化月間のおかげで儲けはすっからかんだというクワーク。そして、明日から従業員の給料を3分の1ずつカットすることを告げた。驚きの声を上げる従業員たち。それが嫌なら従業員半分を首にするしかない、俺の話は以上だというクワーク。そんなことされたら生活できないとリータはいうが、それが嫌なら首にするまでだ、自分で決めろというクワーク。わかったら仕事に戻れ、掃除を済ませ10分後には電気を消すという。
ロムはクワークに近づき、給料を減らすなんてしていいわけないという。それができるんだ、現にもう始めてるし、余計なことを心配している暇があったらその耳を早く治すんだというクワーク。でも浄化月間が終われば給料も戻してくれるんでしょと聞くロム。クワークは次の四半期の合計を見なきゃわからないといった。弟として頼む、給料を減らすのを考え直してもらえないかなとロムは言う。クワークは考えてみようというが、すぐに決定は変えないといった。でも兄貴というロム。クワークは兄貴と呼ぶな、店の中ではお前は弟ではなく従業員だ、店の決定に口を出す権利はないというクワーク。もし本当に給料を減らしたら、後悔することになるぞというロム。クワークは後悔はもうしてる、弟なんていなければ良かったという。ロムは何も言うことができなかった。
ウォーフと一緒に部屋を出てくるダックス。2人とも稽古着の姿だ。メクラフ※10を使いこなせるようになったわ、そう思わないと聞くダックス。そのようだなというウォーフになぜそう言わないのというダックス。クリンゴン戦士は師の誉め言葉を望んだりしないという。私はクリンゴン戦士じゃない、若く美しい感性豊かな女性よというダックス。ふいにウォーフが静かにするようにいった。何か物音がする。ウォーフは天井を見上げ、バトラフで突く。するとふたが開き、いろいろなものと一緒にタラリア人※11が落ちてきた。そこを動くなとバトラフを突きつけるウォーフ。品物の中にはウォーフの歯磨き機※12もあった。怒りの表情を浮かべ、唸るウォーフ。
保安室のオドーに、タラリア人を突き出すウォーフ。この男は私の部屋に泥棒に入ったと、盗んだ荷物も持ってきてある。部下に監禁するように言うオドー。供述をとりますというオドーに勝手にとればいい、その前に泥棒が入り込むような態勢について弁解はないのかというウォーフ。オドーは完全に防ぐのは無理ですというが、エンタープライズではなかったというウォーフ。オドーは微笑み、どうですかな確かめてみましょうと言いパッドを手に取った。宇宙暦46235.7、フェレンギの武装船がデイモン・ルリンの手引きで、バードオブプレイ2隻を使いエンタープライズに乗り込み指揮権を奪う※13、宇宙暦45349.1、22世紀からきた発明家バーリンホフ・ラスミュッセンは歴史学者を装い、一もうけを企みエンタープライズの装置を多数盗む※14と話すオドー。まだ続けますかという。その必要はないと断るウォーフ。確かに頻繁に起きているわけじゃないが、連邦の機関内でも保安の目をかいくぐってこれだけの事件が起こるんですというオドー。船の出入りが激しいDS9で保安を維持する難しさを察していただきたいという。わかっている、ただああいう男を見ると不愉快なんだというウォーフ。私もですとうなづき、こればかりは慣れていただかないととオドーは言った。
ロムはクワークの店の従業員たちを集めた。主にフェレンギ人だが、リータなどのダボガールもいる。兄がどんなに嫌われるような態度をとろうとも今までかばってきた、でも今度はそんなことしませんと話すロム。またまたと疑うフェレンギ人のグリンプ※15。本当だ、クワークは浄化月間を利用して、給料で私腹を肥やそうとしているというロム。同じくフェレンギ人のフルール※16もそうだという。我々は断固として抵抗する、今この瞬間からとロムはいった。大賛成よ、どうすればいいのというリータ。立ち上がるんだ、我々ができることはただ一つ、今ここにといい言葉に詰まるロム。なんだよとフルールがいうと、我々は今ここに組合を作るとロムはいった。どよめく従業員たち。喜ぶリータ。

※9: oo-mox おなじみの、耳をマッサージする行為。TNG第72話 "Menage a Troi" 「愛なき関係」など

※10: mek'leth 前話 "Sons of Mogh" 「モーグの息子たち」より

※11: Talarians DS9第66話 "Improbable Cause" 「姿なき連合艦隊(前)」など

※12: tooth sharpner DS9第79話 "Little Green Men" 「フェレンギ人囚わる」で、ノーグから購入したもの

※13: TNG第133話 "Rascals" 「少年指揮官ジャン・リュック・ピカード」での事件。デイモン・ルリン (Daimon Lurin) はルリン船長と訳されています

※14: TNG第109話 "A Matter of Time" 「26世紀のタイム・トラベラー」のバーリンホフ・ラスミュッセン教授 (Professor Berlinghoff Rasmussen) が起こした出来事

※15: Grimp (Jason Marsden)

※16: Frool (Emilio Borelli)


正気か、ここにいるフェレンギ人全員の人生を壊す気かと聞くグリンプ。FCA※17が飛んでくるぞ、こんなところでといいまた言葉が詰まる。組合って言いたいのというリータ。二度とその言葉を言うな、もう十分やばい状況なんだという。まだ会計監査局の耳には入っていない、今から仕事に戻ればここで起きたことは誰にも知られないというフルール。グリンプはFCAのやつらは神出鬼没だ、すぐ嗅ぎつけて俺達を地獄に落とすという。ロムはよくわかった、FCAの監査官がこれから付け回すだろう、でも俺達の行動こそ正当だという。フェレンギ人であるなしに関わらず全員で、クワークの行動に抵抗するんだというロム。フルールに休みがなくても我慢できるのかと聞く。あった方がいいという答え。有給休暇が欲しいと思わないのかとグリンプにも聞く。何言ってるんだ、そんなものもらえるもんかとグリンプ。このままじゃ永遠にもらえない、我々フェレンギは得するチャンスを目の前にしたときどうすると聞くロム。つかみとるんじゃないかというフルール。そのとおりだ、俺も恥じらうことなくチャンスをつかむというロム。俺たちは搾取されつづけてきた、立ち上がるときだ、尊厳を取り戻すんだという。次第に同調していく従業員たち。そして利益を手に入れる、クワークをぶっ潰すんだ、FCAに負けてたまるか、このまま不当な搾取を続けさせてたまるかと続けるロム。断固として闘うぞといった。みんなからは組合、組合という声が上がる。
オブライエンの首の後ろに、脂肪性の膿疱ができているというベシア。オブライエンは切り取ってくれというが、皮膚科学的に心配ないというベシア。そうか、首の後ろにでっかいできものができてるのにと不満なオブライエン。目と鼻と口を描いて、頭が2つになったといったら切り取ってくれるのかという。ペンを持ってこようかというベシア。オブライエンに取っちまってくれといわれ、わかりましたよという。何でもないよりましだというベシア。
そこへロムが入ってきた。ベシアがいて良かった、助けてくださいという。組合についてのアドバイスが欲しいという。ドクターが作った方がいいというから作ったというロム。理屈を言っただけだというベシア。それを実行した、クワークの店の従業員は一致団結して、待遇が良くなるまで闘うという。組合か、そりゃいいというオブライエン。あなたも組合を詳しいんですかと聞くロム。オブライエンは1902年にペンシルバニアで起きた炭坑ストライキ※18の指導者は誰だったと思うと聞く。いえさっぱりと答えるロム。ショーン・アロイシャス・オブライエン※19だというのだ。初耳だというベシア。いちいち言う必要がないというオブライエン。炭坑は作業員全員の要求が満たされるまで、11ヶ月閉鎖された。クワークの店を閉鎖に追い込めっていうんですかというロム。それは最後の手段だ、クワークが要求を飲めばストライキの必要はないというベシア。要求を飲むなんてありえんな、ストをすべきだ、強気に出るべきだとオブライエンは勧める。ショーン・オブライエンのようにというロム。葬儀も西ペンシルバニアで一番盛大だったらしいというオブライエン。ショーンはストが終結する1週間前に川から遺体で上がったという。息をのむロム。32発撃たれていた、34発かなというオブライエン。まさに英雄だなというベシアに、それ以上の存在だよ、組合に命を懸けたというオブライエン。ロムにウインクをした。
司令室のコンピューターを調べながら、原因がわかったというオブライエン。ODNリレーがいかれていたようです、交換した方がいいですねという。どれくらいかかるとウォーフに聞かれ、2、3時間ですと答えるオブライエン。ウォーフはどうせまた壊れるんだろうという。オブライエンはここではカーデシアとベイジョーと連邦の機械をごっちゃに使っているんです、どうしても問題は出てきますという。君はこんなところでどうして耐えられるんだと聞くウォーフ。エンタープライズよりは楽しいというオブライエン。なぜだ、エンタープライズではこんな故障は起こらなかったというウォーフ。だからですよ、転送室で故障が起こらないかと待つのがどんなに退屈かというオブライエン。ここでは毎日何かしら仕事がある、私は必要とされてるという。ウォーフにすみませんといい、スパナを取ってくれますと頼む。あきれるウォーフ。
クワークはプロムナードのベイジョーの神殿の前を通りかかった。浄化おめでとうよという。そして店に入ると、従業員たちが集まり、待っていた。俺の誕生パーティーを開こうっていうのなら、1月遅いぜというクワーク。パーティーじゃない、レストランとカジノの従業員が一致団結したんだ※20、要求したいことがあってなというロム。従業員が雇用者の俺に要求だと、いったいどういう事だというクワーク。ロムはあんたはどう思うと聞く。俺にはまるで労働組合に聞こえると答えるクワーク。そのとおりだ、俺たち組合の要求を真剣に受け止めて欲しいといい、パッドを手渡すロム。受け取り、読むクワーク。適正な賃上げ、労働時間短縮、病気時の有給休暇と読み上げ、笑い出すクワーク。何がおかしいんだというロム。決まってるじゃないか、そんな当然のことがわからないなんて余計笑っちまうというクワーク。パッドを投げ返した。首にされたくなかったら仕事に戻れという。ロムは首にはできないぞという。どうしてと聞くクワーク。ロムは、俺たちは今から、無期限のストライキに入ると宣言した。オーと声を上げる従業員たち。クワークは一瞬驚き、また大きく笑い始めた。だが次々と出て行くロムたちを見て、その笑いは消えた。

※17: FCA フェレンギ会計監査局 (Ferengi Commerce Authority) の略。DS9第69話 "Family Business" 「クワークの母」より

※18: anthracite strike of 1902

※19: Sean Aloysius O'Brien

※20: Guild of Restaurant and Casino Employees という組織ですが、そう訳されてはいません


クワークの店の前ではロムたちが一列に並んでいる。ボイコットご協力に感謝しますといいながら、人々にラチナムコインを渡すロム。店にはモーンなど、少しの客しかいない。努力が実るといいけどねというリータ。ラチナムが手に入るといいけどなというグリンプ。
オドーが2階から店に降りてきた。コースターを持ったクワークが近づいてくる。何か用かというと、ご注文は何にしますというクワーク。冗談に付き合ってる暇はないんだというオドー。クワークはダボテーブルで賭けが始まるようですよ、それともホロスイートでお楽しみになりますかという。そして突然、クワークが音と共に消えた。残されたコースターが落ち、コップが割れる。また故障だといい、クワークがやってきた。店の中をみると、クワークが何人もいて客の応対をしている。トリコーダーか何か携帯用のエネルギー源を持っているだろというクワーク。ホロのウエイター※21の番がなかなか消せないんだ、リセピアン※22の野郎、欠陥があるのを売りつけやがったという。近くで電磁波を発せられると、イメージシステムがうまく働かないという。悪いがそういう問題は私の管轄外だというオドー。あんたを呼んだのは別件でだ、店の外で声を張り上げてる裏切り者どもを追っ払ってくれという。奴等は客をたぶらかして営業妨害をしている、故意にプロムナードを混乱に落としいれているという。あの様子じゃ火事騒ぎだって起こしかねん、ぜひ一人残らず留置所にぶち込んでくれという。個人的には不本意だが、お前の言うとおりだろうというオドー。オブライエンから聞いたんだがストライキというのは物騒なものらしいな、私も暴徒は嫌いだという。集まらないと大声も出せんような奴等などろくなものじゃないというオドー。じゃあ追っ払ってくれとクワークは言うが、そんな気はないというオドー。暴徒は嫌いだが、私はシスコ大佐の命令によって動く身であり、労働者の表現の自由を侵害するわけにはいかないという。彼らが冷静に行動し、客が2階の出入口から入ってこれる限り私の出る幕じゃないというオドー。じゃあ何か注文してもらおうかとクワークは言うが、いらんといいはなれるオドー。だろうねとつぶやくクワーク。またコップが割れる音がする。ため息をつくクワーク。
ベシアとオブライエンは、2階の入り口を通る人が店に入るかどうかを当てている。ヴァルカン人が通りかかる。論理的な連中だ、労働者側に立つだろうというオブライエン。そのとおり、少し中を見たが通り過ぎた。喜ぶオブライエン。次は入ると思うというベシア。2人のパクレッド人※23は中に入っていった。ウォーフがやってきた。ストがなくても入らない人だというオブライエン。クワークとは全く馬が合わないというベシア。だが予想に反し、ウォーフは店に入った。嘘だろというベシア。オブライエンは何考えてるんだといい、立ち上がった。ベシアがどうするんだというと、理由を聞いてくるという。少佐、待ってくださいと中に入るオブライエン。ベシアも続く。
全くこの目が信じられんというシスコ。ウォーフ、ベシア、そしてオブライエンは留置所に入っている。説明させてくださいというウォーフ。君は私に聞く耳を持てというのか、3人の上級士官がプロムナードで喧嘩をしたとはというシスコ。失礼ですが、喧嘩をしたわけじゃありませんというオブライエン。じゃあドクターの額の傷は何だというシスコ。余計なことするからだとベシアにいうオブライエン。ベシアは喧嘩を止めようとしただけですという。喧嘩などしていませんというウォーフ。では何をしていたというんだと聞くシスコ。ウォーフは意見を言い合っただけですといい、オブライエンもそうですという。最後の方でちょっと手が出ただけでという。オドーによればベシアはテーブルに額をぶつけたそうだなとシスコは言う。ただちょっと、事態に慌てましてというベシア。私はこの事態に大いに慌てているといい、これからクワークに直接事情を聞きスト鎮圧の方法を探るというシスコ。そして出て行こうとする。呼び止め、我々はと聞くオブライエン。オドーに釈放するようにいっておこう、明日の朝にはなといい出て行くシスコ。ベシアは2人にまた武勇伝が増えて良かったなといい、座った。
クワークは司令官室に呼ばれた。私だってこのストを止めさせたいんです、でもそう簡単にはという。簡単さ、今すぐロムに会って打開策を話し合えばいいというシスコ。首を振り、あなたには理解できんでしょうがこれは非常に難しい問題だというクワーク。あいつらと話すだけでも、最も神聖なフェレンギの戒律を犯すことになるという。フェレンギのしきたりのことは知らん、だがお前は誰からあの店を借りていると聞くシスコ。連邦です、これほどいい家主はどこにもいないと答えるクワーク。賃貸料は取っていないんだからな、メンテナンス料も取っていないし店の動力もただで供給しているというシスコ。クワークは寛大な対応に感謝していますとつぶやくように言う。それも今日までだ、過去5年分の賃貸料、動力消費代、修理費を含めたらどれくらいのラチナムになると思うと言い、机の上のパッドを操作するシスコ。山ほど、弟と話してきますというクワーク。わかってくれて嬉しいよというシスコ。
ロムはたくさんのパッドを並べ計算をしている。労働時間や賃金についてだ。クワークが入ってきた。パッドを渡し、これからお前の個人口座に振り込もうと思っているラチナムだ、ストをやめればなという。ラチナムってコイン、それとも延べ棒と聞くロム。コインだというが、わかったよ延べ棒だというクワーク。だがロムはたとえ何をくれようと要求が全て通るまでストを止める気はないといった。喧嘩はよそう、兄弟だろうというクワーク。仕事には関係ない、俺たちは雇用者と従業員だ、自分でそう言ったろうというロム。取り消すよというクワーク。ロムはその必要はないという。クワークはちゃんと話し合わせてくれという。俺が言いたいのは一つだけだといい、パッドを読み上げるロム。「万国の労働者よ、団結せよ。我々の前にあるのは勝利だけだ。」一体どうしちまったんだといい、クワークは部屋を出ていった。それを見つめるロム。
クワークが暗い店に入ると、名前を呼ぶフェレンギ人がいる。そろそろ戻る頃だと思ったよという。FCA監査官のブラント※24様だ、忘れたわけじゃあるまいなという。後ろにはノーシカンもいる。ご用件というクワーク。助けにきたんだよ、FCAの命令を受けてここで起きているいざこざを止めさせに来たというブラント。どうやってと聞くクワークに、あらゆる手段を使ってだとブラントはいった。

※21: holographic waiter 何人もクワークがいるシーンは笑えます

※22: リセピア人 Lissepians DS9第40・41話 "The Maquis" 「戦争回避(前)(後)」など

※23: パクレド人 Pakleds TNG第43話 "Samaritan Snare" 「愚かなる欲望」

※24: Brunt (ジェフリー・コムズ Jeffrey Combs) "Family Business" 以来の登場


ロムたちは集まり、話し合っている。今日クワークの店に来たのはたった14人だったというフルール。明日はもっと減るはずよ、さっきステーション中の人に支持してくれるように話してきたというリータ。すぐに折れるさ、店をたたむことになるとフルールがいい、喜ぶ従業員たち。グリンプはわからないぞ、給料を上げるより店をたたむ方を選ぶかもしれないという。悲観的になるな、金もうけの秘訣263条、「何事も疑うなかれ、ラチナムをその手に入れるまでは」※25というロム。兄貴もよく金もうけの秘訣を唱えてる、お気に入りは211条、「従業員は成功を目指して上るはしごの横木、ためらわず踏みつけるべし」※26という。俺の元兄貴は昨日会いに来たときは金もうけの秘訣は唱えなかった、ストライキを止めれば賄賂をくれてやるといったことを話すロム。もちろん断った、奴は追いつめられてるという。勝利は目の前だというロム。
その時、部屋の扉が開いた。ノーシカンがロックを銃で焼き切っている。入ってきたのはブラントだ。FCAから来たといったそのとたん、フルールはこいつらが悪いんですといい、ストライキの首謀者はロムだといって土下座した。これがフェレンギなら、おまえらを商業の塔に閉じ込め眼下の巨大な市場のみせものにし、その後一人ずつ殺してるところだというブラント。子供たちはお前たちが天国に行けるか賭け、飛び散った破片は虫が食う餌として売りに出されるという。俺はもう年だ、こいつらとは手を切りますと咳をするフルール。グリンプが近寄り、FCAなんて恐くないって言ってなかったかという。嘘をついたんだというフルール。脅しにだまされるな、ここはフェレンギじゃないというロム。ブラントは確かにそうだ、お前たちフェレンギ人が堕落したのはこのDS9のせいも、といったところでリータを見つめた。お前たちは不健全極まりないベイジョーの理念と、ねじ曲がった連邦の価値観にさらされて本来の考えを歪められてしまったのだという。よって我々は許そう、だからといって調子に乗るなというブラント。明日の朝に仕事に戻らなかったら、フェレンギの口座の財産は全部没収され、家族に罰金が科せられ、商売の権利も剥奪されるという。破滅だ、完全な貧乏人へまっさかさまだというブラント。それでいい、顔を上げてもいいぞとフルールにいう。もう一度リータを見て、ブラントはノーシカンと共に出ていった。
もう立てよとフルールに言うグリンプ。いいからほっとけ、似合いの格好だというロム。俺が聞きたいのはお前たちがどうするかだ、フルールのようにひざまずくか、それともあのショーン・オブライエンのように立ち上がるかという。組合に生きた男だ、自らの命を投げ出して賃上げを勝ち取った英雄だと説明する。彼ならあんな脅しには負けない、俺も同じだという。フェレンギにある財産はどうするんだと聞くグリンプ。それほどの財産があればウェイターなんてやっていない、状況は何も変わらないという。勝利は目の前にあり、俺たちがしなきゃならないのはそれをつかむことだと話すロム。俺についてくるかと聞く。みんなも声を上げ、同調する。そうと決まれば早くピケラインに戻り、団結力を見せてやろうというロム。みんなが部屋を出ていき、残されたフルールはやっとで顔を上げた。「俺もう、起きてもいいの?」
店の前で従業員たちに心構えを話すロム。行動はきびきびと、背筋を伸ばすようにいう。団結は何よりも勝る、恐れるなという。2階ではオブライエンも見守っている。ウォーフが来て、オブライエンに謝りたいという。クワークの店では言いすぎたというウォーフ。元はといえばこの騒ぎのせいですというオブライエンに、我々は艦隊士官だ、いかなる場合も喧嘩騒ぎは許されないというウォーフ。私たちはただ押し合っただけで、ジュリアンは自分のせいですというオブライエン。ウォーフはやはり許されん、いつもの私ならあんなことはしないと後悔する。ステーションは居心地が悪いというウォーフ。次第に慣れますよというオブライエンに、それはわかっている、相当かかるという。ウォーフはディファイアントの個室に住むことを決めていた。シスコにも許可を取っている。しかしたった独りの生活になるんですよというオブライエン。ウォーフはわかっている、といった。
ブラントに対するあなたの態度は立派だったわというリータ。ロムは指導者の素質があるなんて意外だなという。そんなことないわというリータ。ほんとにと聞くロムに、嘘というリータ。やっぱりそうだと思ったというロム。きっとみんなも驚いたと思うわというリータ。ベシアと約束があるから行かなくてはという。ドクターがうらやましいというロム。リータは同じくらい素敵よといい、ロムの額にキスをして部屋に入った。浮かれるロム。奥からクワークがロムを呼ぶ。キスされちゃったというロム。話があるというクワーク。ロムは要求を受け入れてくれるのかと聞くが、クワークはそうじゃないという。それなら話すことはないといい、歩き出すロム。それを止め、FCAが介入してきた、ノーシカンだって伊達に連れてきたわけじゃないというクワーク。ブラントの脅しに負けるもんかというロム。クワークはあれは本気だ、ブラントは何かしでかすに違いない、お前が心配なんだという。今まで心配したことなんかないくせにというロム。いつだって心配していた、見守っていたというロム。いつも馬鹿呼ばわりしていたじゃないかというロムに、お前を立派なフェレンギ人にしたかったからだというクワーク。ロムは自分を一番偉いと思わせたかっただけだ、でも俺は馬鹿じゃないし、あんたも思っているほど半分も利口じゃないぞという。俺の話を聞け、FCAを止められるものは誰もいない、お前を排除しようと決めたらどうしようもないというクワーク。ロムは本音を言えよといい、ブラントが俺を排除すれば願いが叶うじゃないかという。弟なんていらないといってただろうといい、ロムは歩いていった。クワークは追うことができなかった。
店ではノーシカンたちが、ダーツの矢を互いの体に投げ合っている。それを見て、痛くないのかというクワーク。ブラントは痛いだろうな、でもいつもああやって遊んでいるという。弟と話したかと聞く。話した、時間をくれというクワーク。ブラントは時間はラチナム同様限りある貴重なものだという。あんたは俺を助けに来たんじゃないのかというクワーク。違う、私はフェレンギの法律と伝統を守りに来ただけだ、つまりストを終わらせにというブラント。これからの計画を考えてみたが、やはり誰かを見せしめにした方がいいという。特定の人物を決めて痛めつけ、人々の注意を集めるんだというブラント。待ってくれ、弟を傷つけたくないというクワーク。ロムには手を出さない、指導者を襲えば殉教者が出るという。ターゲットにするのは予想外で、ロムが大事に思っている奴がいいというブラント。ダボガールとかなという。リータか、フェレンギ人じゃないぞというクワーク。ブラントはだからこそ余計に印象づけられる、だが彼女の耳はデリケートすぎるという。襲わせることはできん、無理だというブラント。ほかにロムが大切に思っている奴といえば、と言いクワークを見る。ノーシカンに集合をかけた。クワークは、俺は味方だぞといった。皮肉だなクワークというブラント。

※25: No.263 "Never allow doubt to tarnish your lust for latinum."

※26: No.211 "Employees are the rungs on the ladder of success. Don't hesitate to step on them."


クワークは頭に治療器具をつけ、ベッドで横たわっている。顔はあざだらけだ。ロムが入ってくる。面会謝絶のはずだというクワーク。ロムは特別に許可してもらったという、殺されかけたんだってという。笑い事じゃない、ノーシカンは左目のソケットを壊し、肋骨を2本折った上に下の肺を潰しやがったというクワーク。オドーが来なかったらという。かなり痛むかロムに聞かれ、死ぬほど痛いという。大変だなというロム。クワークはあざ笑うに来たのなら消えてくれという。まだわからないのか、これはお前への警告なんだというクワーク。ロムは効果ないという。最初からそう奴に言っておいてくれないかなというクワーク。ブラントとノーシカンはオドーに監禁されてる、それですべて解決らしいとロムは言う。それならそれでいいが奴を訴えるつもりはない、これ以上FCAに目を付けられてたまるかというクワーク。やつらが釈放されてもいいのとロムは言うが、釈放されなくても新しい監査官を送ってくる、今度こそお前が見せしめにされるぞという。今度はあんたがあざ笑う番だというロム。そんなことはしたくない、ストを終わらせたいだけだというクワーク。ロムは要求を受け入れてくれというが、1万年続いたフェレンギの伝統に背くことはできないとクワークはいう。FCAが恐いだけじゃないかといい離れようとするロム。クワークはそりゃ恐い、この目を壊されたんだからなという。まともな神経があればお前だって恐れるはずだという。このままだと2人ともエアロックから放り出される、すぐに組合を解散させるんだというクワークだがロムはまだ話を聞こうとしない。クワークは表向きな、という。ロムに近くにくるように言う。ロムに俺が勝ったように見せかけ組合を解散させろ、そうすれば条件を飲んでやるという。病気休暇もくれてやる、6ヶ月後にFCAの監視が厳しくなくなったら昇給だという。6ヶ月も待てない、FCAには偽の帳簿を作ってみせればいいだけだというロム。静かにするように言い、わかった、週末までには全員の給料を上げるというクワーク。だが労働組合は今すぐ解散だという。これが俺からの最後の回答だとクワークは言った。
ディファイアント。ウォーフは個室の整理をしている。ダックスが入ってきて、居心地はと聞く。いいねと答えるウォーフ。ダックスは鉢植えでも贈ろうと思ったけど、似合わないと思ってという。ウォーフは正しい判断だという。ダックスは代わりにとチップを渡す。好きなクリンゴンのオペラが集めてある、ベッドに横たわりながら艦内放送で聞くといいわというダックス。大声で口ずさみながらという。何よりの贈り物だというウォーフ。ダックスは結局はディファイアントに住んだところで何も変わらない、ステーションでの生活に慣れないことにはという。それには同意しかねるというウォーフ。そのうち嫌でも慣れるというダックス。ウォーフは君らの方が私に慣れることになるかもしれんといった。ダックスは微笑んだ。
クワークの店は活気を取り返した。ダボはベイジョー人は1回ただになっていると、リータもがんばっている。張り切ってるなというクワークに、給料が上がったからというリータ。キラがやってきた。体中の毒をすっかり落としたという顔をしてるというクワーク。キラはいいからシンセールを2杯持ってきて、ハスパラット2つと、それとおしゃべりは少な目でという。そう来なくっちゃというクワーク。カウンターに戻り、ロムを呼ぶ。何でユニフォーム着てないんだと聞くクワーク。ロムはカタツムリのジュース※27をストレートでくれという。仕事中は飲食禁止だというクワーク。客に向かってきく口かというロム。クワークは従業員だという。だがロムは違う、ここでテーブルふきやカクテル作りをするのはやめたという。今日からステーションのメンテをする技術者の一員になったという。ロム下級士官、夜勤担当だ。クワークは店はと聞く。ロムは今ここで辞めるという。要求は全部飲んだというクワーク。わかってる、でもストをして兄貴と俺は距離を置いたほうがいいとわかったというロム。心配ない、今までどおりホロスイートやレプリケーターの修理はするという。うまくいくと思うよというロム。クワークはどうかなという。考えてくれよ、もしこのままいたら俺が望めるのはクワークが死んでこの店を継ぐことだけだというロム。でも死んで欲しくない、それに俺の人生を生きたいんだという。俺がついていなきゃお前は、というクワーク。ロムは大丈夫さという。クワークはそうかもな、寂しいよという。平気さ、従業員から金を払う客になるだけだというロム。早くカタツムリのジュースをくれよ、兄貴といった。ただいま、といいクワークは取りに行った。ロムは満足していた。

※27: snail juice

・感想
ロムがクワークに見せたはじめての反乱、そして新しい仕事に就くことになりますが、まさかウェイターを辞めるとは思ってもみませんでした。ひさびさ登場のリータとロムとの関係も、これからの伏線ですね。レヴァー・バートン監督のせいか、エンタープライズでの出来事がセリフに出てきたりして楽しめます。


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